品質」タグアーカイブ

「翻訳作業前に原稿を読まないのか?」という質問

「原稿を読まないの?」という質問

以前、あるお客様に「翻訳する前に原稿読まないんですか?」と聞かれたことがあります。(実際にご発注いただく前のタイミングです)

最初はよく意味が分からなかったのですが、「翻訳する前に原稿を全部読んで、その時点で不明な点をつぶしておけば訳文の質も上がるだろう」という意図のようでした。

このコメントをいただいたとき、正直申し上げて大変驚きました。確かにこのお客様のおっしゃっていることは(品質を向上させるという点では)理解できるのですが、現実的にこれは難しいと言わざるを得ません。

そもそも、いったいどこからどこまでの作業を「翻訳」と呼べばいいのでしょうか。

翻訳作業とは何か

これはなかなか難しいのですが、そもそも、翻訳作業とはどんな作業なのでしょうか?あまりにも根本的過ぎますが、産業翻訳で言えば「原文にそって忠実に別の言語に置き換えていくこと」です。

Wikipedia:翻訳

翻訳(ほんやく)とは、Aの形で記録・表現されているものから、その意味するところに対応するBの形に翻案することである。

とあります。

ちなみに、弊社の「翻訳」という言葉の定義は以下のように定めています。

原文に忠実に、かつ原文の文意を正確および自然にターゲット言語に訳出すること

いずれにしても、翻訳という作業行為は「もともと存在する原文を使って、異なる言語に変換する作業」のことを指します。

この定義が共有されていれば、冒頭の「原稿を全部作業前に読まないのか?」という質問は現実的にかなり無理があることが理解できるでしょう。しかし共有されていない場合には、こういった発言が出てしまうのかもしれません。(実際今回は起きてしまったので定義の共有ができていなかった弊社にも落ち度はある)

翻訳作業前に原文を読むことができない、いくつかの理由

確かにこのお客様のおっしゃるとおり、「翻訳作業前にすべての原稿に目を通して疑問点を潰して質問し、説明を受けて作業を進める」ことができれば翻訳作業はスムースになると思われます。

ただ残念ながら現実的には難しいと言わざるを得ません。理由はいくつかあります。

理由①:原文自体の信頼性はお客様が確保するもの

この「原文すべてに目を通してほしい」という意図の中には、「原文が間違っているかもしれないからそれを読んで見つけてほしい」ということも含まれているようです。

そもそも原文の精度はお客様側で担保するものですから、そのミスを発見することを弊社で対応することは実質不可能でしょう。

理由②:原文を読む時間、質疑応答の時間とコストは誰が負担するのか

またコストと時間という点からも、非現実的と言わざるを得ません。弊社では信頼できる翻訳者さんをはじめとしたパートナーとともに仕事をしているため、すべてタダで作業することはできませんし、それを強制することもできません。そもそも売れっ子の翻訳者さんにはそんな時間はどこにもありません。また弊社内でもそのための作業をする時間はありません。

理由③:原文の分量が多い場合には、それだけで莫大な時間とコストがかかる

翻訳会社は、少量のものも大量のものも扱っています。そして、どんなドキュメントを翻訳するのかは実際の翻訳対象原稿を受け取ってみないと分かりません。

分量も内容も分からず、かつご発注すらいただいていないドキュメントを確認する必要性はありません。

このように、いくつもの理由が考えられますが、産業翻訳というジャンルで、納期も予算も制限されている中で「原文を全部読む」というのは現実的には不可能です。

その分のコストも、時間もお客様側で保証していただけるなら可能だと思いますが、それこそおかしな話で、お客様側でそこにコストをかけることはあり得ないでしょう。

それよりも、次にご紹介するように原文のレベルを上げてしまうのが最も簡単です。そしてそれはお客様ご自身でできることでもあるのです。

原文の質を向上させる方法

原文の品質を向上させる場合、以下のような方法があります。

方法①:原文をブラッシュアップさせる方法を最初から盛り込んでおく(ライターなどに依頼するのも手)

きちんとプロのテクニカルライターやコピーライター、編集者などをアサインし、翻訳も想定に入れて制作されることをお薦めします。

例えば、日本語原稿で考えるなら、日本語の場合の言い回しは多様ですのでそのドキュメントの持つ性質や目的、対象読者を想定して作成することで、すっきりとした原文を作ることができます。

文章校正や文法などがクリアな文章は、翻訳しやすいため品質も安定します。

方法②:用語やスタイル、TMなど、(信頼性の高い)流用できるものを準備する

参考資料がバラバラに沢山存在するのは困りますが、たったひとつでも信頼できる参考資料があれば翻訳作業時に大変助かります。

翻訳に役に立つ参考資料とは

方法③:誤解を与えるような文章をはじめから作らない

完成度の低い原文を使って翻訳しなければならない場合、品質向上はあり得ません。翻訳はあくまで翻訳であり、原文とは主従関係にあるため、訳文は原文以上の品質にはなりません。

仮に原文を飛び越えて翻訳してしまった場合、それらが合っている保証はないため、「誤訳、訳抜け」と言われてしまう可能性も高いでしょう。

まとめ

このように「原文の品質」をしっかり高めておくことが、読者への最大の配慮であり、ユーザビリティの向上であり、Web なら検索上位に表示される分かりやすい文章であり、翻訳しても誤解を招くことのない文章になるのではないでしょうか。

何でも「準備が7割」と言われますが、翻訳作業をはじめから想定しているなら、原文の準備(レベルやトーン&マナー、表記統一など)は、お客様側で行うのが最も効率が良くなります。

少なくとも「作業前に原文を全部読んでほしい」というリクエストにならないのは確かでしょう。

ぜひ原文のレベルを引き上げ、翻訳会社への依頼をしていただければ、翻訳会社としても良い意味でのプレッシャーになりますし、翻訳者としても真剣に取り組むベき原稿になると思います。


バックトランスレーション(逆翻訳)のメリットとデメリット

機械翻訳、ポストエディット、翻訳支援ツール、多くの MLV(マルチランゲージベンダー)やクラウド翻訳など、翻訳サービスには様々な形態が存在します。

翻訳の功と罪

 

そんな中、「バックトランスレーション」という手法があるのはあまり知られていません。日本語にすると「逆翻訳」と呼ばれます。(これに対し、通常の翻訳を「順翻訳」と呼ぶこともあります)

