年別アーカイブ: 2014年

壁が壊れるとき

既存の枠組みが壊れていく過渡期

今回は、映像翻訳と産業(実務)翻訳との垣根が壊れつつある点について、記載したいと思います。

弊社では「テープ起こし+翻訳+字幕編集」までを一式 20,000円(税別)でご提供する字幕翻訳プラン [FUNSUB]があります。

字幕翻訳プラン FUNSUB

本プランは、大変リーズナブルであるため、海外本社で制作された動画をマーケティングツールとして、また PR やプレゼンに使用したり、展示会で流したりと様々な使い方をされていらっしゃるお客様が多くいらっしゃいます。

弊社ではこのようなニーズに数多く応えるべく「字幕翻訳プラン」をご提供しておりますが、今回はそこから得られた知見をご紹介したいと思います。

誰もが動画を撮り、編集できる時代がやってきた

Youtuber(ユーチューバー)と呼ばれる人々が徐々に増えています。自分で撮影した動画を Youtube にアップロードして閲覧者数を増やして広告収入を得るという流れが生まれつつあります。

Youtuber とは

https://ja.wikipedia.org/wiki/YouTuber

これまで、動画の撮影には高価な撮影機材や知識、優秀な撮影クルーが必要でした。そうしなければ動画や映像を撮影することなどできなかったのです。

しかし今は違います。

簡単な動画であれば携帯やスマホでも撮影ができ、そしてアプリ等で編集ができ、アップロードも可能になります。すべてが自分ひとりの「手のひらの中」で完結します。
そしてこのことは従来のビジネスを大きく変化させるほどのインパクトをもっていました。もちろん、簡単になったことによって、Youtuber という職業だけで生きていくというのは決して楽ではないということも調査の結果明らかになっています。

ユーチューバー、成功しても生活苦しい恐れ

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-02-28/P4UN9V6TTDSW01

個人利用から企業利用へ

このように誰もが簡単に動画を撮影できるようになると、当然それは個人レベルだけでなく企業レベルでも行われるようになります。

非常に安価な導入コストで、訴求力の高い動画を作ることができると気づいた企業は会社案内や導入事例、インタビュー、製品や商品の解説用の動画、製品の操作方法など、様々な種類の動画を作るようになりました。

動画による導入事例制作プラン

http://casestudy.trivector.co.jp/price_movie.html

具体的に考えてみましょう。

例えば、海外で撮影、制作された動画があります。
ビデオには CEO が登場し、今後の会社の戦略や方向性などを語っています。当然ながら日本支社をはじめとした各国の支社のスタッフにも同様のメッセージを届けなくてはなりません。

わずか 5分程度の動画ですが、理念の共有は非常に重要ですから、それらをしっかりと伝えなくてはなりません。さもないと、一丸となってビジネスを推進することはできないからです。しかし異なる言語のスタッフに CEO のメッセージを伝えるには、以下の 2つの方法しかありません。

  • 字幕を入れる
  • ナレーション(音声)を入れる

ビデオの内容をしっかりと理解してもらうことが目的であり、そのためには上記のいずれかの方法を選択する必要があります。

具体的には、複数の国でビジネスを展開しているなら、多言語で字幕を入れるか、または多言語でナレーションを入れることになります。(ここで弊社の字幕翻訳プランやナレーションプランをご利用いただいております。字幕翻訳プランでは、英語のみならず、中国語や韓国語の字幕編集の対応も可能になりました)

  •  字幕翻訳プランのポイント

http://www.trivector.co.jp/movie/points/

  • 字幕翻訳プランの中国語、韓国語

 http://www.trivector.co.jp/movie/service/pricelist/

こうして企業は、これらのプランを活用しながら、自社のメッセージを内外に発信していきます。

  • 字幕翻訳プラン 制作実績

https://www.trivector.co.jp/movie/result

映像翻訳と産業翻訳(実務翻訳)との融合が始まり、垣根が崩れるとき

上記にあげた例のように、一般企業が「字幕翻訳をやりたい」という流れが加速してきました。
顧客のニーズが、それまで「映像翻訳」と「産業翻訳」とを明確に分けていた垣根を崩しつつあるのです。
ところが、翻訳サービスを提供する側としては、そこだけに注目してはいけません。

「一般企業や個人が動画を自由に使えるようになってきた」という事実を見つめたときに本当に考えないといけないのは「映像翻訳」との違いを理解しておくことです。

そもそも翻訳業界は、産業翻訳、映像翻訳、出版翻訳に分けられます。

3fields

 

