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5W1Hはコミュニケーションの基本

他者とのコミュニケーション、特にビジネスにおいては「言った言わない」という低レベルの話をしている時点で仕事はできないというレッテルを貼られてしまいます。

当然ながらそういったことが起きないように、議事録があったり、Slack やチャットワーク、メールなどの様々なツールがあるわけです。

これは社内外問わず同じことです。

本来、コミュニケーションにおいて抑えるポイントが分かっていれば、このレベルの話にはならないはずですが、誰でも一度は経験があるのはなぜでしょうか。日常的に起きているのは何故なのでしょうか。

相手との相性が悪いから?ウマが合わないから?

そうではありません。相性が悪いなら悪いなりの、会わないなら合わないなりのコミュニケーションの手段はあるはずです。

今回は他者とのコミュニケーションの基本となる「5W1H」について解説します。

「5W1H」とは何か

5W1H という言葉は学校の英語の授業などで習うと思いますが、ビジネスコミュニケーションでは、どれもが非常に重要です。ひとつずつ解説します。

5W は、W から始まる英単語、「なぜ(Why)、いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)」の 5つの W を取っています。

1H は、「どのように(How)」です。

※なぜ誰でも知っているような「5W1H」をわざわざ説明するのかと言えば、言葉の定義の統一を図るためです。相手(この場合は読み手)が勝手な解釈をしないために、それぞれ定義しておくことで、これ以降の説明の理解度を深める働きを持っています。

この辺りは「自分と他者が違う」という前提を持っていなければできないことですが、以下の記事も参考にしてみてください。

コミュニケーション能力の高い人が行っている6つの行動

 

このように、5つの W と 1つの H を「5W1H」と呼ぶわけですが、多くの方がご存知でしょう。しかし、これをきちんと使いこなせているでしょうか。

特に日本語は、主語が無かったり、動詞が最後に来るので結論を最後まで聞いていないといけないわけですが、そこがはぐらかされたり、言わなかったりということは多くあります。

なお、「ツーカーの仲」「阿吽の呼吸」で理解するには、相手を深く知らないといけないため、それまではしっかりとしたコミュニケーションをとる必要があります。

ビジネスコミュニケーションの「5W1H」

ビジネスでは、自分に関わる登場人物が多くなります。自分が顧客との窓口(接客や営業)であれば、相対するお客様、さらに自分の上司、上司の上司、他部署の人たち、さらにお客様が企業ならお客様の上司などなど、どんどん増えていきます。