この「バックトランスレーション」というものは、いったいどういうものなのか、そしてメリット、デメリットや利用する際の判断基準について解説します。

バックトランスレーションとは何か

バックトランスレーションは、上述のように「逆翻訳」と言われますが、具体的には一度翻訳したものを使って、元の言語に翻訳しなおす作業のことを指します。

例えば、日本語から英語に翻訳する際、その訳文(英語)が原文(日本語)の意味をきちんととらえて翻訳されているかどうかを検証するために、訳文(英語)を日本語に翻訳します。

この訳文(英語)から原文(日本語)への翻訳プロセスをバックトランスレーションと言います。

バックトランスレーションの意味と目的

バックトランスレーションの意味や意義、その目的は何なのかを知っておく必要があります。この手法自体、翻訳プロジェクト、ローカライズプロジェクトの中でどういう位置づけのものかを把握する必要があります。

バックトランスレーションの目的は 3つほど挙げられます。

  • 訳文の正確性を確認するため
  • ターゲット言語が分からない場合のチェックやレビューのため
  • 翻訳としての妥当性、好みなどの恣意的なものかの見極めを行うため

それぞれ解説します。

バックトランスレーションの目的①:翻訳の正確性

翻訳の正確性を確認するためにバックトランスレーションを行うというのは、どういう意味でしょうか。これはつまり「日本語の単語が正しい英単語に置き換わっているか」という確認です。

また、(あえて挙げるなら)文法的にも「主語+目的語+述語」という日本語ならば、「主語+述語+目的語」という文法構造で英語が成立しているかどうかということでしょう。

バックトランスレーションの目的②:ターゲット言語でのチェックができない

例えば、日本語から中国語へ翻訳したケースがあるとします。発注した企業は、これを使ってビジネスを展開する訳ですが、翻訳会社から納品された中国語の訳文のチェックが社内で行うことができない場合、一度日本語に逆翻訳して、きちんと翻訳されているかどうかを確認するために使用されます。

バックトランスレーションの目的③:訳文の妥当性や好みなどの恣意性の見極め

①と重複しますが、こういう目的でバックトランスレーションを行うケースもあります。納品された訳文が妥当なものであるかということを検証しようとするわけですが、文章には「好み」があります。実際のところ、これらはバックトランスレーションをしても確認することはできません。あくまで翻訳後の言語の文章として好きか嫌いかという話だからです。

このように、一言でいえば、訳文としての「違和感」があるかどうかということを、バックトランスレーションによって見極めようとしているわけです。

しかし、残念ながらこれらはあまりうまく行きません。

バックトランスレーションのメリットとデメリット

ではなぜうまく行かないのでしょうか?

実は、厳密にはすべてがうまく行かないのではなく、上手く行くものとそうでないものが混在すると言えます。

バックトランスレーションのメリット

上述のように、様々な目的をもってバックトランスレーションを行う訳ですが、この中で上手く行くのは論文など専門性の高いドキュメントに限定されるでしょう。

「A という単語が B という訳語に正確に翻訳されているのか」を確認するために行なうためのバックトランスレーションは有効だと言えます。

バックトランスレーションのデメリット

しかし「ちゃんと翻訳されているかどうか」といった、(どちらかというと)表現力をお求めになる場合には、バックトランスレーションは不向きでしょう。Web サイトやプレスリリース等をバックトランスレーションしたところで恐らくほとんど意味はありません。

仮に、日本語→英語→日本語 というプロセスを辿った場合でも、実際に使用するのは英語であって、英語として自然なものか、意味が通る訳文かどうかを判断できないと意味がありません。

「日本語では大丈夫だった」という事実は、イコール「英語として大丈夫」ということにはならないからです。

また、言語によってもバックトランスレーション自体が意味を成さないケースもあります。韓国語のような表音文字などは、その文字自体に意味を持っていないため、バックトランスレーションをしてもほとんど意味がありません。

そういった点からも、第一義的には翻訳後の言語がターゲット言語なのですから、そのターゲット言語として訳文を評価、検証すべきでしょう。

バックトランスレーション使用時の注意点

これまで述べてきたように、バックトランスレーションの使い方は限定的とはいえ、その判断基準を持って行うことである一定の結果を得ることができます。その基準とは、「効果の出るドキュメントと効果の出ないドキュメントを理解する」ことです。

例えば、論文や特許書類など、単語の正確性が極端に求められる場合には、バックトランスレーションは有効です。決まった用語を使用なければ、ドキュメントの正確性が問われてしまうような場合などは、バックトランスレーションを使用することができます。

そういった基準を持たずに、どんなドキュメントでもバックトランスレーションをすることは、現場の混乱を招くばかりか、今後は「バックトランスレーションをしてもクレームにならない訳文を作る」ことが目的となり、逐語訳や直訳的な文章が増えてしまうかもしれません。その訳文が使われる場所や、対象読者のことが置いてけぼりになれば、伝えたいことも伝わりません。

まとめ

これまで述べてきましたが、バックトランスレーション自体を否定するものではありません。しかし、残念ながら限定的な使い方しかできないのもまた事実です。

そしてもしビジネスにおいて「正確な訳文を」「伝わる訳文を」と考えるのであれば、バックトランスレーションの前に以下の点に注意することがより有効だと思われます。

・バックトランスレーションする時間を取るより、その時間をしっかり最初の翻訳作業にあてる

・品質を気にするなら専門用語集やスタイル、事前のトレーニング、研修などを開催する

用語集構築・運用

・翻訳後にネイティブチェックのプロセスを増やす

定額ネイティブチェックプラン

いかがでしょうか。

バックトランスレーションを行う際には、これらの点を含めて正しい判断基準をもって行うようにしましょう。


登録翻訳者の人数が多ければ良い翻訳会社なのか

お客様から時折、以下のようなお話をお伺いします。

「A 社さんは、翻訳者が1万人もいるんだって」

「B 社さんは、全部で翻訳者 5万人もいるって書いてあるよ」

このようなお話をお聞きするたびに、毎回ご説明を差し上げておりますが、今回はこのテーマについて考えてみたいと思います。

多くの翻訳会社がフリーランス翻訳者の登録で成り立っている

まずはじめに、多くの翻訳会社は、フリーランス翻訳者を登録することによって実際の翻訳作業を賄っています。稀に社内翻訳者を抱えることで、社内で翻訳作業を行なっているケースもあります。彼らは「インハウストランスレーター」と呼ばれたりもします。