翻訳業界と翻訳会社

映像翻訳は、字幕翻訳などとも呼ばれますが、一番わかりやすいところだと映画の翻訳が象徴的です。

例えば、日本で作られた映画を世界中の人に見てもらうために多言語翻訳を行ったり、ハリウッド映画を日本語の字幕や音声ナレーションをつけたりする仕事です。

この場合、どちらも役者の台詞の意味を考え、決められた文字数の中で表現することが求められます。文字数がオーバーしてしまえば、画面が切り替わってしまい、字幕そのものの意味がなくなってしまうためです。

産業翻訳も文字数制限がないとは言いませんが、映像翻訳の方がはるかに厳しいでしょう。これらを踏まえて、映像翻訳や字幕翻訳と呼ばれる分野と、産業翻訳や実務翻訳との「境目」はどこにあるのかを検討してみたいと思います。

一般企業の意図とは

まず初めに、この流れの中で特に注意しなければならないのは、一般企業が「字幕をつけたい」といったときに、一体どういうものを「完成品」としてイメージしているのか?ということです。

業界人であれば、「映像翻訳はこういうもの、産業翻訳はこういうもの」という括りやルールを知っているので、実はこの 2つは似て非なるものだということが分かります。ところが、クライアントはそこまで知らないことが普通です。

 「自社の動画に字幕を入れたい。きっと映画の翻訳みたいになるはずだ」

という完成イメージを持っている方が圧倒的に多いのです。(もしかしたら、翻訳関係の方もそう思う人がいるかもしれませんが・・・)

そしてこのギャップが、産業翻訳における字幕翻訳に対するクレームを生み出すことがあります。この違いを理解してもらうのはなかなか大変です。実際にはなかなかそこまで期待通りの形にはなりにくいからです。

「 映像翻訳の字幕翻訳」と「産業翻訳の字幕翻訳」の違いとは

通常、字幕翻訳といった場合、字幕は映像と一緒に表示されないといけないため、当然ながら文字数の制約を受けます。

例えば、日本語の場合、文字数制限は「1秒間に3文字~4文字以内」と言われています。

これ以上の文字数を入れて表示させたとしても、読みきれずに次の文章や画面に移ってしまうため、意味がありません。

どんなに素晴らしい文章であっても、観客に読まれなければ何も伝わりませんから、これは映画であろうが企業の紹介動画であろうが絶対のルールだと言えます。

では産業翻訳の字幕翻訳と映像翻訳の字幕翻訳では、いったい何が違うのでしょうか。

それは「求められる翻訳」です。

具体的には「もっと映画のセリフっぽく」とか「もっとこなれた日本語で」といった内容です。一般企業の担当者が上記に述べたように「映画のように翻訳される」と思っていれば当然の要求として出てくるのです。

しかし、産業翻訳(実務翻訳)では、それがなかなか難しい。

なぜ難しいのでしょうか?

誤解を恐れず言えば、映画では台詞の意味を理解して翻訳するために、情報の取捨選択を行います。そうしないと定められた文字数内に収まらないからです。
ところが企業の動画では、(勝手に)情報の取捨選択をした場合、それは「誤訳」や「訳抜け」と指摘される可能性があります。このギャップがお客様の期待を裏切ってしまうことがあります。

さらに、一般企業の作る動画というのは、映画のような作品ではありません。PR 用や説明資料のような何らかのはっきりとしたメッセージを持っているものです。映画とは違います。

つまり、その作品の意図を伝えたいわけではないので、解釈が異なり、企業ごと、担当者ごとに「訴えたいポイント」が違うことがあります。そのために(ある意味)翻訳作業時に勝手に文章を丸めたり、縮めたり、付け足したり、端折ったりすることはできません。原文にある情報を過不足なく翻訳しなければならないのです。観客の解釈に伝えたいことを委ねるということではありません。

しかし、それを知らないお客様の方が多いでしょう。

「もっと短くしてほしい」
「もっと日本語っぽくしてほしい」

こういったリクエストと実態がかけ離れてしまうのは、取り扱っているのものがあくまで産業翻訳や実務翻訳においての「字幕の翻訳」であり「字幕の編集」だからです。
お客様が想像する「字幕編集」や「字幕翻訳」は映画の字幕なのです。

ここに、「映像翻訳の字幕翻訳」と「産業翻訳の字幕翻訳」の違いが明確に出てしまいます。

movie_comparison

翻訳者リソースの問題

また一方で、翻訳者リソースの問題もあります。以下は、極端な例ではありますが、理解しやすくするために二分します。

  •  映像翻訳者は一般企業の求める字幕翻訳はできるのでしょうか?

映画の会話や台詞を翻訳するスキルはあっても、もし製品の紹介動画なら、専門知識が必要な場合もありますし、独自の判断で内容を端折ってもいいのでしょうか?

  • 産業翻訳者は一般企業の求める字幕翻訳はできるのでしょうか?

今度は逆に、産業翻訳者は翻訳はできても、映画や映像のように(できる限り)日本語を短く表現したり、文字数制限に対応することができるのでしょうか?