しかも「阿吽の呼吸」仕事ができる仲間や同僚、上司、パートナー、クライアントとなるとかなり厳しいことが分かるでしょう。

登場人物が多いこと、それぞれが持つバックグラウンドが異なることなど、指数関数的に状況が変わっていきます。

このようにある種、伝言ゲームになりがちな仕事をしなければならないとき、「5W1H」が機能しなければどうなってしまうでしょうか。

以下は「5W1H」がはっきりせず起きたトラブル例です。

営業:「部長、昨日私あてに連絡があったみたいなんですけど、先日注文のあったお客さんが来週までに A 商品をあと500個追加したいということでした。」

(直属の)部長:「そうか、それは良かったな。ただ恐らく、ウチの部に A の在庫はそこまでないだろうから、在庫は管理部に聞いてみてくれ」

営業:「分かりました。確認します」

営業:「すみません、A 商品の追加の注文がありまして、500個ほどなんですが、それってそちらにありますか?」

管理部社員「A 商品ですか?ちょっと調べてみますね」

管理部社員「ああ、先週にちょうど500個注文してくださったお客様がいらっしゃって、そちらにすべて納品の手配をかけてしまいました」

営業:「ああそうだったんですか・・・それだと 500個はないですね」

管理部社員:「はい、今はありませんね。これからの生産予定を見ますと・・・えーと・・ああ、これだ、完成するのは来月ですね」

営業:「来月ですか・・・ちょっとそれだと遅くて・・・何とかなりませんか?」

管理部社員:「そう言われても無いものは出せないですしねえ・・・そうしたら、ほかの支社にあるかもしれませんが、私では分かりかねるので、部長に聞いてもらえますか?」

営業:「分かりました。お手数かけました」

営業:「部長、管理部に聞いたんですが、500個分の在庫は無いそうです」

(直属の)部長:「そうか、で、どうするつもりなんだ?」

営業:「えっ?いや、それは部長に聞いてみてくれと言われまして・・・」

(直属の)部長:「はあ?オレが分かるわけないだろう。オレは在庫管理してないぞ」

営業:「そうですよね。。。。」

これは極端な例ですが、これは Who(誰が)が曖昧なケースです。「部長」という役職名だけで会話が進んでいます。もし「○○部長」や「管理部の部長」「私の上司」などがあれば、このような勘違いはしません。

営業:「すいません、すっかり勘違いしちゃって。管理部の部長さんですよね」

管理部社員:「え?ええ・・・はい(そりゃそうだろ)」

管理部の社員も「納期はいつですか?」と聞けばよかったのですが、完成品が出来上がる時期だけを伝えて、あとは知らん振りです。

営業:「部長すいません、すでにご存じかもしれませんが、私の担当するお客様で、A商品の追加注文をいただいておりまして、在庫を確認していただいたのですが、ここにはない為、ほかの支社にあるかどうかを確認させていただきたいのですが・・・」

管理部部長:「ああ。話は聞いたよ。支社への連絡は部下にさせるが、いつまでに必要なんだ?」

営業:「はい、来週です」

管理部部長:「来週?!私は来週とは部下から聞いてないぞ」

営業:「し、失礼しました。私が伝え忘れていました。申し訳ありません」

管理部部長:「うーん、とにかく来週だったら、今週中にはどうにかして発送しないといけないじゃないか。部下からは在庫が支社にあるかどうか確認したいという事しか聞いてないんだ。そんなに急ぎなら、もっと早く言ってくれないと困るよ」

営業:「も、申し訳ありません。。。よ、よろしくお願いします」

これは、W のうち、When(いつまでに)を伝えていないために起きるケースです。直属の部長には報告してあったのですが、それで自分は報告したつもりになっており、管理部に相談するときに伝えていなかった(=忘れた、または伝える意志がそもそもなかった)ため、時間が経ってから納期が無いという事が発覚しました。

