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翻訳に求められる日本語力とは

高まるクライアントからの要求レベル

ここ数年の翻訳業界の動きとも言えますが、求められる翻訳のレベルがどんどん上がっています。厳密に言えば、翻訳業界のレベルが上がっているというよりは、その先のクライアントの訳文に対する要求水準がどんどん高くなっているということでしょう。

「こういう翻訳をしてほしい」「このままだと使えない」という声など、ニーズがかなり細分化されています。多少なりとも恣意的なものもあるかもしれませんが、それでも全体を見ると、翻訳に求めるものは高くなっていると言えるでしょう。

ではいったいなぜこのように求められる日本語レベルが高くなるのでしょうか?

最近では、「マーケティング翻訳」や「クリエイティブ翻訳」といった言葉が登場していますが、これらを考える上で、このあたりもヒントになりそうです。

マーケティング担当者に必須の「マーケティング翻訳」とは

 

マーケティング翻訳

「マーケティング翻訳」や「クリエイティブ翻訳」と言う言葉が台頭している背景には何があるのでしょうか?

なぜ要求レベルが高くなるのか

これらはいくつもの要因があると考えられますが、そのうちのいくつかをご紹介します。

あらゆる言語におけるテキストの飽和状態

特に Web が特徴的ですが、ネット上には様々な情報が溢れています。日々量産され、その質は情報の正当性の有無という点だけでなく、文章の質についてもピンキリだと言えます。だからこそ、Google などは「常にアルゴリズムを改善してユーザにとって有益な情報を提供している」わけです。

実際のところ、ピンでもキリでも、テキスト情報が溢れかえっている状態で、私たちだけでそれらをフィルタすることはできません。Google のようなプラットフォーマーが確かな技術で、ユーザが求める結果を表示してくれるからこそ、飽和状態のテキストの海から、べターなページを見つけることができるわけです。

そして、そのページとして上位に表示してもらうためには「日本語で書く文章」というのは切っても切り離すことはできません。だからこそ日本語の表現が重要になるわけです。

Googleなどの検索エンジンの検索アルゴリズムの進化

あらゆる産業が、Web に乗り出しています。Webなら世界中からアクセスを集めることもできますし、また選んでもらうこともでき、ビジネスの拡大の可能性を広げてくれます。また、今やクラウドや EC サイトに代表されるように、Web で完結するようなサービスも乱立しています。

この状態を Google は精査し、評価していきます。「この内容は信頼に値するものなのか」「この内容は検索上位に表示させてもいいのか」「それはユーザの役に立つのか」を複雑なアルゴリズムを用いて検証しています。

コンテンツ SEO はいまだ重要(画像や動画よりも)

Google Discover という技術があります。これは、Google がユーザが興味を持つようなコンテンツを提供してくれる仕組みです。

Google Discover

https://support.google.com/webmasters/answer/9046777

2019年注目のサービス「Google Discover」 仕組み、SEOへの影響、最適化手法

https://ascii.jp/elem/000/001/794/1794698/

これらは、検索しなくてもユーザにとって有益な情報を提供してくれるということになるため、有益な情報=「内容の信頼性のある、分かりやすい文章で書かれた日本語」でなければならないということです。

つまり、「コンテンツの質」は相変わらず重要であると言えます。

一方、画像や動画といったテキスト以外のプラットフォームも重要度が増しています。

これは、Google 以外のプラットフォームでも同じような方向に進むでしょう。ユーザに使用されない検索エンジンではそもそもユーザが使用しないからです。

現状ではテキストを中心とする Web サイトが基本です。

日本語力がなければ生き残れない時代はすぐそこに

このように、日本語力と内容の信頼性の双方のバランスがなければ、コンテンツとして評価されにくくなっています。

上記は Web を例にとりましたが、印刷する書籍などはより一層日本語の質を求められますし、誤訳や訳抜けがないこと以上の品質はもはや当たり前の世界だと言えます。

チラシでもポスターでも、ドキュメントそれ自体が一人歩きする類のものは、日本語の質が圧倒的に重要です。

さらに現在は、機械翻訳(NMT)の進化なども著しい進化を遂げています。人間と機械の違いはその「文脈」「意味」にあると言われますが、実際、機械翻訳でも文脈に違和感のない翻訳文が出始めています。

このように考えると、翻訳という仕事はあらたな局面を迎えているのかもしれません。

「日本語力」とは何か

これまで述べてきたように、レベルの高い日本語が求められているというのは理解できますが、それは共通した基準があるのでしょうか?

