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アプリをローカライズするときに気をつけたい7つのこと

topapp

今回はアプリのローカライズについてお伝えしたいと思います。

最初からローカライズを意識した日本語版を開発する

当たり前のようで意外とできていないことが多いのですが、多言語翻訳での展開を考えたときに、日本語原文に影響を受けてしまう事が少なからずあるため、事前に日本語版を作る際には、しっかりと設計する必要があるということです。

例えば、日本語を翻訳すると英語の文章が長くなる傾向にあります。理由としてはいくつかありますが、文法構造が違っていたり、書いている人が違っているなど、まったく同じ分量にはなりにくいわけです。

それにも関わらず、UI としての長さ(幅)は変わりません。つまりこのまま翻訳して英語にしてしまうと、英語が長くなってはみ出してしまうような事態になります。

アプリの内容を熟知し、使いこなしているのであれば、日本語の内容を踏まえて英語を短くしてしまったり、端折ったりということができますが、基本的に産業翻訳では「原文に忠実に」というルールが存在すること、また翻訳者が(勝手に)判断をして情報を取捨選択することはできないという側面があるため、日本語の内容を過不足なく伝えようとすると、どうしても自然と英語が長くなってしまうわけです。

日本語版の開発時に、英語やその他の言語に翻訳することを意識することは非常に重要です。

特に日本語は主語がなくても文章が成立しますが、英語などはそうはいきません。日本語を短くしても、他の言語では長くなってしまう可能性がありますので、その場合は以下のいずれかを検討する必要があります。

  • 多言語を意識して日本語の構造をハッキリさせる
  • それができない場合には、多言語が長くなっても余裕のある UI デザインを考える

ターゲット言語を決める

これは当たり前の話ですが、大変重要です。

「何語に翻訳するのか?」を検討するときには、前回ご紹介した「ダウンロード数」や「収益」を検討しなければならないからです。

モバイルアプリ開発会社 必見!アプリのダウンロード数が増えれば収益が増える?

ただ何となく中国語に翻訳しようとか、スペイン語にしておけばいいという判断では、当然ながらうまくいかないでしょう。

仮に、「スペイン語」を選ぶなら、「なぜスペイン語に翻訳するのか?」「なぜスペイン語版を作るのか?」といった裏づけが必要です。

どうしてスペイン語なのか?それは言語の特性が関係したり、その国の法律や制度なども関係するかもしれません。アプリのコンテンツによってもターゲットの言語は変わるはずです。

日本語は、基本的に日本でしか通じません。しかし英語は多くの国で読まれています。単一言語が複数の国で通用するなら、それは汎用性が高いということですので、そういった基準からターゲット言語を決めるというのもありです。

ローカライズのスケジュールを検討する

アプリをローカライズし、多言語に展開するためにはある程度の時間を要します。

例えば、日本語から英語への翻訳なら、1日に処理できる(翻訳できる)分量というのはおおよそ 3,000文字程度といわれています。それ以上のスピードアップは、品質に影響する(低下する)ため、お勧めできません。

翻訳業界と翻訳会社

このように言語ごとにスピードや処理量が違います。例えば、日本語からドイツ語に翻訳するとした場合、直接ドイツ語に翻訳できない可能性もあります。それはアプリの内容やボリュームによってリソース不足に陥る事があるためです。

その場合にはいったん英語を経由してからドイツ語に翻訳することもあります。コストはかかってしまいますが、英語→ドイツ語の方がリソースも多くキャパシティも大きいためです。

また同じヨーロッパ言語としての親和性も高いので、スピーディに展開できる事もあります。(※ドイツ語に翻訳するようなアプリは、通常は英語版があることがほとんですし、そうでない場合には英語版もリリースすべきでしょう)

無論、開発プロセスは翻訳だけではありませんが、ある程度目安を持ってスケジューリングしないと、無理な納期で翻訳することになります。当然品質は上がらず、アプリを使う現地ユーザーからも「意味が分からない」とか「文章として成立していない」といったものになってしまうことがあります。

特に多言語の場合にはその影響が全世界に広がってしまうので、慎重にローカライズを行っていかなくてはなりません。

アプリそのものの評価に直結します。

外注先を検討する

ターゲット言語とスケジュールが決まったら、今度は外注先を検討します。(社内で対応できる、という方は本エントリー自体があまり意味がありませんので、あくまで必ず外注するという前提でお読みください)

以下の図のように、外注にはいくつもの種類があります。

コスト、品質、スケジュールのバランスをしっかりと検討して発注する事をお勧めします。どの項目を重視するのか、どれが優先なのか、それを決めておかなければ期待する効果は得られません。

list

翻訳の功と罪

専門用語やスタイルガイドを準備する

これは特にアプリのローカライズに限ったことではありませんが、信頼できる参考資料のうち、もっとも重要度が高いのが専門用語です。アプリ内でしか使われていない言葉だったり、製品名のような固有名詞であれば、事前に準備して指示する必要があります。

