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その事例「お蔵入り」していませんか?「読まれる事例」から「営業が使いたい事例」へ成果を最大化する新常識『エビデンス・オプス』とは

evidenceops

「多大なコストと時間をかけて顧客インタビューを実施し、ようやく導入事例を公開した。しかし、営業現場でどれだけ活用されているのか、そして、本当に売上に貢献しているのか、自信を持って答えられない…」

IT企業のマーケティング担当者様なら、一度はこんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか?事例制作における「コスト」「納期」「取材アポの調整」といった課題は、実は「表面的な症状」に過ぎません。

本当の課題は営業の成果に直結する「勝てる証拠」としての導入事例を、継続的に供給・再利用できる仕組みがないことなのです。

本コンテンツでは、この根深い課題を解決し、事例制作の投資対効果を最大化する新アプローチ『Evidence Ops(エビデンス・オプス)』について、具体的なステップと共に解説します。

なぜ、今までのやり方では通用しないのか?

まず初めに、従来の「作って終わり」の事例制作では成果が出にくくなってしまっている原因のひとつに BtoB 購買プロセスの劇的な変化があります。

BtoBの購買プロセスは、もはや「一本道」ではない

現代のBtoBにおける購買は、マーケターが想定するような綺麗な一本道(ファネル)ではありません。Gartner 社の調査によれば、平均で6~10名程度の意思決定者が、それぞれ4~5個の情報ソースを持ち寄り、行ったり来たりしながら検討を進めている、というのが現実です。

https://www.gartner.com/en/sales/insights/buyer-enablement

つまり、買い手の 約 77 %が「製品やサービスの購入は非常に複雑で困難だ」と感じているのです。

https://www.gartner.com/en/sales/insights/b2b-buying-journey

買い手は「自分で調べたい」と考え、営業担当の出番はごく僅かになっている

さらに、買い手は自ら情報を集めて主導権を握りたいと考えています。これは驚くべき数字ですが、実に買い手の 75%が「営業担当者を介さない購買体験を好む」と回答しており、実際に、買い手が購買活動に費やす時間のうち、ベンダーとの対話に使われるのは、わずか17% というデータもあります。

https://hbr.org/2022/01/sensemaking-for-sales

つまり、営業が接触する前の「自己学習フェーズ」で、いかに信頼できる「証拠(実績)」を提示し、検討の土台に乗せてもらえるかが勝負の分かれ目となるのです。

マーケットの95%は「今すぐ客」ではない

また忘れてはならないのが、「95-5ルール」です。マーケットにいるターゲットのうち、今すぐ購入を検討している層はわずか 5%と言われており、残りの95%は、まだ具体的な検討段階にはいない状態です。

https://business.linkedin.com/marketing-solutions/b2b-institute/b2b-research/trends/95-5-rule

この大多数を占める「検討段階にない層」に対しては、彼らの課題に気づきを与えるよう示唆に富んだコンテンツを提供し、具体的な検討のタイミングが来た時に、事例やROIデータといった「稟議を通すための素材」を迅速に手渡す、といった流れを作っておく必要があります。この2段構えの戦略こそ、重要なプロセスとなります。

貴社の事例制作における「3つのギャップ」

この厳しい現実に対し、多くの企業の事例制作プロセスには 3つの大きなギャップが存在します。

ギャップの種類具体的なギャップ
コンセプト ギャップ導入事例を「美しい読み物」として捉えており、「顧客の購買プロセスを前に進めるための証拠となる集合体」という視点が欠けている
一度作ったら様々な部署(経営層、事業部、営業、IT部門など)で再利用されるという前提がない
プロセスギャップ法務、広報、営業、カスタマーサクセスといった関係部署の承認が伝言ゲームのようになってしまい、必要以上に時間がかかる
「このROI、本当に達成したの?」といった数値へのフィードバックに対する根拠がきちんとまとめられておらず、手戻りが多くなっている
グローバル本社と日本支社で、顧客の「実名公開」に対する許諾のハードルが異なるにも関わらず、共通のテンプレートや合意形成のプロセスがない
事例の完成後、営業がすぐに使える「提案書用の抜粋スライド」や「メール添付できる1枚資料」への展開や提供が後手になっている
ツール ギャップCRMやCSツール内に眠っている「顧客の利用率」「満足度」といったいわば宝の山とも言えるデータが、事例制作のインプットとして活用されていない
事例の権利情報、許諾期限、改訂履歴などがバラバラに管理され、いざ再利用しようとすると「このロゴ、まだ使っていいんだっけ?」といった確認に多大なコストがかかっている

