5W1Hはコミュニケーションの基本

他者とのコミュニケーション、特にビジネスにおいては「言った言わない」という低レベルの話をしている時点で仕事はできないというレッテルを貼られてしまいます。

当然ながらそういったことが起きないように、議事録があったり、Slack やチャットワーク、メールなどの様々なツールがあるわけです。

これは社内外問わず同じことです。

本来、コミュニケーションにおいて抑えるポイントが分かっていれば、このレベルの話にはならないはずですが、誰でも一度は経験があるのはなぜでしょうか。日常的に起きているのは何故なのでしょうか。

相手との相性が悪いから?ウマが合わないから?

そうではありません。相性が悪いなら悪いなりの、会わないなら合わないなりのコミュニケーションの手段はあるはずです。

今回は他者とのコミュニケーションの基本となる「5W1H」について解説します。

「5W1H」とは何か

5W1H という言葉は学校の英語の授業などで習うと思いますが、ビジネスコミュニケーションでは、どれもが非常に重要です。ひとつずつ解説します。

5W は、W から始まる英単語、「なぜ(Why)、いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)」の 5つの W を取っています。

1H は、「どのように(How)」です。

※なぜ誰でも知っているような「5W1H」をわざわざ説明するのかと言えば、言葉の定義の統一を図るためです。相手(この場合は読み手)が勝手な解釈をしないために、それぞれ定義しておくことで、これ以降の説明の理解度を深める働きを持っています。

この辺りは「自分と他者が違う」という前提を持っていなければできないことですが、以下の記事も参考にしてみてください。

コミュニケーション能力の高い人が行っている6つの行動

 

このように、5つの W と 1つの H を「5W1H」と呼ぶわけですが、多くの方がご存知でしょう。しかし、これをきちんと使いこなせているでしょうか。

特に日本語は、主語が無かったり、動詞が最後に来るので結論を最後まで聞いていないといけないわけですが、そこがはぐらかされたり、言わなかったりということは多くあります。

なお、「ツーカーの仲」「阿吽の呼吸」で理解するには、相手を深く知らないといけないため、それまではしっかりとしたコミュニケーションをとる必要があります。

ビジネスコミュニケーションの「5W1H」

ビジネスでは、自分に関わる登場人物が多くなります。自分が顧客との窓口(接客や営業)であれば、相対するお客様、さらに自分の上司、上司の上司、他部署の人たち、さらにお客様が企業ならお客様の上司などなど、どんどん増えていきます。

しかも「阿吽の呼吸」仕事ができる仲間や同僚、上司、パートナー、クライアントとなるとかなり厳しいことが分かるでしょう。

登場人物が多いこと、それぞれが持つバックグラウンドが異なることなど、指数関数的に状況が変わっていきます。

このようにある種、伝言ゲームになりがちな仕事をしなければならないとき、「5W1H」が機能しなければどうなってしまうでしょうか。

以下は「5W1H」がはっきりせず起きたトラブル例です。

営業:「部長、昨日私あてに連絡があったみたいなんですけど、先日注文のあったお客さんが来週までに A 商品をあと500個追加したいということでした。」

(直属の)部長:「そうか、それは良かったな。ただ恐らく、ウチの部に A の在庫はそこまでないだろうから、在庫は管理部に聞いてみてくれ」

営業:「分かりました。確認します」

営業:「すみません、A 商品の追加の注文がありまして、500個ほどなんですが、それってそちらにありますか?」

管理部社員「A 商品ですか?ちょっと調べてみますね」

管理部社員「ああ、先週にちょうど500個注文してくださったお客様がいらっしゃって、そちらにすべて納品の手配をかけてしまいました」

営業:「ああそうだったんですか・・・それだと 500個はないですね」

管理部社員:「はい、今はありませんね。これからの生産予定を見ますと・・・えーと・・ああ、これだ、完成するのは来月ですね」

営業:「来月ですか・・・ちょっとそれだと遅くて・・・何とかなりませんか?」

管理部社員:「そう言われても無いものは出せないですしねえ・・・そうしたら、ほかの支社にあるかもしれませんが、私では分かりかねるので、部長に聞いてもらえますか?」

営業:「分かりました。お手数かけました」

営業:「部長、管理部に聞いたんですが、500個分の在庫は無いそうです」

(直属の)部長:「そうか、で、どうするつもりなんだ?」

営業:「えっ?いや、それは部長に聞いてみてくれと言われまして・・・」

(直属の)部長:「はあ?オレが分かるわけないだろう。オレは在庫管理してないぞ」

営業:「そうですよね。。。。」

これは極端な例ですが、これは Who(誰が)が曖昧なケースです。「部長」という役職名だけで会話が進んでいます。もし「○○部長」や「管理部の部長」「私の上司」などがあれば、このような勘違いはしません。

営業:「すいません、すっかり勘違いしちゃって。管理部の部長さんですよね」

管理部社員:「え?ええ・・・はい(そりゃそうだろ)」

管理部の社員も「納期はいつですか?」と聞けばよかったのですが、完成品が出来上がる時期だけを伝えて、あとは知らん振りです。

営業:「部長すいません、すでにご存じかもしれませんが、私の担当するお客様で、A商品の追加注文をいただいておりまして、在庫を確認していただいたのですが、ここにはない為、ほかの支社にあるかどうかを確認させていただきたいのですが・・・」

管理部部長:「ああ。話は聞いたよ。支社への連絡は部下にさせるが、いつまでに必要なんだ?」

営業:「はい、来週です」

管理部部長:「来週?!私は来週とは部下から聞いてないぞ」

営業:「し、失礼しました。私が伝え忘れていました。申し訳ありません」

管理部部長:「うーん、とにかく来週だったら、今週中にはどうにかして発送しないといけないじゃないか。部下からは在庫が支社にあるかどうか確認したいという事しか聞いてないんだ。そんなに急ぎなら、もっと早く言ってくれないと困るよ」

営業:「も、申し訳ありません。。。よ、よろしくお願いします」

これは、W のうち、When(いつまでに)を伝えていないために起きるケースです。直属の部長には報告してあったのですが、それで自分は報告したつもりになっており、管理部に相談するときに伝えていなかった(=忘れた、または伝える意志がそもそもなかった)ため、時間が経ってから納期が無いという事が発覚しました。

そして3日後。

管理部社員:「他の支社に当たったら、3か所分を集めれば、500個あるそうなので、急ぎこちらに送ってもらうようにしました。まとまったらお知らせしますね」

営業:「ありがとうございます!助かります(ああ、良かったー、これでお客さんに迷惑かからなくて済む・・・)」

これで何とか在庫を確保し、発送できるようになりました。めでたしめでたし・・・とはならないのが仕事です。

お客さま:「お世話になってます。この間お願いした A 商品の追加注文なんだけど、アレ、もう届いたから結構です」

営業:「えっ?まだこちらからはお送りしていませんよ」

お客さま:「いや、今日届きましたよ。今、私の目の前にありますし。間違いなく御社からですよ?」

営業:「ええ?ちょ、ちょっと待ってくださいね、、、(どうなってるんだ??)」

お客さま:「とにかくこちらはもう大丈夫なので、請求書だけ送ってください。よろしくお願いします」

あ営業:「え、ええ・・・(一体何が・・・)」

何とかかき集めた 500個分の商品ですが、すでにお客様に納品されているというのは一体どういうことなのでしょうか。

実はこれは冒頭の管理部社員との会話にヒントがあります。

管理部社員「ああ、先週にちょうど500個注文してくださったお客様がいらっしゃって、そちらにすべて納品の手配をかけてしまいました」

この「お客様」ですが、実は同じお客様だったのです。担当者がいない時に追加注文をしていたことが社内できちんと伝わっていないために起きてしまいました。

営業のいう「お客様」と管理部社員のいう「お客様」は同じ企業だったのです。

営業:「部長、先日の件ですが実はちょっと問題がおきまして・・・」

(直属の)部長:「何っ?納品が間に合わなかったのか?それとも在庫が無かったのか?」

営業:「いえ、在庫はあったんですが・・・実は、すでに500個納品されたみたいなんです・・・」

(直属の)部長:「えっ?間に合ったってことか?それは良かったじゃないか。それの何が問題なんだ」

営業:「あ、いえ、違うんです。ご相談した 500個ではなく、別の 500個がお客様のところに・・・」

(直属の)部長:「何だと?一体どういうことだ、それは・・・・!」

あくまでもこれはコミュニケーションにおいて 5W1H を理解するための例文のため、これ以降の会話は割愛させていただきます。

ホウレンソウは「5W1H」を意識して話す

上記は極端な例ではありますが、これに近い会話はあちこちで起きています。

上司への報告や相談、お客様への連絡では必ず「5W1H」にそって話をするようにします。

逆に言えば、「5W1H」のうち、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)は外すことなく伝えなくてはいけません。時間と場所、主語を取ってしまうと急にぼやけた話になり、責任の所在も曖昧になってしまうためです。

上記の例でいけば、Who=「部長」、When=「来週まで」から始まり、ミスを報告する際にも部長への報告が時系列で整理されて話されていないため、部長は「間に合ってよかったじゃないか」と勘違いしています。ミスの報告自体にミスが含まれている状態です。

お客様に対しても、社内のコミュニケーションがスムースに進んでいないのが明白です。

※実際には、在庫管理システムなどがあればこういった事態は起きないとは思いますが、コミュニケーション上の行き違いや勘違いはシステムでもどうにもできない部分があります。

徹底的な「ホウレンソウ」でコミュニケーションを活性化する

 

まとめ

「5W1H」をしっかり意識して話をするだけで、ミスコミュニケーションはかなり回避できると考えられます。

冒頭でも書きましたが、日本語は省略しても意味が通じる言語体系を持っています。そしてそれはある意味では非常に便利です。

ところが、グローバル化が進むにつれてハイコンテクストなコミュニケーションではなく、ローコンテクストのコミュニケーションが重要になっています。

様々な価値観を持つ人々を相手にビジネスをするために、キッチリ、ハッキリ伝えていかなくてはならないのです。言わなくても分かるだろという会話は、日常生活では OK でも、ビジネスでは致命的です。

