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「翻訳作業前に原稿を読まないのか?」という質問

「原稿を読まないの?」という質問

以前、あるお客様に「翻訳する前に原稿読まないんですか?」と聞かれたことがあります。(実際にご発注いただく前のタイミングです)

最初はよく意味が分からなかったのですが、「翻訳する前に原稿を全部読んで、その時点で不明な点をつぶしておけば訳文の質も上がるだろう」という意図のようでした。

このコメントをいただいたとき、正直申し上げて大変驚きました。確かにこのお客様のおっしゃっていることは(品質を向上させるという点では)理解できるのですが、現実的にこれは難しいと言わざるを得ません。

そもそも、いったいどこからどこまでの作業を「翻訳」と呼べばいいのでしょうか。

翻訳作業とは何か

これはなかなか難しいのですが、そもそも、翻訳作業とはどんな作業なのでしょうか?あまりにも根本的過ぎますが、産業翻訳で言えば「原文にそって忠実に別の言語に置き換えていくこと」です。

Wikipedia:翻訳

翻訳(ほんやく)とは、Aの形で記録・表現されているものから、その意味するところに対応するBの形に翻案することである。

とあります。

ちなみに、弊社の「翻訳」という言葉の定義は以下のように定めています。

原文に忠実に、かつ原文の文意を正確および自然にターゲット言語に訳出すること

いずれにしても、翻訳という作業行為は「もともと存在する原文を使って、異なる言語に変換する作業」のことを指します。

この定義が共有されていれば、冒頭の「原稿を全部作業前に読まないのか?」という質問は現実的にかなり無理があることが理解できるでしょう。しかし共有されていない場合には、こういった発言が出てしまうのかもしれません。(実際今回は起きてしまったので定義の共有ができていなかった弊社にも落ち度はある)

翻訳作業前に原文を読むことができない、いくつかの理由

確かにこのお客様のおっしゃるとおり、「翻訳作業前にすべての原稿に目を通して疑問点を潰して質問し、説明を受けて作業を進める」ことができれば翻訳作業はスムースになると思われます。

ただ残念ながら現実的には難しいと言わざるを得ません。理由はいくつかあります。

理由①:原文自体の信頼性はお客様が確保するもの

この「原文すべてに目を通してほしい」という意図の中には、「原文が間違っているかもしれないからそれを読んで見つけてほしい」ということも含まれているようです。

そもそも原文の精度はお客様側で担保するものですから、そのミスを発見することを弊社で対応することは実質不可能でしょう。

理由②:原文を読む時間、質疑応答の時間とコストは誰が負担するのか

またコストと時間という点からも、非現実的と言わざるを得ません。弊社では信頼できる翻訳者さんをはじめとしたパートナーとともに仕事をしているため、すべてタダで作業することはできませんし、それを強制することもできません。そもそも売れっ子の翻訳者さんにはそんな時間はどこにもありません。また弊社内でもそのための作業をする時間はありません。

理由③:原文の分量が多い場合には、それだけで莫大な時間とコストがかかる

翻訳会社は、少量のものも大量のものも扱っています。そして、どんなドキュメントを翻訳するのかは実際の翻訳対象原稿を受け取ってみないと分かりません。

分量も内容も分からず、かつご発注すらいただいていないドキュメントを確認する必要性はありません。

このように、いくつもの理由が考えられますが、産業翻訳というジャンルで、納期も予算も制限されている中で「原文を全部読む」というのは現実的には不可能です。

その分のコストも、時間もお客様側で保証していただけるなら可能だと思いますが、それこそおかしな話で、お客様側でそこにコストをかけることはあり得ないでしょう。

それよりも、次にご紹介するように原文のレベルを上げてしまうのが最も簡単です。そしてそれはお客様ご自身でできることでもあるのです。

原文の質を向上させる方法

原文の品質を向上させる場合、以下のような方法があります。

方法①:原文をブラッシュアップさせる方法を最初から盛り込んでおく(ライターなどに依頼するのも手)