では、一般企業や個人が作成する動画に字幕をつけたいと思ったとき、どちらの翻訳者がよりスムースに対応できるのでしょうか?そもそも、そこに明確な回答はあるのでしょうか?

明確な線引きは難しいかもしれませんが、何らかの棲み分けが必要になるように思われます。

大切なことは「目的」を見失わないこと

いかがでしょうか。
これらの違いを一般企業のみならず、翻訳会社も理解しなければなりません。そして当然ながらクライアントに説明する必要があります。結局のところ、動画を使用する目的が異なるためにこのような問題が起きるのです。

映像翻訳は、作品そのものを取り扱っています。映画なら作品それ自体が一人歩きしていきます。
ですからきっちりと訳文を作り、自分たちの手を離れても誤解を生むことなく「伝わる」ものではなくてはなりません。また観客の解釈に委ねるという部分も大きいでしょう。

そのため、字幕もナレーションも同じ機能を持たなくてはなりません。

一方で、一般企業の動画は、あくまでコミュニケーションツールです。この動画そのものを販売するのではなく(そういうケースもあるかもしれませんが)、商品や製品を販売するための、または社員に大切なメッセージを伝えるための補助的なツールです。
つまり、クライアントの「ニーズありき」になるため、毎回求められる仕様もバラバラになります。

そして目的が違っていればやり方も変わりますし、リソースもプロセスも変わります。

目的を失わずに字幕翻訳を行い、字幕翻訳を行うことが大切です。

  • 映像翻訳、映画の翻訳レベルの品質を求めるのか(映像翻訳としての字幕翻訳なのか)
  • 動画を活用できるレベルの翻訳を求めるのか(産業翻訳としての字幕翻訳なのか)

これによって発注先も翻訳者リソースも変わります。大切なのは「何のためにそれをするのか」という目的を失わないことです。やみくもに映画っぽさを求めるのではなく、目的をもった動画の制作や動画の編集、字幕翻訳などを行うべきではないでしょうか。

なお、弊社ではこれまで述べてきたことをしっかりと説明し、ご理解いただいた上でご発注をいただいております。

  • 字幕翻訳プラン 制作実績

https://www.trivector.co.jp/movie/result

誤解されがちですが、産業翻訳の翻訳品質が映像翻訳より劣るとか、またはその逆があるということはありません。単純比較できないものだからこそ、お客様が勘違いされたりするので、私たちのしっかりとした説明が必要なのです。

※本記事はあくまで現時点での見解であり、ご自身の責任においてご理解ください。

翻訳・通訳・ローカライズ全般のお問い合わせ

160508-www-bnr_03


翻訳の功と罪

世の中に存在する多くの翻訳サービスから、どれを選択するか

いまや翻訳サービスは、翻訳会社だけが行なうものではありません。IT 企業が自動翻訳(機械翻訳)を開発したり、子会社を作って翻訳サービスに参入したり、外に目を向ければ、中国やインドなどの低価格の外資系ローカライザーが群れを成しています。

さらに機械翻訳の世界は日々進化しており、ちょっとした翻訳はそれで済んでしまうこともあります。Google のディープラーニング(AI)技術によって翻訳の精度が飛躍的に高まったのも記憶に新しいところです。

また学校教育や子供の頃からの教育によって英語をはじめとした母国語以外の言語スキルがアップすることで、翻訳そのもののニーズがなくなってしまうということも起きています。

そして、その波は今後もとどまることを知らないでしょう。

ナレッジベースの「機械翻訳(自動翻訳)と翻訳支援ツール」にも記載していますが、Google 翻訳をはじめとした機械翻訳は精度があがり、SDL TRADOS(トラドス)をはじめとした翻訳支援ツールはバージョンアップを繰り返しています。

このように「人の手による翻訳」以外にも多くのサービスが乱立している世界から、「自社にあったものはどれか?」を選択するのは、容易なことではありません。

list

翻訳業界の変化

このように、あちこちから変化が起きている翻訳業界ではありますが、それはお客様側から見たとき、「選択肢が多すぎる」という状況とも呼ぶことができます。

そして、結果として「どれにすればいいのか分からない」という事態に陥ってしまうこともあります。それだけドラスティックに変化しているのが翻訳業界なのです。

翻訳には、資格が不要です。明日から「翻訳者をやります」といえば出来てしまう世界です。だからこそさまざまなサービスが生まれては消えていきます。

クライアントとしてどこに発注するのかは、今後も重要な判断を迫られる

弊社にお問い合わせいただくお客様にもいくつか種類があります。

  1.  純粋に専門性の高い翻訳サービスを探しているお客様(良いものを作りたいお客様)
  2.  翻訳以外の色々と手間のかかることも全部任せたいと考えているお客様
  3.  とにかく急いでいるお客様
  4.  金額の安さのみで探しているお客様
  5.  下請けとして探しているお客様(翻訳会社)