翻訳会社から見た場合、社外の登録翻訳者のコントロール、いわゆる「リソースマネジメント」がとても重要になります。

これは翻訳業界だけではなく、制作会社ならフリーのエンジニアやデザイナー、出版社ならライターといった職種と共通事項がありますので、何も特別なことではありません。

繰り返しになりますが、このように、多くの翻訳会社はフリーランスの翻訳者に登録してもらうことによって、クライアントから依頼された実際の翻訳作業をこなすことができます。

また翻訳業界全体や翻訳会社の基本的な機能については以下の記事をご覧ください。

翻訳業界と翻訳会社

フリーランス翻訳者として必要なもの

さて、今度は翻訳者の立場から考えてみましょう。

「フリーランスとして生きていく」という選択をした場合、翻訳作業だけでなく翻訳会社への営業やマーケティングも必要です。またコスト管理も外せません。確定申告なども年に1回発生しますから、経費精算など日々の地味な作業も発生します。

また「自分」を商品として考えた時に、「誰に対して、いくらで、何を、どのくらい売るのか」ということを様々な角度から検証していかなくてはなりません。

これも翻訳者だけが特別なのではなく、フリーランス全般に言えることなので、特に珍しいことではありません。むしろ誰もが理解していることです。(理解していなければフリーランスは向かないでしょう)

これらは自分を1つの「会社」として考えれば、すべて必要なことです。そしてこの「責任」があるからこそ、それと同等の「自由」があると言えます。

フリーランス翻訳者は 1社のみ取引をするのか、複数社との取引なのか

この自由と責任が一体となっているフリーランスですが、本テーマに沿って考えていくと、フリーランス翻訳者にとっては特定の翻訳会社とだけ付き合っていく方がいいのか、もしくは複数社と付き合っていけばいいのかという疑問が浮上します。

こちらは、正解はありません。

なぜなら個々人のフリーランスとしての矜持や価値観、フリーランスとしてのそれぞれの戦略、方向性によって答えは変わってくるためです。結局のところ、自分が思うようにやるしかないのであり、そこにも自由と責任があります。

しかしながら、一般論として論じるのであれば、複数の翻訳会社と取引や口座を持っておく方が毎月の売上(収入)のリスクヘッジにはなります。逆に、年間契約のように1社専属で取引ができる状態で、かつそれがずっと継続する保証があるなら、登録するのは1社だけで問題ありません。

とはいえ、万物は流転します。この世に変化がないものはありません。企業は生き物である以上、必ず良い時も悪い時もあります。そう捉えた時には、やはり複数の翻訳会社に登録しておくことで、A 社から仕事がないときには、B社でフォローするというのは通常の考え方ではないかと思われます。

※ここでは「フリーランス翻訳者としてどう振る舞うのか」がテーマではないので詳細は割愛します。

つまりここから分かることは、(一般的に)フリーランス翻訳者は複数の翻訳会社と取引をしている実態が間違いなく存在するということです。

もし「登録翻訳者 100万人」と「登録翻訳者 100人」という翻訳会社があるとすれば、どちらが良い翻訳会社なのか?

さて、この事実を直視し、冒頭のフレーズに戻ります。

例えば、これは極端な例ですが「弊社は翻訳者が100万人います」と言うのと、「弊社は翻訳者が100人います」という言葉では、実際の業務にどのくらいの違いがあるのでしょうか?

そして、一体どちらが良い翻訳会社なのでしょうか?

もちろん単純に「数」という点で考えれば、100万人の登録翻訳者がいる翻訳会社の方が良いのでしょう。ただこれは完全に片手落ちの状態です。

なぜなら「100万人の翻訳者に常時仕事を発注しているわけではない」からです。100万人のうち、その案件に見合った人、クライアントの指名の人、継続案件の人など、仕事にも様々な状態があるからです。

仮に、まんべんなく100万人分の仕事を継続して発注できる/しているという翻訳会社があるとすれば、それはかなり優秀だと言えますし、もしかしたら、そういう会社も世界を見渡せばあるのかもしれません。

とはいえ、翻訳産業は 100% 受注産業です。そのため、まず初めにニーズが発生しなければ、翻訳の仕事のオーダーはありません。ということは、クライアントの市場規模や趨勢、世の中の流れなどによって常に翻訳ニーズは変動しているということです。多い時もあれば少ない時もあるはずです。

これを裏付けるものとして、「登録はしたけれど、仕事の連絡はない」ということもあるでしょう。しかし実は、これは「翻訳会社とフリーランス翻訳者」だけでなく「1次翻訳会社と下請の翻訳会社」という関係でも同じことが起きています。

大元の翻訳会社からすれば、「(受注産業なので)いつ大型案件が発生するか分からない。だから翻訳会社の登録だけ増やして済ませておきたい」という判断でしょう。ビジネスとしては当然のことです。

そしてこの構図がフリーランスの翻訳者に対してもあてはまるのは何ら不思議ではありません。

また、どんな仕事でも同じですが、同じやり方で何年も仕事を続けられるような甘い世界はありません。常に改善し効率を上げていかなければならないのです。職人の世界でさえ、いえ、職人の世界だからこそ、外側からは目に見えない小さな変化や改善を加えているのです。

逆に言えば、これら大小の変化がテクノロジーの発展やイノベーションを支えているわけであり、より良い世界の実現へ向かう原動力とも言えます。

翻訳業界でいえば、AI を代表とする機械翻訳、MLV などのグローバル企業の参入など驚くほどのスピードで様々なビジネスモデルとテクノロジーが参入しています。

※様々な参入者、そして今後翻訳サービスはどうなるのかについて以下の記事をご覧ください。

翻訳の功と罪

マクロ的視点でもミクロ的な視点でも、変化は常に起きています。それを忘れてはなりません。

こう考えていくと、本当の意味で、「100万人の登録翻訳者のいる翻訳会社」と「100人の登録翻訳者のいる翻訳会社」とではどちらが良い翻訳会社なのでしょうか?

