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なぜ海外で成功したマーケティング施策が日本では失敗するのか?データで見る5つの要因

日本市場のマーケティング施策

グローバル施策と日本市場での現実のギャップ

「本社では大成功だったのに、なぜ日本ではうまく行かないのか?」

これは多くの外資系IT企業のマーケティング担当者が直面する共通の悩みです。実際に、外資系IT企業のマーケティング担当者を対象とした調査では、73.6%が日本市場での課題に直面し、そのうちの半数以上が「日本市場に特化した戦略立案」を最重要の課題として挙げているという調査結果があります(以下参照)。さらにこの調査結果でより注目すべきは、75.5%の担当者の方が「日本のマーケティング戦略は、海外のマーケティング戦略と異なる」と回答している点です。

PR TIMES(株式会社 IDEATECH)

【外資系社員のマーケティング担当者106名に聞いた】73.6%が日本市場で課題に直面したことがあり、半数以上が「日本市場に特化した戦略立案」「日本市場のニーズ把握」に課題を実感

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000151.000045863.html

確かに弊社の肌感としても、これまで 20年余、翻訳やローカリゼーションというお仕事の中だけで振り返ると「日本は特殊な市場である」という話は何度も耳にする機会がありました。

では、具体的に何が違うのでしょうか。今回はデータと実例をもとに、海外で成功したマーケティング施策が日本で失敗する5つの構造的な要因を分析し、それぞれに対する実行可能な解決策を探りたいと思います。

【ギャップ1】日本企業の意思決定プロセスの構造的な違い

課題:「短期成果主義 vs 稟議制度」

最も見落としがちなのが、日本企業の意思決定プロセスでしょう。多くのグローバル標準では「決裁者にダイレクトにアプローチし、短期で成果を出す」ことが重視されますが、日本企業では稟議制度に基づく合意形成プロセスが根強く残っています。いわば日本式の意思決定プロセスです。

この違いは数字にも現れています。国内の公開調査では、選定に関与するメンバーは「4〜5名」、最終承認者は「2〜3名」が一般的で、検討期間は「1〜3ヶ月が最多」と報告されています(大規模案件ではさらに長期化)。これが一般的な意思決定プロセスとすれば、確かに「時間がかかる」わけです。

解決策:段階的な合意形成プロセス

効果的なアプローチは以下の3段階に分けてクライアントの合意を獲得する必要があります。逆にこのプロセスを辿ることで合意を得やすくなるとも言えます。

フェーズ期間内容
第1段階情報収集フェーズ数週間~数か月・現場担当者向けの詳細な技術資料、機能比較表、ROI計算ツール等を提供

・「上司への説明用資料」として、プレゼンテーション素材をセット

・競合比較や業界動向を含む、包括的な情報パッケージを準備
第2段階社内検討フェーズ数ヶ月〜四半期単位・各部門(IT、調達、法務、セキュリティ)向けの専門資料を個別に準備

・段階的な導入計画と予算分散などの提案

・他社の導入事例と失敗回避策を詳細に提示
第3段階最終決定フェーズ案件と稟議の層数に依存・経営層向けの戦略的な価値提案

・導入後のサポート体制とリスク管理計画

・段階的な成果測定指標の設定

成功事例:Salesforce の長期にわたる関係構築のアプローチ

Salesforce は日本市場への参入当初、アメリカ式の短期クロージングアプローチで苦戦していました。しかし、2010年以降、前述の日本企業の意思決定プロセスを理解し、以下の施策を実行しました。

  • Trailhead プラットフォーム:無料学習コンテンツを提供し、現場担当者の理解度向上を支援
  • 段階的な導入プログラム:小規模パイロットから始める低リスク導入モデルを確立
  • 業界特化型アプローチ:製造業、金融業などの業界ごとの特殊な状況や事情にも対応

これらのプロセス変更により、徐々に日本市場に受け入れられるようになり、Salesforceは日本を含むアジア太平洋地域においても、CRM市場シェア1位となるなど評価が上がっています。

Salesforce、12年連続で世界No.1 CRMプロバイダーに選出

【ギャップ2】コミュニケーション文脈の誤解

課題:ダイレクトメッセージング(ローコンテクスト) vs 間接的表現文化(ハイコンテクスト)

欧米のマーケティングでは「明確な価値提案」「ストレートなベネフィットの訴求」が非常に効果的ですが、日本ではこのまま適用すると「過度な売り込み感」「押しつけがましい」として敬遠される傾向があります。この文脈を理解しないまま、販売活動を続けても成果に結びつきにくくなります。

解決策:文脈を理解した日本的なコミュニケーション

日本では「売り込まれている」「押しが強い」といったスタンスではなく、「お客様のために」「お客様の役に立つ」といった効果的なコミュニケーション戦略をとる必要があり、これはセールス、マーケティング部門では必須の考え方となります。

コミュニケーション戦略具体的な施策
コンテンツのトーンの調整・「革命的」「画期的」などの過度な形容詞を避けたり、「改善」「効率化」などの現実的な表現を使用するようにする

・ベネフィットより先に、顧客の課題共感を示す

・具体的な数値データより、「お客様の声」を重視
情報提供スタイルの変更・セールス色を抑えた「情報提供セミナー」形式

・「業界の動向レポート」として価値のある情報を先に提供

・「相談対応」「課題解決サポート」としてのポジショニングをとる
フォローアップアプローチ・頻度の高いフォローより、タイミングを見計らった価値ある接触に重点

・季節の挨拶や業界イベントに合わせたごく自然なコミュニケーション

・一方的な情報提供より、双方向の意見交換を重視(対話)