そして3日後。

管理部社員:「他の支社に当たったら、3か所分を集めれば、500個あるそうなので、急ぎこちらに送ってもらうようにしました。まとまったらお知らせしますね」

営業:「ありがとうございます!助かります(ああ、良かったー、これでお客さんに迷惑かからなくて済む・・・)」

これで何とか在庫を確保し、発送できるようになりました。めでたしめでたし・・・とはならないのが仕事です。

お客さま:「お世話になってます。この間お願いした A 商品の追加注文なんだけど、アレ、もう届いたから結構です」

営業:「えっ?まだこちらからはお送りしていませんよ」

お客さま:「いや、今日届きましたよ。今、私の目の前にありますし。間違いなく御社からですよ?」

営業:「ええ?ちょ、ちょっと待ってくださいね、、、(どうなってるんだ??)」

お客さま:「とにかくこちらはもう大丈夫なので、請求書だけ送ってください。よろしくお願いします」

あ営業:「え、ええ・・・(一体何が・・・)」

何とかかき集めた 500個分の商品ですが、すでにお客様に納品されているというのは一体どういうことなのでしょうか。

実はこれは冒頭の管理部社員との会話にヒントがあります。

管理部社員「ああ、先週にちょうど500個注文してくださったお客様がいらっしゃって、そちらにすべて納品の手配をかけてしまいました」

この「お客様」ですが、実は同じお客様だったのです。担当者がいない時に追加注文をしていたことが社内できちんと伝わっていないために起きてしまいました。

営業のいう「お客様」と管理部社員のいう「お客様」は同じ企業だったのです。

営業:「部長、先日の件ですが実はちょっと問題がおきまして・・・」

(直属の)部長:「何っ?納品が間に合わなかったのか?それとも在庫が無かったのか?」

営業:「いえ、在庫はあったんですが・・・実は、すでに500個納品されたみたいなんです・・・」

(直属の)部長:「えっ?間に合ったってことか?それは良かったじゃないか。それの何が問題なんだ」

営業:「あ、いえ、違うんです。ご相談した 500個ではなく、別の 500個がお客様のところに・・・」

(直属の)部長:「何だと?一体どういうことだ、それは・・・・!」

あくまでもこれはコミュニケーションにおいて 5W1H を理解するための例文のため、これ以降の会話は割愛させていただきます。

ホウレンソウは「5W1H」を意識して話す

上記は極端な例ではありますが、これに近い会話はあちこちで起きています。

上司への報告や相談、お客様への連絡では必ず「5W1H」にそって話をするようにします。

逆に言えば、「5W1H」のうち、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)は外すことなく伝えなくてはいけません。時間と場所、主語を取ってしまうと急にぼやけた話になり、責任の所在も曖昧になってしまうためです。

上記の例でいけば、Who=「部長」、When=「来週まで」から始まり、ミスを報告する際にも部長への報告が時系列で整理されて話されていないため、部長は「間に合ってよかったじゃないか」と勘違いしています。ミスの報告自体にミスが含まれている状態です。

お客様に対しても、社内のコミュニケーションがスムースに進んでいないのが明白です。

※実際には、在庫管理システムなどがあればこういった事態は起きないとは思いますが、コミュニケーション上の行き違いや勘違いはシステムでもどうにもできない部分があります。

徹底的な「ホウレンソウ」でコミュニケーションを活性化する

 

まとめ

「5W1H」をしっかり意識して話をするだけで、ミスコミュニケーションはかなり回避できると考えられます。

冒頭でも書きましたが、日本語は省略しても意味が通じる言語体系を持っています。そしてそれはある意味では非常に便利です。

ところが、グローバル化が進むにつれてハイコンテクストなコミュニケーションではなく、ローコンテクストのコミュニケーションが重要になっています。

様々な価値観を持つ人々を相手にビジネスをするために、キッチリ、ハッキリ伝えていかなくてはならないのです。言わなくても分かるだろという会話は、日常生活では OK でも、ビジネスでは致命的です。

それらを回避するために、「いつ、どこで、誰が、どうするのか」を間違いなく伝えることは、発信者の責任だと言えるのではないでしょうか。

そして同時に、上長はこれらの要素が満たされていないホウレンソウは、しっかりと確認する責任があります。

仕事は1つの目的を達成するためにチーム一丸となって取り組む必要があり、その潤滑油として機能するものこそコミュニケーションなのです。これをサボるというのは、必要な油を差さずに機械を動かそうとするのと同義です。

実際、機械なら定期点検やメンテナンス日がありますが、コミュニケーションにはそれがありません。だからこそ、定期点検やメンテナンスの代わりに「5W1H」をしっかり使うことが必要とされるのです。


「翻訳作業前に原稿を読まないのか?」という質問

「原稿を読まないの?」という質問

以前、あるお客様に「翻訳する前に原稿読まないんですか?」と聞かれたことがあります。(実際にご発注いただく前のタイミングです)

最初はよく意味が分からなかったのですが、「翻訳する前に原稿を全部読んで、その時点で不明な点をつぶしておけば訳文の質も上がるだろう」という意図のようでした。

このコメントをいただいたとき、正直申し上げて大変驚きました。確かにこのお客様のおっしゃっていることは(品質を向上させるという点では)理解できるのですが、現実的にこれは難しいと言わざるを得ません。

そもそも、いったいどこからどこまでの作業を「翻訳」と呼べばいいのでしょうか。

翻訳作業とは何か

これはなかなか難しいのですが、そもそも、翻訳作業とはどんな作業なのでしょうか?あまりにも根本的過ぎますが、産業翻訳で言えば「原文にそって忠実に別の言語に置き換えていくこと」です。