一概に、100万人のフリーランス翻訳者がいる会社とは言い切れなくなってくるのではないでしょうか。

結局、身の丈に合ったビジネスしかできない

そうなると、大切なのは登録人数ではありません。

発注側として、もし人数で判断しなければならないのであれば、登録されている翻訳者のうち「週ごと、月ごとなどでどのくらいの人数が実際に稼働しているのか」を確認したほうがよいでしょう。

これは翻訳会社側としての方針となりますが、結局、どれだけ大きく見せようとしても、実態がかい離してしまうとあまり説得力が無くなってしまうわけで、身の丈に合った形で、少しずつでもきちんと登録翻訳者を増やし、得意分野を伸ばしていくしかありません。そしてそれはとても地道ですが、一番の近道であると言えるでしょう。

もちろん現在大手と呼ばれる翻訳会社は、こういうプロセスをコツコツと大胆に進めてきたからこそ、今の形になっていると推測しますし、翻って弊社も見習っていかなくてはなりません。

まとめ

いかがでしょうか。実際のところ、どの産業でも戦略上、数で勝負しなければならないステージは存在しますし、ある一定の数を超えていなければ、勝負にすらならない(土俵に上がることもできない)という事実も一方であります。

また「沢山いる/あることはイイことだ」という、ある種の固定概念に縛られてしまっているケースもあります。「どんなに実力があっても数人ではこなせない」という仕事もあるでしょう。ですから、すべてがこうだとは言いにくいのですが、今回のテーマに限っては、翻訳会社が単純に「数」だけを全面に押し出してくるケースがあること、また発注側としてはそれをそのまま真に受けてしまうことにはリスクが伴うということです。

「質と量のバランス」こそが最も大切なのだと言えるでしょう。

Podcast「プロフェッショナル翻訳者への道」

弊社では「プロフェッショナル翻訳者への道」というPodcast 番組を配信しております。

フリーランス翻訳者として、また翻訳者にこれからなりたいという方のための番組で毎回様々な切り口でお届けしております。ご興味がございましたらぜひご登録ください。


なぜ翻訳するのか?

なぜ翻訳するのか?

「なぜ翻訳やローカライズを行うのか?」その本質とは

貴社では、マニュアル翻訳や Web サイトローカライズ、カタログや日々のプレスリリースをなぜ翻訳するのでしょうか。
弊社ではこの問いに対しての答えを常に真剣に考えつづけています。それは、翻訳やローカライズの必要性に対しての本質を掴むことができるからです。

「なぜ翻訳やローカライズを行うのか?」という問いに対する答えを考えるとしたら、それはどんな答えになるのでしょうか。一例を挙げて考えてみましょう。

例えば、外資系企業が日本のマーケットでビジネスを展開する際、多くの会社がマニュアルやカタログなどのドキュメント類の翻訳や Web サイトローカライズ(ホームページ翻訳)を行います。

そして最も身近な日本市場の場合を考えると、「なぜ翻訳やローカライズを行うのか?」に対する答えとして出てくるのは、『日本人は日本語が好きだから』ではないでしょうか。

もちろん、日本市場でも英語やその他の言語でも通じないことはありませんが、それを正しく理解する日本人はそう多くはないでしょうし、そもそも日本語版があればそれを読みたいと思うのが日本人の心情です。

つまり、『日本人は日本語が読みたい』と思っています。

これは恐らく紛れも無い事実であり、だからこそ、外資系企業は時間とお金をかけてマニュアルを日本語に翻訳したり、カタログを翻訳したり、Web サイトをローカライズしたり、ソフトウェアをローカライズする必要があるわけです。

そしてそうしなければ、製品やサービスが売れないという現実もあります。

日本人は無意識に『日本語を読みたい』と思っています。普段はあまり意識していませんが、だからこそ無意識に感じていることの証明です。

エンジニアや研究者などの専門職の場合には、原文を直接読むことが多いかも知れません。ただしそれはマーケット全体から見ればほんの一部の人であり、圧倒的大多数の日本人は、母国語である日本語を好み、日本語を読みます。

上記の理由により、日本語に翻訳することは貴社のマニュアルやカタログ、Web サイトを読者やユーザが読む可能性を高めてくれるということになります。

しかしここで注意しなくてはならないのは、読み手に対し、確実に正確に伝わらなければ逆効果であるということです。

「せっかく翻訳したのに日本語を読んでも意味が分からず、結局は時間とお金の無駄になり、原文を読むほうが早かった」というご経験をされたお客様も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

このように本末転倒にならないように、高い品質を維持しながら母国語に翻訳、ローカライズを行うことで、貴社ビジネスを市場に浸透、拡大させていくことが可能となります。

特に近年では、「読み手にしっかり伝わる翻訳をしてほしい」というニーズが高まっており、マーケティング翻訳やクリエイティブ翻訳という領域のお仕事が発生しています。

マーケティング担当者に必須の「マーケティング翻訳」とは

 

つまり、『日本語を読みたい』というニーズだけを満たすのではなく、ユーザの『分かりやすい日本語、伝わる日本語を読みたい』という隠れたニーズまでを汲み取った上で、翻訳やローカライズを行う必要があるわけです。

戦略的側面からの考察

一方、戦略的側面から考えると、A 社と B 社製品が競合している場合、A 社の製品マニュアルは日本語に翻訳され、かたや B 社の製品マニュアルが原文のママ(この場合は日本語以外の言語)という状況から比較すれば、読み手が心理的抵抗がなく手にとって読めるのは、A 社のドキュメントではないでしょうか。(エンジニアや研究者も英語は読めるけれどできれば日本語がいいと思っているからです)

このケースで考えた場合、競合他社に勝つためには、RFP や RFI 記入を含め、マニュアル翻訳を行って日本語版を作成しておくことが必須条件となってくるということです。

トライベクトルの翻訳・ローカライズ サービス

前述のように弊社では、「なぜ翻訳するのか」というコンセプトをしっかりと捉えた上で貴社ビジネスをサポートするための翻訳・ローカライズサービスを取り揃えております。

・なぜ翻訳やローカライズを行うのか、本質を捉えた上での包括的ソリューション

・質の高い(=分かりやすい、伝わりやすい)翻訳であること

・コストとしての翻訳ではなく、プロフィットとしての翻訳・ローカライズサービスであること

この機会に、「なぜ翻訳やローカライズを行うのか?」を改めて考えてみてはいかがでしょうか。
きっとその答えは、

・「意味が通っていなくても日本語になっていればいい」

・「安ければ品質は気にしないし、それで構わない」

とはならないのではないでしょうか。

※本コンテンツは、弊社発行の顧客向けメールマガジンである、トラベクマガジン上で大きな反響を呼んだテーマです。ご興味のある方は、弊社トラベクマガジンにご登録ください。