マーケティング翻訳に限らず、文章には「好み」があります。読み手の感覚で「好き嫌い」を決めてしまっているとすれば、翻訳にせよ、ライティングにせよ、それをすべて網羅するのは不可能と言えます。

だからこそ、その「好み」となる直前まで、つまり「良い文章の基礎」を徹底的に抑えておくことは重要です。

翻訳でいえば、誤訳や訳抜けがないことに加え、そのドキュメントの専門性を理解して翻訳していること、誰が読むのかを理解してできるだけ訳語を選んでいくこと、そして全体の流れを崩さない事などが重要です。

しかし、どこかのタイミングで「好き嫌い」が入ってしまう場合、正確であっても「読みにくい」と評価されてしまうことも無いとは言えません。実際の現場では、この「好き嫌い」もマッチすると、お客様からの評価が高くなるという部分は(残念ながら)否めません。

※ただ、これらを「日本語力」として定義するのは困難だと言えます。

上述のように、「読みやすい文章、読みやすい日本語とはどういうものか」をしっかり定義しておくことが大切です。それが「日本語力がある」ということになります。

どうすれば日本語力を養えるのか

では、実際にどうすればその「日本語力」を身に着けることができるのでしょうか。

「美しい日本語、読みやすい日本語」といったキーワードで検索すれば、(それこそ Google が評価したであろう)サイトが出てきますし、Amazon でオススメの書籍が出るかもしれません。そこからヒントを拾ってもいいですし、ルールを体系化しても良いでしょう。

ただもっと大切なのは、沢山の文章を読み、自分で書いてみる(翻訳してみる)ということでしょう。量をこなしていく中で、文章力は格段にレベルアップしていきます。

愚直に鍛錬を積むしかありません。これは王道です。近道はありません。文章が上手な人は、センスうんぬんの前に、推敲し圧倒的な量を書いています。その量が、自信となりさらに良い文章を書くことに繋がっていきます。

日本語を沢山読むこと、そして自分でも沢山書いてみること。結局、日本語力というのはこういった地道な努力の積み重ねでしか身に着けられないのかもしれません。

日本語を学習することの大切さ

将来、AI や機械翻訳がその技術を駆使して書く文章は、これらの努力を一瞬にして抜き去ってしまう可能性はあります。ただ、その時が来るのはまだ少し先でしょうし、上手な文章を書ける人は、クリエイティブな面だけでなく編集能力もありますし、すべての努力が無駄になるという事はないでしょう。

身につけたものは誰も奪うことができません。

また、実はこれは英会話という点でも似た現象が起きています。それこそ、ここ最近のインバウンドブームもあり、英会話はポケトークのようなツールを使えば、特に自分で勉強する必要はないという意見もあります。

確かにそれ自体は否定しませんが、しかし果たして本当にそれだけなのでしょうか?ではなぜ英会話ビジネスが成り立っているのでしょうか?

弊社では「エグゼクティブ英会話 Be Confident」 をご提供していますが、やはり一定のニーズがあるのは間違いありません。通訳でもない、市販の翻訳ツールでもない、ビジネス英会話にニーズがあります。

エグゼクティブ英会話 Be Confident

https://www.trivector.co.jp/beconfident/

それとも、いつの日にか、英会話をはじめとした言語サービスはこの世から消えてなくなってしまうのでしょうか?

ただ少なくとも、日本語を学ぶことは、翻訳に限ってだけでなく、ライターという職業でも、インハウスの制作部隊でも、これからもその重要性は変わらないのだと思います。すべてを AI に代替することはできないためです。

そういう点からも、翻訳の日本語の精度は大切ですし弊社もより一層力を入れなければならないポイントだと痛感しています。

日本語力を高めることは、現代のクライアントのニーズにそのまま応えることにもなりますし、飽和状態のテキストの中にキラリと光る文章があれば、それは価値があると言えるでしょう。

※最後は宣伝になりますが、クリエイティブ翻訳やマーケティング翻訳を中心に、翻訳者募集中です。

翻訳者およびライター募集

 

※今回の内容は「日本語」というフレーズを「多言語」に置き換えて読んでいただいても同じです。


「翻訳作業前に原稿を読まないのか?」という質問

「原稿を読まないの?」という質問

以前、あるお客様に「翻訳する前に原稿読まないんですか?」と聞かれたことがあります。(実際にご発注いただく前のタイミングです)

最初はよく意味が分からなかったのですが、「翻訳する前に原稿を全部読んで、その時点で不明な点をつぶしておけば訳文の質も上がるだろう」という意図のようでした。

このコメントをいただいたとき、正直申し上げて大変驚きました。確かにこのお客様のおっしゃっていることは(品質を向上させるという点では)理解できるのですが、現実的にこれは難しいと言わざるを得ません。

そもそも、いったいどこからどこまでの作業を「翻訳」と呼べばいいのでしょうか。

翻訳作業とは何か

これはなかなか難しいのですが、そもそも、翻訳作業とはどんな作業なのでしょうか?あまりにも根本的過ぎますが、産業翻訳で言えば「原文にそって忠実に別の言語に置き換えていくこと」です。

