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多言語翻訳を行う際に抑えておきたい言語の選び方

日本企業が海外進出する際やインバウンド対応の一貫として多言語対応することは、今の時代、当たり前のことです。

ただお客様によっては、よくよく聞くと「多言語翻訳しなければならない」というだけで、弊社でも、具体的に「どうやったらいいか分からない」「そもそも何語から翻訳すべきなのか?」というご相談を受けるのも事実です。

そこで今回は、多言語翻訳、多言語での展開をしなければならないとき、何語を選択すべきなのか考え方のひとつをご紹介します。

貴社の多言語翻訳の目的とは何か

そもそも論になりますが、貴社が多言語翻訳を行う目的は何でしょうか?何のために多言語に翻訳するのでしょうか?

それはお客様ごとに異なっているはずですし、違っていないとおかしいですよね。選択した言語が結果として同じだったとしても、そこに至る思考プロセスは違っているのは当然です。

分かりやすい例で言うと、中国に進出すると分かっているのに「最初はタイ語に翻訳する」という選択はあり得ません。

もっと言えば、「そもそも翻訳する必要って本当にあるの?」という点も見落としがちです。(翻訳会社がこんなことを言ってはいけないのかもしれませんが)「それって、翻訳いらないよね?」というドキュメントや「テキストは辞めて、サインやピクトグラムなどのビジュアルにした方がいいんじゃない?」ということもあるはずです。

つまり、

  • そもそも本当に翻訳する必要があるのか(目的を明確にする)
  • するとしたら、なぜその言語に翻訳するのか(目的を達成するための手段)

という点は、一番に抑えておきたいポイントです。

貴社のプロダクトやサービスは、「誰の」「どんな課題」を解決するのか

翻訳とは少しずれてしまいますが、この視点も外せません。

貴社の製品やサービスが、その国の「誰」に向けて作られたものなのか、そして「彼らの持つ課題や悩みを解決してくれるのか」という点を考え抜く必要があります。

これが明確でなければ、どんなに翻訳が素晴らしくても売れるということはないでしょう。

例えば、骨折しているのに、風邪薬を処方されても意味がないのと同じですね。

そして、これらがハッキリしていないと翻訳にも支障が出てしまいます。なぜなら「対象読者も分からない」「サービスの特長も無い」ような文章は、それなりの文章にしかならなず、結果として誰に向けての翻訳なのか分からなくなり、何の効果も得られなくなります。この部分は翻訳そのものとは直接的には関係しませんが、間接的には大変重要ですので押さえておきたいところです。

世界の言語数とマーケットの把握

さて次は、マクロ的な視点からマーケットを理解します。この世界にどのくらいの言語数があるのかをご存知でしょうか。

Ethnologue によると、その数なんと「7,111言語」だそうです。

https://www.ethnologue.com/

これだけの言語があるとはいえ、少数の話者しかいない言語も多く、実際には統廃合が繰りかえされるそうですから、言語を維持していくというのは並大抵のことではありません。

しかもそれらを使う人がいなければ始まらないわけです。

その上で「自社製品やサービスをどこに打ち出していくのか」と合わせて知っておかなければなりません。

どのマーケットが向いているのかを決める際に、他社の事例や海外進出コンサルタントなど、プロフェッショナルにアドバイスを受けながら進めることもあるでしょうし、自社のスタッフが現地調査を行うこともあるでしょう。

いずれにせよ、ある程度のコストをかける以上は、マーケット調査は必要です。

「マーケットイン」か、「プロダクトアウト」か

製品やサービス開発でも同様ですが、「他の国で売れる=社会的に役に立つ」という点から考えた時、2つの視点があります。それがマーケットインとプロダクトアウトという考え方です。

Wikipedia プロダクトアウト/マーケットイン

https://ja.wikipedia.org/wiki/プロダクトアウト/マーケットイン

それぞれ正しい考え方ですので、どちらが自社に合っているのかを詳細に検討していきましょう。

人口だけで決めていいのか?それともプロダクトのコンセプトから考えるべきか?