このように、これらのギャップが積み重なり「作ったはいいが、使われない」事例が量産されてしまうのです。

マーケ担当者が本当に欲しいのは「仕組み」

では、マーケティング担当者は本当のところはいったい何を求めているのでしょうか。それは、「単なる美しい事例記事」ではないということです。

仕組みポイント
営業が実際に使用できる「証拠/実績」の継続的な供給マーケティング施策(MQL)から商談(SQL)、そして受注へと、導入事例がどう貢献したのかをきちんと追跡できる
承認プロセスと法務リスクの最小化数値による主張の根拠を明確に管理し、社内承認をスムーズにすること。
また、「実名/匿名」の両パターンを戦略的に使い分け、許諾のハードルを下げること
買い手の心に響く「形式」にする「短さ」こそが正義:67%の買い手が「短いコンテンツは価値がある」と回答。
「共有しやすさ」が拡散を生む:共有リンクや、SNSで引用しやすい統計データが効果的。
最適な届け方:LinkedIn(84%)、Eメール(78%)、社内コラボツール(60%)が主要な配布経路。
顧客の検討ステージに合わせた資料の提供検討の中盤では、具体的なケーススタディ(78%)が最も有効。
検討段階の終盤では、製品デモ(77%)、ユーザーレビュー(63%)、ROI計算ツール(60%)といった、より具体的な意思決定材料が求められる。

これらのニーズを満たすためには、導入事例を単発の「制作物」として捉えるのではなく、「顧客の実績を事業資産として運用する」という発想の転換が必要となります。

解決策:『エビデンス・オプス』(Evidence Ops)

ここからが本題となりますが、これらの課題を根本から解決するアプローチとして『エビデンス・オプス』(Evidence Ops)をご紹介します。

この概念は、単に導入事例を作るだけでなく、「顧客の成功実績(エビデンス)の発見 → 制作 → 承認 → 配信 → 計測 → 改善」までを一気通貫で管理し最適化する「仕組み」です。

なお、ここでの「エビデンス」とは、単なる導入事例の記事だけを指すのではありません。

定量的な導入効果(ROI、コスト削減率、生産性向上率など)、お客様からの評価コメント(お客様の声、推薦文)、権威ある第三者からの評価(アナリストレポート、受賞歴)、顧客企業のロゴ、満足度調査のデータなどいわゆる、「お客様が貴社を選んで成功した」という客観的な事実のすべてが含まれます。

エビデンス

そして『エビデンス・オプス』は、これらの価値ある「エビデンス」を一連のサイクルを組織的に回していくための、新しいマーケティングのアプローチとなります。

プロセス

具体的な8つのステップをご紹介します。

Evidence Ops 8 steps

「エビデンス・オプス」の KPI

エビデンス・オプスを導入することで、マーケティング活動の成果は具体的な数値として現れるようになります。以下は各評価のためのチェックリストとなります。

成果項目詳細
SQL化率の向上導入事例をリクエスト、ダウンロード等をした見込み客は、そうでない層に比べてどのくらい商談化率が高いか?
検討期間の短縮導入事例を提示した案件は、そうでない案件に比べて検討期間がどのくらい短くなるか?
受注率の向上同業・同規模の「自分ごと化」できる事例を提示することで、受注率がどれだけ上がるか?
営業ツールとして営業担当による導入事例素材の再利用(提案書への引用、メールへの添付)回数は?
許諾資産の増加匿名での許諾から実名公開へとステップアップした顧客の割合や、期限切れで使えなくなる資産の削減率