Wikipedia:翻訳

翻訳(ほんやく)とは、Aの形で記録・表現されているものから、その意味するところに対応するBの形に翻案することである。

とあります。

ちなみに、弊社の「翻訳」という言葉の定義は以下のように定めています。

原文に忠実に、かつ原文の文意を正確および自然にターゲット言語に訳出すること

いずれにしても、翻訳という作業行為は「もともと存在する原文を使って、異なる言語に変換する作業」のことを指します。

この定義が共有されていれば、冒頭の「原稿を全部作業前に読まないのか?」という質問は現実的にかなり無理があることが理解できるでしょう。しかし共有されていない場合には、こういった発言が出てしまうのかもしれません。(実際今回は起きてしまったので定義の共有ができていなかった弊社にも落ち度はある)

翻訳作業前に原文を読むことができない、いくつかの理由

確かにこのお客様のおっしゃるとおり、「翻訳作業前にすべての原稿に目を通して疑問点を潰して質問し、説明を受けて作業を進める」ことができれば翻訳作業はスムースになると思われます。

ただ残念ながら現実的には難しいと言わざるを得ません。理由はいくつかあります。

理由①:原文自体の信頼性はお客様が確保するもの

この「原文すべてに目を通してほしい」という意図の中には、「原文が間違っているかもしれないからそれを読んで見つけてほしい」ということも含まれているようです。

そもそも原文の精度はお客様側で担保するものですから、そのミスを発見することを弊社で対応することは実質不可能でしょう。

理由②:原文を読む時間、質疑応答の時間とコストは誰が負担するのか

またコストと時間という点からも、非現実的と言わざるを得ません。弊社では信頼できる翻訳者さんをはじめとしたパートナーとともに仕事をしているため、すべてタダで作業することはできませんし、それを強制することもできません。そもそも売れっ子の翻訳者さんにはそんな時間はどこにもありません。また弊社内でもそのための作業をする時間はありません。

理由③:原文の分量が多い場合には、それだけで莫大な時間とコストがかかる

翻訳会社は、少量のものも大量のものも扱っています。そして、どんなドキュメントを翻訳するのかは実際の翻訳対象原稿を受け取ってみないと分かりません。

分量も内容も分からず、かつご発注すらいただいていないドキュメントを確認する必要性はありません。

このように、いくつもの理由が考えられますが、産業翻訳というジャンルで、納期も予算も制限されている中で「原文を全部読む」というのは現実的には不可能です。

その分のコストも、時間もお客様側で保証していただけるなら可能だと思いますが、それこそおかしな話で、お客様側でそこにコストをかけることはあり得ないでしょう。

それよりも、次にご紹介するように原文のレベルを上げてしまうのが最も簡単です。そしてそれはお客様ご自身でできることでもあるのです。

原文の質を向上させる方法

原文の品質を向上させる場合、以下のような方法があります。

方法①:原文をブラッシュアップさせる方法を最初から盛り込んでおく(ライターなどに依頼するのも手)

きちんとプロのテクニカルライターやコピーライター、編集者などをアサインし、翻訳も想定に入れて制作されることをお薦めします。

例えば、日本語原稿で考えるなら、日本語の場合の言い回しは多様ですのでそのドキュメントの持つ性質や目的、対象読者を想定して作成することで、すっきりとした原文を作ることができます。

文章校正や文法などがクリアな文章は、翻訳しやすいため品質も安定します。

方法②:用語やスタイル、TMなど、(信頼性の高い)流用できるものを準備する

参考資料がバラバラに沢山存在するのは困りますが、たったひとつでも信頼できる参考資料があれば翻訳作業時に大変助かります。

翻訳に役に立つ参考資料とは

方法③:誤解を与えるような文章をはじめから作らない

完成度の低い原文を使って翻訳しなければならない場合、品質向上はあり得ません。翻訳はあくまで翻訳であり、原文とは主従関係にあるため、訳文は原文以上の品質にはなりません。

仮に原文を飛び越えて翻訳してしまった場合、それらが合っている保証はないため、「誤訳、訳抜け」と言われてしまう可能性も高いでしょう。

まとめ

このように「原文の品質」をしっかり高めておくことが、読者への最大の配慮であり、ユーザビリティの向上であり、Web なら検索上位に表示される分かりやすい文章であり、翻訳しても誤解を招くことのない文章になるのではないでしょうか。

何でも「準備が7割」と言われますが、翻訳作業をはじめから想定しているなら、原文の準備(レベルやトーン&マナー、表記統一など)は、お客様側で行うのが最も効率が良くなります。

少なくとも「作業前に原文を全部読んでほしい」というリクエストにならないのは確かでしょう。

ぜひ原文のレベルを引き上げ、翻訳会社への依頼をしていただければ、翻訳会社としても良い意味でのプレッシャーになりますし、翻訳者としても真剣に取り組むベき原稿になると思います。