一般的には「マーケットイン」と「プロダクトアウト」マーケティングのセオリーで行くなら、マーケットインの方が成功しやすい(=失敗しにくい)と言えます。

ニーズを捉え、そのニーズを満たすためのプロダクトやサービスを提供することができるためです。

ただ、iPhone が初めて登場した時のような、「ユーザも自覚していないニーズ」=「潜在ニーズ」を満たすようなイノベーティブな製品やサービスは生まれにくいと言えます。

また、世界的に見ると人口は増加していますが、その国の経済成長性や IT リテラシーなどの教育普及率などは国ごとに違うので、より重要な指標となるでしょう。人口が多いだけで、IT が生活に入り込んでいなければ、そもそも製品やサービスを使ってもらえない(使える環境がない)ということもあるからです。

例えば、何らかのアプリを多言語翻訳して世界展開をすると想定したとき、

  • メジャーな言語、かつその言語の話者が多いこと
  • IT リテラシーが高いこと
  • スマートフォンの普及率が高いこと
  • マーケットが成長していること

などがあるとすれば、どのように優先順位をつければいいのでしょうか。

これは、母数が多ければダウンロードは増えるだろうということなのか、このアプリは○○というコンセプトなのだから IT リテラシーが高くないといけないということなのか、というように抑えておくべきポイントが変わってくるはずです。

これらを考えずに、むやみにテストを繰り返してもあまり効果は出ないでしょう。

ペルソナの設定

マーケットがハッキリしたらそこに生活するユーザのペルソナを設定しましょう。ペルソナ設定は多言語翻訳をする上で大いに関係があります。

対象読者を設定していない翻訳は、誰に読んでほしいのか、使ってほしいのかが分からないままになってしまうので、せっかく訳文を作っても効果が半減してしまうといっても過言ではないでしょう。

極端な例を出すと、エンドユーザ(男性、50代、患者)に読んでほしい医療についてのサービスなのに、お医者さんにしか分からないような専門用語のオンパレードだと理解されません。読者は医者ではなく患者だからです。

サービスでも製品でも「誰に売るのか」を考えるのは基本です。これは冒頭の「誰の」悩みを解決するサービスや製品なのかと表裏一体のはずです。

そのため、この時点でペルソナが設定できないということはないでしょう。分かり切っていても、共通認識として言語化しておきましょう。アウトソーシングや社内の共通認識などで必要になるためです。

言語の選定と優先度(タイミング)

マーケットもペルソナも設定できたらどの言語に翻訳すべきかというのは決まったも同然です。ここはそれほど悩むべきポイントではありません。

どちらかと言えば、複数言語(多言語)の場合には「どの順番で翻訳して、対象マーケットのペルソナに対して製品やサービスを投入していくか」の方が重要ということです。

これは弊社のお客様でも色々とお悩みいただくところで、「これが正解!」というものはありません。プロダクトの性質やサービスのビジネスモデルによって異なるでしょうし、マネタイズの方法によっても異なるでしょう。

ただし、これらの要素を検討しすぎると複雑化してしまい、逆に動けなくなってしまうため、その時点で最良と思われる言語に展開するしかありません。誰も未来のことは分からないからです。高速で PDCA を回す方が結果としてうまく行くというのは事実でしょう。

「その時と思った時がそのタイミング」なのです。

元の言語は何語がいいのか?英語から?日本語から?

では、誰に何を売るのか明確になったとします。次に考えるのは、ターゲット言語ではなくソース言語(元の言語)です。

弊社にご依頼いただくお仕事の多くが、通常は日本語で開発されることが多いですから、日本語から外国語に翻訳するというのが一般的です。ゲームにしてもアプリにしても、日本語から行っているハズです。

もちろんそれでも問題はないですが、稀に、英語からヨーロッパ言語への翻訳など、別の言語(多いのは英語)を起点にするというプロセスもあります。

これには様々な理由がありますが、ひとつには文法構造の問題があります。英語の文法構造と、ヨーロッパ言語の文法構造が似ているから翻訳しやすかったりするためです。

また、文法だけでなく単語のルーツや発音も似ていることもあるので、意味を想像しやすいこともあるでしょう。

さらには、日本語からヨーロッパ言語へ翻訳できるネイティブ翻訳者は少ないが英語からだったら対応可能な翻訳者の数が多くなるというキャパシティ上のメリットもあるかもしれません。(ここは各翻訳会社によって異なります)

いずれにしても、どの言語から多言語翻訳するのかは、スケジュールや金額にも密接にかかわってくるため、慎重に検討すべきです。

 

多言語翻訳

 

またゲームアプリなどの場合、それらの持つ「世界観」やシナリオの重要度というのは、コンテンツの中核を成していますので、決して品質をおろそかにしないように注意が必要です。世界観を理解していない翻訳者や、社内スタッフで作業してしまったりすると、ユーザーからクレームが入ったり、不自然な表現が多くなり、ゲームそのものを楽しめなかったりします。

 