 

弊社の定義する「お客様」は、1と2(まれに3)のみです。

これは前回のアンケートにもあったように、弊社のお客様に限っては「金額、品質、納期、対応」の4つのバランスを考慮し、ご検討いただいた上でご発注いただいているからです。

ご相談内容から分かる「失敗しない翻訳サービス」とは

それ以外のお客様は、弊社の定義するお客様ではないため、仮に受注してお渡しできたとしても、クレームになったりトラブルになったりすることがあります。

十分な設計や準備なしに「お客様のご希望されるレベル」でいいものを作ることはできません。

こういったことを考えると、結果としてお互いに不幸になってしまったり、結果として余計に時間を喰ってしまったといういことになりかねません。

しかしこれはお客様が悪いのでしょうか?その答えは、NO です。その理由を説明いたします。

翻訳業界を衰退させる参入方法

どの業界も同様ですが、商品やサービスが「コモディティ化」し始めると、それらは衰退していきます。

例えば、これまで述べてきたように翻訳業界はいくつかの要素が重なり合っています。

  •  翻訳サービス経験のない企業の参入による「翻訳の理解不足によるサービスの低下」
  •  過度なグローバル化(海外ローカライズベンダーの価格の安さ、品質は不明)
  •  機械翻訳による価格破壊(ある一定層に対して)
  •  上記に影響されるため、翻訳会社の単価の下落および翻訳者への価格の圧力、そして品質の低下

何処にでも起きていることで翻訳業界だけの話ではありません。上記の流れは、ある意味ごく自然なことと言えます。

本質的な問題は上記ではなく、お客様がこの状況下において最適な選択肢を選ぶための「正しい判断基準がない」ということです。

「正しい判断基準」がないというのはどういうことか

「正しい判断基準」がないというのは、以下のような例が挙げられます。

  • マニュアルでもカタログでも契約書でもなんでも「とにかくコストを下げる」という理由で翻訳支援ツールを使う(コンテキスト=文脈などが無視され、読みやすさが失われることがある)
  • 誰が読むのか、対象読者など想定せずにドキュメントの性質を無視して翻訳を行なう
  • 自社にとっての「良い品質」がどういうものかが明確でないため、分かりやすい「価格」だけ面で翻訳会社や翻訳サービスを選んでしまう

翻訳、ローカライズの品質とは

 

このような基準で選んでしまった場合、想定していたものとは違った翻訳品質になってしまう可能性が高いです。

そして、毎回同じように発注することで、どんどん不満が増えていくことになります。

誤解されるかもしれませんが、これは「お客様が悪い」のではなく「翻訳業界が悪い」のだと考えます。

賛否両論ありますが、「自分たちの仕事は専門性が高く、高度な仕事なのだ」という価値観から、昔ながらの「翻訳家の先生」といった風潮が残っていることは完全に否定できません。(今はほとんど見かけなくなりましたが)

それは作り手のプライドであり、失ってはならないものですが、しかし一方でそれだけではいけないというのも事実です。

専門性の高い仕事であれば、そこに対してのフィーはもちろん正当でなければなりません。しかし、それをお客様に理解してもらうには、その理由をしっかりと「説明する責任」もまたあるのではないでしょうか。

翻訳はたしかに「職人的な世界」ではありますが、ある種、そこにとどまってしまった時代があったからこそ、IT企業の翻訳サービスやクラウドサービス、機械翻訳などが入る余地があったのではないでしょうか。

いや、とどまらなかったとしてもこれらのサービスは参入したでしょう。しかし、その参入の仕方は少し違っていたのではないかと思います。

安さだけで参入できる業界は、それを意識しすぎてしまうと、自分たちの存在価値を見失ってしまいます。当たり前の話です。

自分たちが、「翻訳という仕事を通じて何を伝えていきたいのか」を考えたとき、その「想い」を捨ててしまうと価格競争に巻き込まれたり、仕事が取れなくなるため、自ら「専門性の高い」はずの「翻訳の価値」を下げてしまっているのだと思います。

そしてそれは結果として、市場のコモディティ化を生み出し、お客様側も正しい判断基準を持つことができずに金額のみで判断したり・・・というスパイラルを作っているのではないでしょうか。

大切なのは「翻訳の基準」を作ることであり、翻訳業界全体の「ものさし」を持つことこそ、これからさらに迫りくる機械翻訳や翻訳支援ツールの進歩、海外ベンダーとの競争、そしてお客様の多様な判断基準や求める品質に光を当てることではないでしょうか。

翻訳や通訳は、世界に橋を架けるための大変素晴らしいコミュニケーションツールです。

海外にしかないドキュメントを英語の読めない日本人に紹介し、その書物を読んだ読者に感動や知己を得たり、日本の素晴らしい「Made in Japan」製品が海外に渡り、海外ユーザーが満足し、生活が豊かになるのは、翻訳をはじめとしたコミュニケーションサービスがなければ起きないものです。