マーケティング担当者に必須の「マーケティング翻訳」とは

近年、翻訳業界の大きなトレンドとして、「マーケティング翻訳」や「クリエイティブ翻訳」と呼ばれるサービスがあります。

今回はこれらについて解説します。

「マーケティング翻訳」とは何か

まず初めに「マーケティング翻訳」という言葉の定義をする必要があります。

マーケティング翻訳とは、企業の Web サイトや SNS、パンフレットやカタログ、プレゼン資料などのマーケティングドキュメント類についての翻訳のことです。

これらのドキュメントは、概してメッセージ性が高く、読み手を強く意識したものと言えるため、それに適した翻訳をする必要があります。

マーケティング翻訳の目的

実は、「マーケティング翻訳」自体は昔から存在していましたが、ここ数年、急激にニーズが高まってきました。その理由として考えられるのは、「クライアントが要求する訳文レベルが徐々に高くなってきたから」と言えるでしょう。

またコロナウィルスの蔓延により、DX に代表されるようなあらゆるビジネスでのデジタルシフトやオンライン化が加速しています。そのためユーザに「読んでもらえるコンテンツ」を提供しなければならないという強いニーズが多くなっていると考えられます。

一例として、Web サイトの翻訳を行う場合には、Google の検索結果で上位表示させるために、様々な観点から質の高い文章を作らなければなりません。

なぜならその検索結果が直接集客に結びつき、ビジネスの業績に反映されるからです。

またホワイトペーパーや導入事例などは Web サイトから申し込みを受け付け良質のリードをとるためのツールですが、その目的達成のためには、まず第一に読み手の役に立つコンテンツと、それを実現するための訳文の読みやすさが重要視されるようになりました。

このように企業活動の中で利益の最大化を図るための要素のひとつとして、「マーケティング翻訳」というものが注目されるようになってきました。

仮に英語から日本語の翻訳の場合、これまでの「原文に忠実に翻訳する」という産業翻訳のルールから離れ、「より魅力的な文章(日本語)として翻訳する」という部分が大きな比重を占めるようになります。

繰り返しになりますが、これらが求められる理由としては、企業が提供するサービスや、製品などのアピールをするため、集客のためです。では実際にマーケティング翻訳のポイントを説明します。

マーケティング翻訳は大きく2つに分けられる

マーケティング翻訳は、大きく2つに分けることができます。

1. タイトルや見出しの翻訳

文字通り、タイトルや見出しの翻訳ですが、短い文章のため言葉の選定が非常に難しくなります。

なぜなら、原文が制作されるプロセスにおいて非常に多くの背景情報や目的設定、ストーリーがあるはずでそれらをすべて包括してベストと思われる言葉を選択し、作られているため、当然のごとく翻訳する際にもそれと同じプロセスを理解して訳文を作らなくてはなりません。原文の表面的な部分だけを捕まえて翻訳したところで、薄っぺらな訳文になってしまいます。背景情報の理解が大切になります。「どんな意図でこのタイトルになっているのか」「なぜこの単語を選択したのか」などを把握して翻訳します。

2. コンテンツの翻訳

タイトルや見出しのあとにくる本文の翻訳では、正確で読みやすく、そして読者にしっかりと意図が伝わる文章でなければなりません。

例えば「間違ってないから問題ないでしょう」というスタンスで訳文を作ってしまうと、それはマーケティング翻訳とは呼べません。「誤解の生まれない表現」だけでなく「魅力的な表現」も必要となります。

マーケティング翻訳をしないと Web は効果が出ない

この2つのタイプの翻訳が求められる具体的な例としては、Web サイトの翻訳が挙げられます。前述のように、仮に翻訳でなくとも、Google の検察結果で上位表示される文章というのはどれも非常に読みやすく、また役に立つ内容になっているのはご存知でしょう。

「検索結果画面で惹きつけられるタイトルで、meta description 部分で内容が簡潔に書いてある」という状況があれば、ユーザはクリックして読もうと思います。

繰り返しになりますが、そういった点で「Web サイトをどう翻訳するのか?」というのは、企業の戦略上、非常に重要な部分を占めていると言えますし、これからもその比重はますます大きくなります。

「翻訳」という範疇の中での創造性

しかし「翻訳」という範囲でどこまでクリエイティブに訴求力のある訳文を作るのか、原文から離れる必要がある場合、どこまで離れても許されるのか、といった線引きはかなり難易度が高いテーマです。実際、翻訳業界の中でも「これは普通の翻訳だ」「これはマーケティング翻訳ではない」という明確な線引きがあるわけではありません。

そもそも言葉は生き物であること、読者の背景知識や文化、価値観、習慣など様々な要素によって、同じ文章で評価が割れてしまうことは往々にして起きるからです。

原文を横に置かないと理解できない訳文は、あまりにも逐語訳的なのかもしれませんし、とはいえ「そんな所まで言い切っていいのか」という訳文では、原文の意図を本当に踏襲しているのか分からないということもあるでしょう。