翻訳における「ゲームの世界観」をどう表現するのか問題

 

結果として販売も伸びず・・・というのもよく聞く話です。

スケジュールと品質の兼ね合いにはなりますが、「ペルソナがそれで納得して楽しめるのか?」「ペルソナの役に立てるのか?」という視点は忘れたくないものです。

何でもかんでもお金をかければいいというわけではありませんが、最も重要なユーザとのコンタクトポイントはどこか?と想像したとき、少なくとも翻訳はそのひとつに入ってくるのではないでしょうか。

まとめ

このように、実は多言語翻訳を行う際には、それ以前に検討しなくてはならない点が数多く存在し、しかもそちらの方がより重要であることも多いのです。

逆に、すでにターゲット言語が決まっている場合には、その言語の品質をどう担保するのか(品質プロセス)や金額、スケジュールといったより具体的なポイントを精査していくことができます。

ぜひ今回のポイントを抑えていただき、成果の出せる多言語翻訳を行っていただければと思います。


バックトランスレーション(逆翻訳)のメリットとデメリット

機械翻訳、ポストエディット、翻訳支援ツール、多くの MLV(マルチランゲージベンダー)やクラウド翻訳など、翻訳サービスには様々な形態が存在します。

翻訳の功と罪

 

そんな中、「バックトランスレーション」という手法があるのはあまり知られていません。日本語にすると「逆翻訳」と呼ばれます。(これに対し、通常の翻訳を「順翻訳」と呼ぶこともあります)

この「バックトランスレーション」というものは、いったいどういうものなのか、そしてメリット、デメリットや利用する際の判断基準について解説します。

バックトランスレーションとは何か

バックトランスレーションは、上述のように「逆翻訳」と言われますが、具体的には一度翻訳したものを使って、元の言語に翻訳しなおす作業のことを指します。

例えば、日本語から英語に翻訳する際、その訳文(英語)が原文(日本語)の意味をきちんととらえて翻訳されているかどうかを検証するために、訳文(英語)を日本語に翻訳します。

この訳文(英語)から原文(日本語)への翻訳プロセスをバックトランスレーションと言います。

バックトランスレーションの意味と目的

バックトランスレーションの意味や意義、その目的は何なのかを知っておく必要があります。この手法自体、翻訳プロジェクト、ローカライズプロジェクトの中でどういう位置づけのものかを把握する必要があります。

バックトランスレーションの目的は 3つほど挙げられます。

  • 訳文の正確性を確認するため
  • ターゲット言語が分からない場合のチェックやレビューのため
  • 翻訳としての妥当性、好みなどの恣意的なものかの見極めを行うため

それぞれ解説します。

バックトランスレーションの目的①:翻訳の正確性

翻訳の正確性を確認するためにバックトランスレーションを行うというのは、どういう意味でしょうか。これはつまり「日本語の単語が正しい英単語に置き換わっているか」という確認です。

また、(あえて挙げるなら)文法的にも「主語+目的語+述語」という日本語ならば、「主語+述語+目的語」という文法構造で英語が成立しているかどうかということでしょう。

バックトランスレーションの目的②:ターゲット言語でのチェックができない

例えば、日本語から中国語へ翻訳したケースがあるとします。発注した企業は、これを使ってビジネスを展開する訳ですが、翻訳会社から納品された中国語の訳文のチェックが社内で行うことができない場合、一度日本語に逆翻訳して、きちんと翻訳されているかどうかを確認するために使用されます。

バックトランスレーションの目的③:訳文の妥当性や好みなどの恣意性の見極め

①と重複しますが、こういう目的でバックトランスレーションを行うケースもあります。納品された訳文が妥当なものであるかということを検証しようとするわけですが、文章には「好み」があります。実際のところ、これらはバックトランスレーションをしても確認することはできません。あくまで翻訳後の言語の文章として好きか嫌いかという話だからです。

このように、一言でいえば、訳文としての「違和感」があるかどうかということを、バックトランスレーションによって見極めようとしているわけです。

しかし、残念ながらこれらはあまりうまく行きません。

バックトランスレーションのメリットとデメリット

ではなぜうまく行かないのでしょうか?