成功事例:マイクロソフトの「お客様第一主義」ローカリゼーション

マイクロソフトは2014年の新CEO就任を機に、日本市場でのコミュニケーション戦略を大幅に見直しました。いわばローコンテクストからハイコンテクストへのシフトです。

コミュニケーション戦略

Azureは2015年時点で既に国内2位(AWS 1位、Azure 2位、Google 3位)との調査があり、2020年の利用率調査でも国内2位という結果が出ています。

https://business.ntt-east.co.jp/content/cloudsolution/column-374.html

【ギャップ3】競合環境の認識

課題:グローバル競合想定 vs 国内ベンダーとの競争

多くの外資系IT企業は、グローバル市場での競合他社(GAFA、Oracle、SAP等)を想定したポジショニングを行っています。しかし、実際の製品選定タイミングにおいて日本市場では国内ベンダーや日本独自のSaaSベンダーとの競争が重要な要素となることが隠れてしまうことがあります。

解決策:日本市場での独自の競合マッピングと差別化戦略

日本市場を理解するための様々な「競合」を把握することが重要ですが、日本市場に特化した競合分析フレームワークを用いて様々な角度から分析を行っていきます。

競合分析補足説明
技術的な競合相手・他社グローバルIT企業
※これが従来の競合分析
関係性の中での競合・既存の国内ベンダーや SIer
現状維持としての競合・自社開発で解決したり、既存システムをそのまま使用(延命措置)する
代替手段による競合・他部門での課題解決や外部への業務委託による投資による回避

このように、外資系IT企業だからこそ持ちうる様々なリソースと日本企業の特徴を掛け合わせることで、新しいマーケティング戦略を生み出すことができます。

戦略設計補足説明
グローバル標準の技術力 × 日本市場への理解度外資系IT企業が保持する高い技術力を武器に、日本市場や日本企業文化を理解した方法でのアプローチ設計が重要。
本社リソース × 現地サポート体制の充実外資系IT企業の潤沢なリソースを活用し、きめ細かい日本企業へのフォローやアフターサポート、フォローアップ。
コスト競争力 × 導入リスクの最小化強い資本力から生まれる価格競争力とクライアントにとっての導入リスク(価格、品質など)をカバーした戦略

成功事例:Salesforce の国内 SIerとの協業パートナー戦略

Salesforce は当初、直販モデルで日本市場に参入しましたが、国内ベンダーとの競合で苦戦していました。そのため、2012年以降、戦略を以下のように転換しました。

協業パートナー

これらの方針転換により、Salesforce は日本市場で大きくシェアを獲得することができました。また、IDCの経済効果分析では日本におけるパートナー収益率(Salesforce 1ドル当たり)が7.07倍と推計されています。

2019年から2024年の間に、日本で1,090億ドル以上の新規ビジネスと、 約20万人の新規雇用を「Salesforceエコノミー」が創出

【ギャップ4】購買影響者の見極めの失敗

課題:決裁者重視 vs 現場担当者の影響力

欧米では「Decision Maker(意思決定者)」へのダイレクトアプローチが効果的ですが、日本企業では現場担当者の意見が意思決定に大きな影響を与えることがあります。そのため、現場担当者の理解をどのように得られるかがポイントになります。

解決策:日本企業における購買影響者マッピングを行い、アプローチする

日本企業での意思決定プロセスにおいて現場の担当者の共感と理解を得ながら、経営までの意思決定をスムーズに運ぶためためのいくつかの階層を通過しなければなりません。それぞれのポジションにおける評価ポイントを確認しつつ、営業マーケティング活動を進めます。

階層影響度属性特徴や評価ポイント
エンドユーザー実際の利用者、現場担当者・日常業務への影響を最重視
・操作性、利便性および学習コストを評価
技術者、技術検証者中~高IT部門のシステム管理者やエンジニア・技術的な妥当性やセキュリティ面、運用負荷などを評価
・既存システムとの連携性を重視
業務の責任者部門長、マネージャー層・業務効率、コスト効果を評価
・導入による組織への影響を考慮
経営中~決定権役員、CIO等・戦略的価値、投資対効果、信頼度を評価
・最終的な予算承認権限を保有

段階的なエンゲージメント向上を狙う

以下のプロセスに則って、購買者に対しそれぞれの訴求ポイントを中心に、プレゼンテーションを重ねていかなければなりません。
成功事例:Adobe の現場主導型の導入支援

Adobe Creative Cloudの企業向けの展開では、従来のトップダウンのアプローチから、現場主導型に戦略を転換し成功を収めています。

現場担当者エンゲージメント

これらの施策により、Adobeは国内「グラフィックスソフト」部門でBCN AWARD(量販POSベース)最優秀賞を獲得し、同カテゴリでの強い地位が証明されています。

【ギャップ5】投資時間軸のミスマッチ

課題:四半期での成果 vs 長期関係構築の重要性

外資系IT企業の多くは四半期ベースでの短期の成果を求められますが、日本市場では長期的な関係構築が売上に大きく影響するため、それらを無視してのビジネス推進は長期的には拡大が難しくなります。