この線引き、さじ加減のバランスを取りながら、クリエイティブに翻訳することでマーケティング向けの翻訳が生まれるのです。こう考えていくと言語の曖昧さの残る範疇の中でマーケティング翻訳を行う難しさというのが想像しやすいかと思います。

クリエイティブ翻訳との違い

「マーケティング翻訳」と似た言葉に「クリエイティブ翻訳」という言葉がありますが、ほぼ同義語です。翻訳業界では「クリエイティブ翻訳」「TransCreation」で通じます。

ちなみに、弊社では「マーケティング翻訳」を以下のように定義しています。

読み物など広告系の原文の翻訳の際に、原文にとらわれず、魅力的な訴求力の強い訳文を訳出すること

としています。弊社ではコンテンツ向けのマーケティング翻訳と Twitter や Facebook などの SNS 向けのマーケティング翻訳を多く手掛けています。

コンテンツ向けクリエイティブ翻訳プラン

 

SNS 向けクリエイティブ翻訳プラン

従来の翻訳との違い

お客様からはマーケティング翻訳は従来の翻訳とはどう違うのか、という質問を受けることもありますが、一言でいえば「翻訳以上、ライティング未満」と言えるでしょう。

これは以下の図で説明することができます。

 

この図は、弊社のクリエイティブ翻訳プランのページで使用しているものですが、これまでの翻訳は、ドキュメントの種類によって多少の訳し方の違いはあれ、基本的に「原文に忠実に翻訳する」ことが重要視されていました。

※以下の「翻訳ドキュメントマップ」ではドキュメントによって訳し方が違う(求められる方向性が違う)という点を可視化したものです。

翻訳ドキュメントマップ

このように、従来の翻訳とマーケティング翻訳の違いはどこまで表現するか=どこまでの訴求力を持たせるかという点でしょう。

翻訳業界の 4つの勢力

このように、マーケティング翻訳やクリエイティブ翻訳は、従来の翻訳とは違う訳ですが、冒頭のようにあらゆるビジネスがオンラインへシフトしているように、これらを取り巻く業界構造そのものが大きく変化していることも原因の一つと言えます。

また、DeepL のような機械翻訳サービスの台頭により「簡単な翻訳は AI や機械翻訳に取って代わる。人間にしかできない翻訳とは何か」という点も関係しているでしょう。

現在、様々なプレイヤーによって翻訳業界は変革の中にありますが、どうして変革しているのかは、「お客様のニーズの変化が起きたため、翻訳会社が変化に対応する」というのが本質だと言えます。

以下のページでは、その業界を占める4つの勢力について記載しています。

翻訳の功と罪

機械翻訳との違い

一方で、機械翻訳技術も発達してきました。ニューラルネットワークを活用した Google 翻訳の精度が飛躍的に向上したのは記憶に新しいでしょう。

現在も機械翻訳は日々進化を遂げていますが、読み物としてのドキュメントの場合には、まだ改善の余地がありそうです。ただ最近では、「機械翻訳+ポストエディット」という組み合わせのサービスが認知され始め多くの企業での活用が始まっています。

機械翻訳の問題点を解決するポストエディットとは

現状、機械翻訳自体は原文の意味を理解しているわけではないので、この部分では、まだ翻訳者の優位性は変わらないと言えますし、マーケティング翻訳との違いは明確になるでしょう。「文章の質」を細分化していくことで、いずれは棲み分けがなされる可能性もあります。

翻訳支援ツールとの相性は

機械翻訳や自動翻訳に似た概念として「翻訳支援ツール(CAT)」があります。翻訳支援ツールは、あくまで「翻訳者がメインであり翻訳作業をサポートする」という立ち位置です。

Translation Memory というデータベースを構築し、精度を高めていくわけです。

TM の精度について

基本コンセプトは、「n対n」で原文と訳文をペアにしてデータベースに格納していくわけですが、マーケティング翻訳との相性という点から考えると、ツールの使用自体がなかなか難しいケースもあると言えます。

それは何故でしょうか?これは原稿のバージョンアップのケースを考えるとイメージしやすいかもしれません。

データベースに格納された訳文は、センテンスで保管されます。最初に翻訳した際にはその訳し方で問題なかったとしても、ドキュメントが変更になったときに、果たして「データベース内の訳文をそのまま使えるのか」という疑問が残ります。

例えば「you」という単語ひとつとっても、最初は「あなた」で良かった場合でも、文脈によっては「お前」と訳さないといけないかもしれません。

これは結局のところ、マーケティング翻訳ではデータベースよりも「文脈(コンテクスト)」や「リズム」がより重視されるためです。

ところがデータベース優先になれば、登録されているぎこちない「あなた」を使うことになります。結果として読み手は「読みにくい文章」と感じるわけです。

ツールを使えば再利用率は高くなるかもしれませんが、マーケティング翻訳やクリエイティブ翻訳には向いていないと言えます(弊社もマーケティングマテリアルでのツール使用は限定的です)

※読みやすさなどは二の次で徹底的にコストを抑えるという目的の場合には、ツールの使用は目的に適っていると言えます。

コピーライトやライティングをすればいい?