きちんとプロのテクニカルライターやコピーライター、編集者などをアサインし、翻訳も想定に入れて制作されることをお薦めします。

例えば、日本語原稿で考えるなら、日本語の場合の言い回しは多様ですのでそのドキュメントの持つ性質や目的、対象読者を想定して作成することで、すっきりとした原文を作ることができます。

文章校正や文法などがクリアな文章は、翻訳しやすいため品質も安定します。

方法②:用語やスタイル、TMなど、(信頼性の高い)流用できるものを準備する

参考資料がバラバラに沢山存在するのは困りますが、たったひとつでも信頼できる参考資料があれば翻訳作業時に大変助かります。

翻訳に役に立つ参考資料とは

方法③:誤解を与えるような文章をはじめから作らない

完成度の低い原文を使って翻訳しなければならない場合、品質向上はあり得ません。翻訳はあくまで翻訳であり、原文とは主従関係にあるため、訳文は原文以上の品質にはなりません。

仮に原文を飛び越えて翻訳してしまった場合、それらが合っている保証はないため、「誤訳、訳抜け」と言われてしまう可能性も高いでしょう。

まとめ

このように「原文の品質」をしっかり高めておくことが、読者への最大の配慮であり、ユーザビリティの向上であり、Web なら検索上位に表示される分かりやすい文章であり、翻訳しても誤解を招くことのない文章になるのではないでしょうか。

何でも「準備が7割」と言われますが、翻訳作業をはじめから想定しているなら、原文の準備(レベルやトーン&マナー、表記統一など)は、お客様側で行うのが最も効率が良くなります。

少なくとも「作業前に原文を全部読んでほしい」というリクエストにならないのは確かでしょう。

ぜひ原文のレベルを引き上げ、翻訳会社への依頼をしていただければ、翻訳会社としても良い意味でのプレッシャーになりますし、翻訳者としても真剣に取り組むベき原稿になると思います。


なぜ翻訳するのか?

なぜ翻訳するのか?

「なぜ翻訳やローカライズを行うのか?」その本質とは

貴社では、マニュアル翻訳や Web サイトローカライズ、カタログや日々のプレスリリースをなぜ翻訳するのでしょうか。
弊社ではこの問いに対しての答えを常に真剣に考えつづけています。それは、翻訳やローカライズの必要性に対しての本質を掴むことができるからです。

「なぜ翻訳やローカライズを行うのか?」という問いに対する答えを考えるとしたら、それはどんな答えになるのでしょうか。一例を挙げて考えてみましょう。

例えば、外資系企業が日本のマーケットでビジネスを展開する際、多くの会社がマニュアルやカタログなどのドキュメント類の翻訳や Web サイトローカライズ(ホームページ翻訳)を行います。

そして最も身近な日本市場の場合を考えると、「なぜ翻訳やローカライズを行うのか?」に対する答えとして出てくるのは、『日本人は日本語が好きだから』ではないでしょうか。

もちろん、日本市場でも英語やその他の言語でも通じないことはありませんが、それを正しく理解する日本人はそう多くはないでしょうし、そもそも日本語版があればそれを読みたいと思うのが日本人の心情です。

つまり、『日本人は日本語が読みたい』と思っています。

これは恐らく紛れも無い事実であり、だからこそ、外資系企業は時間とお金をかけてマニュアルを日本語に翻訳したり、カタログを翻訳したり、Web サイトをローカライズしたり、ソフトウェアをローカライズする必要があるわけです。

そしてそうしなければ、製品やサービスが売れないという現実もあります。

日本人は無意識に『日本語を読みたい』と思っています。普段はあまり意識していませんが、だからこそ無意識に感じていることの証明です。

エンジニアや研究者などの専門職の場合には、原文を直接読むことが多いかも知れません。ただしそれはマーケット全体から見ればほんの一部の人であり、圧倒的大多数の日本人は、母国語である日本語を好み、日本語を読みます。