それがなければ、翻訳者は調査できる範囲で調査して訳文を作りますが、それが果たして希望通りの訳語になっているかどうはふたを開けて見ないとわかりません。

これは単純に時間の無駄ですから、事前に準備できるものは準備しておくことで、スムースになるのは間違いありません。

用語集構築・運用

翻訳対象となるテキスト原稿を準備する

周辺資料の準備が整ったら、実際の作業対象ファイルを準備します。アプリのローカライズの場合、当然ながらソースコード内に翻訳対象テキストが記述されていますが、そのファイルをそのまま翻訳者または翻訳会社に渡しても、翻訳ができないこともあります。

余計な記述は、翻訳者にとっても混乱の元ですし、また作業中に謝ってプログラムコードを1文字消してしまった、というようなことも無いとは言えません。

そういった事故を予め防ぐために、「翻訳対象テキストだけを抽出して渡す」ことが必要になります。

例えば、エクセルにテキストを抽出します。以下はイメージです。

sample

 

このように、翻訳者にも「どこを翻訳すればいいか」を視覚的に明示してあげることで、作業スピードもあがりますし、また品質も安定します。

アプリの深い理解を促すため、翻訳者に参考となる情報を渡す

さらに翻訳の精度をあげて、アプリのローカライズを成功させるには、アプリそのものをダウンロードして触ってもらったり、事前にトレーニングや簡単なミニセミナーなどを開き、翻訳者に説明するといったことも有効です。

プロの翻訳者なら事前にアプリの動作を分かっていれば、より適切な訳語を選択する事ができます。

ひと手間かかってしまいますが、事前のレクチャーや準備こそが、アプリのローカライズプロジェクトの成功の確率を上げるのだということを理解しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。これまでにご説明した項目は、私たちが日常的にアプリのローカライズをご依頼いただく中で、最低限やっておいたほうがいいものばかりです。

アプリのローカライズの良し悪しによっては、原作(日本版)の良さやアプリの魅力が伝わらない可能性も多いにあるため、自社のアプリが現地の人々に受け入れられるかどうかを左右する重要なポイントでもあるのです。

つまり、アプリのローカライズは決して翻訳者だけの仕事ではなく、お客様、信頼できる翻訳会社、翻訳者とプロジェクトチーム全員が一丸となって取り組む仕事であるといえます。

当然その場合には、コミュニケーションやチームをまとめるマネジメント力も求められます。この総合力の違いがローカライズの品質に大きな影響を与えるといっても過言ではありません。

そして、事前にしっかりと準備をし計画を立て、投資すべき点にはしっかりと投資(お金をかける)できるアプリ開発会社のみが世界に進出するアプリのローカライズを成功させることが出来るのです。

アマネファクトリー株式会社様

ローカライズとは

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モバイルアプリ開発会社 必見!アプリのダウンロード数が増えれば収益が増える?

今回はモバイルアプリビジネスにおける多言語化の必要性とビジネス収益について考察します。

世界中で使われるスマホ、アプリ

現在、ほとんどの方がスマートフォンもしくはタブレットをお持ちだと思います。そして、在宅時や通勤、通学などの移動中にアプリを使用されている方も多いのではないでしょうか。

Google が 検索結果に対してモバイル対応を含めていること、またモバイルがメインになりつつあるのも、モバイルユーザーが年々爆発的に増えているからだと言えます。

PC からインターネットにアクセスするのではなく、スマホからアクセスするのが一般的です。日常生活では、スマホのみが 90%で、PC からのアクセスは 45% となっています。

引用:LINE株式会社

〈調査報告〉インターネットの利用環境 定点調査(2018年上期)

https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2018/2315

〈調査報告〉インターネットの利用環境 定点調査(2018年下期)

https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2018/2543

海外においても程度の差はあれ、同じ状況です。つまり多くのスマホ利用者がいると言い切っても過言ではありません。今、この瞬間もインターネットに接続している人が何億人もいます。

上記をはじめとしたら様々な調査結果から見て、ユーザ数が増えることはあっても、減ることはないでしょう。ビジネスという視点で見た場合、携帯端末メーカー、通信会社そして「アプリ開発会社」にとって、とても巨大なマーケットが目の前に広がっています。

多くの会社がその巨大なマーケットから果実を得ようと、我先に行動することになります。

また、スマートフォンやタブレットは世界共通の仕様ですので、iOS でも Android でも国境はあって無いようなものです。どの会社も日本だけに目を向けるのではなく、世界にも目を向けるのがごく当たり前になっています。

では、開発したアプリをどこに売っていけばいいのでしょうか?