解決策:段階的なROI測定と長期投資のバランス

例えば、以下のように短期から長期のそれぞれの目標設定および、投資バランスなども設定しておくことで、短期的な目標を満たしつつ、長期の関係構築も進められるようになります。

短期成果指標(3-6ヶ月)中期成果指標(6-18ヶ月)長期成果指標(18ヶ月以上)投資配分の最適化(例)
・リード獲得数
・セミナー参加者数
・パイプライン金額
・検討段階進展率
・受注金額
・継続契約率
短期成果:40%(リードジェネレーション、イベント等)
・ホワイトペーパーダウンロード数・パートナー紹介案件数・顧客生涯価値(LTV)の向上中期成果:35%(関係構築、パートナー開拓等)
・初回商談 創出件数・既存顧客エンゲージメント向上率・口コミや紹介による新規開拓長期成果:25%(ブランディング、思想リーダーシップ等)

成功事例:Oracle の10年投資戦略

Oracle は1990年代の日本市場参入時、短期的な売上追求で苦戦しましたが、2000年以降、長期投資戦略に舵を切りました。

長期投資

日本企業は一度信頼関係をしっかり築いてしまえば、契約更新なども見込めるため「損して得取れ」という発想が必要になります。Oracle はそういう点では日本市場を深く理解したからこそ成功したと言えるでしょう。

実践のための5つのアクションプラン

前述のように日本市場に合わせた(ローカライズされた)マーケティング戦略が必須ですが、具体的に明日から実践可能なアクションプランをご紹介します。この順番で戦略設定からスタートすべきであり、最適なパートナーとともに進めていくことが求められます。

5つのアクションプラン

まとめ:日本市場での真の成功に向けて

いかがでしょうか。海外で成功しているマーケティング施策や手法が日本で失敗してしまう要因は、決して日本市場の「特殊性」や「閉鎖性」が理由ではありません。

むしろ、日本企業の合理的な意思決定プロセス、リスク管理重視の姿勢、長期的な関係性を大切にする企業文化を正しく理解し、それに適応したマーケティング戦略を構築することが重要だと言えます。

外資系企業にとって重要なのは、グローバル本社のリソースと日本市場の特性を組み合わせた「ハイブリッド戦略」の構築です。技術的優位性やグローバル実績という強みを活かしながら、日本企業の意思決定プロセスや購買行動に適応したアプローチを取ることで、将来を含めた持続的な成長を実現することができます。

今回ご紹介した5つの要因と解決策は、多くの外資系IT企業が実際に直面している課題への実践的なアプローチと言えます。まずは完璧を求めるより段階的に実装し、継続的な改善を通じて日本市場でのビジネスを加速しましょう。

日本市場は確かに独特ですが、それは同時に、適切にアプローチできれば長期的で安定した収益を生み出す魅力的な市場でもあるということです。外資系企業というポジションを上手に活用しながら、日本市場での存在感を増すためのマーケティング活動をお勧めいたします。

【徹底解説】日本企業のアジア市場進出の成功を導く鍵となるローカリゼーション6ステップ

アジア市場進出

成長が続くアジア市場の魅力

アジア市場は広大で多様性に富み、世界の成長市場の一つとなっています。その中でも特に東南アジアは人口約6億7,000万人と日本の約5.4倍の規模を誇り、またタイ、インドネシア、ベトナムでは若年層が人口の約半数を占め、高いGDP成長率を維持しています。

中小企業白書から見るアジア市場進出と多言語翻訳

デジタル面でもスマホの普及率やインターネット利用率もかなり高く、日本企業にとって大きなビジネスチャンスであることは間違いありません。そのチャンスを見逃さずに海外進出、アジア市場への進出をするための具体的なローカリゼーションのステップをご紹介します。

ローカリゼーションとは何か?翻訳との違いとは?

ローカリゼーションは単なる翻訳のことではなく、言語・文化・商習慣などを含めて「現地仕様」に最適化するプロセスのことを指します。またローカリゼーションの対象というのは文章だけでなく、例えば、色彩、デザイン、UX、決済方法、法規制まで幅広く含まれるのが一般的です。

ローカライズとは

アジア市場でローカリゼーションが不可欠な理由

アジアには48の国・地域があり、さらに数千の言語と多様な文化があるのは有名です。ターゲットとする国や地域に合わせた表現をしなければ現地の人には受け入れられることはありません。

例えば、言語面ではインドでは22の公用語、フィリピンでは170以上もあります。中国に至っては方言は多数ですし、消費行動なども日本では口コミが重視される一方、東南アジアでは家族・コミュニティ・インフルエンサーといった人たちの意見が尊重される傾向にあります。

要素欧米圏の例アジア圏の例
色の意味白=純粋白=喪(中国)
赤=幸運(中国)
ジェスチャーサムズアップ=好意的な意味一部地域ではサムズアップが侮辱的になることも
食文化・宗教食材制限なしイスラム圏ではハラール必須、豚肉・牛肉制限あり