それらを回避するために、「いつ、どこで、誰が、どうするのか」を間違いなく伝えることは、発信者の責任だと言えるのではないでしょうか。

そして同時に、上長はこれらの要素が満たされていないホウレンソウは、しっかりと確認する責任があります。

仕事は1つの目的を達成するためにチーム一丸となって取り組む必要があり、その潤滑油として機能するものこそコミュニケーションなのです。これをサボるというのは、必要な油を差さずに機械を動かそうとするのと同義です。

実際、機械なら定期点検やメンテナンス日がありますが、コミュニケーションにはそれがありません。だからこそ、定期点検やメンテナンスの代わりに「5W1H」をしっかり使うことが必要とされるのです。


「翻訳作業前に原稿を読まないのか?」という質問

「原稿を読まないの?」という質問

以前、あるお客様に「翻訳する前に原稿読まないんですか?」と聞かれたことがあります。(実際にご発注いただく前のタイミングです)

最初はよく意味が分からなかったのですが、「翻訳する前に原稿を全部読んで、その時点で不明な点をつぶしておけば訳文の質も上がるだろう」という意図のようでした。

このコメントをいただいたとき、正直申し上げて大変驚きました。確かにこのお客様のおっしゃっていることは(品質を向上させるという点では)理解できるのですが、現実的にこれは難しいと言わざるを得ません。

そもそも、いったいどこからどこまでの作業を「翻訳」と呼べばいいのでしょうか。

翻訳作業とは何か

これはなかなか難しいのですが、そもそも、翻訳作業とはどんな作業なのでしょうか?あまりにも根本的過ぎますが、産業翻訳で言えば「原文にそって忠実に別の言語に置き換えていくこと」です。

Wikipedia:翻訳

翻訳(ほんやく)とは、Aの形で記録・表現されているものから、その意味するところに対応するBの形に翻案することである。

とあります。

ちなみに、弊社の「翻訳」という言葉の定義は以下のように定めています。

原文に忠実に、かつ原文の文意を正確および自然にターゲット言語に訳出すること

いずれにしても、翻訳という作業行為は「もともと存在する原文を使って、異なる言語に変換する作業」のことを指します。

この定義が共有されていれば、冒頭の「原稿を全部作業前に読まないのか?」という質問は現実的にかなり無理があることが理解できるでしょう。しかし共有されていない場合には、こういった発言が出てしまうのかもしれません。(実際今回は起きてしまったので定義の共有ができていなかった弊社にも落ち度はある)

翻訳作業前に原文を読むことができない、いくつかの理由

確かにこのお客様のおっしゃるとおり、「翻訳作業前にすべての原稿に目を通して疑問点を潰して質問し、説明を受けて作業を進める」ことができれば翻訳作業はスムースになると思われます。

ただ残念ながら現実的には難しいと言わざるを得ません。理由はいくつかあります。

理由①:原文自体の信頼性はお客様が確保するもの

この「原文すべてに目を通してほしい」という意図の中には、「原文が間違っているかもしれないからそれを読んで見つけてほしい」ということも含まれているようです。

そもそも原文の精度はお客様側で担保するものですから、そのミスを発見することを弊社で対応することは実質不可能でしょう。

理由②:原文を読む時間、質疑応答の時間とコストは誰が負担するのか

またコストと時間という点からも、非現実的と言わざるを得ません。弊社では信頼できる翻訳者さんをはじめとしたパートナーとともに仕事をしているため、すべてタダで作業することはできませんし、それを強制することもできません。そもそも売れっ子の翻訳者さんにはそんな時間はどこにもありません。また弊社内でもそのための作業をする時間はありません。

理由③:原文の分量が多い場合には、それだけで莫大な時間とコストがかかる

翻訳会社は、少量のものも大量のものも扱っています。そして、どんなドキュメントを翻訳するのかは実際の翻訳対象原稿を受け取ってみないと分かりません。

分量も内容も分からず、かつご発注すらいただいていないドキュメントを確認する必要性はありません。

このように、いくつもの理由が考えられますが、産業翻訳というジャンルで、納期も予算も制限されている中で「原文を全部読む」というのは現実的には不可能です。

その分のコストも、時間もお客様側で保証していただけるなら可能だと思いますが、それこそおかしな話で、お客様側でそこにコストをかけることはあり得ないでしょう。

それよりも、次にご紹介するように原文のレベルを上げてしまうのが最も簡単です。そしてそれはお客様ご自身でできることでもあるのです。

原文の質を向上させる方法

原文の品質を向上させる場合、以下のような方法があります。

方法①:原文をブラッシュアップさせる方法を最初から盛り込んでおく(ライターなどに依頼するのも手)

きちんとプロのテクニカルライターやコピーライター、編集者などをアサインし、翻訳も想定に入れて制作されることをお薦めします。

例えば、日本語原稿で考えるなら、日本語の場合の言い回しは多様ですのでそのドキュメントの持つ性質や目的、対象読者を想定して作成することで、すっきりとした原文を作ることができます。

文章校正や文法などがクリアな文章は、翻訳しやすいため品質も安定します。

方法②:用語やスタイル、TMなど、(信頼性の高い)流用できるものを準備する

参考資料がバラバラに沢山存在するのは困りますが、たったひとつでも信頼できる参考資料があれば翻訳作業時に大変助かります。

翻訳に役に立つ参考資料とは

方法③:誤解を与えるような文章をはじめから作らない

完成度の低い原文を使って翻訳しなければならない場合、品質向上はあり得ません。翻訳はあくまで翻訳であり、原文とは主従関係にあるため、訳文は原文以上の品質にはなりません。

仮に原文を飛び越えて翻訳してしまった場合、それらが合っている保証はないため、「誤訳、訳抜け」と言われてしまう可能性も高いでしょう。

まとめ

このように「原文の品質」をしっかり高めておくことが、読者への最大の配慮であり、ユーザビリティの向上であり、Web なら検索上位に表示される分かりやすい文章であり、翻訳しても誤解を招くことのない文章になるのではないでしょうか。

何でも「準備が7割」と言われますが、翻訳作業をはじめから想定しているなら、原文の準備(レベルやトーン&マナー、表記統一など)は、お客様側で行うのが最も効率が良くなります。

少なくとも「作業前に原文を全部読んでほしい」というリクエストにならないのは確かでしょう。

ぜひ原文のレベルを引き上げ、翻訳会社への依頼をしていただければ、翻訳会社としても良い意味でのプレッシャーになりますし、翻訳者としても真剣に取り組むベき原稿になると思います。


マーケティング担当者に必須の「マーケティング翻訳」とは

近年、翻訳業界の大きなトレンドとして、「マーケティング翻訳」や「クリエイティブ翻訳」と呼ばれるサービスがあります。

今回はこれらについて解説します。

「マーケティング翻訳」とは何か

まず初めに「マーケティング翻訳」という言葉の定義をする必要があります。

マーケティング翻訳とは、企業の Web サイトや SNS、パンフレットやカタログ、プレゼン資料などのドキュメント類についての翻訳のことです。

これらのドキュメントは、概してメッセージ性が高く、読み手を強く意識したものと言え、それに適した翻訳をする必要があります。

マーケティング翻訳の目的

実は、「マーケティング翻訳」自体は昔から存在していましたが、ここ数年、急激にニーズが高まってきました。その理由として考えられるのは、「クライアントが要求する訳文レベルが徐々に高くなってきたから」と言えるでしょう。

例えば、Web サイトの翻訳を行う場合には、Google の検索結果のページで上位表示に出すために、様々な観点から質の高い文章を作らなければなりません。

なぜならその検索結果が直接集客に結びつき、ビジネスの業績に反映されるからです。

このように企業活動の中で利益の最大化を図るための要素のひとつとして、「マーケティング翻訳」というものが注目されるようになってきました。

仮に英語から日本語の翻訳の場合、これまでの「原文に忠実に翻訳する」という産業翻訳のルールから離れ、「より魅力的な文章(日本語)として翻訳する」という部分が大きな比重を占めるようになります。

繰り返しになりますが、これらが求められる理由としては、企業が提供するサービスや、製品などのアピールをするため、集客のためです。

マーケティング翻訳は大きく2つに分けられる

マーケティング翻訳は、大きく2つに分けることができます。

1. タイトルや見出しの翻訳

文字通り、タイトルや見出しの翻訳ですが、短い文章のため言葉の選定が非常に難しくなります。なぜなら、原文が制作されるプロセスにおいて非常に多くの背景情報や目的設定、ストーリーがありそれらをすべて包括してベストと思われる言葉を選択し、作られているため、翻訳する際にもそれと同じプロセスを理解して訳語を作らなくてはなりません。原文の表面的な部分だけを捕まえて翻訳したところで、薄っぺらな訳文になってしまいます。背景情報の理解が大切になります。

2. コンテンツの翻訳

タイトルや見出しのあとにくる本文の翻訳では、正確で読みやすく、そして読者にしっかりと意図が伝わる文章でなければなりません。

例えば「間違ってないから問題ないでしょう」というスタンスで訳文を作ってしまうと、それはマーケティング翻訳とは呼べません。

マーケティング翻訳をしないと Web は効果が出ない

この2つのタイプの翻訳が求められる具体的な例としては、Web サイトの翻訳が挙げられます。翻訳でなくとも、Google の検察結果で上位表示される文章というのは非常に読みやすく、役に立つ内容になっているのはご存知でしょう。

「検索結果画面で惹きつけられるタイトルで、Description 部分で内容が簡潔に書いてある」という状況があれば、ユーザはクリックして読もうと思います。

繰り返しになりますが、そういった点で、「Web サイトをどう翻訳するのか?」というのは、企業の戦略上、非常に重要な部分を占めていると言えるでしょうし、これからもその比重はますます大きくなるものと思われます。