実は、厳密にはすべてがうまく行かないのではなく、上手く行くものとそうでないものが混在すると言えます。

バックトランスレーションのメリット

上述のように、様々な目的をもってバックトランスレーションを行う訳ですが、この中で上手く行くのは論文など専門性の高いドキュメントに限定されるでしょう。

「A という単語が B という訳語に正確に翻訳されているのか」を確認するために行なうためのバックトランスレーションは有効だと言えます。

バックトランスレーションのデメリット

しかし「ちゃんと翻訳されているかどうか」といった、(どちらかというと)表現力をお求めになる場合には、バックトランスレーションは不向きでしょう。Web サイトやプレスリリース等をバックトランスレーションしたところで恐らくほとんど意味はありません。

仮に、日本語→英語→日本語 というプロセスを辿った場合でも、実際に使用するのは英語であって、英語として自然なものか、意味が通る訳文かどうかを判断できないと意味がありません。

「日本語では大丈夫だった」という事実は、イコール「英語として大丈夫」ということにはならないからです。

また、言語によってもバックトランスレーション自体が意味を成さないケースもあります。韓国語のような表音文字などは、その文字自体に意味を持っていないため、バックトランスレーションをしてもほとんど意味がありません。

そういった点からも、第一義的には翻訳後の言語がターゲット言語なのですから、そのターゲット言語として訳文を評価、検証すべきでしょう。

バックトランスレーション使用時の注意点

これまで述べてきたように、バックトランスレーションの使い方は限定的とはいえ、その判断基準を持って行うことである一定の結果を得ることができます。その基準とは、「効果の出るドキュメントと効果の出ないドキュメントを理解する」ことです。

例えば、論文や特許書類など、単語の正確性が極端に求められる場合には、バックトランスレーションは有効です。決まった用語を使用なければ、ドキュメントの正確性が問われてしまうような場合などは、バックトランスレーションを使用することができます。

そういった基準を持たずに、どんなドキュメントでもバックトランスレーションをすることは、現場の混乱を招くばかりか、今後は「バックトランスレーションをしてもクレームにならない訳文を作る」ことが目的となり、逐語訳や直訳的な文章が増えてしまうかもしれません。その訳文が使われる場所や、対象読者のことが置いてけぼりになれば、伝えたいことも伝わりません。

まとめ

これまで述べてきましたが、バックトランスレーション自体を否定するものではありません。しかし、残念ながら限定的な使い方しかできないのもまた事実です。

そしてもしビジネスにおいて「正確な訳文を」「伝わる訳文を」と考えるのであれば、バックトランスレーションの前に以下の点に注意することがより有効だと思われます。

・バックトランスレーションする時間を取るより、その時間をしっかり最初の翻訳作業にあてる

・品質を気にするなら専門用語集やスタイル、事前のトレーニング、研修などを開催する

用語集構築・運用

・翻訳後にネイティブチェックのプロセスを増やす

定額ネイティブチェックプラン

いかがでしょうか。

バックトランスレーションを行う際には、これらの点を含めて正しい判断基準をもって行うようにしましょう。


観光パンフレットを翻訳する際に気をつけたい 5 つのこと

観光パンフレットの翻訳をする前に

年々インバウンド需要が増加し、日本全体としてこのインバウンドの大きな潮流に乗って発展していくためには外国人観光客をますます誘致し、集客していく必要があります。これは、地域全体、日本全体で取り組んでいくべき事項であり、単独でどうにかなるという話ではありません。

しかし一方で、「小さなことの積み重ね」がなければ、大きな流れを作ることはできません。各事業体がそれぞれの得意分野で得意なことを積み重ねていくことがインバウンド産業や観光立国としての日本を作っていくことになります。

今回はそういうマクロ的な視点を持ちながら、観光パンフレットの翻訳について解説いたします。パンフレットは、様々な場所で様々なタイミングで配布されています。そのため、一概に「こうしなければダメだ」ということはありませんが逆に「最低限これだけは抑えておいた方がいい」という点をお知らせいたします。

1. 誰が読むのか、どこに配布するのかを目的を考えること

まず最初に考えなくてはならないのは、パンフレットを作る目的です。これは、翻訳以前の原稿を作る際の重要ポイントです。

ついつい、「何のために作るのか?なぜ作るのか?」を明確にしないまま作成してしまうことが多いのですが、それだと結果的に「勝手な作り手の事情」ばかりが盛り込まれることになります。大切なのは、以下の2つです。

【ターゲット】パンフレットを読むのは誰なのか

【目的】パンフレットを読んだ後、その人たちにどんな気持ちになってもらい、

どんな行動をしてもらいたいのか

これらをしっかりと意識してから原稿を作成し、翻訳を進めていく必要があります。これらが定まっていない場合には「誰に向かって作っているパンフレットなのか分からない」という結果を招いてしまいますので注意しましょう。