トライベクトルの本質を求める翻訳、ローカライズサービスについて

トライベクトルでは、上記のように本当の意味での翻訳やローカライズというのはどういったものかを常に考え、実行しております。常に進化する翻訳会社でありたいという思いのもとに、貴社にとって最適な翻訳、ローカライズをご提供するべく努力を続けております。


翻訳、ローカライズの品質とは

翻訳・ローカライズの品質とは

翻訳やローカライズの品質についての考察

翻訳、ローカライズというビジネスに限らず、「品質」は非常に重要な要素です。 品質が最重要要素となるビジネスが多く存在するのはその証明です。 一般的にビジネスでは、あらゆるサービス、製品には、品質、納期、価格がそれぞれ存在し、この 3 つのバランスによって結果や成果に影響を与えます。

たとえば価格が安ければ品質もそれなりのものになりますし、時間を急ぐものであれば価格が少し高めだったりします。これは原因と結果の法則があるのです。納期や価格は、業種や分野によって明確な基準を持っています。

では、残りの 1 つの要素である「品質」とは一体何でしょうか?

そして、どうすればその「品質」を理解し、活用することができるのでしょうか?

まず最初に品質を定義するためには、貴社にとっての「品質とは何か」を考える必要があります。 「品質」という言葉の持つ本質を理解せずにビジネスを進めるのはあまりにもリスキーです。そして、品質とは次の1文で説明することができます。

品質とは、お客様が「望んでいるとおりのものを得る状態」です。

つまり、お客様が「こういうものが欲しかったんだ」と感じることが出来れば、それは結果として「品質が良い」ということになります。そしてお客様が結果を手にする前に、この品質を事前にコントロールすることでこの状態を得ることができれば、必ず満足を得られるでしょう。

弊社の翻訳、ローカライズ サービスでは、「無料翻訳トライアル」というサービスがあります。無料で少量の翻訳を行い、その訳文を評価しご納得していただいた上でご発注をしていただくという仕組みです。

このステップを飛ばしてしまい、期待通りの訳文を得られなかった場合、結局のところ損をするのはお客様ご自身です。さらに悪い事に、期待を裏切られるだけでなくリカバリもしなければなりません。このような事態に陥る前に、しっかりと翻訳やローカライズサービスの品質について考え、そして定義づけしておきましょう。

そのためには、

・「翻訳、ローカライズの品質」の定義づけ

・「翻訳、ローカライズの品質に満足するためのコントロール」

の 2 つのポイントを理解する必要がありますが、一旦理解してしまえば、後は簡単です。このポイントを抑え、実行可能な翻訳会社やベンダーと手を組み、協力すれば良いのです。

貴社のサポーターである、きめ細やかで確実な翻訳品質を提供できる翻訳会社やベンダーを探すことができれば、長期にわたって満足行く結果を得られる状態を作り出すのは容易なことです。

さらに付け加えるとすれば、翻訳・ローカライズ サービスの品質とは訳文が素晴らしいだけにとどまりません。
営業の対応、不在時の応答、レスポンスのスピード、お客様の発注後の不安までも解消する説明とアフターフォローなども含まれます。現在の翻訳・ローカライズサービス業においては、これらはより重要なポイントとなります。

これらのポイントは各企業の教育方針や理念に深く関係しており、企業としての姿勢や考え方、さらには将来に渡るビジョンを確立している会社でなければ、満足のいく品質を提供するのは困難であると言えます。一個人で努力すれば何とかなるという時代ではないからです。

貴社にとっての「品質」とは何か、もう一度考えてみる機会を設けてはいかがでしょうか。

トライベクトルの翻訳・ローカライズ サービス

弊社では、上記の観点から常に「翻訳やローカライズの品質」を考え続け、貴社にとって最適なご提案をしております。
弊社の翻訳、ローカライズ サービスについては、 お気軽にお問い合わせよりご連絡下さい。


いま、求められる翻訳、ローカライズサービスとは

いま、求められる翻訳、ローカライズサービスとは

いま、求められる翻訳、ローカライズ(日本語化/多言語化)サービスとは

翻訳会社や翻訳エージェント、ローカライズベンダーが溢れる中、貴社にとって最適な翻訳会社を選ぶことはもちろん重要ですが、最近ではそれだけでは通用しないようになってきています。
そこでこの機会に真の翻訳・ローカライズ サービスとはどういうものなのか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

学習能力を持つ翻訳会社、翻訳エージェント

今までの翻訳(産業翻訳)の定義では、

「翻訳とは、原文に忠実に翻訳すること」

というルールを持っていましたが、最近ではそれに加えてプラスアルファとしての付加価値を求めるお客様が多くなってきています。

例えば、英語から日本語への翻訳やローカライズの場合で考えてみると

・日本語訳だけを読んで、日本語のドキュメントとしてきちんと成立しているかどうか

・繰り返し仕事をしていく中で、お客様ごとにフィットした翻訳を作り、品質を向上させることができるかどうか

などがあげられます。

つまり、「英語をそばにおいておかないと日本語訳として成立しない」訳文ではもはや通用しなくなってきているということです。特に専門用語が頻繁に出現し直訳を好むマニュアルよりも、カタログやプレスリリース、ブローシャなどのマーケティングマテリアル(販促資料)の翻訳のケースで上記の例は多く見受けられます。

翻訳会社にとって、完全に意訳することは産業翻訳のルールから大きく逸脱してしまいますが、プラスアルファの機能を持つ翻訳会社でなければ、お客様の高度な要求に応える事ができなくなってくるでしょう。

また、学習能力を持っている翻訳会社は、日々進化しています。 お客様の要求に応えるための努力をしているからです。

スタッフひとりひとりのモチベーションがとても高いため、貴社にフィットしたサービスをより的確に提供できるようになります。 「役に立ちたい」「喜んでもらいたい」という気持ちの中から、貴社だけのご提案やアイデアを生み出し、ご提供することが可能なのです。

確かに、翻訳やローカライズそのものは地味な仕事かも知れません。
しかし、その経験の積み重ねを続けることが、お客様からの信用を得ることを知っています。訳文の品質を上げていく継続的な努力は、翻訳会社として当然であり、厳選された翻訳者と共に歩む翻訳会社こそ、次世代の翻訳会社と言えます。