「翻訳」という範疇の中での創造性

しかし「翻訳」という範囲でどこまでクリエイティブに、訴求力のある訳文を作るのか、原文から離れる必要がある場合、どこまで離れても許されるのか、といった線引きはかなり難易度が高いテーマだと言え、翻訳業界の中でも「これは普通の翻訳だ」「これはマーケティング翻訳ではない」という明確な線引きがあるわけではありません。

そもそも言葉は生き物であること、読者の背景知識や文化、価値観、習慣など様々な要素によって、同じ文章で評価が割れてしまうことは往々にして起きるからです。

原文を横に置かないと理解できない訳文は、あまりにも逐語訳的なのかもしれませんし、とはいえ、「そんな所まで言い切っていいのか」という訳文では、原文の意図を本当に踏襲しているのか分からないということもあるでしょう。

この線引き、さじ加減のバランスを取りながら、クリエイティブに翻訳することでマーケティング向けの翻訳が生まれるのです。

クリエイティブ翻訳との違い

「マーケティング翻訳」と似た言葉に「クリエイティブ翻訳」という言葉がありますが、ほぼ同義語です。翻訳業界では「クリエイティブ翻訳」「TransCreation」で通じます。

ちなみに、弊社では以下のように定義しています。

読み物など広告系の原文の翻訳の際に、原文にとらわれず、魅力的な訴求力の強い訳文を訳出すること

としています。弊社では主に「クリエイティブ翻訳」という言葉を好んで使用しています。

コンテンツ向けクリエイティブ翻訳プラン

 

SNS 向けクリエイティブ翻訳プラン

従来の翻訳との違い

マーケティング翻訳はこれまでの翻訳とはどう違うのか、という質問を受けることもありますが、一言でいえば「翻訳以上、ライティング未満」と言えるでしょう。

これは以下の図で説明することができます。

 

この図は、弊社のクリエイティブ翻訳プランのページで使用しているものですが、これまでの翻訳は、ドキュメントの種類によって多少の訳し方の違いはあれ、基本的に原文に忠実であることが重要視されていました。

以下の「翻訳ドキュメントマップ」ではドキュメントによって訳し方が違う(求められる方向性が違う)という点を可視化したものです。

翻訳ドキュメントマップ

翻訳業界の 4つの勢力

このように、マーケティング翻訳やクリエイティブ翻訳は、従来の翻訳とは違う訳ですが、これらを取り巻く業界構造そのものが大きく変化していることも原因の一つと言えます。

簡単に言えば、「簡単な翻訳は AI や機械翻訳に取って代わる。人間にしかできない翻訳とは何か」という部分は、少なからずともテーマとして存在しているはずです。

現在、様々なプレイヤーによって翻訳業界は変革の中にありますが、どうして変革しているのかは、「お客様のニーズの変化が起きたため、翻訳会社が変化に対応する」というのが本質だと言えます。

以下のページでは、その業界を占める4つの勢力について記載しています。

翻訳の功と罪

機械翻訳との違い

一方で、機械翻訳や自動翻訳という技術も発達してきました。ニューラルネットワークを活用した Google 翻訳の精度が飛躍的に向上したのは記憶に新しいでしょう。

いわゆる、機械翻訳または自動翻訳は日々進化を遂げていますが、読み物としてのドキュメントの場合には、まだ改善の余地がありそうです。

機械翻訳(自動翻訳)と翻訳支援ツール

現状、機械翻訳は意味を理解しているわけではないので、この部分では、まだ翻訳者の優位性は変わらないと言えますし、マーケティング翻訳との違いは明確になるでしょう。「文章の質」を細分化していくことで、いずれは棲み分けがなされる可能性もあります。

翻訳支援ツールとの相性は

機械翻訳や自動翻訳に似た概念として「翻訳支援ツール(CAT)」があります。翻訳支援ツールは、あくまで「翻訳者がメインであり、翻訳作業をサポートする」という立ち位置です。

Translation Memory というデータベースを構築し、精度を高めていくわけです。

TM の精度について

基本コンセプトは、「n対n」で原文と訳文をペアにしてデータベースに格納していくわけですが、マーケティング翻訳との相性という点から考えると、ツールの使用自体がなかなか難しいケースもあると言えます。

それは何故でしょうか?

これは原稿のバージョンアップのケースを考えるとイメージしやすいかもしれません。

データベースに格納された訳文は、センテンスで保管されます。最初に翻訳した際にはその訳し方で問題なかったとしても、ドキュメントが変更になったときに、果たしてデータベース内の訳文をそのまま使えるのかどうかという疑問が残ります。

例えば「you」という単語ひとつとっても、最初は「あなた」で良かった場合でも、文脈によっては「お前」と訳さないといけないかもしれません。

これは結局のところ、データベースよりも「文脈(コンテクスト)」や「リズム」がより重視されるためです。

ところがデータベース優先になれば、ぎこちない「あなた」を使うことになります。結果として、読み手は「読みにくい文章」と感じるわけです。

ツールを使えば再利用率は高くなるかもしれませんが、マーケティング翻訳やクリエイティブ翻訳には向いていないと言えます(弊社もマーケティングマテリアルでのツール使用は限定的です)

※読みやすさなどは二の次で、徹底的にコストを抑えるという目的の場合には、ツールの使用は目的に適っていると言えます。

コピーライトやライティングをすればいい?

マーケティング翻訳やクリエイティブ翻訳をご紹介すると、「通常の翻訳とも違う、機械翻訳とも違う、翻訳支援ツールも使わないのは理解したが、結局翻訳は変わらないのだからそれならライティングの方がいいのではないか?」というご質問をいただくこともあります。

この回答としては「その通りです」とお伝えしています。

ライターによる取材を重ね、サービスや商品への理解度を深め、訴求力のあるワードを選び構成していくという点では、圧倒的にライターに軍配が上がります。

そしてそれは当たり前の話であり、むしろそうでなくてはならないとも言えます。

弊社でご提供するマーケティング翻訳は「翻訳以上、ライティング未満」であることは前述の通りです。あくまで「翻訳」の範疇で行われるものです。

ライティングには「原文」の制約はありません。つまり誤解を恐れずに言えば、自由度が非常に高いわけです。(もちろん、完全に自由な仕事はありませんが)

その代わり、かかるコストは翻訳とは比べ物にならない位大きくなるでしょう。

つまり、作業内容が異なるため比較自体にあまり意味がありません。大切なのは「コストもできるだけ抑えつつ、できるだけ魅力的な文章を作りたい」というお客様のためのサービスだということです。

 文書の読みやすさコスト
機械翻訳
翻訳支援ツール
マーケティング翻訳
クリエイティブ翻訳
ライティング×

世の中のグローバル化が進み、翻訳市場は大きくなると言われていますが、これは言い換えれば、翻訳をするドキュメントが増えているということです。しかしそのすべてにライティングをすることは現実的に難しいでしょう。

となれば、「できるだけライティングに近い形で翻訳したい」というニーズが高まるのは自然な流れです。

まとめ

いかがでしょうか。最後に簡単にまとめると以下のようになります。自社に合った形で翻訳サービスを利用するようにしましょう。

  • マーケティング翻訳の目的は、読み手にしっかり伝わる訳文を作ること(ツールや機械はその次)
  • マーケティング翻訳の定義は「翻訳以上、ライティング未満」であること
  • 機械翻訳も、翻訳支援ツールも、ライティングもすべて使用目的によって変えるべき

マーケティング翻訳やその他の翻訳、通訳サービスについてはお気軽にお問い合わせください。


バックトランスレーション(逆翻訳)のメリットとデメリット

機械翻訳、ポストエディット、翻訳支援ツール、多くの MLV(マルチランゲージベンダー)やクラウド翻訳など、翻訳サービスには様々な形態が存在します。

翻訳の功と罪

 

そんな中、「バックトランスレーション」という手法があるのはあまり知られていません。日本語にすると「逆翻訳」と呼ばれます。(これに対し、通常の翻訳を「順翻訳」と呼ぶこともあります)

この「バックトランスレーション」というものは、いったいどういうものなのか、そしてメリット、デメリットや利用する際の判断基準について解説します。

バックトランスレーションとは何か

バックトランスレーションは、上述のように「逆翻訳」と言われますが、具体的には一度翻訳したものを使って、元の言語に翻訳しなおす作業のことを指します。

例えば、日本語から英語に翻訳する際、その訳文(英語)が原文(日本語)の意味をきちんととらえて翻訳されているかどうかを検証するために、訳文(英語)を日本語に翻訳します。

この訳文(英語)から原文(日本語)への翻訳プロセスをバックトランスレーションと言います。

バックトランスレーションの意味と目的

バックトランスレーションの意味や意義、その目的は何なのかを知っておく必要があります。この手法自体、翻訳プロジェクト、ローカライズプロジェクトの中でどういう位置づけのものかを把握する必要があります。

バックトランスレーションの目的は 3つほど挙げられます。

  • 訳文の正確性を確認するため
  • ターゲット言語が分からない場合のチェックやレビューのため
  • 翻訳としての妥当性、好みなどの恣意的なものかの見極めを行うため

それぞれ解説します。

バックトランスレーションの目的①:翻訳の正確性

翻訳の正確性を確認するためにバックトランスレーションを行うというのは、どういう意味でしょうか。これはつまり「日本語の単語が正しい英単語に置き換わっているか」という確認です。

また、(あえて挙げるなら)文法的にも「主語+目的語+述語」という日本語ならば、「主語+述語+目的語」という文法構造で英語が成立しているかどうかということでしょう。

バックトランスレーションの目的②:ターゲット言語でのチェックができない

例えば、日本語から中国語へ翻訳したケースがあるとします。発注した企業は、これを使ってビジネスを展開する訳ですが、翻訳会社から納品された中国語の訳文のチェックが社内で行うことができない場合、一度日本語に逆翻訳して、きちんと翻訳されているかどうかを確認するために使用されます。

バックトランスレーションの目的③:訳文の妥当性や好みなどの恣意性の見極め

①と重複しますが、こういう目的でバックトランスレーションを行うケースもあります。納品された訳文が妥当なものであるかということを検証しようとするわけですが、文章には「好み」があります。実際のところ、これらはバックトランスレーションをしても確認することはできません。あくまで翻訳後の言語の文章として好きか嫌いかという話だからです。

このように、一言でいえば、訳文としての「違和感」があるかどうかということを、バックトランスレーションによって見極めようとしているわけです。

しかし、残念ながらこれらはあまりうまく行きません。

バックトランスレーションのメリットとデメリット

ではなぜうまく行かないのでしょうか?