これらのKPIを追いかけることで、導入事例制作がただのコストセンターではなく、明確な成果を生み出すプロフィットセンターへと生まれ変わります。

まとめ:「読まれる事例」から「営業が使いたい事例」へ

BtoBの購買はますます複雑化し、買い手はより多くの実績をはじめとしたエビデンスを求めています。もはや、導入事例は単なる「読み物」ではありません。営業担当が顧客の心を動かし、「稟議を通す」ための強力なツールです。

導入事例を、最も効果的なタイミングで、最も効果的な相手に届けるための運用ステップがエビデンス・オプス(Evidence Ops)です。

ただ作って終わりの導入事例ではなく、その先の成果に直結する「勝つための貴社の資産」という位置づけにすべきです。

弊社では、単に美しい事例を制作するだけではありません。貴社のビジネス成果に貢献するため、エビデンス・オプスというコンセプトから導入事例の企画、改善、運用までをワンストップで支援しております。

IT分野専門の導入事例制作サービス

IT企業のための効果的なコンテンツ戦略!動画から記事を作る方法

IT企業のお客様から「動画を記事コンテンツにしたい」というご相談を受けます。これは至極まっとうな内容ですが、とはいえ、このプロセスはまだそれほど多く知られていません。そこで今回は動画を記事コンテンツにする方法について解説します。

「ワンソースマルチユース」というキーワードは以前から存在していた

いわゆる「ワンソースマルチユース」と呼ばれますが、この発想は以前から存在していました。「ワンソースマルチユース」とは 1つのコンテンツを形を変えて様々なメディアに展開することですが、本テーマの「動画を記事コンテンツにする」というのは以下のイメージです。

ワンソースマルチユース

ちなみに、参考として弊社の場合には翻訳したドキュメントを様々なメディアに展開することによってコストを抑えながら成果を出すというサービスも以前からあります。

1×1 ソリューション

もったいない(mottainai)という発想も大切

お客様からのご相談のきっかけは「こんなに良い内容を動画だけにしておくのはもったいないと感じた」といった内容のもので自分たちの動画のコンテンツは非常に有用だと感じていらっしゃるわけです。だから「このままにしておくのはもったいない」という話です。

そういえば「もったいない」は全世界共通のキーワードですね。企業であれ個人であれ、有効利用しようという発想は重要です。

またすでにマルチユースを実行しているお客様は「はじめから記事にするつもりで動画の構成を考えている」という話もお伺いします。この発想はさらに重要です。

つまり「有限のリソースをいかに使用してパフォーマンスを上げるか」ということでしょう。これらの前提を意識してビジネスを展開することで多くのメリットを享受することができます。

動画を記事コンテンツにする5つのメリット

動画を使って記事コンテンツを作ると最低でも以下の 5つのメリットを享受することができます。

ワンソースマルチユースの5つのメリット

いかがでしょうか。制作コストを抑えつつ、リードを増やすことができるため動画を動画のままにしておくのはまさに「もったいない」ですよね。

どんな動画コンテンツを記事にできるのか

動画にも様々なタイプがありますが、どのような動画をコンテンツ化できるのかをご説明します。

種類

解説

会社案内動画貴社の案内なので役員やスタッフが主に登場。仕事をしているシーン等が多め。またビルや工場などの外観も。
インタビュー動画導入事例などに主に使用される。自社製品を導入したらどのような効果を得たかをクライアントにインタビューをする
採用動画採用は企業の重要課題。欲しい人材やポジションに近しいスタッフに登場してもらうことで実際の働くイメージを持ってもらいやすい。
サービス、商品解説動画貴社の製品やサービスの案内や、使い方などの動画も効果的。
Webinar 録画海外や国内問わずの講演や Webinar を頻繁に行っているならそれらをダイジェストにしたりすることもできる。お客様にとっては手軽に情報を取ったり学習できる内容。

(重要)コンテンツを作る上で決めておかなければならないこと

動画も記事もどちらにも共通することですが、ユーザが問い合わせたくなるようなコンテンツを作る上で絶対に外してはいけないポイントをご紹介します。

動画及び記事コンテンツ制作の目的

当たり前ですが、「何をしたいのか、誰に向けた動画なのか」をしっかりと明文化しておく必要があります。単純に「動画を作りたい」「記事コンテンツを作りたい」だけでは自己満足の世界に陥ってしまいますし、誰にも刺さらないものになります。