だからこそ、その思いをしっかりとお客様に説明し、ご理解いただき、ドキュメントの用途やお客様の諸条件とつき合わせ、ビジネスとしてきちんと推進することが本当に大切なことではないかと考えています。

コミュニケーションを提供する企業が、お客様とのコミュニケーションを端折ったり、怠ったりしてはならないのです。

しっかりコミュニケーションをとることによって、翻訳サービスの価値を認めていただき、そのサービスをご利用いただければ、お客様だけでなく、その先のお客様にも、そして私たち翻訳会社も、そしてもちろん翻訳者も満足度が高くなるのではないでしょうか。

翻って、弊社は何が出来るのか。弊社の経営理念に基づいたコミュニケーションサービスのひとつである翻訳サービスやローカライズサービスに付加価値を与え、お客様のご満足を引き出し、より一層高いレベルへ向かうことができるのではないかと考えています。

経営理念

ミッション

翻訳・通訳・ローカライズ全般のお問い合わせ

160508-www-bnr_03


ご相談内容から分かる「失敗しない翻訳サービス」とは

お客様から弊社に寄せられる多くのご相談

弊社では、これまで延べ500社以上の外資系企業様や日本企業様とのお取引をさせていただきました。 その中で、お客様からご相談される内容というものは実に多岐に渡っています。

  • ITやエレクトロニクス、CAE 分野などで発生する大量のマニュアルの翻訳
  • ソフトウェアのローカライズ
  • 企業に必須の Web サイトのローカライズ
  • 海外市場向けの商品カタログの多言語翻訳
  • 大学や研究機関における論文やアブストラクトの翻訳
  • 法律分野での契約書の翻訳
  • 金融分野での決算報告書や短信などの翻訳
  • 環境エネルギー分野の各種報告書の翻訳
  • 美術やアート分野のプロフィールや作品プレート、解説書の翻訳
  • 翻訳後の DTP 作業や Web サイト作成や管理
  • ホワイトペーパーやデータシート、スペックシート、プレスリリースなどの翻訳
  • 動画(字幕)の翻訳や映像・動画制作
  • 導入事例の制作

ところが、その中でも共通したお悩みというのは、何年経っても不変なものもあれば、技術進歩とともに変化するものもありました。例えば、以下のようなお悩みです。

専門用語や技術用語は適切に翻訳してもらえるのか?」

「自社でローカライズを行なったが、適切な人材がいない、ノウハウもないためにどうすればいいか分からない」

「社内翻訳者だと日本人が行なうため、正しく翻訳できているかどうか分からないので品質評価できない」

「多忙のため、社員に翻訳作業を割り当てるのが難しい」

「毎回品質がバラバラで、継続的に一定の品質の翻訳を出してくれる会社がないので困っている」

「急遽、大量のマニュアルの日本語化が必要になった」

「Webサイトコンテンツの大量のローカライズ(英日)が必要だった。本社からは低価格の中国の翻訳サービス(MLV)を使うように言われていたが、品質が劣悪でその修正のために多大な人件費がかかる」

「用語集がないので品質がバラバラ。管理方法が分からない」

「いま発注している翻訳会社の品質がよくない」

「初めて依頼するとき、どこに頼めばいいのか分からない。どれも同じように見える」

 いかがでしょうか。主に品質に関連するお悩みがやはり多く、それは言い換えれば何年経っても、品質を気にしているお客様が多いということが分かります。

現在は、多くの機械翻訳サービスや安価な翻訳サービスがあります。そういうものを利用する中で、上記のような「品質や技術」に関するお悩みが多くなってきていると感じています。

そこで今回、弊社ではこれらのお客様のお悩みを体系化し、そしてそのお悩みについて弊社ではどのように解決できるのか、またどういった判断基準をもって翻訳サービスを依頼すればうまくいくのか、またそのきっかけやヒントを探るべくアンケート調査を行ないました。

アンケートから見えてくるお悩み事への解決策のひとつとして、ご参考になれば幸いです。

既存のお客様へのアンケート実施

今回、弊社では既存のお客様に対し、以下の 5つの項目においてアンケートを実施しました。

第1回目では全体の20%ほどのお客様がご回答くださいました。(有効回答率20%程度)

Q1. トライベクトルの翻訳・ローカライズサービスを利用する前にどんなことで悩んでいましたか?