実は、厳密にはすべてがうまく行かないのではなく、上手く行くものとそうでないものが混在すると言えます。

バックトランスレーションのメリット

上述のように、様々な目的をもってバックトランスレーションを行う訳ですが、この中で上手く行くのは論文など専門性の高いドキュメントに限定されるでしょう。

「A という単語が B という訳語に正確に翻訳されているのか」を確認するために行なうためのバックトランスレーションは有効だと言えます。

バックトランスレーションのデメリット

しかし「ちゃんと翻訳されているかどうか」といった、(どちらかというと)表現力をお求めになる場合には、バックトランスレーションは不向きでしょう。Web サイトやプレスリリース等をバックトランスレーションしたところで恐らくほとんど意味はありません。

仮に、日本語→英語→日本語 というプロセスを辿った場合でも、実際に使用するのは英語であって、英語として自然なものか、意味が通る訳文かどうかを判断できないと意味がありません。

「日本語では大丈夫だった」という事実は、イコール「英語として大丈夫」ということにはならないからです。

また、言語によってもバックトランスレーション自体が意味を成さないケースもあります。韓国語のような表音文字などは、その文字自体に意味を持っていないため、バックトランスレーションをしてもほとんど意味がありません。

そういった点からも、第一義的には翻訳後の言語がターゲット言語なのですから、そのターゲット言語として訳文を評価、検証すべきでしょう。

バックトランスレーション使用時の注意点

これまで述べてきたように、バックトランスレーションの使い方は限定的とはいえ、その判断基準を持って行うことである一定の結果を得ることができます。その基準とは、「効果の出るドキュメントと効果の出ないドキュメントを理解する」ことです。

例えば、論文や特許書類など、単語の正確性が極端に求められる場合には、バックトランスレーションは有効です。決まった用語を使用なければ、ドキュメントの正確性が問われてしまうような場合などは、バックトランスレーションを使用することができます。

そういった基準を持たずに、どんなドキュメントでもバックトランスレーションをすることは、現場の混乱を招くばかりか、今後は「バックトランスレーションをしてもクレームにならない訳文を作る」ことが目的となり、逐語訳や直訳的な文章が増えてしまうかもしれません。その訳文が使われる場所や、対象読者のことが置いてけぼりになれば、伝えたいことも伝わりません。

まとめ

これまで述べてきましたが、バックトランスレーション自体を否定するものではありません。しかし、残念ながら限定的な使い方しかできないのもまた事実です。

そしてもしビジネスにおいて「正確な訳文を」「伝わる訳文を」と考えるのであれば、バックトランスレーションの前に以下の点に注意することがより有効だと思われます。

・バックトランスレーションする時間を取るより、その時間をしっかり最初の翻訳作業にあてる

・品質を気にするなら専門用語集やスタイル、事前のトレーニング、研修などを開催する

用語集構築・運用

・翻訳後にネイティブチェックのプロセスを増やす

定額ネイティブチェックプラン

いかがでしょうか。

バックトランスレーションを行う際には、これらの点を含めて正しい判断基準をもって行うようにしましょう。


日本語を理解できない日本人

AI などのテクノロジーが進化するに従い、「日本語が読めない」「話が噛みあわない」といった記事も増えています。コミュニケーションは常に他者との対話から始まります。今回はこのコミュニケーションのズレはどうして起きるのかを読み解いていきたいと思います。

文章の読解ができずに単語で反応する人たち

先日、以下の記事が拡散されていました。

日本の生産性を引き下げている「文章を読めない人」

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53224

「日本人が、日本語を理解できなくなっている」という驚愕の事実です。以下、記事の一部を引用します。

昔からそうだが、ニュースサイトのコメント欄を見ても、明らかに文章を読んでいない人のコメントや、1つのキーワードだけに反応し、文脈をまったく無視したコメントが無数にアップされている。文章を読んでいない、あるいは読めていない人が一定数存在しているのは間違いない。

またそれに伴い、生産性の低下にもつながっている、との記述も。

投資銀行家で「ぐっちーさん」の愛称でも知られる山口正洋氏は、ビジネス上のメールの内容をきちんと読めていない人が多いと自身のコラムで指摘している。内容があいまいなまま物事が進むので、実際に会って内容を再確認しなければならず、これが日本の生産性を引き下げているという。

これが本当だとしたらかなり致命的ではないでしょうか。

この記事でもうたっていますが、主な理由としては「読解力の低下」が著しいことが原因でしょう。

「読解力」は、学力の基本と言われています。実際、子どもの読解力も低下しているという調査もあります。

OECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)のポイント

PISA2015年調査国際結果の要約

ベストセラーにもなった「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」でも、人間(日本人)の読解力不足が指摘されています。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

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「教科書が読めない」子どもたち 教育現場から見えた深刻な実情

https://dot.asahi.com/aera/2018041200052.html

そもそも「読解力」とは何か

では、「読解力とは何か」また「読解力を上げるためにはどうすればいいのか」を考えてみましょう。その答えのひとつをご紹介します。

子どもの学力は読解力で決まる(斎藤孝 著)

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メディアでもよく見かける有名な斎藤先生の本によれば、読解力は子供の頃からトレーニングし、獲得すること、そしてそのために具体的に何をすればいいのかが書かれています。子どもの学力というタイトルですが、大人が読んでも十分ためになる内容です。

詳細は省きますが、読解力を上げるためには

  • 本を読むこと(名作を読む)
  • その本の一番言いたいことは何かを把握する(要約、客観性)
  • その上で自分なりの視点を持つ(コメント、主観性)

が大切とあります。細かい説明は著書をご覧いただくとして、確かに読解力がなければ、意味を理解することができないので、要約することもできずに、表面上のリアクションしか取れません。

実は、読解力は対人においても大いに活かされています。「相手が何を言いたいのか?」を理解することができない(読解できない)からこそ、冒頭でご紹介した「日本語の読めない日本人」が増えてしまったわけです。

コミュニケーションは、対人関係を成立させる上で重要ですが、「話が噛み合わない」「何が言いたいのか理解できない」「どう伝えればいいか分からない」ということが増えれば増えるほど、自分自身が苦しくなり、対人コミュニケーションそのものへの恐怖が生まれます。

逆に、読解力があれば、コミュニケーションが楽になり周囲との意思疎通も良くなりますから、仕事もやりやすくなるでしょうし、多少大げさかもしれませんが、自分自身が生き生きと働けるかもしれません。

誰しも経験があると思いますが、コミュニケーションがうまくとれない人とは、やはり何をしても上手く行かないものです。そしてそれはもしかしたら自分自身の「読解力」に原因があるのかもしれません。

コミュニケーションがうまくいかない、ズレていると感じるときは、「読解力」を疑ってみる必要があります。

翻訳でも同じことが起きる

さて、翻訳という業務においても同じ「言語」や「読解力」という枠組みで考えれば、同様のことが起きています。例えば、プロの翻訳者が翻訳したものを、レビューする人の読解力が低い場合、仮に訳文が正しいものだったとしても、理解されない=受け入れられないかもしれません。(ちなみに、プロの翻訳者自身の読解力が低い場合には、訳文もそれに伴った品質になりますが、プロである以上は、読解力があるはずという前提です)

これは極端な例ですが、もしこれが頻発すればその企業にとっては致命的です。

前述の記事にも以下のような記載があります。

米国のサイトの方が英語という外国語であるにもかかわらず、内容が直感的に理解できるのだ(参考までに、筆者は外国に住んだ経験はなく、ごく一般的な英語力しかないので、英語の基礎力が高いことで内容が容易に理解できているわけではない)。

日本のサイトは、統計データと関連するおびただしい注記事項が羅列してあるだけというケースが多く、情報が整理されていない。様々な立場の人が読むことをまったく想定していないのだ(あるいは想定していても、体系立てて表記できないのかもしれない)。

確かに、日本語はその「曖昧さ」が美しい表現を支えている部分もありますし、行間を読むような「相手の読解力」や「共感力」に委ねる部分もあります。(いわゆるハイコンテクスト)

しかし、ビジネスにおいては、(そういうシーンが許されることがあるとしても)大抵が明確であり正確であることが重要です。この部分にもっとフォーカスしなければなりません。

「理解できないのは相手の問題」と一蹴するのは簡単ですし、ある特定の内容であれば、相手も同程度の読解力があるという前提になりますから、難解な表現でも通じる可能性が高いでしょう。

しかし、これまで述べてきたように、日本語力の低下は一部に起きるものではありません。全体への影響が大きいと推測されます。その時に、「相手の読解力の問題=相手が悪い」という見解だけでは仕事としても成立しないでしょう。

翻訳や通訳をサービスとして利用する理由は、本業のビジネスをうまく成功させるためです。主従が逆転することはあり得ません。

翻訳は「手段」であって「目的」ではない

 

また、百歩譲って「相手の問題」であったとしても、読解力の低下に合わせて文章を短くしてみたり、平易な言葉を選択したりすることによって、相手のビジネスがスムースになることを主眼に置かなくてはならないのではないでしょうか。