上記の理由により、日本語に翻訳することは貴社のマニュアルやカタログ、Web サイトを読者やユーザが読む可能性を高めてくれるということになります。

しかしここで注意しなくてはならないのは、読み手に対し、確実に正確に伝わらなければ逆効果であるということです。

「せっかく翻訳したのに日本語を読んでも意味が分からず、結局は時間とお金の無駄になり、原文を読むほうが早かった」というご経験をされたお客様も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

このように本末転倒にならないように、高い品質を維持しながら母国語に翻訳、ローカライズを行うことで、貴社ビジネスを市場に浸透、拡大させていくことが可能となります。

特に近年では、「読み手にしっかり伝わる翻訳をしてほしい」というニーズが高まっており、マーケティング翻訳やクリエイティブ翻訳という領域のお仕事が発生しています。

マーケティング担当者に必須の「マーケティング翻訳」とは

 

つまり、『日本語を読みたい』というニーズだけを満たすのではなく、ユーザの『分かりやすい日本語、伝わる日本語を読みたい』という隠れたニーズまでを汲み取った上で、翻訳やローカライズを行う必要があるわけです。

戦略的側面からの考察

一方、戦略的側面から考えると、A 社と B 社製品が競合している場合、A 社の製品マニュアルは日本語に翻訳され、かたや B 社の製品マニュアルが原文のママ(この場合は日本語以外の言語)という状況から比較すれば、読み手が心理的抵抗がなく手にとって読めるのは、A 社のドキュメントではないでしょうか。(エンジニアや研究者も英語は読めるけれどできれば日本語がいいと思っているからです)

このケースで考えた場合、競合他社に勝つためには、RFP や RFI 記入を含め、マニュアル翻訳を行って日本語版を作成しておくことが必須条件となってくるということです。

トライベクトルの翻訳・ローカライズ サービス

前述のように弊社では、「なぜ翻訳するのか」というコンセプトをしっかりと捉えた上で貴社ビジネスをサポートするための翻訳・ローカライズサービスを取り揃えております。

・なぜ翻訳やローカライズを行うのか、本質を捉えた上での包括的ソリューション

・質の高い(=分かりやすい、伝わりやすい)翻訳であること

・コストとしての翻訳ではなく、プロフィットとしての翻訳・ローカライズサービスであること

この機会に、「なぜ翻訳やローカライズを行うのか?」を改めて考えてみてはいかがでしょうか。
きっとその答えは、

・「意味が通っていなくても日本語になっていればいい」

・「安ければ品質は気にしないし、それで構わない」

とはならないのではないでしょうか。

※本コンテンツは、弊社発行の顧客向けメールマガジンである、トラベクマガジン上で大きな反響を呼んだテーマです。ご興味のある方は、弊社トラベクマガジンにご登録ください。

トライベクトルの本質を求める翻訳、ローカライズサービスについて

トライベクトルでは、上記のように本当の意味での翻訳やローカライズというのはどういったものかを常に考え、実行しております。常に進化する翻訳会社でありたいという思いのもとに、貴社にとって最適な翻訳、ローカライズをご提供するべく努力を続けております。


お客様のお悩み(その1)「業界用語や言い回しなど専門的な翻訳はできるの?」

 

弊社に寄せられるご相談の中で、もっとも多いのがこの質問です。

当たり前といえば当たり前の話ですが、これをしっかりと行っているかどうかは当たり前だからこそ非常に重要なポイントです。

今回は、このお悩みについて回答いたします。

分野ごと、グループごとに分けられた翻訳者

翻訳者はフリーランスになる前には企業に勤め、その専門分野の仕事を続けていた人ばかりです。

例えば「契約書の翻訳者」の場合、法務部での勤務経験や弁護士事務所、法律事務所で一定期間仕事をしていたというケースです。以下の例のように、弊社コーディネーターが分野ごとに分けられた翻訳者の中から、最適な翻訳者をアサインします。