ですから、こういった特徴を無視してただ翻訳すればいいというわけにはいかないことがお分かりになるでしょう。

ローカリゼーション成功のための4つの視点

1. 徹底した市場理解と市場調査

実は最も大切なのは「ローカリゼーションの準備段階」という人もいるくらい各国の市場理解と市場調査は重要です。ローカリゼーション前に、現地の価値観や嗜好、購買行動を詳細に把握できるかどうか(色、ユーモア、宗教的配慮など細部の違いなども含めて)は、貴社商品や製品が売れるかどうか、受け入れられるかどうかを判断するための非常に重要な要素です。「相手を知る」ことはマーケティングの基本ですが、ローカリゼーションはそこにも関係しています。

2. 翻訳ではなく「体験の最適化」を設計する

単に文章を翻訳するのではなく、トーン&マナー、ビジュアル、UXまで現地の仕様にする必要があります。それは例えばスマートフォンなどが顕著です。例えば、モバイルファーストの市場では、スマホ画面での操作性を最優先に設計しなければ、ユーザがあっという間に離脱してしまいます。自分自身での経験でも確かに簡単に画面を切り替えたり、閉じたりするわけですから、いかに UI/UX が大切かは直感的に理解できるはずです。

「サービスやプロダクトを体験する中で、ユーザにどのような価値を感じてもらいたいのか」をしっかり設計しなくてはなりません。

3. 過度な一般化を避ける

前項と重複しますが、「アジアを一つの市場」と見なすのではなく、国・地域ごとの特性に合わせましょう。

例えば、有名なペプシ社の「Come alive with the Pepsi generation」が、中国では「先祖を墓から呼び戻す」と誤訳された事例は、過度な一般化のリスクを象徴していると言えます。

しっかり市場調査をし、背景を押さえておくことがこういったリスクを最小化するもっとも有効な手段だと言えます。

4. テクノロジーと人の融合

翻訳メモリやCATツール、AIPE などを使って効率化しつつ、文化的な背景を理解するネイティブ翻訳者が品質を確保していくことで、より信頼のおけるコンテンツを提供することができます。

成功企業に学ぶ!ローカリゼーション事例

アジア市場においてローカリゼーションの力によってビジネスが急速に拡大した例は以下になります。

企業名施策成果
Alibaba統合決済、グループ購入、WeChatとの互換性など現地の商習慣に柔軟に対応中国B2B市場で圧倒的シェアを誇る
Grab現地ドライバーとの契約・面接などで安全性を強化東南アジアで急成長、Uberとの差別化を図る
WeChat Pay / Alipay偽札問題解消、QRコード決済を普及中国国内外で急速に普及しておりシンガポールやタイにも拡大(シェア90%以上)
Mobike / Ofo都市短距離移動ニーズに特化したシェアサイクルの提供急速に利用者拡大、都市交通の新インフラに

このように、広義の意味でのローカリゼーションの実施により、企業の成長が押し上げられています。

日本企業が実践すべきローカリゼーションの 6ステップ

以下の図に示すようにローカリゼーションを成功させるためには、確実に押さえておくべきステップをご紹介します。

ローカリゼーションの6ステップ

ローカリゼーションの6ステップ

ローカリゼーションは投資だと捉える

「ローカリゼーションはコストがかかる」というイメージがありますが、それは違います。なぜなら、ローカリゼーションはコストではなく、海外市場での競争力を高める投資だからです。適切な現地語化ができなければ貴社ビジネスはうまくいきません。

逆にローカリゼーションがうまく機能すると顧客体験向上、口コミ拡大、売上増につながっていくと考えると、過大投資は避けつつ、最適な手段を選択し、投資していくというビジネスの基本は変わりません。

まとめ

いかがでしょうか。前述のようにアジア市場は将来性、成長性と多様性を兼ね備えています。その可能性を最大化するためには、戦略的なローカリゼーションが不可欠です。今回ご説明したステップを活用し、未来のユーザが「自分たちのためのブランド、自分のための商品である」と感じる体験を提供しましょう。

「品質と価格は比例する」と言い切ったお客様の話

ある外資系企業のお客様がおっしゃっていました。

「私は品質と価格は比例すると思っています。だから価格が上がるのは問題ありません」

という発言をされました。(それまでの文脈は割愛)

もちろんですが、その通りと感じましたが、こういったことをなかなか面と向かって言うことも少ないのではないでしょうか。

また、実際にはそれが分かっていても実行できないケースや状況が(残念ながら)存在するのも事実でしょう。「そんなことは綺麗ごとだ」という意見もあります。

それでもハッキリと断定したこのご担当者様には、ご自身のお仕事に対する非常に強いポリシーを感じましたし、弊社をパートナーとして見ていただいているのだという良い意味でのプレッシャーを受けました。とにかく安ければいいという風潮もある中で、実際には胸が熱くなるようなシーンもありました。このお客様の言葉をお借りして、品質が高ければ価格が高いのは当然であること、またその逆も然りであることを改めて考えてみたいと思います。

「品質」とは何か

価格が品質によって決まるとするならば、まず先に「品質の定義」が必要となります。

※すべての業界、すべての企業で品質の定義をしているでしょうから、その解釈には多くのパターンがあると考えられます。

弊社の場合、品質とは、お客様が「望んでいるとおりのものを得る」状態のことを指しており、以下のコンテンツでより詳細の説明(定義)をしておりますのでご確認ください。

翻訳、ローカライズの品質とは

さらに、これらの品質を確保するために弊社では「良い品質の翻訳とは」というページも作成、公開しておりますので合わせてご覧ください。

トライベクトルが考える「良い翻訳」とは|翻訳会社トライベクトル

※「品質」は訳文だけの話ではなく、対応品質なども含まれています。

※今回のご担当者様の発言は、この「ご担当者様がご希望のモノやサービス」通りに、または「希望以上のモノやサービス」をお届けしたあとのご感想です。

「価格」よりも「価値」を考える

品質が高ければ後から価格があがりますということを言いたい訳ではありません。またそういうケースはかなりレアでしょう(詳細は伏せますが、今回はそういうことが可能なお仕事だったというだけ)。