  1. 翻訳の品質・技術:48%
  2. 翻訳の金額:14%
  3. 翻訳の納期:10%
  4. 翻訳の実績:10%
  5. 会社の対応:7%
  6. キャパシティ:4%
  7. その他:7%

Q1 を考察してみると圧倒的に「品質・技術」という答えが多かったのが特徴的です。

これは何を意味するのかと言えば、翻訳を依頼するのにお客様は「品質が悪ければ意味がない」と考えているということです。

また弊社へご依頼いただくお客様の約50%が、「翻訳の品質や Web サイトやソフトウェアローカライズ、DTP といった翻訳プロセスの前後に関わる技術も重視している」ということもわかります。

では品質とは何か?技術とは何でしょうか?

「良い品質とは」にも記載していますが、品質とは「お客様が求める状態」のことです。 お客様がお求めになる品質にお応えするには、綿密なコミュニケーションが欠かせません。

翻訳、ローカライズの品質とは

  • どういった訳文に仕上げたいのか?
  • ターゲットの読者は誰なのか?
  • 作業範囲は翻訳だけでいいのか?Web サイトに掲載するのか?DTP も行なうのか?
  • 参考資料はあるのか?信頼できる資料なのか?
  • 希望する納期はいつなのか?そのために何ができるのか?
  • 予算はどのくらいなのか?コストを抑える方法を考えられるのか?

このように事前にしっかりとヒアリングすることで、お客様のご発注前の不安を極限まで減らしています。

お客様がご発注前に不安だったことの一部をご紹介します。

「技術文章(セキュリティ用語)がお客様に満足いただけるレベルなのか、こちらのスケジュールに合わせることができるのかが不安でした。」(Kさま )

「アプリケーションのローカライズを自社で実施していましたが、英語に習熟した人材がおらず、翻訳結果の品質が悪いのではないかと懸念していました。」(Nさま)

「貿易実務に精通されたプロフェッショナル翻訳者を探しておりました。」(Kさま)

「社内での翻訳を行っていたが、日本人が翻訳しており、確認を行う人もいなかったため、正しく翻訳できているかわからなかった。社員に翻訳の工数を割り当てるのが難しく、翻訳自体が滞っていた。」(Kさま)

「限られた予算ながら、Webサイトコンテンツの大量のローカライズ(英日)が必要だった。本社からは低価格な中国の翻訳サービスを使うように言われていたが、品質が劣悪でその修正のために多大な人件費がかかっていた。」(Sさま)

巷に多く溢れるさまざまな翻訳・ローカライズサービスですが、機械翻訳や自動翻訳システムも、海外ローカライズベンダーによる翻訳サービスもメリットはあります。

翻訳の功と罪

機械翻訳(自動翻訳)と翻訳支援ツール

しかしながら、弊社のお客様の場合には、そのメリット以外に、「翻訳の品質」をより一層重視されていることを伺うことができました。

Q2. 何がきっかけで弊社のサービスを知りましたか?

  1. 友人・知人の紹介:39%
  2. Webサイト検索:39%
  3. 電話:9%
  4. DM:9%
  5. その他:4%

Q2 では意外な結果がわかりました。「友人、知人の紹介」が同率1位で多く、Webサイトで検索していただくお客様と同じ割合でした。 アンケートの有効回答率が20%程度でしたので、回答数が増えれば紹介の割合は下がるのかも知れません。

とはいえ、このように多くのお客様がご友人や知人の方にご紹介していただいているという事実が明白になったのは初めてのことで、弊社としても大変ありがたく、また日々の振る舞いが高く評価されているという自負を持てるようになりました。

この友人、知人の中には、グローバル企業であれば本社-支社の紹介だったり、同じ職業同士のご紹介だったり(「どこかいい翻訳会社知らない?」のような)しています。また、大学の研究室やセミナールといった場でも、学生さん同士のご紹介や先生からのお薦めの翻訳会社として、弊社をご案内いただいているという結果もありました。

どんなビジネスでもそうですが、新規顧客の獲得コストはそれ相応にかかるとされています。それよりもすでにお取引のあるお客様から「トライベクトルなら大丈夫」と自信を持ってご紹介していただけるというのは、営業戦略的にも大変有効な手段であると言えます。

もちろん、それにあぐらをかくのではなく、日々の自分たちの行動が大切であることは言うまでもありません。 また Web サイトでの検索では、やはり多くの企業と同じく、Yahoo や Bing よりも Google での検索が多いという結果が見られました。

Q3. 弊社のサービスを知ってすぐに依頼しましたか?しなかったとしたら何故ですか?