このようにしてアサインを行っているために、「この業界ではこういう表現は使わない」「この訳語はこれで通じる」といった判断が可能になります。

 「翻訳カスタマイズサービス」での訳文の「好み」の把握

弊社では「翻訳カスタマイズサービス」で好みを見つけることができます。そのため、お客様の訳文の「好み」を把握して対応することが可能です。

翻訳カスタマイズサービス

プロセスはいたって簡単ですが、実は非常に重要なプロセスです。

翻訳カスタマイズサービスプロセス

「翻訳ドキュメントマップ」上で想定される訳文の方向性の確認

ご依頼いただくドキュメントによって訳し方は様々です。

取扱説明書なら正確に訳していれば直訳的でも許容されますが、カタログならより流暢に、よりコピーライティング的な方向性が求められます。

弊社では「翻訳ドキュメントマップ(TM)」を利用して、ドキュメントの種類と訳文の方向性をマッピングさせ、適切な翻訳者をアサインできるようにしています。

翻訳ドキュメントマップ

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  • 翻訳の品質について

翻訳、ローカライズの品質とは

  • なぜ翻訳するのか

なぜ翻訳するのか?

このように、様々な角度からお客さまのご希望の品質を確認し、ご満足いただける形を採用いたします。

専門的な翻訳ができる理由(その2):事前に翻訳品質が確認できる「無料翻訳トライアル」

無料で翻訳の品質を事前に確認することができます。

これにより、品質、価格、納期、対応の4つのバランスをご確認いただき、自分に合った翻訳サービスをご利用いただくことが可能です。

無料翻訳トライアル

そしてこのトライアルで合格した翻訳者が貴社のドキュメントの翻訳を行いますので安心して納品をお待ちいただくことができます。

※トライアル用の翻訳者と実際の作業の翻訳者が異なるというケースもございますのでご注意ください。詳細は、弊社小冊子「翻訳会社の正しい選び方」をご覧ください。

「翻訳会社の正しい選び方」

翻訳会社の正しい選び方

1cover

・初めてでも理解しやすいストーリー形式!
・「ある担当者の一日」で分かる業者選定のコツとは?
・便利な巻末翻訳発注チェックリスト!
・翻訳ツールは使えるだけではダメ!これが賢い使い方!
・翻訳会社、翻訳ベンダー、ローカライズベンダーへのコストを抑えるには、コツがある!

専門的な翻訳ができる理由(その3):圧倒的な翻訳実績とお客様の声

「論より証拠」ですが、これまで弊社にご依頼いただいたお客様の率直なご意見が、高い専門性や表現力を証明していると言えます。

翻訳・ローカライズ実績

翻訳・ローカライズ実績一覧

お客様の声

お客様の声/翻訳者の声

「文章の内容をよく理解して、丁寧に翻訳してくださいました。語学力だけでなく、専門領域についてのご担当者の能力の高さが伺えます。感謝しています。」(大学教授)

「御社はシステム・セキュリティに関する案件の実績があることや、金額/納期/トライアルの結果/レスポンス全体のバランスは一番よかったです。」(CAEソフトウェア企業 D社様)

導入事例

導入事例

しかしそれでもご不安という場合には、専門用語集の作成などもご提案しております。

専門用語集構築プラン

用語集構築・運用

これによってさらに翻訳の精度を高めることが可能です。

まとめ

いかがでしょうか。上述のようにお客様がご不安に思われる「専門性」や「表現力」については弊社でも万全の体制をもって準備を行っております。

「翻訳力」とは何か

以上の3つの理由をまとめると弊社の最大の強みは「品質、価格、納期、対応のバランス」です。

この「バランス」こそが、契約書の翻訳や論文の翻訳、さらに IT、美術、エネルギーなどの各専門分野における専門知識や表現力に対して、しっかりとお応えしていく明確な理由となっているのです。ぜひご安心いただき、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

ご相談内容から分かる「失敗しない翻訳サービス」とは

翻訳・通訳・ローカライズ全般のお問い合わせ

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