マーケティング翻訳やクリエイティブ翻訳をご紹介すると、「通常の翻訳とも違う、機械翻訳とも違う、翻訳支援ツールも使わないのは理解したが、結局翻訳は変わらないのだからそれならライティングの方がいいのではないか?」というご質問をいただくこともあります。

このご質問への回答としては「その通りです」とお伝えしています。

プロのライターによる取材を重ね、サービスや商品への理解度を深め、訴求力のあるワードを選び構成していくという点では、圧倒的にライターに軍配が上がります。

そしてそれは当たり前の話であり、むしろそうでなくてはならないとも言えます。

弊社でご提供するマーケティング翻訳は「翻訳以上、ライティング未満」であることは前述の通りであり、あくまで「翻訳」の範疇で行われるものです。

一方でライティングには「原文」の制約はありません。つまり誤解を恐れずに言えば自由度が非常に高いわけです。(もちろん、完全に自由な仕事はありませんが)

その代わり、かかるコストは翻訳とは比べ物にならない位大きくなるでしょう。

つまり、ライティングとマーケティング翻訳では、作業範囲や内容が異なるため比較自体に意味がありません。マーケティング翻訳で大切なのは「コストもできるだけ抑えつつ、できるだけ魅力的な文章を作りたい」というお客様のためのサービスだということです。

文書の読みやすさコスト
機械翻訳
翻訳支援ツール
マーケティング翻訳
クリエイティブ翻訳
ライティング×

世の中のグローバル化が進み、今後翻訳市場は大きくなると言われていますが、これは言い換えれば、翻訳をするドキュメントが増えているということです。しかしそのすべてにライティングをすることは現実的に難しいでしょう。

となれば、「できるだけライティングに近い形で翻訳したい」というニーズが高まるのは自然な流れです。

まとめ

いかがでしょうか。最後に簡単にまとめると以下のようになります。自社に合った形で翻訳サービスを利用するようにしましょう。

  • マーケティング翻訳の目的は、読み手にしっかり伝わる訳文を作ること(ツールやシステムはその次)
  • マーケティング翻訳の定義は「翻訳以上、ライティング未満」であること
  • 機械翻訳も、翻訳支援ツールも、ライティングもすべて使用目的によって変えるべき

マーケティング翻訳やその他の翻訳、通訳サービスについてはお気軽にお問い合わせください。


バックトランスレーション(逆翻訳)のメリットとデメリット

機械翻訳、ポストエディット、翻訳支援ツール、多くの MLV(マルチランゲージベンダー)やクラウド翻訳など、翻訳サービスには様々な形態が存在します。

翻訳の功と罪

 

そんな中、「バックトランスレーション」という手法があるのはあまり知られていません。日本語にすると「逆翻訳」と呼ばれます。(これに対し、通常の翻訳を「順翻訳」と呼ぶこともあります)

この「バックトランスレーション」というものは、いったいどういうものなのか、そしてメリット、デメリットや利用する際の判断基準について解説します。

バックトランスレーションとは何か

バックトランスレーションは、上述のように「逆翻訳」と言われますが、具体的には一度翻訳したものを使って、元の言語に翻訳しなおす作業のことを指します。

例えば、日本語から英語に翻訳する際、その訳文(英語)が原文(日本語)の意味をきちんととらえて翻訳されているかどうかを検証するために、訳文(英語)を日本語に翻訳します。

この訳文(英語)から原文(日本語)への翻訳プロセスをバックトランスレーションと言います。

バックトランスレーションの意味と目的

バックトランスレーションの意味や意義、その目的は何なのかを知っておく必要があります。この手法自体、翻訳プロジェクト、ローカライズプロジェクトの中でどういう位置づけのものかを把握する必要があります。

バックトランスレーションの目的は 3つほど挙げられます。

  • 訳文の正確性を確認するため
  • ターゲット言語が分からない場合のチェックやレビューのため
  • 翻訳としての妥当性、好みなどの恣意的なものかの見極めを行うため

それぞれ解説します。

バックトランスレーションの目的①:翻訳の正確性

翻訳の正確性を確認するためにバックトランスレーションを行うというのは、どういう意味でしょうか。これはつまり「日本語の単語が正しい英単語に置き換わっているか」という確認です。

また、(あえて挙げるなら)文法的にも「主語+目的語+述語」という日本語ならば、「主語+述語+目的語」という文法構造で英語が成立しているかどうかということでしょう。

バックトランスレーションの目的②:ターゲット言語でのチェックができない

例えば、日本語から中国語へ翻訳したケースがあるとします。発注した企業は、これを使ってビジネスを展開する訳ですが、翻訳会社から納品された中国語の訳文のチェックが社内で行うことができない場合、一度日本語に逆翻訳して、きちんと翻訳されているかどうかを確認するために使用されます。