  1. すぐに依頼した:71%
  2. すぐに依頼しなかった:29%

Q3 については、お客様側のご事情(予算や原稿の確定時期など)によってバラツキが見られました。 しかし概ね1ヶ月~2ヶ月の間には結論を出して依頼するかしないかを決めているようです。やはり弊社のお客様の場合、サービスの品質を重視される方が多いので、「事前にきちんと調べて検討する」というプロセスを踏んでいらっしゃるのがよくわかります。

特に翻訳サービスの性質上、仕様や条件などを曖昧にしたままスタートしてしまうと、大抵の場合は、望むような品質にならなかったり、あとから大量に修正が発生してしまいます。

翻訳の見積もりに必要な6つのポイント

以前にこれらの経験をしているからか、もしくは組織的に準備を行なって進めることがしっかりとルール化されているかは不明ですが、翻訳という仕事に対して一定の理解を示していただき、またパートナーシップをベースにお仕事をしようというお考えをお持ちのお客様だからこそ、金額以上のパフォーマンス(翻訳の品質等)を得られるのだと推測します。

「翻訳なんて誰がやっても一緒」だが、誰もが「言葉に魂を込めている」ものを求めている

「とにかく早く、とにかく安く」という場合には(弊社でももちろん努力はしますが)翻訳者の頭数だけを増やして対応すれば、どうしてもいつものような品質を維持できない、またコスト重視の場合には、トップクラスの翻訳者をアサインする事ができなかったりするのも事実です。

このあたりは、弊社の経営理念やミッションとも密接に関わってきますが、高いリピート率をいただくのも、目の前の仕事を丁寧にこなし、お客様にしっかりとご提供しているからではないかと判断しました。

経営理念

Q4. 何が決め手となってトライベクトルに発注しましたか?

  1. 翻訳の金額:28%
  2. 会社の対応:28%
  3. 翻訳の品質・技術:21%
  4. 翻訳の納期:10%
  5. 翻訳の実績:10%
  6. その他:3%

Q4 では、他社様を含めて色々とご検討いただいた中での発注する要因です。企業でも個人でも金額というのは大変重要なファクターなので、これ自体は弊社特有のものではないと考えます。

もちろんコストダウンの努力も行なっていますし、翻訳だけのご発注なのか、その前後の工程も含めてのご発注なのか、また、他社様との相対的な比較の結果なのか(競合するのは毎回同じではない)、これだけでは真に理解することはできませんが、いずれにせよ、弊社がご提示する金額というのは、「結果的にかなりコストパフォーマンスが良い」と感じていただけるようです。(詳細については後述します)

また他社様と比較ができない弊社独自の強みとして、「対応」が挙げられています。 これはお客様のお言葉を借りれば、以下のようになります。

「とにかく、対応が早い。まるで弊社のために待機してくれていたのかと思う位。翻訳に関しては精度が高く、グロッサリの管理も良いのだと思いますが、頼めば頼む程精度が上がってくるのも良い点です。翻訳処理速度も平均以上だと思いますが、細かい要求にも対応してくれ、状況に応じた形での納品もしてくれます。」(Sさん)

「パッケージだったので、作業工程や期間が相談しながら進めやすかったです。ビデオの仕上がりにも満足でした。」(Mさん)

「価格と担当の方の営業姿勢」(Kさん)

「最初の翻訳で、迅速な対応と、期限通りに対応して頂いたこと。結果的にではありますが、費用的にも良かったです。」(Kさん)

「柔軟な対応です。最終的には御社の翻訳レベルがお客様が考えるレベルを満たしていたため、 結果的にお願いすることにはなりませんでしたが、翻訳後のお客様へ同席いただき 翻訳内容に関する表現修正のお願いについても、ご相談したところ可能だった点。」(Kさん)

「当社のようなIT分野でしかもネットワーク技術分野というかなり特化した領域で通用している言葉、ニュアンスなどを当社のブランディングと合わせつつ、表現していかねばなりません。その際感覚的な点も含めてご理解いただいている翻訳パートナーであることは心強く、それが決め手となったものと思います。」(Mさん)

「依頼内容をいま考えられる最大のパフォーマンスで対応するという姿勢だと思います。 御社は、言われたことだけを行う翻訳作業者という印象は最後まで受けませんでした。営業担当の方や翻訳担当者の方も含め、我々と一緒にお客様の案件を成功させよう!満足してもらおう!という一体感がありました。」

また弊社の導入事例でも上記と同様のコメントをいただいております。

導入事例(日本ネティーザ様):「トライベクトルは、いろいろなお願いに非常に柔軟に対応してもらえる会社です。要求に100%応えてもらえない場合でも代替案を提示してくれたりと、何とかしたいという気持ちが伝わってくるし、実際にできる範囲でベストの対応をしていただいているので大変満足しています。

導入事例(日本聖書協会様):「大きな翻訳会社さんも数多くある中、我々と規模感が合っていて、しかもこれだけの仕事をする会社というのは驚きです。我々からの問いかけにはパッと応答があるし、疑問点への回答も早いし、安心感がありました。翻訳の品質、価格、スケジュールそしてそれを統括するプロジェクト管理能力すべてにおいて付き合いやすく、満足しています。 仕事を誠実にバランスよく進めようとしているのが、よく伝わってきます。」