よく「価格」ではなく「価値」を考えなさいと言われます。価値とは何でしょうか。あまり難しく考えるよりも、自分がモノやサービスを購入することを想像してみます。

モノやサービスを購入する決断をするときには価格を見ます。しかし、価格を見る以上に見ているものがあります。

「価格に納得できるとき」というのは、「これを買ったら自分の課題や悩みが解決できるかも」と思うときです。価格の向こう側にある「自分が得られる価値」を想像するのです。

そして実際にそれが解決したら「ああ、良い買い物をした」と思うのです。逆に「期待外れ」だった場合には二度と購入されることはありません。

つまり、買い手にとっては「そのモノやサービスの価値を見出すことが大切」ということですし、売り手にとっては正しく価値を伝えることが大事になってきます。

「迷う理由が値段なら買え、買う理由が金額ならやめとけ」

という言葉もあります。つまり、値段(価格)を基準にして判断してはいけないという意味です。「安いから買う、高いから買わない」のではなく、「自社にとって価値があるかどうか=自社が課題解決できるかどうか」が基準であるべきということでしょう。

「品質=お客様にとっての価値が高い=課題解決できる」であるならそれは当然買うし、(仮に高かったとしても)買いますということです。これは誰しも経験があるでしょう。

価格を考えるのではなく価値を考えるというのはこういうことです。

「品質が高い」は「価値が高い」

このように考えると、「品質が高い」という言葉は「お客様にとっての価値が高い」という意味になります。例えば、これを無視して「自分が作ったものは最高だ」と言ったところで、それはビジネスではあまり意味がありません。

ビジネスにおけるプロフェッショナルは、お客さまの課題をしっかりとヒアリングし、それについての改善案を提案し、共に伴走する人のことです。

医者ならばきちんと患者さんの病状を把握し、できる限り相手に負担をかけず、時には激励したり、寄り添ったりしながら最適と思われる治療方針を出し、伴走していくのと同じでしょう。

腹痛を訴えている患者さんに何も確認せずに「この薬を飲みなさい」という医者はいません。しっかりと相手の話を聞き、かつプロとしての視点から改善方法を模索しつつ、提案を繰り返していくからこそ患者さんは安心して任せることができるのです。もちろん、病状からの回復が最大の価値であることは言うまでもありませんが、そこに価値があるのです。

今回の外資系企業の担当者様はこれらの基本的な、でもとても大切な構造をしっかりと理解した上で発言をされていらっしゃいました。だからこそ非常に納得感が強かったわけです。

「価値」はどういう人や企業と付き合うかの基準にもなる

一転して、数年前にこのような記事を書きました。

「翻訳なんて誰がやっても一緒」だが、誰もが「言葉に魂を込めている」ものを求めている

こちらのエピソードも大変驚いたのでよく覚えていますが、今回の担当者さんは、この記事に登場する部長さんとはまったく真逆の発想だと言えます。

ただ、よく考えると要求水準は今回のお客様のほうが高いのです。

なぜなら「私たちが要求する品質のものを出してください。それができれば価格が上がるのは問題ないが、逆にその品質が出せないのなら価格は下がりますよ」と言っているのと同じことだからです。またもっと言えば「価値がないなら取引自体がありませんよ」ということでしょう。

(もしかしたら、一見厳しそうに見えた以前のお客様の方が「翻訳なんて誰がやっても一緒」と思っている分、品質への評価基準がブレている可能性があるため、あまり細かいことを言わないのかもしれません)

いずれにせよ、弊社の提供する言語サービスについてある一定の価値を見出してくださっているお客様である以上、弊社も毎回真剣勝負でお仕事をしています。

重要なのは「価格優先なのか、価値優先なのか、それは担当者 個人としての考えなのか、企業としての考えなのか」といった様々な要素がある中で、「何を課題として持っていて、どういう解決策がお客様にとってベストなのだろうか」ということをもっと真剣に考え、提案しなければならないですし、こういった考え方を持つためには、そもそも自分たちが何を大切にしたいと思っているのか、どう有りたいと思っているのかといった根本の思想が問われているのだということです。

どういった企業と取引をするのか/付き合っていくのかは、まさにこの部分(価値基準)に根差すものであるべきです。そうでなければ「翻訳なんて、通訳なんて、英会話なんて、誰がやっても一緒でしょ」という言葉に流されてしまいます。

まとめ

お客様の要求水準を満たす/超えるために、様々な側面からサービス品質を上げてお客様の課題を解決しようとする(価値)という行動は、長期的に見てお客様との信頼関係をより強固なものにし、また仕事の拡大を促す大きなドライバーになります。

このように(顧客にとって)価値があると感じるものにはそれなりの理由があるということです。そしてそれを無視して「誰がやっても一緒」なんてことはあり得ないということでしょう。

これまで以上にもっともっと努力しなければならない、身の引き締まる思いでした。

 

 