このような翻訳会社とビジネスを進めることは、貴社のさらなる発展にも大きく貢献するでしょう。

安心できる翻訳会社、翻訳エージェント、ローカライズベンダー

貴社の好みに翻訳品質をフィットさせていく、というのは何も訳文に限ったことではありません。「サービス」の定義は広く、会社組織全体としての対応も非常に重要な要素の 1 つであると言えます。

例えば、各個人の社員によって対応がバラバラであれば、それは貴社にとって不安要素以外の何者でもありません。組織レベルでのホスピタリティが無ければ、サービス業としては不完全なものと言わざるを得ません。

では、安心できる会社の対応はどうでしょうか。 全てのスタッフが、その企業理念を共有し生き生きと働いています。 お客様の為になることを考え、行動しています。時にはミスをすることもありますが、スタッフ同士がフォローし合います。 本当にお客様のためを思うなら、お客様にアドバイスをすることもあります。 言われたことをきちんとやるのは当然です。常に、それ以上の付加価値を提供しようと考えているからです。

こういった翻訳会社は明るい雰囲気があります。自然にパートナーも協力してくれますし、一体感の中でお客様に対して最高のサービスを提供することが可能です。杓子定規だけではなく、柔軟性を兼ね備えているからこそできるのです。

このような翻訳会社、いえ、ローカライズベンダーや外注業者に出会えたらいいと思いませんか? 一流レストランや一流ホテルのサービスレベルを実現しようとしている翻訳会社こそ、安心できる翻訳会社であると言えます。ローカライズベンダーという位置づけではなく、パートナーとしてのポジション、関係性です。

いかがでしょうか。このように納品されるまでは目に見えない翻訳・ローカライズというサービスは、翻訳品質だけ、翻訳価格だけという基準で選択し判断することが非常に難しいサービスであると言えます。

そのために、「最適なバランスであるかどうか、納得できる結果を得られるのかどうか」をイメージし、判断する必要があるのです。

トライベクトルの翻訳・ローカライズ サービス

はじめて翻訳やローカライズをアウトソースする場合には、何を基準に選んだらいいのか分かりません。

・「マニュアル、取扱説明書を翻訳したいんだけど・・・」

・「ウチの分野の翻訳はできるのだろうか」

・「このソフトウェアをローカライズしたいんだけど、どこに頼めばいいのかな?」

・「本社の Webサイト(ホームページ)をローカライズして更新、管理していきたいのだができるだろうか?」

・「PDF ファイルしか手元にないんだけど・・・・」

 など、翻訳やローカライズといったサービスに色々な疑問をお持ちではないでしょうか。これらのご不安を少しでも解消していただくため、弊社では無料小冊子『翻訳会社の正しい選び方~損せず得とる 5 つの秘訣~』をプレゼントしております。ご希望の方は、お気軽にお申し込みください。


翻訳、ローカライズのフィードバックの重要性

翻訳、ローカライズのフィードバックの重要性

フィードバックと一言で言ってもその用途や意味は広く、さまざまな状況下で使用されています。そして翻訳、ローカライズというビジネスにおいてもお客様からのフィードバックが非常に重要であることは間違いありません。

なぜそれほどまでにフィードバックが大切なのか、それを考えてみましょう。

翻訳、ローカライズにおけるフィードバックとは

作り手にとって第三者による使用感、感想といったものは製品やサービスの改善のヒントとなることが多く、あらゆる業界で「現場の声」「使用者の声」や「アンケート」などを重要視しているのは説明の必要もありません。

これは、翻訳、ローカライズにおいてもそれはまったく同様です。
特に初めてのお取引となる場合にはフィードバックは不可欠な要素とであり、フィードバックをもとにした改善作業を行うことで次回以降の翻訳やローカライズの品質改善に役立てることが可能になります。

※ここで言うフィードバックというのは、翻訳の品質として標準的な水準を満たしているというのが前提条件になります。

お客様が翻訳会社にフィードバックをすることで得られる効果

例えば、人事教育でも製品開発でも、適切なフィードバックが重要であることは先に述べました。特に、具体的な改善点を発見するヒントとなるのは、ポジティブフィードバックではなく、ネガティブフィードバックの方が多いといえます。

それはつまり、ネガティブフィードバックはより「具体的」であるためです。

・「ここが悪かった」

・「この点に改善の余地が見られた」

・「こうした方がいいのではないか?」

といった具体的なフィードバックは、貴社の翻訳・ローカライズの目指すべき方向性を把握しやすくしてくれます。弊社がお客様の取り扱う商品、製品、サービスについてまったく同等の背景知識を持っているわけではありませんが、その「方向性」や「好み」を分析し、徐々に近づけていく努力はできるのです。

翻訳、ローカライズの品質とは

 

こういった作業は、貴社のご協力の上で成り立つものですので、最初はお手間を取らせてしまうことになりかねません。しかしながら、長期的に考えれば貴社にとってのメリットが顕在化してくるのです。例えば、

・徐々にだが確実に翻訳・ローカライズの品質が向上する

・貴社の方向性や好みに合った訳文になり始める

・将来的に貴社の翻訳チェック作業、レビュー作業の負荷が軽減される

・貴社からのフィードバックの頻度が低減する

といったことが挙げられます。

もちろんわざわざ大掛かりにしなくても、翻訳をご覧いただき気になった点だけでもお伝えいただくことで翻訳者、翻訳会社は 1 つの指針を得ることになります。

そしてそこから翻訳の法則や文体を解析し、貴社のお好みに合わせていくということが可能になるのです。

翻訳やローカライズサービスにおいて、お客様の方向性やお好みというのは多岐にわたるため、その都度確認しなければなりません。一定の水準を満たしているからそれで満足というケースを除けば、貴社にとって最大のメリットは「貴社のチェック作業やレビュー作業が徐々に楽になっていく」ことではないでしょうか。

そのためにも重要なフィードバックについて、再考してみてはいかがでしょうか。

トライベクトルの翻訳、ローカライズ サービスについて

トライベクトルでは、上記のように翻訳、ローカライズの全工程における品質の向上に取り組み続けています。また、翻訳者をはじめとした弊社パートナー様と一緒に、お客様にご満足いただけるサービスをご提供するための取り組みを続けております。