世界は広いですし、日本と比較すると分かりにくいというのが正直なところではないでしょうか。

そこで今回は、アプリ開発会社様が海外進出を計画される場合に、参考のひとつとしてお考えいただける情報をまとめてみました。

アプリの国別ダウンロード数について

まず、海外進出を考える際、はじめにその国の「市場規模=アプリのダウンロード数」が重要な指標となります。アプリの市場データの分析を行なっている App Annie のサイトに記載されています。

Quick Summary of App Annie’s App Industry Overview 2017

https://splitmetrics.com/blog/quick-summary-of-app-annies-app-industry-overview-2017/

詳細は上記URL をご覧いただくとして、ダウンロード数1位は中国です。

1位:中国 
2位:インド
3位:アメリカ
4位:ブラジル
5位:ロシア

2014年に本記事を公開した際は、1位はアメリカでした。(以下は当時の画像)

わずか数年のうちに中国、インドが台頭しています。

また、「ブラジル・ロシア・インドなどの新興国に存在感と勢いがあります」という記事内容でした。そしてその通り、この3国が上位に食い込んでいます。

もはや「新興国」などとは言えません。巨大なマーケットとなっています。

アプリから得られる収益について

アプリ業界全体における年間の売上として、2017年は2015年から105%の増加で860億ドルまで上昇しているそうです。ユーザの日常生活の中のアプリの位置づけがより重要度を増し、いかにお金を使っているかがよく分かります。

ちなみに、本記事公開時の 2015年では、以下のランキングでした。

table2

しかし現在の収益のランキングでは、以下のようになります。

1位:中国 
2位:アメリカ
3位:日本
4位:韓国
5位:イギリス

ロシア、ブラジル、インドなどはすでにダウンロード数ランキングで上位にいますので、徐々に売り上げは増加するであろうと予測されます。

新興国と先進国の特徴

「ダウンロード数」と「収益」の二つの視点で見た場合のマーケットの現況を見て分かることがあります。

この結果から、現時点では必ずしも「アプリのダウンロード数の増加=収益の増加ではない」ということが言えます。

これは非常に重要な考察です。

なぜならアプリ開発会社としては、ダウンロード数を伸ばしたいのか(ポテンシャル重視か)、すぐに収益を上げたいのか(手堅く行くのか)のどちらに重きを置くか、戦略的に考えることが求められるからです。

  1. 新興国:ダウンロード数増加(将来的なシェアを視野)
  2. 先進国:収益化(直近の売上が優先)

ゲームアプリだけでなく、ソーシャルコミュニケーションアプリや家計簿や決済サービスなどの金融アプリなど、様々な分野でアプリ開発はしのぎを削っています。ちなみにこちらも App Annie に記載があります。(こちらは 2018年)

A Year in Review: Mobile Highlights of 2018

https://www.appannie.com/en/insights/market-data/a-year-in-review-mobile-highlights-of-2018/

このように、Facebook Messenger がダウンロード1位です。つまり、どんなアプリであっても、ターゲットをしっかり定めて開発をしなければならないということです。

また逆に成功すればそれが大きな飛躍となるケースもあります。弊社でローカライズさせていただいた「アマネファクトリー様」の事例をご覧ください。

アマネファクトリー株式会社様

海外進出するターゲット国と自社ビジネスモデルの連携

アプリ開発会社が掲げるビジネスモデルも多岐に渡ります。

例えば、「広告枠の販売で収益を上げたい」と考えているのであれば、「ダウンロード数をいかにして増やすか」の視点が欠かせません。

反対に、「アプリへの課金で収益を上げたい」と考えているのであれば、「収益ランキングを参考にしたターゲティングおよびマーケット」が重要になります。

このように、何を優先とするかによってとるべき行動が変わってくると言えます。

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まとめ

  • 世界的に見て、モバイルアプリ市場は「ダウンロード数」と「収益」のいずれも拡大している

参入するチャンスは拡大しているが、同時に世界中がライバルになり、数も多いため、しっかりと戦略を立てなければならない。

  • 現時点ではモバイルアプリの「ダウンロード数」増加=「収益」の増加とは必ずしも言えない

自社にとって優先順位が高いのは何かを明確にしなければどっちつかずに終わってしまうので、自社の戦略がどちらなのかをハッキリさせる。

  • ビジネスモデルによって、どこの国に進出すべきかは変わってくる

日本語版を設計開発する段階から、進出すべきターゲット国(言語)を決定しておく必要がある。

いかがでしたでしょうか。海外進出を考えている貴社にとっての一助となれば幸いです。

また、これは大前提であり、当たり前の話ですが、そもそも「良いアプリ」でなければ、どんなに的確な戦略を持って、適切な海外マーケットに進出したとしても成功はあり得ません。

そして「良いアプリ」の条件として、ローカライズ(翻訳)の質も非常に大切な要素です。

現代はITの発達もあり、必ずしも翻訳者(翻訳会社)に頼る必要はない場合もあります。しかしながら、たった1箇所の翻訳ミスが、重大な問題を引き起こす可能性はありますし、過去にそういったケースも実際に発生しております。グローバル化を推し進めるということは、ミスもグローバルレベルで広がってしまうということです。

貴社の大切な想いを込めて制作したアプリには、正確な多言語翻訳を行うようにしましょう。

 

弊社ではアプリの多言語翻訳やローカライズサービスをご提供しておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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