バックトランスレーションの目的③:訳文の妥当性や好みなどの恣意性の見極め

①と重複しますが、こういう目的でバックトランスレーションを行うケースもあります。納品された訳文が妥当なものであるかということを検証しようとするわけですが、文章には「好み」があります。実際のところ、これらはバックトランスレーションをしても確認することはできません。あくまで翻訳後の言語の文章として好きか嫌いかという話だからです。

このように、一言でいえば、訳文としての「違和感」があるかどうかということを、バックトランスレーションによって見極めようとしているわけです。

しかし、残念ながらこれらはあまりうまく行きません。

バックトランスレーションのメリットとデメリット

ではなぜうまく行かないのでしょうか?

実は、厳密にはすべてがうまく行かないのではなく、上手く行くものとそうでないものが混在すると言えます。

バックトランスレーションのメリット

上述のように、様々な目的をもってバックトランスレーションを行う訳ですが、この中で上手く行くのは論文など専門性の高いドキュメントに限定されるでしょう。

「A という単語が B という訳語に正確に翻訳されているのか」を確認するために行なうためのバックトランスレーションは有効だと言えます。

バックトランスレーションのデメリット

しかし「ちゃんと翻訳されているかどうか」といった、(どちらかというと)表現力をお求めになる場合には、バックトランスレーションは不向きでしょう。Web サイトやプレスリリース等をバックトランスレーションしたところで恐らくほとんど意味はありません。

仮に、日本語→英語→日本語 というプロセスを辿った場合でも、実際に使用するのは英語であって、英語として自然なものか、意味が通る訳文かどうかを判断できないと意味がありません。

「日本語では大丈夫だった」という事実は、イコール「英語として大丈夫」ということにはならないからです。

また、言語によってもバックトランスレーション自体が意味を成さないケースもあります。韓国語のような表音文字などは、その文字自体に意味を持っていないため、バックトランスレーションをしてもほとんど意味がありません。

そういった点からも、第一義的には翻訳後の言語がターゲット言語なのですから、そのターゲット言語として訳文を評価、検証すべきでしょう。

バックトランスレーション使用時の注意点

これまで述べてきたように、バックトランスレーションの使い方は限定的とはいえ、その判断基準を持って行うことである一定の結果を得ることができます。その基準とは、「効果の出るドキュメントと効果の出ないドキュメントを理解する」ことです。

例えば、論文や特許書類など、単語の正確性が極端に求められる場合には、バックトランスレーションは有効です。決まった用語を使用なければ、ドキュメントの正確性が問われてしまうような場合などは、バックトランスレーションを使用することができます。

そういった基準を持たずに、どんなドキュメントでもバックトランスレーションをすることは、現場の混乱を招くばかりか、今後は「バックトランスレーションをしてもクレームにならない訳文を作る」ことが目的となり、逐語訳や直訳的な文章が増えてしまうかもしれません。その訳文が使われる場所や、対象読者のことが置いてけぼりになれば、伝えたいことも伝わりません。

まとめ

これまで述べてきましたが、バックトランスレーション自体を否定するものではありません。しかし、残念ながら限定的な使い方しかできないのもまた事実です。

そしてもしビジネスにおいて「正確な訳文を」「伝わる訳文を」と考えるのであれば、バックトランスレーションの前に以下の点に注意することがより有効だと思われます。

・バックトランスレーションする時間を取るより、その時間をしっかり最初の翻訳作業にあてる

・品質を気にするなら専門用語集やスタイル、事前のトレーニング、研修などを開催する

用語集構築・運用

・翻訳後にネイティブチェックのプロセスを増やす

定額ネイティブチェックプラン

いかがでしょうか。

バックトランスレーションを行う際には、これらの点を含めて正しい判断基準をもって行うようにしましょう。


翻訳は「手段」であって「目的」ではない

弊社は主に「コミュニケーションサービス」を提供している企業ですが、そのうち、翻訳や通訳といった言語サービスを中心にご提供を行っています。

お客様からサービス提供への対価をいただきながら、経済活動を行っていますが、時折、そこに該当しないケースがあります。より大きな目的(弊社の場合には経営理念の実現)の場合であれば、該当しなくても(長期的には整合性が取られるため)問題ありませんが、以前にはそうでないケースも散見されました。

このあたりはもしかしたら業界構造や業界の変化にも関連しているかもしれません。

翻訳の功と罪

今回はビジネスでついつい「勘違い」してしまいがちな点について考察します。

陥りやすい「手段の目的化」

今はもうほとんどありませんが、以前に多かったのは「手段の目的化」です。翻訳や通訳サービスは、それを利用するクライアントのビジネスコミュニケーションをスムースにするためのツールのひとつであるべきで、それ自体が目的になってしまうのは本末転倒です。

具体的には、翻訳者の作る訳文がクライアントが求めるものとずれ、クレームになる場合などを指します。プロの翻訳者が行なう翻訳作業なのですから、ある一定の精度があるはずです。にもかかわらず、どうしてクレームになるのでしょうか?