中小企業白書から見るアジア市場進出と多言語翻訳

コロナも明け、少しずつ動きが出てきたようにも思えますが、それでもまだまだ日本経済は円安が続くなど好景気とは言えません。しかしながら、日本における中小企業は全企業数のうち 99.7% を占めており、まさに中小企業こそが強い日本経済の復活のカギというのは間違いのない事実です。

言うまでもなく、日本の経済活動における中小企業の役割は計り知れません。この記事では、「中小企業白書・小規模企業白書」を基に、中小企業がなぜ海外市場へ進出すべきなのか、その戦略と必要性を紐解いてみたいと思います。

今まさに、各産業の中小企業が直面しているのは国内市場の縮小であり、また国内/海外勢を含めての競争の激化です。それらを打開するためにも技術革新(イノベーション)が必要ですし、そのためにも、海外、特にアジア市場への展開が必要となってきます。

中小企業白書・小規模企業白書とは

中小企業白書・小規模企業白書とは、日本の経済産業省が毎年発行する報告書です。この白書は、中小企業や小規模企業の経営状況や抱えている課題、また市場の動向などがかなり詳細に分析され、まとめられています。

内容は特に中小企業、小規模企業の現状と、未来のビジネスのための重要な指針となっています。これらは政策の立案やビジネス戦略の基盤として広く利用されているという面からも信頼に足るものだと言えます。

さらにこれらの白書を読み込んでいくと分かるのですが、日本の経済状況の変化に伴い、中小企業がどのようにその変化に対応しているのかや、支援策の提案なども含まれているため大変貴重な思慮と言えます。日本の全企業のうち 99.7%を占める中小企業の成長を支える重要なドキュメントなのです。

中小企業の定義・小規模企業の定義

はじめに、それぞれの企業の定義をご説明します。

中小企業:日本において、中小企業は資本金または従業員数に基づいて定義されており製造業、建設業、運輸業などでは300人以下、卸売業では100人以下、サービス業や小売業では50人以下の従業員を持つ企業のこと

小規模企業:小規模企業は、より小さな規模の事業体を指します。一般的には、従業員数が20人以下の企業(一部業種では5人以下)と定義されており、家族経営や個人事業主などのこと

中小企業白書から読み取る日本企業の現状と戦略

中小企業白書によると、多くの日本の中小企業は国内市場の縮小に直面しており、これに対応するために新たなマーケットやチャンスを求めていますが、多くの企業にとって(特に)アジア市場への進出こそが成功の鍵となっていると述べられています。

なお、このアジア地域への進出に成功した企業の事例を見ていくと、以下の2つが大きな勝因と言えます。

海外進出する地域特有の消費者ニーズの理解(マーケティング)

「地域特有の消費者ニーズの理解」とは、異なる地域や文化圏で、その地域の消費者が持っている独特の要望や好みを理解し、それに応えるビジネス戦略のことです。たとえば、日本の中小企業が東南アジア市場に製品を展開/販売する場合には、気候、食文化、宗教的価値観など、その地域の特性を考慮しなければなりません。これは業界用語でいうとまさに「ローカライズ戦略」と言えます。

例えば、ある日本の家電メーカーが東南アジア向けに特化した製品を開発する場合を考えてみたいと思います。現地では湿度が高く、電力などのエネルギー供給が不安定なことが多いため、耐湿性や省エネ機能を備えた製品が好まれるとします。その場合、それらの事情を把握した上で製品開発を進めるのが定石と言えます。また、食品業界で考えると、現地の食文化や宗教的な制約(例えば、イスラム教徒が多い地域ではハラール認証された食品)を考慮した製品開発が必須となってきます。

このように、地域ごとのニーズに合わせた製品やサービスを提供することが、海外市場での成功につながります。市場調査などのマーケティング活動が重要性を帯びています。

ローカライズとは

海外進出先の文化への適応(ローカライズ)

「文化への適応」とは、異なる国や地域の文化的な特性や慣習に合わせて、製品やサービスを調整することをさします。これもまさにローカライズと言えるでしょう。

文化的な適応の例としては、外食産業での事例が分かりやすいでしょう。

例えば、アメリカのファーストフードチェーンがインド市場に進出する際に、多くのヒンドゥー教徒が牛肉を食べません。この特有の文化的な事情を考慮しつつ、チキンや野菜をメインとしたメニューに変更する必要があります。

また、日本の化粧品メーカーが中東やアフリカの市場に進出する際には、現地の天候、気候や肌の特性、美容観などを考慮して製品を開発することも重要になってきます。例えば、暑く乾燥した気候に適した肌の保護成分の比率をあげてみたり、地域によって異なる肌の色調に合わせた色彩の商品などの展開をすることなどもあります。

これらの例から分かるように「文化への適応」は、製品の特性やマーケティング戦略を現地の文化に合わせて調整し、より幅広い顧客層に受け入れられるようにすることです。

これらのローカライズ戦略がなければ、現地ではその製品やサービスは受け入れられないため、結果として売れることはなく、やむなく市場から撤退ということもあるでしょう。

このローカライズプロセスは、海外市場でのブランドの成功と持続的な成長を支える重要な要素となり、日本企業は対象の地域を様々な側面から理解し、その地域に根差した製品開発とマーケティング戦略を進めていかなくてはなりません。