翻訳、ローカライズサービス、翻訳コンサルティング サービスについてはお気軽にお問い合わせ下さい。


TM の精度について

TRADOS(トラドス)Translation Memory の精度

SDL TRADOS(トラドス)に代表される Transaltion Memory の翻訳品質の精度についてご存知でしょうか。実はこの盲点を理解するのとそうでないのとでは、長期的な視点から考えると品質的に大きな差が出てくるのです。

精度の高い TM と精度の低い TM

SDL TRADOS(トラドス) に代表される翻訳支援ツールの Translation Memory(TM)は、マニュアル翻訳などの大量のドキュメントに対し、翻訳の品質、納期、価格のすべてに対して良い効果を与えることが可能です。

しかし、ここで注意しなければならないことがあります。

それは、「既存の Translation Memory(TM)の精度(=品質)は、そももそ信頼に値するものかどうか」という点です。

SDL TRADOS(トラドス)を代表とする翻訳支援ツールでは、解析結果として表示されるマッチ率に従って価格を決定するのが通常ですが、それに相当した作業だけで済まない場合も稀に起きることがあります。その理由を考えてみましょう。

TRADOS(トラドス) Translation Memory は以前のマニュアルのバージョンで翻訳した訳文が格納されています。

マニュアル翻訳等の大量の翻訳・ローカライズの場合には、TRADOS(トラドス)を使用することによって過去の訳文が良くも悪くも踏襲されていきます。

TM に格納されている訳文の品質がもし信頼できない、もしくは貴社にて納得できていないものである場合には、その TM を使用して翻訳すること自体が逆効果になってしまう可能性が出てくるためです。簡単に言えば、悪い訳文をずっと引きずることになるからです。

「何のための TM なのか?」という本質を考えずに使用することは、かえって余計なコスト増やスケジュールの延長を引き起こしかねません。

逆に、しっかりした信頼できる TM を使用すれば TRADOS(トラドス)のメリットを大きく得られる事になります。
そしてそれは TRADOS(トラドス)等の翻訳支援ツールのメリットを最大限引き出していることになります。

Translation Memory(TM)の精度を高めるには

では、その Translation Memory(TM)の精度を高めるにはどうすればいいのでしょうか?

すでに翻訳会社へ発注し、翻訳作業をしていく中で誤訳や品質の低い訳文が出てきてしまった場合には、そのセグメント(文章)は TM から取り除く必要があります。

Translation Memory(TM) 全体に比べて手動で処理できるレベルであれば問題ありませんが、品質の低い訳文の割合が TM の大多数を占めるようになってしまうと、そもそも Translation Memory(TM) 内の翻訳の品質自体に問題があると言えます。

この場合には、次回バージョンアップ時に Translation Memory(TM)の使用自体を回避する、もしくは再検討する必要があります。
それらを無視して使用し続けると、「品質の良い訳文を流用していく」という TRADOS(トラドス)のメリットが失われ、主目的から外れてしまうからです。当然のごとく、それは貴社にとってもデメリットでしかありません。

Translation Memory(TM) の精度を高く保つためには、

・最初の翻訳の品質をきちんと検証して信頼できる訳文を登録する

・Translation Memory(TM) のメンテナンス、更新、管理を定期的に正しく行う

ことが必要です。

地道な作業の繰り返しになってしまいますが、これこそが王道であり、長期的視点から見た場合には、翻訳の品質を安定させ向上していくうえで最も効率的であると言えます。

また、すでに翻訳品質の信頼ができない Translation Memory を保有している場合にはどうすればいいでしょうか。

この場合には貴社のご予算やスケジュールなども関係してくるため一概には申し上げられませんが、翻訳会社によっては、TM のメンテナンスのみを行うサービスを提供している場合もありますのでこれらのサービスを利用してみるというのも良いかも知れません。

過去の訳文を正しくバージョンアップに使用することで貴社のマニュアルやその他ドキュメントの精度が上がることが本来の目的であるならば、見落としがちな Translation Memory(TM)についての管理にも気を配る必要があるのではないでしょうか。

トライベクトルのTranslation Memory メンテナンス サービスについて

既存の TRADOS(トラドス) Translation Memory に対してメンテナンスすることでより効果的に TM を使用して頂くことが可能です。また、TRADOS(トラドス)によるマニュアル翻訳も可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。

TRADOS によるマニュアル翻訳


翻訳品質の評価基準とは

翻訳品質の評価とその根底にあるもの

「翻訳の品質に満点があるか」どうかというのは非常に難しいテーマです。しかし一般的に、100 点満点の翻訳というものは存在しないと言えます。翻訳において満点が難しいというのは、ドキュメントや Webサイト(ホームページ)を読む人(対象読者)によって、訳文から受ける印象が変わってしまうことがあるためです。

例えば、A さんが書いた文章を、B さんは読みやすいと思っても、C さんは必ずしも読みやすいとは思わないことがあります。なぜこういうことが起きるのでしょうか。主な理由として考えられるのは、

・文章の読解力

・文章の構成力

・個人の好み(文体、文章のリズム、使用する語彙、文章の構成など)

・個人個人のバックグラウンド、経験、知識の違い

などが挙げられます。

これらは対象読者の一人一人がそれぞれ異なっていますが、ここで言えるのは「差」があるのではなく、「違い」があるということです。そのため文章(訳文)を読んで受ける印象も変わりますし、評価も変わります。

仮に B さんにとって 100 点満点の翻訳、訳文であったとしても、C さんにとって 100 点でないというケースが起き得るのはこういう理由からです。

良い翻訳とは何か?