2. 訳し方に気をつけること

訳し方、と言われてもなかなかピンと来ないかもしれませんが、以下のようなケースで考えてみましょう。

ある観光地には、国立公園があり、その中には博物館があるとします。外国人観光客がその博物館目当てだった場合、その国立公園内には、「博物館への順路」などの看板やサイン表示があります。これらは普通に翻訳すれば特に難しいものでもありません。

一方、外国人観光客が博物館内に入館します。そこには券売機での入場券購入があり、企画展なのか常設展なのかを選択します。

そして受付に入場券を渡して、鑑賞します。企画展でも常設展でも、解説や作品名が必要です。

時代について記述がある場合、以下のように翻訳しなければなりません。

日本語英語(間違い)英語(正解)
江戸時代Edo PeriodEdo Period(1603~1868)

「江戸時代」と表現して理解できるのは日本の歴史に詳しい人だけです。外国人観光客は自分たちの歴史と比較していつの話なのかを理解しなければ、実感することはできません。以下はミュージアムの例です。

アート翻訳×インバウンドサービスのご案内|トライベクトル株式会社

また、次の例を見てみましょう。

日本語の文章で「SNS をする」という一文があるとします。この場合、英語に翻訳すると、 “use SNS” と訳してしまいがちですが、海外では “use social media” とする方が自然です。

いかがでしょうか。こちらも外国人観光客の目線が無いと、単純にそのまま翻訳してしまいかねません。

簡単言えば、翻訳に関しては「外国人観光客が読んだら内容まで理解できるかどうか」という目線で作らなくてはならないということです。

これはパンフレットでも同じです。せっかく綺麗なパンフレットを作っても、外国人観光客に伝わらないと意味がありません。だからこそ、1番目の「誰が読むのか」「何のために作るのか」をはっきりさせておく必要があるのです。

3. 言語別に作ること

言語別に作ることの意味は、最近は徐々に理解され始めているように思われます。

「英語も中国語も韓国語もスペイン語もフランス語もドイツ語も、全部1つのパンフレットに入れてしまえばいい」という、ある種乱暴なパンフレットが存在していますが、これも「外国人観光客」目線に立てば、言語別にパンフレットを作っておくほうがベターです。

これらはいくつかの理由があります。

情報量が多くなる

パンフレットを言語別に作ると、1言語あたりの情報量が増えます。仮に日本語版が原文だとすれば、原文と同等量の情報を掲載することができます。情報量が増えれば、外国人観光客の理解度も高まります。

外国人観光客からの質問や疑問が減る

適切な情報量が提供されるということは、不明点や不安な点が少なくなるということです。パンフレットを見てすぐに行動できるということです。

逆に、1つのパンフレットにまとめてしまった場合には、少ない情報提供しかできませんので、必然的にインフォメーションセンターなどへの質問や疑問が増えてしまう可能性があるでしょう。聞かないと分からないからです。

確かに、複数言語の数だけパンフレットを作るのは初期コストがかかります。しかし、パンフレットがきちんと機能すれば、その後のランニングコストは最小限に抑えることができるのではないでしょうか。逆にそのコストを削減すれば、いつまで経っても質問や疑問は減らず、対応のためのコストがランニングコストとして継続的にかかってくることになります。

4. 写真は豊富に使うこと

スペースの制限はありますが、それでも写真は多く使用すべきでしょう。文字情報よりもイメージは強いメッセージ性をもっているからです。

日本人はどうしても文章が多くなる傾向がありますが、「外国人観光客」というよりは世界的な潮流としてはやはりビジュアルがメインになります。

これは SNS での好例ですが、山梨県の新倉山公園は、タイの方がインスタグラム等で発信したことにより一気にタイからの観光客が増えたのは有名な話です。

https://www.arakurayama-sakura.com/

パンフレットもイメージやブランディングの観点から、そのパンフレットでもっとも伝えたいものを写真にして掲載することをお勧めします。外国人観光客にとって、何のパンフレットなのか分かりやすくなるため、手に取りやすくなります。

5. コンテンツは日本語版と違ってもいい

日本語版パンフレットには地図やアクセスをはじめ、イベント情報や施設案内など、様々な情報が掲載されています。

しかし、もしターゲットが明確なら、掲載するコンテンツは日本語版と同じである必要はありません。

むしろ、ターゲットに合わせたコンテンツに変えてしまってもよいでしょう。なぜなら、大切なのは、外国人観光客がパンフレットを読んだときに「どんな気持ちになって、どんな行動をとるか」だからです。