Webサイト ローカライズ

販路拡大における海外展開の重要性

前述のように、海外市場への販路拡大は、中小企業の継続的な成長と繁栄に欠かせない要素だということがお分かりだと思います。

ちなみに白書によれば、海外市場(特にアジア)への進出は、企業の売上増加に直結し、さらには競争力を高める効果があると記載しています。ここは見逃せない重要なポイントです。

引用:「2023年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要案」

国境を越えたビジネスにおいては、文化的・言語的な違いへの理解と適応が成功の鍵となることはすでに述べた通りですし、地域ごとに異なる法規制や独特のビジネス慣習への対応もマストになってきます。

アジア市場進出に必要なスピーディな多言語翻訳とWeb制作

では、「海外進出や海外展開はどこから始めればいいのだろうか?」という話になります。

これはやはり複数のステップがありますので今回は一般的なステップをご紹介します。これを見ると海外進出(特にアジア市場)を成功させるためには、戦略的で段階的なアプローチが必要だということが分かるでしょう。

ステップ補足説明
市場調査と分析・対象国の市場サイズ、成長潜在性、競争状況を調査
・対象国の文化や消費者の行動、法規制などの地域特有の要因を理解
戦略計画の策定・ターゲット市場に合わせた製品やサービスのポジショニング
・販売チャネル、価格戦略、プロモーション戦略の計画策定
法的・財務的準備・現地の法律や税制、会計基準を把握し、遵守
・初期投資、運転資本、リスク管理に関する財務計画を策定
現地ネットワークの構築・現地のビジネスパートナー、供給者、販売代理店との関係構築
・政府や業界団体とのネットワークの構築
運営体制の確立・現地オフィスの設立、管理体制の構築
・現地スタッフの採用と研修、トレーニング実施
製品・サービスの適応・地域特有の消費者ニーズや文化への適応
・法規制、安全基準などに対する製品の適合
マーケティングと販売の実施・企業ブランド認知とイメージ構築のためのマーケティング活動
・販売戦略の実行と顧客サービスの提供
パフォーマンスの評価と調整・市場反応のモニタリングと業績分析
・戦略の微調整や市場へのさらなる適応

適切なローカライズと高い専門性

これらのステップで共通していることは、海外展開/海外進出で成功を収めるためには「すべてのステップでターゲット国に合わせる」ということでしょう。

そのためにどうしても外すことができないのがスピーディで正確な多言語翻訳であり、Web サイトをはじめとした各種ドキュメントのローカライズです。

特に、国を超えてビジネスを展開するということは、少なくともひとつの言語の壁を乗り越えなければならないということです。言語の壁を乗り越えるということは、その国の歴史や文化を理解するということと同義です。

そこには絶対的に専門的な翻訳サービスが必要となります。アジア市場にローカライズされた Web サイトや製品というのは、ブランドの認知度と信頼性を高めるのに必須のツールです。例えば、現地の文化や消費者の嗜好に合わせたコンテンツの作成などは当然、準備しておくべきでしょう。

日本市場だけではなく海外市場(特にアジア市場)を見通したときに、専門性の高い内容をその国に合わせた形でローカライズできれば、相手とのコミュニケーションをスムーズにしてくれますから、結果的にビジネス自体もスピーディに進められると言えます。

まとめ

いかがでしょうか。中小企業が国際競争において成功を収め、海外進出を成功させるためには、海外市場へのローカライズの重要性を理解することが不可欠です。

中小企業白書、小規模企業白書からの洞察は、日本企業が未来に向けてどのように進むべきかの指針を示してくれていると言えます。

成長市場であるアジア市場への進出は単なる選択肢ではなく、貴社の持続可能な成長と発展を遂げるための必要不可欠な戦略なのです。

このような戦略的なアプローチにより、私たち中小企業は国際的な競争力をより一層高め、新たな市場での成功を実現することができるでしょう。

※全文はこちらから読むことが可能です。ぜひご興味のある方はご覧ください。

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html

多言語翻訳まとめてお得プラン

「翻訳トライアル」は翻訳会社選定に本当に必要なのか

多くの翻訳会社が翻訳の品質をお客様に確認してもらうために、「無料翻訳トライアル」を実施しています(実施していない会社もあります)。

特に新規での取引の場合には、翻訳トライアルは重要だと言われています。しかし、そもそも翻訳トライアルは絶対に必要なものなのでしょうか。トライアルをしないといけないのは何故なのでしょうか。

翻訳の必要性とその活用方法

ご存知のように、現代のグローバル社会では、「翻訳の品質」がビジネスの成果に直結することが多いと言えます。例えば日常生活で使う家電製品の取扱説明書や、ビジネスで必ず締結する様々な契約書など、ありとあらゆる場面でドキュメントの翻訳やローカライズが必要とされています。

間違いがあってはいけない内容であればあるほど、それをターゲット国で展開するためには、絶対に正確な翻訳がなければなりません。

だからこそ(当然ですが)「正確な翻訳サービス」を支える「翻訳品質」が重要になるのです。

つまりお客様から見れば、「それだけ重要な翻訳品質をどのように確実に確保すればいいのか」は大変重要なテーマとなります。

すでに付き合いのある翻訳会社に丸投げすればすべて解決するのかと言えばそんなことはありません。なぜなら、1社だけではキャパシティの問題や得意/不得意の分野などの問題があるからです。