翻訳サービスを提供する上では、「読者は誰か、読み手は誰なのか」という観点を見失ってはならないのです。読み手の読解力に依存するのは危険だと言えます。

※自分の趣味で翻訳する場合には他人が読むことはないので、難解であっても長文であっても問題ありません。

まとめ

読解力を持つことは、これからの時代ますます大切な能力となります。AI への代替やよりクリエイティブな仕事が求められるようになるためです。単純労働では、人間が働く価値は見いだせなくなってしまう可能性があります。

より一層クリエイティブな仕事をするためには、自分一人の知見だけでなく、チームを組み、様々な意見を出し合うことが求められます。その時に、読解力がなければ、表面的な意見ばかりになってしまい、生産性が上がることはないでしょう。

そうならないためにも、日頃からしっかりと「日本語を読める」状態にしておく必要があるのではないでしょうか。


翻訳は「手段」であって「目的」ではない

弊社は主に「コミュニケーションサービス」を提供している企業ですが、そのうち、翻訳や通訳といった言語サービスを中心にご提供を行っています。

お客様からサービス提供への対価をいただきながら、経済活動を行っていますが、時折、そこに該当しないケースがあります。より大きな目的(弊社の場合には経営理念の実現)の場合であれば、該当しなくても(長期的には整合性が取られるため)問題ありませんが、以前にはそうでないケースも散見されました。

このあたりはもしかしたら業界構造や業界の変化にも関連しているかもしれません。

翻訳の功と罪

今回はビジネスでついつい「勘違い」してしまいがちな点について考察します。

陥りやすい「手段の目的化」

今はもうほとんどありませんが、以前に多かったのは「手段の目的化」です。翻訳や通訳サービスは、それを利用するクライアントのビジネスコミュニケーションをスムースにするためのツールのひとつであるべきで、それ自体が目的になってしまうのは本末転倒です。

具体的には、翻訳者の作る訳文がクライアントが求めるものとずれ、クレームになる場合などを指します。プロの翻訳者が行なう翻訳作業なのですから、ある一定の精度があるはずです。にもかかわらず、どうしてクレームになるのでしょうか?

考えられる原因はいくつかあります。

  1. 翻訳者の実力不足(一定の精度が無い訳文だった)
  2. 翻訳会社のヒアリング不足(営業窓口の力不足)、不適切なアサイン(人には向き不向きがある)
  3. クライアントが翻訳以上のものを求めている
  4. クライアントの好み(恣意的なもの)
  5. 納期等のその他の条件

 

これ以外でも、できない原因はあげればキリがないので、このあたりにしておきますが、いずれにしても様々な原因でクライアント期待とは違うものが納品されてくればクレームになる場合があります。

つまり、上記のような点が「ずれているから」起きてしまうトラブルやクレームが一定数存在します。

いったい何のために翻訳するのか?通訳するのか?

手段を目的化しないために、最初から最後までブレてはいけないのは、この翻訳、通訳の目的は何か?いったい何のためにクライアントは翻訳や通訳を利用するのか?ということです。

これは翻訳会社としてもしっかりヒアリングしなければならない部分ですし、それをコーディネーターから的確に翻訳者に伝えなければならない点です。

逆に、それをしっかりと汲み取って訳文を作ったり、通訳していくことができれば、理論上は大きな齟齬というのは出ないはずです。

※特に通訳の場合には、現場での対応になり、クライアントの担当者と直接打ち合わせができることも多いため、本来の目的を確認しやすいと言えます。

どの企業も、どの業界でも共通しているのは、ビジネスのコミュニケーションをスムースにして期待する成果を得ることであり、それを達成するために私たちは翻訳や通訳サービスを提供することで何ができるのか?ということです。

これを見失ってしまうと、クライアントの期待する翻訳や通訳サービスにはなりません。誤解を恐れず言えば、「作り手の独りよがりのサービス」になってしまうのです。

翻訳や通訳というサービスは、限りなく商品に近いところにあるために、ついつい勘違いしてしまいそうですが、残念ながらそれ自体は目的にはなりません。もし「翻訳すること」自体が目的であれば、それはビジネスではなく、ボランティアや趣味、また自分自身の勉強のためであることがほとんどではないでしょうか。(ちなみに、これらが悪いということではなく、ビジネスコミュニケーションサービスとして提供する以上はクライアントがいるわけですから、その要望も汲み取っていかなくてはならないということです)

これは英会話なども同様です。英語と言うツールを使って、仕事をスムースに進めることが重要な目的であって「英語が話せます」という話ではありません。実際の現場では、TOEIC の点数が非常に高くても、ビジネスの基礎がない人は活躍することできないのは何も英語に限った話ではありませんので、細かく説明するまでもないでしょう。

エグゼクティブ専門英会話 [Be Confident]

翻訳という仕事をしていると、どうしても TOEIC が高得点でなければならないといった類のことを言われることも多いですが、実態はそうではありません。「翻訳力」とでも言うべき能力はまったく定義が異なります。

 

「翻訳力」とは何か

 

「お客様に喜んでもらう」ことがひとつのバロメーター

仕事にはどれも相手(お客様)がいます。その「お客様のために価値を提供する」ことが重要なのであり、結果として収入や報酬があるのです。

クライアントが困っていることに対し、自ら蓄積してきた能力や経験で解決することが重要です。大ざっぱに言ってしまえば、人の役に立つことです。お客様の役に立つことを本気で考えれば、自ずととるべき行動は定まってくるでしょう。それは自己満足でも自慢でもないはずです。手段が目的化されている場合には、「自分がやったから結果が出たんだ」となりがちなので要注意です。

それよりも全力を尽くし、その結果としてお客様から感謝されるほうが自分が持つ能力が誰かの役に立てたと思えるのではないでしょうか。こういう真摯な気持ちで仕事に向き合ったとき、人はさらなる成長をすることができます。

翻訳も通訳も「お医者さん」と同じ

翻訳も通訳も様々なテクニックや最新のツールやテクノロジーがあります。ドキュメントによって訳し方が違ったり、分野によっても扱うドキュメントは様々です。

しかしそれ以前のスタンスの問題として自覚しておかないといけないことがあります。

それは、プロフェッショナルとしての翻訳者や通訳者は、その高い専門性や高い言語能力を駆使して、お客様の困りごとを解決できるということです。いわば「お医者さん」と同じように正しい診断を行い、治療法を提案していくこと、また専門性が高ければ、ブラックボックス化せず、インフォームドコンセントを行い、クライアントが満足する治療を受けることができるのです。

この正しい心構えを持ち、最新のテクノロジーを駆使し、自らの能力を最大限発揮することができれば、クライアントの悩み(顕在的/潜在的)を解決することができるのです。


企業が求めるコミュニケーション能力とは

経団連は「新卒採用に関するアンケート調査結果」でコミュニケーションをする上で16年連続で「コミュニケーション能力」を選考時に重視していると発表しました。

https://www.keidanren.or.jp/policy/2018/110.pdf#page=2

https://www.keidanren.or.jp/policy/2017/096.pdf#page=2

「新卒採用に関するアンケート」結果を公表

2018年度

https://www.keidanren.or.jp/policy/2018/110.pdf

2017年度

http://www.keidanren.or.jp/journal/times/2017/1214_08.html

これらを読む限り企業が新卒採用時に求めるものは、毎年「今年の新人は○○型」と流行りのキーワードになぞらえて発表されるにもかかわらず、この16年間、根っこの部分は何ひとつ変わっていないのでしょう。

つまり、学生が「○○型」だろうが、大切なのは「コミュニケーション能力」ということです。今回はこのコミュニケーション能力、特に企業の求めるコミュニケーション能力について改めて考えてみます。

必要な言葉の定義

どんな言葉でも「意味」を持っていますが、「勘違いや早とちり、誤解」というのはその言葉の「意味」が違っていることから起きるケースも少なくありません。そのため、まずは「コミュニケーション能力」という言葉の定義を行う必要があります。「どんな意味でその言葉を使うのか」という共通認識です。

こちらの記事にも記載していますが、「言葉の定義が統一された共通言語」を使うことでコミュニケーションはスムースになります。

徹底的な「ホウレンソウ」でコミュニケーションを活性化する

 

企業が求めるコミュニケーション能力とは

では、企業が求めるコミュニケーション能力というのは具体的に何を指すのでしょうか?

それは「論理的な思考力」です。

例えば、以下の会話を考えてみましょう。

上司「A 君、B社(クライアント)のプロジェクトの納期はもう1日早くならないか?」

部下「いえ、難しいと思います。エンジニアも不足している状況で今の納期でもギリギリの状態でして・・・」

上司「そうか、、、もうどうにもならないか」

部下「はい、ただ期日通りには納品できると思いますので、B 社さんにはそのようにお伝えいただけると助かります。ここで無理をして不完全なものをお渡ししてしまうと結果的に B社さんにもご迷惑をおかけしますし。。。」

上司「分かった。先方にはそのように伝えておこう」

これは「納期」という要素に対して、部下は顧客の納期を変更したいという希望を拒否しつつ、ただ最善の努力はしているということを伝えています。また長期的な信頼関係を構築するという点でも、上司と部下は同じ見解であり、クライアントである B社に対して、プロジェクトに対して誠実であろうとしていることが分かります。

ではもうひとつの事例を見てみましょう。

クライアント「先日ご提案いただいた貴社のサービスですが、社内でも前向きに検討中です。そこで1点教えてほしいのですが、このサービスをすでに導入した企業さんですが、差し支えの無い範囲で構いませんので、どの点が最も効果があったとおっしゃってるんでしょうか?」

営業マン「そうですね、先日お話しした通り、コスト削減にはかなり貢献しているようですし、あとは期間の短縮も見られましたし、ああ、あとは管理がすごく楽になったとおっしゃっていましたね」