「弊社の製造業の顧客、特に情報システム部の決定権者に見てもらう動画と記事コンテンツを作りたい。その際には、1か月に2本程度を定期的に制作し配信する。また自社サイトだけでなくメディアにも展開し、多くの露出をはかり、現在の1か月あたりのリード数を2倍にする」

最低でもこの程度は決めておくべきでしょう。

そのためにどんな種類の動画/記事コンテンツにするのか

動画だけを考えても以下のように多くの種類の動画があり、それぞれ目的が違います。自社の制作目的に沿った動画を選択しましょう。動画をどんな記事コンテンツにすればいいのかを参考までに掲載します。

種類

解説

記事コンテンツ

会社案内動画貴社の案内なので役員やスタッフが主に登場。仕事をしているシーン等が多め。またビルや工場などの外観も。Web の場合には「会社案内」や「代表挨拶」などに展開する。
インタビュー動画導入事例などに主に使用される。自社製品を導入したらどのような効果を得たかをクライアントにインタビューをする導入事例として展開する。
採用動画採用は企業の重要課題。欲しい人材やポジションに近しいスタッフに登場してもらうことで実際の働くイメージを持ってもらいやすい。Web の場合には「採用」ページに展開する。インタビュー動画もそのまま貼り付けてもよい。
サービス、商品解説動画貴社の製品やサービスの案内や、使い方などの動画も効果的。Web の場合には「サービス」ページに展開する。またデモや実績なども追記してより説得力を持たせ、問い合わせにつなげる
Webinar 録画海外や国内問わずの講演や Webinar を頻繁に行っているならそれらをダイジェストにしたりすることもできる。お客様にとっては手軽に情報を取ったり学習できる内容。ホワイトペーパーとして展開する。Webの場合にはブログ記事に展開することも可能。

これらの動画を制作したあとに「ターゲットにどんな行動をとってもらいたいのか」をしっかりイメージしておく必要があります。「デモの問い合わせをしてほしい」ならデモにつながる記事にすべきですし、さらには Web側にはデモ専用フォームを作るべきでしょう。

その内容を誰に語ってもらうのか

基本的には、導入事例であれば貴社ユーザに出演していただく、採用動画であれば貴社スタッフに出演していただく、会社案内であれば、貴社の代表に出演していただくなどのアレンジが必要になります。このあたりは制作会社とともに相談すべきです。

貴社ユーザのオフィスで撮影するのか、自社内なのか、スタジオを借りるのかなども、誰に語ってもらうかによって変わります。

「誰が話すか」というのは非常に重要なテーマです。

この3つのポイントは妥協することなく、決めておきましょう。

制作にあたり準備するもの

貴社とのお打ち合わせの中で以下のような内容をお伺いし、弊社も一緒に準備します。

動画制作コンテンツ制作の目的
企画・構成
シナリオ台本・コンテ作成
ロケハン・撮影
ナレーション収録
編集
BGM なども含む
納品(Web へのアップロード)
記事コンテンツ動画コンテンツの理解動画制作時にインタビューしたライターならベター
動画コンテンツの文字起こし
ライティング動画制作時にインタビューしたライターならベター
インフォグラフィックス制作動画内で使用していれば流用
デザインホワイトペーパーや導入事例のデザインがあれば流用
納品(Web へのアップロード)

これらはあくまで基本となりますが、ひとつひとつのプロセスを事前にしっかりとお打ち合わせすることで、より高品質のコンテンツを制作することができます。ちなみに動画の制作と記事の制作は繋がっているため、できるだけ同じ会社に依頼したほうがいいでしょう。

まとめ

「動画を記事コンテンツにしたい」というアイデアは非常に効果的です。

動画や記事の制作実績や経験豊富なパートナー企業と共にスピーディに、かつ高い品質を維持しながら制作することをお薦めします。

なお、弊社では、主にIT企業のお客様を中心に「言語を軸とした様々なマーケティングサービス」をご提供しています。

ぜひお気軽にお問い合わせください。