しかしながら、「良い翻訳」というのものも少なからず存在し、そのような翻訳というのは、高い確率で多くの読者から「読みやすい、分かりやすい」といった評価を受けることができます。

例えるなら、 100 人中、8 割、9 割の読者が「読みやすかった、分かりやすかった」と感じることができれば、それは良い翻訳として受け入れられることになります。世の中に無数に存在する文章は、翻訳に限らず、より多くの人に「分かりやすい、読みやすい、美しい」と思われれば、少なくとも及第点となります。

これには文章のリズムや語彙力、読解力、専門性など、多くの要素が含まれていると考えられます。相手に響く翻訳や訳文というのは、結局のところ総合力(翻訳力)が必要であるということです。

「翻訳力」のある翻訳者情報

 

※特定の書式で決まりきった文言を使用しなければならない文章などの場合は、上記の限りではありません。

翻訳の品質をお客様ごとにアジャストする力

言葉は生き物です。時代とともに変化し、進化していきます。

翻訳会社や翻訳者には常にたゆまぬ努力が求められるのは当然ですが、これまでにご説明したように、翻訳を 100 点とする定義がない(=個人差がある)ため、その好みや傾向に的確にアジャストするさまざまな能力も合わせて必要となってきます。

そこで、「貴社にとっての翻訳の品質とは何か」を事前に明確に定義しておくことが不可欠であり、一定の品質を保つ上でのポリシーとなります。

つまり、翻訳会社にとって大切なことは、

・「お客様ごとにマッチした品質の訳文をご提供する」

・「対象読者が真に理解できる訳文をご提供する」

ということになります。

翻訳、ローカライズの品質とは

 

そのための事前のヒアリング、お打合せ、過去の訳文の傾向の分析といった下準備が大切であることはあえてご説明するまでもありません。

これらを踏まえた上で、貴社にとっての翻訳の品質、そしてそのための制作ポリシーを持つことがより重要になってきています。

トライベクトルの翻訳品質評価サービス

弊社では、翻訳に満点がないからこそ、常に継続して翻訳の品質を考え続け、貴社にとって最適なご提案をしております。また翻訳品質の評価についても行っております。

翻訳の品質評価

 

弊社の翻訳・ローカライズ サービスについては、 お気軽にお問い合わせよりご連絡下さい。


コンスタントに良い品質の訳文を手に入れるための 5 つのポイント

「いったいどうすれば継続的に良い翻訳を手に入れることができるのか」というのはグローバル企業の至上命題です。今回はこのテーマについて考えてみたいと思います。

そもそも「良い翻訳の定義」とは何か

まずはじめに、「良い翻訳」について理解をしなければなりません。なぜなら目指すゴールが違ってしまえば、自ずと辿るプロセスが変わってしまうからです。

弊社の場合では、良い翻訳とは「お客様が望んでいるものを得る状態」として定義しています。

 

翻訳、ローカライズの品質とは

 

この品質を得るために、具体的にどんな準備やステップが必要なのでしょうか。それぞれ解説します。

ポイント 1.  できるだけ早めの案件の打診をする

すでに決まっている翻訳会社があるなら、できるだけ早めに連絡をしましょう。「いつ頃にどのくらいのボリュームの翻訳をお願いする」という情報を伝えることで、翻訳者のスケジュールも確認しやすくなります。

※ここで注意しておきたいのは、絶対に発注するとしながらも、突然キャンセルになったりする場合です。これを続けると翻訳会社も「どうせまたキャンセルになる」という風に感じますし、翻訳者のスケジュールを打診したり調整するようなことはなくなります。「オオカミ少年」にならないようにしましょう。

あくまで打診という形になりますが、それでも突然依頼が発生するよりは、あらかじめ先が見える状態であることは、翻訳会社にとっても翻訳者にとっても品質をコントロールしやすくなります。

ポイント 2.  用語集やスタイルガイドなどの資料の充実

参考資料も翻訳の品質を向上させ、良い翻訳を作るには当たり前と言えば当たり前です。しかし当たり前であるにも関わらず、意外と所有していなかったり、所有していても管理していなかったり、また部署ごとにバラバラだったりと、さまざまです。

翻訳に役に立つ参考資料とは

用語集構築・運用

決して簡単なことはありませんが、横断的に組織に共通の専門用語集やスタイルガイドを持つというのは、企業レベルをさらに上げることにもつながる「ブランディング効果」がありますのでぜひ取り組んでみてください。

ポイント 3.  長期的視点で取り組む

翻訳という作業を一度でも自分でしたことがある方ならご理解いただけるかと思いますが、翻訳というのは、実際の翻訳を行う作業者(翻訳者)と、チェックする側との共同作業でもあります。

つまり、(最低限の翻訳品質というものはあるという前提で)翻訳の経験をすることで徐々に貴社に合った翻訳品質に近づいていくということでもあります。

クセや好みを把握し、そこに向かって表現をブラッシュアップしていくというのは、大変難しい作業ですが、「良い翻訳」を作る上ではチャレンジしなければならないことでもあります。

そのためにも、長い目で取り組む(長期的な視点)というのはとても大切なことだと言えます。

翻訳カスタマイズサービス

ポイント 4. フィードバックを行う

ポイント 3 とも関連しますが、「自分の訳文が最終的にどのように使われたのか」を知ることは翻訳者にとっても翻訳会社にとっても大変重要なステップです。

ネガティブなフィードバックもポジティブなフィードバックも訳文の変遷を見ることで、次の案件に対してより精度の高い対策が可能になります。

「訳文レビュー後にそのまま翻訳会社へ差し戻す」というところまでを一連のタスクとすると、翻訳の品質も加速度的に向上します。

翻訳、ローカライズのフィードバックの重要性

ポイント 5. リソースの選定

これは翻訳会社側での裁量も大きくなりますが、大前提として「得意な翻訳者をアサインする」ということが大切です。

弊社の場合、対象ドキュメントと異なる分野の翻訳者が対応することはありませんが、できるだけ得意な人をアサインするための事前情報や背景などがあると助かるのも事実です。

「翻訳者なら誰でもいい」ということは絶対にありえません。なぜなら「何でもできる翻訳者や翻訳会社」は存在しないからです。

「翻訳なんて誰がやっても一緒」だが、誰もが「言葉に魂を込めている」ものを求めている

 

得手不得手がある以上、それをしっかりと把握した上でアサインすることが大切(肝)であり、それこそが翻訳コーディネーション業務の重要な仕事のひとつだと言えます。だからこそ、その部分で安心できる翻訳会社かどうかを見極める目を持つ必要があります。

翻訳ドキュメントマップ

まとめ

いかがでしたでしょうか。冒頭でご説明したように、ひも解いてみれば「当たり前」のことばかりです。しかしながら、当たり前だからこそなかなか徹底できないのです。長期的に強固な品質を作り上げるには、やはり準備が欠かせません。そしてまたそれを継続するスキームも重要です。

「いったいどうすれば継続的に良い翻訳を手に入れることができるのか」という永遠のテーマに対し、何か大規模な取り組みがなければならない、というわけではありません。むしろ、日々のメンテナンスやコミュニケーションがベースとなっており、地道な活動からスタートすることをお薦めいたします。

翻訳・通訳・ローカライズ全般のお問い合わせ