クライアント「ということは、その企業さんは、コスト削減がもっとも良かったと?」

営業マン「あー、そうですね。元々は弊社のサービスがオールインワンなので、管理が簡単になるのではないかということでしたが」

クライアント「ええと、ということは、最初は効率的な業務管理をするためにサービスを探していらっしゃったんですね」

営業マン「でも今回は、コスト削減や期間短縮もできたので喜んでいただけたんじゃないかと思います」

クライアント「なるほど。コスト削減は素晴らしいことなんですが、元々お持ちだった悩みは業務管理を楽にしたいということですよね?」

営業マン「はい、コスト削減だけでなく、予想以上にスケジュールの短縮もできたというのが弊社のサービスを採用していただいた理由ですね」

クライアント「そ、そうですか・・・ありがとうございます」

このクライアントは、他社の事例を聞き、そこで得られた最も大きな効果を知りたがっていたわけですが、営業マンが回答しているのは「コスト削減、期間短縮、管理が楽になった」という3つの要素であり、これらを並列に答えてしまっていることによって、クライアントが混乱しています。

そこでクライアントは途中で質問の仕方を変え「事例のクライアントの悩みは何だったのか」と聞き直しています。「悩み=解決したサービスのポイント」と考えたからでしょう。自社の悩みや自社の求める効果と同じなのか、それとも違うのかを確認したかったと考えられます。

しかし残念ながらこの営業マンはそれに気づくことなく、相変わらずすべての要素を並列に回答しています。

一見、コミュニケーションが成立しているように見えますが、実際には噛みあっていない会話になり、クライアントはストレスを抱えています。

論理的思考力があれば、これらの要素を並列ではなく、従属関係に置き換え、構造化することができ、相手にとって分かりやすい回答をすることができます。

企業が求めるのは、こういったシーンでのコミュニケーション能力です。

「考える力」はインプット&アウトプット&フィードバックの繰り返しによって強化される

では、論理的な思考力、つまり「考える力」というのはどうやって磨けばいいのでしょうか。

例えば、赤ちゃんが言葉を覚える過程を想定してみましょう。この場合、赤ちゃんは周囲の(特に親の)圧倒的な(本人にとっては意味不明な)量の言語情報を浴びることになります。

これらの言葉(というよりは音)を聞き続けることで、徐々に単語を聞き分けることができるようになります。しかし意味はまだ分からないので言語としては認識できません。

それでもずっと言葉を浴び続ける(学習する)と、意味を含めて言語を理解することになります。単語、文法、構成などは意味を繋げるものであり、それらを自分で発音したり真似をしたりしながら、少しずつ自分のものにすることができます。

これらのインプットを中心とした生活から、発言したり様々な表現をすること、つまりアウトプットすることへとシフトしていきます。

また、アウトプットすることによって何らかのフィードバックがあります。そのフィードバックを取り入れ、再度インプットし改善していきます。そしてまたアウトプットするというサイクルが繰り返されていきます。

このように学習することにより、「考える力」が育っていくことになりますが、逆に考える機会が少ない場合、相手が何を期待しているのか、また何を望んでいるのかを察知しにくくなりますし、言われたことは遂行できても自分で考えていないので応用がききません。

さらに日本語は元々省略されやすいハイコンテクストな言語体系で、いわゆる「察する」「空気を読む」といった傾向が強く、考える力がないとそれも分からないという事態も現実には起こります。(「察する」「空気を読む」こと自体の是非はここでは論じません)

インプットとアウトプットをつなげるのは「考える」こと

コミュニケーションというのは他者とのやり取りになるわけですから、「話す」「書く」という部分がインターフェースとして重要になります。

しかしそれらを支えるのは実は「聞く」、「読む」のインプットです。取り込んだ情報を元に自分自身の意見や考えをまとめていきます。これが「考える」ということです。

インプットした情報を加工して(=相手に伝わるように)アウトプットするには、考えなくてはならないのです。つまり自分で「考える力」こそが、インプットとアウトプットをつなげる機能を持っているということになります。

企業の求めるコミュニケーション能力を向上させるために

例えば「空気を読む」といった能力があれば、確かにベターですが、それ以前に企業としては「5W1H」で過不足なく情報(事実)を伝えてくれて、それに対しての主観や提案をしてくれる人物の方が評価は高くなります。空気を読むことができても、指示待ち人間になってしまえば、成果を出すことは難しいでしょう。

上述のとおり、インプット→考える→アウトプットの流れにあるわけですから、結局のところ企業の求めるコミュニケーション能力のベースとなるのは「考える力」を鍛えていくことしかありません。

そしてすべては学習する(インプット)ことからスタートしているといっても過言ではありません。

企業の求めるコミュニケーション能力を磨くためには、「考える力」があるかどうかを意識してみるといいでしょう。

「コミュニケーション能力」不足は新卒に限った話ではない

この問題は、実は企業と学生間の話だけではなく、社会人の中でもバラつきがあるのが実情です。

そもそも「なぜコミュニケーション能力が大切だ」と企業が考えるのか?ということですが、これは裏を返せば「社会人になってもコミュニケーション能力が低い人がいて、とても困っているから」ということです。

自分の発言が誤解されたり曲解されたりした経験は誰でもあるはずです。それは相手との共通言語や共通認識がなかったりする場合に起きやすく、また逆に相手に甘え、省略し過ぎてしまうケースでも起こります。ですから、誤解のないように前提を共有し、端折らずにしっかり系統立てて伝えることが重要なのです。これができない社会人が多いからこそ、企業がコミュニケーション能力を重視していると言えます。このことは決して対岸の火事ではありません。

まとめ

いかがでしょうか。さらに昨今のネット時代では「書く」という行為の比重はますます増えていくでしょう。メールでもチャットでも、テキストのやり取りが爆発的に増加し、コミュニケーションは重要度を増しているのです。ますます自分の考える力を駆使してアウトプットしていかなくてはならないのです。

働き方改革等で、作業効率を上げるという部分がフォーカスされていますが、コミュニケーションにかかるストレスが大きい人というのは、それだけで敬遠されます。実際に想像すれば分かりますが、何度説明しても理解してくれない人、報告も例のように的を射ていない人と仕事をしようとは思いません。それが無理でもできるだけ接触頻度をさげようとします。

自身を取り巻く状況を冷静に把握して、それに見合ったアウトプットを出すこと、そしてそのアウトプットを支えるインプット、学習を怠らないことなど、知的集約産業におけるコミュニケーション能力について理解しておきたいものです。


徹底的な「ホウレンソウ」でコミュニケーションを活性化する

4月に社会人デビューした方も、そうでない方も、ビジネスでは世代を超えたコミュニケーションがとても重要であることは理解できるでしょう。

コミュニケーションを取りながら、相互補完しつつ、ゴールに向かって進んでいくというプロセスはどの企業活動でも同じです。基点となる他者/他社とのコミュニケーション能力が低いと、総じてその後のゴールまでのプロセスの精度が下がってしまいます。また最悪の場合にはゴールまで辿りつかず頓挫してしまうこともあります。

今回は、そうならないためにも、基本の「ホウレンソウ」を徹底活用することをお薦めします。

うまくいかないコミュニケーション

コミュニケーションの手法はいくつもありますが、そもそもコミュニケーション量が少ないと仕事がスムースに進まないこともあります。とはいえ、何でもかんでもすぐに話ができるわけでもありません。まずは信頼関係がなくてはならないからです。

ホウレンソウの前に、まず必要なのは「信頼関係の構築」です。コミュニケーションがうまくいかないのは、信頼関係がないからです。

そもそもお互いに「違う人間」だということが前提にあることを理解する

では、信頼関係はどうすれば構築できるのでしょうか?

相手を信頼するために必要なステップの第一歩は「自己開示」です。相手に信じてほしければ自分をオープンにすることが大切です。「自分はこんな人間です」ということを伝え、相手にも心を開いてもらう必要があります。

相手からすれば、「いったいどんな人なのか?」という風に思っているわけですから、まずはその不安を取り払わなければなりません。

これはつまり、本質的には「自分と相手は違う人間だ」という前提を理解しているかどうかです。

相手と違うからこそ、自己開示をし、信頼関係を構築していき、コミュニケーションをスムースにさせなくてはなりません。

違う人間同士が協力するには絶対に「共通言語」が大切

自分とは違う相手と手を取ってビジネスを進めるために必要になるのが「共通言語」です。共通言語とはそのビジネスで使用している専門用語かもしれませんし、社内用語かもしれません。業界用語の場合もあるでしょう。

これらをきちんとピックアップしてまとめて、共有することが最初のステップとなります。「身内ネタ」は共通言語ではないですし、そこに登場する言葉も伝わりませんから、ビジネスで使用しても一切通じません。これらはちょっと考えれば分かることなのですが、意外と無意識に使ってしまうこともあるのではないでしょうか。

また、社内の一部で使っているような略語などもついつい使ってしまいがちですが、「どうして分からないのか?」と嘆く前に、「もしかしたらこれは共通言語でない、特有の言葉を使っているのではないか?」と自問してみましょう。

共通言語は、共通の意味を定義付ける

共通言語をピックアップしたら、その意味を定義づけます。

実は同じ言葉を使っていても微妙にその意味が違っているということは往々にして起きていることです。相手は「○○という意味のつもりで話していた」と後から分かったという経験はないでしょうか。

例えば、納期に絡む言葉で「~まで」といった表現をします。実際のビジネスの現場では、以下のようなことが起きています。

「納期は4月30日までに提出」

と言う言葉の意味は、

「4月30日中に提出する」

という解釈をするケースが多いと思いますが、稀に4月30日を含まずに、

「4月29日中に提出する」

という解釈をする人もいます。

「まで」は、その日(この場合は 4月30日)を含むかどうかという解釈の違いです。

このように、せっかく同じ言葉を使っているのに意味が違えば、コミュニケーションのボタンの掛け違いは解決しません。むしろ少しずつ意味が違うので大きな事故につながってしまう可能性が高いでしょう。