例えば、ある地域の観光スポットがあるとします。それは日本人から見ればすでに「ベタな」スポットで、今さら面白くないかもしれません。日本語版パンフレットでは、掲載はするけれどそこまで大々的に取り上げなくてもいいスポットだとしても、外国人観光客にとっては、それが目的で新鮮に映り、集客に貢献するのであれば、そのスポットの写真やコンテンツを全面に出してもいいでしょう。「ベタな」スポットでもまったく問題ありません。

参考:日本の自治体等のパンフレット

パンフレットについては、用途別やテーマ別に作るという方法もあります。以下はあくまでサンプルですが、多言語版も含めて参考になるかと思います。

金沢旅物語

http://www.kanazawa-kankoukyoukai.or.jp/digitalpamphlet/03.html

富士の国 山梨 観光ネット

http://www.yamanashi-kankou.jp/pamphlet/index.html

また、全国の観光パンフレットはどんな風に作られているのかお取り寄せできるサイトもありますので取り寄せ、研究してみるのもお薦めです。

みんたび

http://min-tabi.jp/

まとめ

いかがでしょうか。外国人観光客にとって魅力的な観光パンフレットを作るための5つのポイントは以下になります。

1. 誰が読むのか、どこで配布するのか目的を考える

2. 訳し方に気をつける

3. 言語別に作る

4. 写真は豊富に使う

5. コンテンツは日本語版と違ってもいい

この5つに注意しながら、外国人観光客の行動に直結するような観光パンフレットを作成してください。


ゲームローカライズ時に抑えておきたい 3 つのポイント

現在、全世界で数多くのユーザを抱えるゲームタイトルも、元を正せば、たった1つの言語から多言語に翻訳され、コンテンツが受け入れられていく中で世界中に広がっていったに過ぎません。

とはいえ、発売するすべてのコンテンツが簡単に売れたり普及するわけでもありませんので、どちらかと言えば、世にある多くのゲームタイトルは、企業が期待するほどの認知や売上を上げず、一部のビッグタイトルやシリーズもの、また特定の国や地域でのみウケているというケースが多くなります。

それでも今のゲームは初めから海外を意識して展開しなければなりません。国内だけでは人口の観点からもすぐに頭打ちになってしまうからです。

そこで、ゲームタイトルの企画、そして開発、さらにはグローバル展開を見据えた時にどうしても必要となるのがゲームのローカライズ業務です。

今回はゲームローカライズ時に抑えておきたい 3 つのポイントについてお伝えいたします。

ゲームローカライズのポイント1:構想・企画段階で考えておくこと

最初からローカライズを意識した原稿を書く

これは、「アプリをローカライズずるときに気をつけたい7つのこと」でも書きましたが、翻訳は原文が大変重要です。原文以上の品質を翻訳で再現することはできません。そのため、原文の精度が翻訳の品質に大きく影響するということを意識して作成しましょう。

アプリをローカライズするときに気をつけたい7つのこと

国内市場だけでは成長は見込めない

ローカライズをはじめから意識しなければならない理由として、「国内市場の成長の鈍化」が挙げられます。今後も緩やかな減少と予測されているため、今後は海外市場(といっても広すぎますが)を目指していかないとやがて太刀打ちできなくなってしまうでしょう。

【決算まとめ】ゲーム関連企業32社の7-9月…32社中13社が営業赤字に モバイルゲーム大手の利益率もさらに低下 グローバルで飛躍するアカツキとKLab

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【決算まとめ】ゲーム関連企業32社の1-3月…CAのゲーム事業売上高が過去最高に KLabは海外で飛躍 ブロックチェーン関連など新たな方向性に動く企業も

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【決算まとめ】ゲーム大手、18年3月期は6社中5社が増益に キーワードは「グローバル」と「IP」

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ターゲットユーザを決める

最初に「誰がゲームをするのか」というターゲット(ペルソナ)を決める必要があります。「誰が読むのか」という視点を無視して翻訳をすることはできません。ゲームのローカライズなのですから、当然、ゲーム好きなユーザになりますが、彼らが読んでおかしくないと感じる自然な訳文を作る必要があります。ゲーム中は、テキストをじっくり読むというよりは、直観的に判断することも多いですので、その瞬時の判断で不自然と感じない訳文を目指しましょう。

また、そのためにも正しいペルソナを作っておきましょう。ターゲットが決まっていないと翻訳にも影響が出てしまいます。

ターゲット言語、国を決める

例えば、英語圏に発売するのに、スペイン語にローカライズするわけにはいきません。ターゲットが使う言語であること、そしてそのゲームの世界観に合った自然な翻訳を作成することは、かなり重要な要素ですので、必ずネイティブ翻訳者が翻訳すべきです。