だからこそ、いくつかの翻訳会社との取引を常時持っておく必要があります。

そこで必須項目となってくるのが今回のテーマである「翻訳トライアル」なのです。

無料翻訳トライアルとは

弊社でも翻訳トライアルについてのご案内をしています。

無料翻訳トライアル

翻訳会社の選択時の判断基準を間違えたために、後悔するような結果を招いてしまうと、もはや目も当てられません。弊社でもお客様からこれまで何度も同様のご相談を受けてきました。

このような事態が起きないように、弊社では「無料翻訳トライアルサービス」をご活用されることを積極的にご提案しております。

トライアルをすれば、翻訳・ローカライズそのものの品質が分かります。具体的には自分たちの好みに合った訳文かどうかが分かりますし、実際に翻訳を発注した際のイメージもより鮮明になりますので、不安は少しずつ解消できます。

このトライアルを通じ、貴社は以下の点を確認することができます。

「翻訳の品質」だけでなく「翻訳会社としての品質」を確認できる

翻訳の品質を確認することが第一の目的ですが、それ以外にも「実際のお仕事をお願いした時にどのようなスピード感で、どんな対応をされるのか」という点を見ることもできます。

これは意外と見落としがちですが、コミュニケーションサービスを提供している企業にも関わらず、雑なコミュニケーションや一方的なコミュニケーションになることも多いのです。その場合、お客様の余計なストレスはビジネスに少なからず影響を与えることがあるというのは、社会人経験があれば誰でも理解できるでしょう。

翻訳の品質以外で確認できるのは以下になります。

  • 文法や表現、専門用語の正確性など
  • 翻訳スピード: 納期の守りやすさや、急なリクエストにどれだけ柔軟に対応できるかなど
  • コミュニケーションのスムーズさ:質問や要望にどれだけ迅速に、適切に回答してもらえるかなど

つまり、発注前の翻訳トライアルはやはり必須だと言えます。

翻訳トライアルをしなかった場合のリスクやデメリットは?

前述のように、翻訳トライアルは発注前に踏むべき重要なステップとなります。

このように、翻訳は単純に文字だけでなく、文化や背景、ニュアンスを正確に伝える技術でもあります。にもかかわらず、翻訳の品質は翻訳者や翻訳会社、また企業ごとにバラツキが出てしまいますのでそれらを発注前に最小限にする必要があるのです。翻訳トライアルを省略してしまうといくつかのリスクが(納品後に)表面化することになります。

予定していた品質の翻訳ではなかった場合

期待と異なる翻訳が届いた場合、再度の修正ややり直しが必要となり、余計なコストと時間が発生します。これはビジネスではかなり致命的だと言えます。

ビジネスで最も重要な信頼(ブランド)の毀損

また、ビジネスにおける信頼という点でも誤訳や不適切な表現、間違った情報が含まれることで、貴社のブランドや信用が傷つけられる可能性すらあるのです。

これはつまり取引先や顧客との関係に悪影響が出る可能性もあり、結果として企業ブランドの毀損にも影響します。

こういった見えないリスクを最初から顕在化して把握し、事前に対処しておくためにもトライアルがいかに重要かということがお分かりになるでしょう。

適切なトライアルの活用方法

上手に使えば貴社が安心して発注できる翻訳会社を適切に選択することができます。翻訳品質だけでなく、対応もしっかり見定めるためにも、翻訳トライアルを最大限に活用するためのポイントをお伝えします。

トライアルとして選択する内容(原稿)の選び方

トライアルに出す文章は、実際のビジネスでの使用を想定したものが望ましいと言えます。業界特有の用語や表現が多い文章を選ぶことで、翻訳会社/翻訳者の専門知識を確認することができます。「この言葉はこんな言い方しないよ」という感想をお持ちになったことがあるかもしれません。そういったことが無いように原稿を選びましょう。

トライアルについてのフィードバック

トライアルの結果、疑問や不明点があれば積極的に翻訳会社にフィードバックをしてみましょう。これにより、翻訳会社は「何が良かったのか」「何がいけなかったのか」が具体的に理解できますし、お客様としても明確に意図が伝わりやすくなります。最終的な翻訳品質の向上やコミュニケーションが円滑になることで、その後の本番での業務もスムーズになるでしょう。

複数社の比較

一つの文章を複数の翻訳会社に翻訳トライアルとして依頼することで、品質やスタイルの違いを比較検討することができ、自社に合った会社を選定することができます。

弊社の翻訳トライアルへの取り組み

弊社では「大切な想いをつなぐ」という経営理念を元に「品質と信頼」を最優先としています。

また弊社では「良い翻訳とは何か」という大きなテーマに真正面から取り組んでいます。

トライベクトルが考える「良い翻訳」とは|翻訳会社トライベクトル

このように、弊社では翻訳トライアル前からのご相談も対応しており、貴社のご要望を最大限に反映した言語サービスを提供することを心がけています。

翻訳のニュアンスや専門用語の選択、スケジュールなどの要望にも柔軟に対応しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

翻訳やローカライズ業務は、企業のブランドや取引先との関係、さらにはビジネスの成功そのものに影響を与える重要な要素だといえます。そのため「翻訳トライアル」を積極的に活用して、最適な翻訳会社を選定することが非常に重要です。品質の確保と業務の円滑な進行のため、翻訳トライアルの利用をぜひご検討ください。

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