「私はその言葉をこういう意味で理解していますが、どういう意味で使っていますか?」とすり合わせておくことが重要になります。

※ちなみに先ほどの例の「まで」は、一般的には「当日を含む」解釈が正解です。

高い質のコミュニケーションをお互いに取るというのは、「共通言語」を使って対話すること

共通言語をピックアップし、意味の定義づけを終えれば、あとはそれらを使ってコミュニケーションをとっていくことになります。そこで大切なのは定性情報と定量情報をバランスよく伝えることです。

ホウレンソウは、その頻度も大切ですが、定性情報と定量情報がなければビジネスでは成り立たないということを知っておきましょう。

例えば、「頑張って売り上げます!」という報告があったとしても何の意味もありません。「誰に、どうやって、いくら売るのか?その具体的な目標金額はいくらなのか?今どれくらい達成しているのか?」を伝えなければ報告にはならないからです。ただ「頑張ります」を100回報告したとしても相手はそれを聞いて納得はしません。定量情報を含めて、一度にきちんと報告するほうがベターなのは明白です。

つまり「徹底的なホウレンソウ」というのは、量を増やすということでなく、相手にとって過不足なく情報を伝えることが大切だという意味です。

この定性情報と定量情報をバランスよく入れるには、「フォーマットを作る」ことでカバーすることができます。もちろん SFA ツールでも問題ありません。ただ、ツールを増やし過ぎて3つも4つも導入するとどこに何があるのか分からなくなってしまいますし、作業効率が下がります。できるだけシンプルで簡単にアクセスできる SFA を選択するようにしましょう。

どんなツールでもフォーマットでもいいのですが、毎日簡単に報告するには、基本的なところでは以下の情報があればよいでしょう。

例えば、部下からの営業活動の日報だとしたら、以下のような項目になります。

項目詳細
企業名xxxx 株式会社
案件名/プロジェクト名xxxxx プロジェクト
行動訪問件数、見積金額、コール件数など
目標売上xxxxx 円
今日の売上xxxxx 円(進捗率 xx %)
気づいたこと、感じたことなど実は異なる二―ズがあった、今度の担当者はxx からの異動なのでxx あたりを注意したほうがよさそうだ等

定性情報から定量情報に転換することもあるので、どんな風に感じたのかなどは重要な情報となります。

一方、部下からの報告を受けた上司は、ただその報告を見ていればいいということではありません。むしろ上司からどんどんコミュニケーションを取らなくてはなりません。せっかく現場で感じたことを部下があげてきたなら、長年の経験から分かるアドバイスや対策などをしっかりフィードバックしなければなりません。

上司からのフィードバックの例としては、「xx 社の担当者さんは、以前に xx という商品に興味を示していた。今回は予算次第では、xx の提案をしてもいいと思うし、必要なら同行して提案説明もする」といった内容でしょう。

数字を達成するために行なうアドバイスはもちろんですが、定性情報に対し、経験を駆使してアドバイスができるのが上司の強みです。部下にとっては「目標の達成までの道のりが見えるようになる」わけですから、適切なフィードバックをすることが重要です。ここにもホウレンソウが活きてきます。

一方、社内での信頼関係を構築するケースでもホウレンソウは大切です。

部下に信じてもうためには、まずは「自己開示」をします。そして信頼関係の基盤を固めていきます。普段から相手の興味がある共通の話題などでコミュニケーションを円滑にしておきます。冗談のひとつも言い合えるような関係性が理想的です。なぜなら、コミュニケーションにおいて「笑い」というのは大変重要な要素だからです。

普段からしっかりと関係性ができていれば、仕事の本題に入るときもスムースですし、同じ温度感で話をすることができます。

例えば、打ち合わせでは「そのテーマや目的を伝える」「相手に何を期待しているのか(役割分担)を決める」「いつまでに行うのか(期限)を決める」というのはしっかり伝えます。

コミュニケーションはお互いの意思のキャッチボールです。フォーマットに則った精度の高い言語のやり取りは、チーム力向上には欠かせません。

まとめ:「ホウレンソウ」を徹底的に活用する

このように、チームが活性化するときというのは、このホウレンソウが適切な量と質で回っているときです。チームプレーでプロジェクトを推進したり、大きな案件を受注するためにチームが一丸となっていくというプロセスでは適切な量と質のコミュニケーションが欠かせません。

繰り返しになりますが、がむしゃらに報告すればいいわけでもありませんし、何でもかんでも相談すればいいということでもありません。また口を出し過ぎてしまったり、細かすぎるところまで言う必要もありません。

それらの適切な量と質を担保するために、システムを活用する、ルールを決める、定義を決めるなどが重要になってきます。

強いチームを作り、共に戦っていくためにも徹底的に「ホウレンソウ」を回すだけでも大きな効果が得られるのではないでしょうか。


登録翻訳者の人数が多ければ良い翻訳会社なのか

お客様から時折、以下のようなお話をお伺いします。

「A 社さんは、翻訳者が1万人もいるんだって」

「B 社さんは、全部で翻訳者 5万人もいるって書いてあるよ」

このようなお話をお聞きするたびに、毎回ご説明を差し上げておりますが、今回はこのテーマについて考えてみたいと思います。

多くの翻訳会社がフリーランス翻訳者の登録で成り立っている

まずはじめに、多くの翻訳会社は、フリーランス翻訳者を登録することによって実際の翻訳作業を賄っています。稀に社内翻訳者を抱えることで、社内で翻訳作業を行なっているケースもあります。彼らは「インハウストランスレーター」と呼ばれたりもします。

翻訳会社から見た場合、社外の登録翻訳者のコントロール、いわゆる「リソースマネジメント」がとても重要になります。

これは翻訳業界だけではなく、制作会社ならフリーのエンジニアやデザイナー、出版社ならライターといった職種と共通事項がありますので、何も特別なことではありません。

繰り返しになりますが、このように、多くの翻訳会社はフリーランスの翻訳者に登録してもらうことによって、クライアントから依頼された実際の翻訳作業をこなすことができます。

また翻訳業界全体や翻訳会社の基本的な機能については以下の記事をご覧ください。

翻訳業界と翻訳会社

フリーランス翻訳者として必要なもの

さて、今度は翻訳者の立場から考えてみましょう。

「フリーランスとして生きていく」という選択をした場合、翻訳作業だけでなく翻訳会社への営業やマーケティングも必要です。またコスト管理も外せません。確定申告なども年に1回発生しますから、経費精算など日々の地味な作業も発生します。

また「自分」を商品として考えた時に、「誰に対して、いくらで、何を、どのくらい売るのか」ということを様々な角度から検証していかなくてはなりません。

これも翻訳者だけが特別なのではなく、フリーランス全般に言えることなので、特に珍しいことではありません。むしろ誰もが理解していることです。(理解していなければフリーランスは向かないでしょう)

これらは自分を1つの「会社」として考えれば、すべて必要なことです。そしてこの「責任」があるからこそ、それと同等の「自由」があると言えます。

フリーランス翻訳者は 1社のみ取引をするのか、複数社との取引なのか

この自由と責任が一体となっているフリーランスですが、本テーマに沿って考えていくと、フリーランス翻訳者にとっては特定の翻訳会社とだけ付き合っていく方がいいのか、もしくは複数社と付き合っていけばいいのかという疑問が浮上します。

こちらは、正解はありません。

なぜなら個々人のフリーランスとしての矜持や価値観、フリーランスとしてのそれぞれの戦略、方向性によって答えは変わってくるためです。結局のところ、自分が思うようにやるしかないのであり、そこにも自由と責任があります。

しかしながら、一般論として論じるのであれば、複数の翻訳会社と取引や口座を持っておく方が毎月の売上(収入)のリスクヘッジにはなります。逆に、年間契約のように1社専属で取引ができる状態で、かつそれがずっと継続する保証があるなら、登録するのは1社だけで問題ありません。

とはいえ、万物は流転します。この世に変化がないものはありません。企業は生き物である以上、必ず良い時も悪い時もあります。そう捉えた時には、やはり複数の翻訳会社に登録しておくことで、A 社から仕事がないときには、B社でフォローするというのは通常の考え方ではないかと思われます。

※ここでは「フリーランス翻訳者としてどう振る舞うのか」がテーマではないので詳細は割愛します。

つまりここから分かることは、(一般的に)フリーランス翻訳者は複数の翻訳会社と取引をしている実態が間違いなく存在するということです。

もし「登録翻訳者 100万人」と「登録翻訳者 100人」という翻訳会社があるとすれば、どちらが良い翻訳会社なのか?

さて、この事実を直視し、冒頭のフレーズに戻ります。

例えば、これは極端な例ですが「弊社は翻訳者が100万人います」と言うのと、「弊社は翻訳者が100人います」という言葉では、実際の業務にどのくらいの違いがあるのでしょうか?

そして、一体どちらが良い翻訳会社なのでしょうか?