ゲームのターゲットユーザが決まれば自ずと決定する部分ではありますが、例えば中国語なら簡体字と繁体字の違いなどもありますので注意が必要です。

中国語(繁体字、簡体字)の翻訳サービス

違和感のない自然な訳文を

繰り返しになりますが、非常に重要な部分です。

ターゲットが不自然さを感じないように文章を作成しなければなりません。その国のネイティブ翻訳者が対応することによって、違和感なく自然な訳文になります。

また「ゲームらしい訳文」というのも必要ですので、経験豊富なネイティブ翻訳者に担当してもらいましょう。

ゲームローカライズのポイント2:ローカライズ ワークフローの確立

ゲームコンテンツのローカライズワークフローに則った進め方をしていくことも大切です。

ただ翻訳するだけではなく、テストやデバッグ工程を含めて対応することで、完全にローカライズされたゲームタイトルを生み出すことができます。

テキスト部分の翻訳では、画面(セリフやコマンド)内に収まるように翻訳されているかどうかを確認したり、実際にゲーム操作をしながら修正し、デバッグ作業を行うこともあります。

ゲーム開発およびローカライズ段階では以下のように工程を理解し進めていくことでスムースなローカライズを行うことができます。

ゲームローカライズのポイント3:精度の高い参考資料(用語やスタイル)の準備

ゲームローカライズでは、複数の翻訳者のチームとして進めるケースも少なくありません。そのため、事前に専門用語や固有名詞と言ったものは、訳語を確定させておく必要があります。複数のネイティブ翻訳者が関われば関わるほどその重要性は増していくのです。

また SDL TRADOS(トラドス)をはじめとする翻訳支援ツールなどを活用することにより、効果的な翻訳やローカライズを進めるようにしましょう。

eスポーツの世界的な拡大とローカライズ

これまで述べてきたように、ゲームローカライズはゲームコンテンツと密接に関係しているために、翻訳の質が重要になります。

これは、東京オリンピックなどでも eスポーツが正式採用??という話が出たりしましたし、世界大会なども開催されていることもあるため、ソーシャルにしても、家庭用ゲームにしても翻訳にはこだわらなければなりません。

https://ja.wikipedia.org/wiki/エレクトロニック・スポーツ

まとめ

ゲームタイトルをヒットさせるにはいくつものポイントがありますが、そのうちのひとつが「ゲームコンテンツの質」だというのは間違いない事実です。

そしてこの質をしっかり担保できるかどうかは、ゲームに詳しいネイティブ翻訳者が翻訳しているかどうかです。

これがなければ、タイトルが売れれば売れるほど、クレーム率や低評価を増やすことになりかねません。また逆に、どんなに素晴らしいタイトルを作っても、知ってもらわなければ売れません。

両輪をバランスよく実行することによって、ヒットタイトルを作り出すことができます。自然な訳文のゲームであればユーザはゲームの世界に没頭することができます。

ユーザ体験を最高にするためにも、是非ともユーザ目線でのゲームローカライズを行うようにしましょう。


自動翻訳 API の失敗事例から学ぶ目的の重要性

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成功事例というのは世にあふれていますが、なかなか「失敗事例」についてはお目にかかることが少ないと思います。そこで今回は、失敗事例から学べることをご紹介したいと思います。

※架空の企業 A 社の事例を解説

A 社の多言語翻訳プロジェクト背景

  • 近年増え続けるインバウンド(外国人観光客)向けの Web サイトの多言語翻訳プロジェクト
  • 取り扱う言語は英語や中国語など合わせて5言語以上
  • インバウンド情報を各言語で定期的に発信
  • 多言語への翻訳が必要になるのでコストもそれなりにかかる

最近はよく聞く話ですが、この A 社様では上記の多言語翻訳を行う際に、すべて手動で行うかもしくは、自動翻訳 API を使うかという検討期間がありました。

翻訳が「意味不明」「読めない」という事態

結果としては、「手動で行うとコストもかなりかかるので、自動翻訳で行う」という方針に決定しました。そしてその多言語で自動翻訳された言語を、翻訳会社にチェックしてもらおうという流れになりました。