このように、翻訳の品質は重視しているものの、実際に弊社と取引を行なっていただく際に、もうひとつの重要な要素である「対応」が安心できる、しっかりしているというのは、目に見えない要素ではありますが、初めてご発注するお客様や漠然としたお悩みをお持ちのお客様にとっては、大変安心できるものではないかと思います。

Q5. トライベクトルにご依頼いただき、よかった点やご期待を上回っていた点などございましたら、ご記入ください。

  1. 翻訳の品質・技術:43%
  2. 会社の対応:32%
  3. 翻訳の金額:11%
  4. 翻訳の納期:7%
  5. パッケージなど:7%

Q5 についてはかなり様々なご意見をいただきました。品質についてお困りのお客様が多いため、その点については、多少なりともご満足いただけただろうかと自負しております。

またお客様の「対応が良い」というのは、仕事を進めていく上でとても大切な要素であり、高いご評価をいただきました。 翻訳料金については、他社様との相対的な比較ではありながらもリーズナブルと感じていただき、さらに翻訳の品質との兼ね合いで「全体のコストパフォーマンスが高い」という結論を出されているようです。

「相変わらずの対応の良さと、それに加え、翻訳のクオリティの良さも気に入ってます。また、翻訳以外にも色々な事をされているようで、マーケティング活動をする上で、大変助かっております。 今後もお客様からの信頼を落とさず、頑張って頂きたいと思います。」(Sさん)

「自社で行なうよりも、高品質なローカライズ作業を行なうことができました。」(Nさん)

「やはりネイティブの翻訳は上手い。チェッカーの直しも的確だと思います。また、翻訳者とチェッカーの連携がよく、いざというときに相談して進めていただけたのは非常に助かりました。」(Hさん)

「論文の翻訳を依頼しました。論文を読む側としては文章の巧拙より論理の忠実性が大事になりますが、その点について不満は全くありません。」(Fさん)

「マニュアルの翻訳ということを理解されたわかりやすい英語でよかったと感じています。」(Kさん)

「1.期待以上の翻訳の質でそのまま、使用することができました。
2.納期も契約通りで、途中経過の報告もお願いし、その都度、報告があり、安心して待っていることができ、当方で受け取った後の作業にスムーズに移管できました。」(Tさん)

「専門的で、しかも日本人が書いたつたない英文を、ほぼ意図通りに日本語化してもらえたことに少し驚いています。サービスを利用する前は、上がってきた翻訳をまた見直して結構な量の訂正が必要だろうな、と、正直思っていました。ところが、その予想は外れ、期待を大きく上回る仕上がりでした。訂正が必要な個所が無かったわけではありませんが、その作業は楽なものでした。」(Iさん)

アンケートまとめ

以上のように、今回アンケートを実施して分かったことは、弊社のお客様は決して安さだけでもなく、また品質だけでもなく、スピードだけを求めているのではないということ。 さらには、環境エネルギー分野や CAE 分野、美術、アート分野などの専門分野の高度な翻訳にとどまらず、企業のマーケティング活動(Web サイトや導入事例の制作、動画制作や字幕編集)をも含めた形でご評価いただいているということです。

  • 翻訳の品質を今以上に良くしたい
  • そうはいっても翻訳コストはできるだけ(質を落とさない程度に)抑えたい
  • 納期が気になる
  • 翻訳だけでなく、Web や印刷、マーケティング活動に関してまとめて相談にのってくれるところがほしい
  • 専門的な分野の翻訳をしてほしい

このようなお客様のご不安に対して、弊社がご提供するコミュニケーション事業の翻訳・ローカライズサービスがマッチするのではないかと思います。 つまりこれらを一言で言うなら、

と言えるのではないでしょうか。

弊社は、これからもお取引にあたり、以下のサービスをお届けすることをお約束します。

  • 「安かろう悪かろう」になる翻訳は行ないません。
  • スピードだけで品質が疎かになるような翻訳は行ないません。
  • パートナーシップに基づいて、貴社がビジネスで成功するためのコミュニケーションのお手伝いをいたします。
  • 貴社にとってより良いサービス、より良い提案があれば、積極的にご案内いたします。
  • お客様のマーケティング活動を全力でサポートし、どんなことでもご相談いただけるようになります。

いかがでしたでしょうか。今回のアンケート実施では、その取得から分析に至るプロセスで実に多くの気づきがあり、私たちも改めて自分たちの強みを自覚し、また気を引き締める思いです。

今後は皆様からいただいたお言葉を大切に、そして弊社の経営理念やコミュニケーションを大切に考えるお客様に対して、弊社の翻訳サービスをお届けしたいと思います。

翻訳サービス一覧トップ

トライベクトルの強み

翻訳・通訳・ローカライズ全般のお問い合わせ

160508-www-bnr_03