もちろん単純に「数」という点で考えれば、100万人の登録翻訳者がいる翻訳会社の方が良いのでしょう。ただこれは完全に片手落ちの状態です。

なぜなら「100万人の翻訳者に常時仕事を発注しているわけではない」からです。100万人のうち、その案件に見合った人、クライアントの指名の人、継続案件の人など、仕事にも様々な状態があるからです。

仮に、まんべんなく100万人分の仕事を継続して発注できる/しているという翻訳会社があるとすれば、それはかなり優秀だと言えますし、もしかしたら、そういう会社も世界を見渡せばあるのかもしれません。

とはいえ、翻訳産業は 100% 受注産業です。そのため、まず初めにニーズが発生しなければ、翻訳の仕事のオーダーはありません。ということは、クライアントの市場規模や趨勢、世の中の流れなどによって常に翻訳ニーズは変動しているということです。多い時もあれば少ない時もあるはずです。

これを裏付けるものとして、「登録はしたけれど、仕事の連絡はない」ということもあるでしょう。しかし実は、これは「翻訳会社とフリーランス翻訳者」だけでなく「1次翻訳会社と下請の翻訳会社」という関係でも同じことが起きています。

大元の翻訳会社からすれば、「(受注産業なので)いつ大型案件が発生するか分からない。だから翻訳会社の登録だけ増やして済ませておきたい」という判断でしょう。ビジネスとしては当然のことです。

そしてこの構図がフリーランスの翻訳者に対してもあてはまるのは何ら不思議ではありません。

また、どんな仕事でも同じですが、同じやり方で何年も仕事を続けられるような甘い世界はありません。常に改善し効率を上げていかなければならないのです。職人の世界でさえ、いえ、職人の世界だからこそ、外側からは目に見えない小さな変化や改善を加えているのです。

逆に言えば、これら大小の変化がテクノロジーの発展やイノベーションを支えているわけであり、より良い世界の実現へ向かう原動力とも言えます。

翻訳業界でいえば、AI を代表とする機械翻訳、MLV などのグローバル企業の参入など驚くほどのスピードで様々なビジネスモデルとテクノロジーが参入しています。

※様々な参入者、そして今後翻訳サービスはどうなるのかについて以下の記事をご覧ください。

翻訳の功と罪

マクロ的視点でもミクロ的な視点でも、変化は常に起きています。それを忘れてはなりません。

こう考えていくと、本当の意味で、「100万人の登録翻訳者のいる翻訳会社」と「100人の登録翻訳者のいる翻訳会社」とではどちらが良い翻訳会社なのでしょうか?

一概に、100万人のフリーランス翻訳者がいる会社とは言い切れなくなってくるのではないでしょうか。

結局、身の丈に合ったビジネスしかできない

そうなると、大切なのは登録人数ではありません。

発注側として、もし人数で判断しなければならないのであれば、登録されている翻訳者のうち「週ごと、月ごとなどでどのくらいの人数が実際に稼働しているのか」を確認したほうがよいでしょう。

これは翻訳会社側としての方針となりますが、結局、どれだけ大きく見せようとしても、実態がかい離してしまうとあまり説得力が無くなってしまうわけで、身の丈に合った形で、少しずつでもきちんと登録翻訳者を増やし、得意分野を伸ばしていくしかありません。そしてそれはとても地道ですが、一番の近道であると言えるでしょう。

もちろん現在大手と呼ばれる翻訳会社は、こういうプロセスをコツコツと大胆に進めてきたからこそ、今の形になっていると推測しますし、翻って弊社も見習っていかなくてはなりません。

まとめ

いかがでしょうか。実際のところ、どの産業でも戦略上、数で勝負しなければならないステージは存在しますし、ある一定の数を超えていなければ、勝負にすらならない(土俵に上がることもできない)という事実も一方であります。

また「沢山いる/あることはイイことだ」という、ある種の固定概念に縛られてしまっているケースもあります。「どんなに実力があっても数人ではこなせない」という仕事もあるでしょう。ですから、すべてがこうだとは言いにくいのですが、今回のテーマに限っては、翻訳会社が単純に「数」だけを全面に押し出してくるケースがあること、また発注側としてはそれをそのまま真に受けてしまうことにはリスクが伴うということです。

「質と量のバランス」こそが最も大切なのだと言えるでしょう。

Podcast「プロフェッショナル翻訳者への道」

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フリーランス翻訳者として、また翻訳者にこれからなりたいという方のための番組で毎回様々な切り口でお届けしております。ご興味がございましたらぜひご登録ください。


「原稿の意味を汲んで翻訳して欲しいのに」というご要望への解決策

お客様の本質的な悩みとは

お客様から寄せられるご相談のうち、特に多いのがこの悩みです。

“原稿の意味を汲んで翻訳してほしいのに、全然できない会社が多い”

ご訪問してお伺いすると、このようなご不満やお悩みをお伺いすることがあります。これは最近に限った話ではないのですが徐々に多くなっています。

今回は、それは何故なのか、そしてどうすればお客様のご要望にお応えすることができるのかを考察します。

「原稿の意味を汲む」というのはどういうことか

そもそも、多くのお客様の言う「原文の意味を汲む」というのはどういうことを指しているのでしょうか。

その意味を正確に理解するために、現状をしっかり把握する必要があります。

はじめに、産業翻訳の場合には「原文に忠実に翻訳する」というルールがあります。

これは、翻訳業界にとってはデファクトスタンダードであり「翻訳会社や翻訳者を守る」という点でも明確なルールでもあります。原文に書いてあることを勝手に省略したり、原文に書いていないことを勝手に付け加えたりすれば、「誤訳だ、訳抜けだ」となるからです。

しかしながら、この状態が長く続いているからこそ、冒頭のお客様の「原文の意味を汲んで・・・」という発言につながる可能性があります。事実、このように発言されるお客様が非常に多いことは否定できません。

となると、お客様の望んでいる品質と、産業翻訳業界での「原文に忠実に」というルールは相容れないことになります。

直訳とは何か、意訳とは何か

では「直訳」ではいけないということでしょうか。すべてお客様に合わせるべきでしょうか。

「直訳」とは何でしょうか。またそれに対する「意訳」とは何でしょうか。

https://ja.wikipedia.org/wiki/直訳と意訳

翻訳会社の立場から言えば、「直訳」であっても何も問題はありません。「産業翻訳」としては、誤訳も無く、訳抜けもない、問題のない品質だと言えます。

しかし、お客様から見ると「直訳では問題だ」という事実もあるわけです。この事実に目を背け、「いや、問題ありません」というだけでは、議論は平行線のままです。

大切なのはこの事実をそのまま受け止め、このギャップを埋めることです。

産業翻訳のルールを変えればいい

もしお客様が求める品質がすべて「正」だとしたら、(極端に言えば)産業翻訳の「原文に忠実に翻訳する」というルールをすべて変更すればいいように思えます。(どのように変更すればいいかは置いておきます)

しかし、少し考えてみるとこれもおかしいということに気づきます。

なぜなら、お客様側には一貫した判断基準がないからです。「お客様」自体がさまざまな業種、さまざまな職種にはじまり、企業ごとの状況も異なっています。その中でどこまでが直訳で、どこからが意訳なのか、またどういう方向性(文体や表現)を好んでいるのかなどはお客様ごとにバラバラで「正解」が見えにくいのです。結局のところ、「お客様」という大きな括りになってしまうと、誰に合わせたらいいのか分からないため、非常にぼやけた話になってしまいます。

また、ドキュメントの性質から考えた場合、正確な翻訳(=直訳)の方が大切で必要だというケースも多く存在します。

※ドキュメントの性質や用途をまとめた「ドキュメントマップ」をご覧ください。

翻訳ドキュメントマップ

つまり「産業翻訳のルールを変えればいい」という単純な解決方法ではうまくいかないということになります。

ドキュメントの用途や性質には大きな関連がある

上述のように多様な「お客様」の判断基準は一貫性がありません。無くて当たり前だからです。しかし一方で、一貫性があるのは「ドキュメントの用途や元々持っているドキュメントの性質」です。

例えば、契約書なら契約書なりの翻訳の表現がありますし、財務書類なら財務書類の翻訳の仕方があります。

これらの特性を理解して翻訳することは、翻訳会社からすれば当たり前の話です。そのためにコーディネーターがいます。

分野や専門性を考慮し、そのドキュメントに適した訳し方をすることによって、読み手にとって理解しやすいものとなるわけです。

しかし、適した翻訳者をアサインしているにも関わらず、冒頭のお客様の声が増えているのは何故なのでしょうか。翻訳会社が作り上げる訳文がダメだということも無さそうです。

マッチしているときとそうでないときがあるということは、ドキュメントによってかなり訳し方が違うということが分かります。特に冒頭のお客様のコメントで多いのは、どちらかというとマーケティング資料(カタログや Web など)に対してです。

これは、「読み手にしっかり伝わる文章を作りたい」「伝わらなければ意味がない」というリクエストがより強く出てくるドキュメントは、マーケティング資料が多いためです。

ここに、今回のテーマの答えがありそうです。

最近では、 Web サイトの翻訳やローカライズにおいて、テキスト(文章)はますます重要な位置づけを占めており、そこにフォーカスした翻訳サービスをご提供する必要があります。

仮に英語が原文だとした場合、それをそのまま日本語に翻訳しただけでは、Webサイトには適さない翻訳になってしまうこともあるでしょう。これは日本語から英語への翻訳でも同様のことが言えます。

特にキャッチコピーのようなものは、字面を追いかけて翻訳するくらいなら、英語のままにしておいた方が「カッコいい」場合もあります。

クリエイティブに翻訳するということ

ひとつの解決策として、弊社では、「通常の翻訳以上、ライティング未満」という位置づけで「クリエイティブ翻訳プラン」をご用意しています。

コンテンツ向けクリエイティブ翻訳プラン

https://www.trivector.co.jp/service/contentstranscreation/

SNS向けクリエイティブ翻訳プラン

https://www.trivector.co.jp/service/snstranscreation/

「翻訳を超えた翻訳」を作ることが唯一の解決策

このように、マーケティング関連のドキュメントは、ますますテキストが重要となっています。

例えるなら、「翻訳を超えた翻訳」を作ることです。これが SEO 対策としても重要ですし、何よりもっとも大切なのは、そのテキスト(文章やキャッチコピー)を読んだ人が「次の行動」を起こせるかどうかということです。

  • SNS(Facebook や Instagram等)の広告を見て、クリック(タップ)するかどうか
  • コンテンツを読んで問い合わせするか、申し込みをするか、購入するかどうか

まとめ

「原稿の意味を汲んで翻訳してほしい」というご要望にお応えする解決策としては、

  • ドキュメントの性質や特徴をつかむこと
  • そのドキュメントに合った表現や言い回しをすること
  • それは翻訳を超えた翻訳、つまり「クリエイティブな翻訳」をするということ

と言えます。

せっかくお金を払って翻訳するのですから、「翻訳はコストではなく、プロフィットである」という観点から効果的な翻訳を行っていただくことをお薦めします。