まずはテストとして少量を自動翻訳し、翻訳会社に見てもらったところ、翻訳会社からは以下のようなコメントが寄せられました。

「この文章が何を言っているのかがわからない。意味を成していない」

「この中国語は簡体字と繁体字が混在していて読めない」

つまり、そもそもの訳文が、チェックしてどうにかなるレベルではないということでした。これには担当者も困り果ててしまいました。当然ながらチェック料金で対応できるものではなく、やり直したほうがいいということになりかねません。

確かに予算が無尽蔵にあれば、手動で翻訳を依頼するほうが品質的には良くなるのかもしれません。しかし、実際にはそんなことはありません。なんとかコストを抑えつつ・・・ということで自動翻訳を選択したものの、テストしてみればそれでは今度は使い物にならないというジレンマ。

そんな状態で進めても Web サイトそのももの評価が下がるのは目に見えています。今回の Webサイトは、インバウンド向けですから、色々な国の方が閲覧する可能性が高いわけです。そのために制作するのですから当たり前です。社内文書ならともかく、外国人が見てネガティブな口コミなど広がってしまったら、その方が影響が大きくなってしまい修復できません。

結局、この後、A 社としてなかなか方向性が定まらず、いったんプロジェクトは頓挫してしまいました。

何を優先するのかの見極めを

これらはよく聞く話かもしれません。ただ実際に「金額と品質と納期」のバランスをどうやって取るのかは本当に難しいものがあります。

ご相談内容から分かる「失敗しない翻訳サービス」とは

 

関連する内容になりますが、数年前に以下の記事を掲載しています。

 

機械翻訳(自動翻訳)と翻訳支援ツール

 

この記事でも触れていますが、自動翻訳にせよ、翻訳支援ツールにせよ、ツールやAPI が悪いではなく、それらを使う「人間がどういう判断基準をもって使用するのか」が重要だということです。

本質的な部分で理解をしていないと、ツールが悪い、API が使えないという話になってしまいます。テクノロジーが進化していっても、それを使う側の発想がまったく進んでいないという事態になれば、ますます「不適切な場面」で使用したり、「必要な場面」で使用しなかったりということになりかねません。

テクノロジーに原因を求めるのではなく、何を優先するのか、つまり「目的は何か」をしっかりと見極めることがますます重要になってきていると言えます。

AI の進化でますます求められる人間の役割とは

「ディープラーニング」という言葉を多く見かけるようになりましたが、このディープラーニングが今後進化し、発達すれば、人間に代わるほどの言語処理を行うことができる可能性があります。

それほどこの「ディープラーニング」は自然言語処理技術でも注目されているテクノロジーです。こちらの内容を解説してしまうとテーマと外れてしまうため、割愛いたしますが、AI が研究段階にある現在では、やはり人間がきちんと基準をもって判断をしていかなくてはならないという事実は何も変わりません。

いやむしろ、AIの真価が進めば進むほど、私たちはより一層人間的な部分を使わなくてはならなくなります。

そうなると、「全体をざっと自動翻訳しておいてあとはチェックすればいい」という発想では、まったく太刀打ちできないということになります。(すでに Google 翻訳はその精度が飛躍的に向上したというニュースが流れたのも昔の話です)

また現時点では、想定される翻訳品質が上述のようなものであれば、翻訳者も喜んで対応するということはないのではないかと推測します。(実際、弊社の翻訳者さんでも、機械翻訳や自動翻訳で翻訳された訳文を積極的にチェックしたいという方はひとりもおりませんでした)

となると、お客様側の想いだけが先行してしまって、その実情が伴ってこないという事態になりかねません。

一番大切なのは「伝わるか伝わらないか」

もっと言えば、自動翻訳でも AI でも人間が翻訳する場合でも、大切なのはその目的が果たせられるかどうかということです。

上記の例であれば、Web サイトを利用する外国人観光客が、この Webサイトを見て、「すごく便利だし使いやすいし、わかりやすいね」と思ってもらえるかどうかが重要なのであって、常に考えなくてはならないのは、それを達成するためにあなたはどうしますか?ということです。

テクノロジーはそれらをサポートしたり効率アップのためのツールです。しかし残念ながら現状ではそこまで辿りついていないとすれば、何か他の手を考えたり組み合わせたりという発想の転換が必要になります。

繰り返しになりますが、この点こそがひとつの多言語翻訳プロジェクトを成功させるかどうかの分岐点になると言えます。

まとめ

  • 自動翻訳 API も人間による翻訳も AI もそれぞれの特性がある
  • その特性を見極めることこそ、人間の重要な仕事
  • 目的に沿った明確な判断基準を持つことで「使われる」のではなく「使いこなす」ことができる

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