考えられる原因はいくつかあります。

  1. 翻訳者の実力不足(一定の精度が無い訳文だった)
  2. 翻訳会社のヒアリング不足(営業窓口の力不足)、不適切なアサイン(人には向き不向きがある)
  3. クライアントが翻訳以上のものを求めている
  4. クライアントの好み(恣意的なもの)
  5. 納期等のその他の条件

 

これ以外でも、できない原因はあげればキリがないので、このあたりにしておきますが、いずれにしても様々な原因でクライアント期待とは違うものが納品されてくればクレームになる場合があります。

つまり、上記のような点が「ずれているから」起きてしまうトラブルやクレームが一定数存在します。

いったい何のために翻訳するのか?通訳するのか?

手段を目的化しないために、最初から最後までブレてはいけないのは、この翻訳、通訳の目的は何か?いったい何のためにクライアントは翻訳や通訳を利用するのか?ということです。

これは翻訳会社としてもしっかりヒアリングしなければならない部分ですし、それをコーディネーターから的確に翻訳者に伝えなければならない点です。

逆に、それをしっかりと汲み取って訳文を作ったり、通訳していくことができれば、理論上は大きな齟齬というのは出ないはずです。

※特に通訳の場合には、現場での対応になり、クライアントの担当者と直接打ち合わせができることも多いため、本来の目的を確認しやすいと言えます。

どの企業も、どの業界でも共通しているのは、ビジネスのコミュニケーションをスムースにして期待する成果を得ることであり、それを達成するために私たちは翻訳や通訳サービスを提供することで何ができるのか?ということです。

これを見失ってしまうと、クライアントの期待する翻訳や通訳サービスにはなりません。誤解を恐れず言えば、「作り手の独りよがりのサービス」になってしまうのです。

翻訳や通訳というサービスは、限りなく商品に近いところにあるために、ついつい勘違いしてしまいそうですが、残念ながらそれ自体は目的にはなりません。もし「翻訳すること」自体が目的であれば、それはビジネスではなく、ボランティアや趣味、また自分自身の勉強のためであることがほとんどではないでしょうか。(ちなみに、これらが悪いということではなく、ビジネスコミュニケーションサービスとして提供する以上はクライアントがいるわけですから、その要望も汲み取っていかなくてはならないということです)

これは英会話なども同様です。英語と言うツールを使って、仕事をスムースに進めることが重要な目的であって「英語が話せます」という話ではありません。実際の現場では、TOEIC の点数が非常に高くても、ビジネスの基礎がない人は活躍することできないのは何も英語に限った話ではありませんので、細かく説明するまでもないでしょう。

エグゼクティブ専門英会話 [Be Confident]

翻訳という仕事をしていると、どうしても TOEIC が高得点でなければならないといった類のことを言われることも多いですが、実態はそうではありません。「翻訳力」とでも言うべき能力はまったく定義が異なります。

 

「翻訳力」とは何か

 

「お客様に喜んでもらう」ことがひとつのバロメーター

仕事にはどれも相手(お客様)がいます。その「お客様のために価値を提供する」ことが重要なのであり、結果として収入や報酬があるのです。

クライアントが困っていることに対し、自ら蓄積してきた能力や経験で解決することが重要です。大ざっぱに言ってしまえば、人の役に立つことです。お客様の役に立つことを本気で考えれば、自ずととるべき行動は定まってくるでしょう。それは自己満足でも自慢でもないはずです。手段が目的化されている場合には、「自分がやったから結果が出たんだ」となりがちなので要注意です。

それよりも全力を尽くし、その結果としてお客様から感謝されるほうが自分が持つ能力が誰かの役に立てたと思えるのではないでしょうか。こういう真摯な気持ちで仕事に向き合ったとき、人はさらなる成長をすることができます。

翻訳も通訳も「お医者さん」と同じ

翻訳も通訳も様々なテクニックや最新のツールやテクノロジーがあります。ドキュメントによって訳し方が違ったり、分野によっても扱うドキュメントは様々です。

しかしそれ以前のスタンスの問題として自覚しておかないといけないことがあります。

それは、プロフェッショナルとしての翻訳者や通訳者は、その高い専門性や高い言語能力を駆使して、お客様の困りごとを解決できるということです。いわば「お医者さん」と同じように正しい診断を行い、治療法を提案していくこと、また専門性が高ければ、ブラックボックス化せず、インフォームドコンセントを行い、クライアントが満足する治療を受けることができるのです。

この正しい心構えを持ち、最新のテクノロジーを駆使し、自らの能力を最大限発揮することができれば、クライアントの悩み(顕在的/潜在的)を解決することができるのです。