Wikipedia:翻訳

翻訳(ほんやく)とは、Aの形で記録・表現されているものから、その意味するところに対応するBの形に翻案することである。

とあります。

ちなみに、弊社の「翻訳」という言葉の定義は以下のように定めています。

原文に忠実に、かつ原文の文意を正確および自然にターゲット言語に訳出すること

いずれにしても、翻訳という作業行為は「もともと存在する原文を使って、異なる言語に変換する作業」のことを指します。

この定義が共有されていれば、冒頭の「原稿を全部作業前に読まないのか?」という質問は現実的にかなり無理があることが理解できるでしょう。しかし共有されていない場合には、こういった発言が出てしまうのかもしれません。(実際今回は起きてしまったので定義の共有ができていなかった弊社にも落ち度はある)

翻訳作業前に原文を読むことができない、いくつかの理由

確かにこのお客様のおっしゃるとおり、「翻訳作業前にすべての原稿に目を通して疑問点を潰して質問し、説明を受けて作業を進める」ことができれば翻訳作業はスムースになると思われます。

ただ残念ながら現実的には難しいと言わざるを得ません。理由はいくつかあります。

理由①:原文自体の信頼性はお客様が確保するもの

この「原文すべてに目を通してほしい」という意図の中には、「原文が間違っているかもしれないからそれを読んで見つけてほしい」ということも含まれているようです。

そもそも原文の精度はお客様側で担保するものですから、そのミスを発見することを弊社で対応することは実質不可能でしょう。

理由②:原文を読む時間、質疑応答の時間とコストは誰が負担するのか

またコストと時間という点からも、非現実的と言わざるを得ません。弊社では信頼できる翻訳者さんをはじめとしたパートナーとともに仕事をしているため、すべてタダで作業することはできませんし、それを強制することもできません。そもそも売れっ子の翻訳者さんにはそんな時間はどこにもありません。また弊社内でもそのための作業をする時間はありません。

理由③:原文の分量が多い場合には、それだけで莫大な時間とコストがかかる

翻訳会社は、少量のものも大量のものも扱っています。そして、どんなドキュメントを翻訳するのかは実際の翻訳対象原稿を受け取ってみないと分かりません。

分量も内容も分からず、かつご発注すらいただいていないドキュメントを確認する必要性はありません。

このように、いくつもの理由が考えられますが、産業翻訳というジャンルで、納期も予算も制限されている中で「原文を全部読む」というのは現実的には不可能です。

その分のコストも、時間もお客様側で保証していただけるなら可能だと思いますが、それこそおかしな話で、お客様側でそこにコストをかけることはあり得ないでしょう。

それよりも、次にご紹介するように原文のレベルを上げてしまうのが最も簡単です。そしてそれはお客様ご自身でできることでもあるのです。

原文の質を向上させる方法

原文の品質を向上させる場合、以下のような方法があります。

方法①:原文をブラッシュアップさせる方法を最初から盛り込んでおく(ライターなどに依頼するのも手)

きちんとプロのテクニカルライターやコピーライター、編集者などをアサインし、翻訳も想定に入れて制作されることをお薦めします。

例えば、日本語原稿で考えるなら、日本語の場合の言い回しは多様ですのでそのドキュメントの持つ性質や目的、対象読者を想定して作成することで、すっきりとした原文を作ることができます。

文章校正や文法などがクリアな文章は、翻訳しやすいため品質も安定します。

方法②:用語やスタイル、TMなど、(信頼性の高い)流用できるものを準備する

参考資料がバラバラに沢山存在するのは困りますが、たったひとつでも信頼できる参考資料があれば翻訳作業時に大変助かります。

翻訳に役に立つ参考資料とは

方法③:誤解を与えるような文章をはじめから作らない

完成度の低い原文を使って翻訳しなければならない場合、品質向上はあり得ません。翻訳はあくまで翻訳であり、原文とは主従関係にあるため、訳文は原文以上の品質にはなりません。

仮に原文を飛び越えて翻訳してしまった場合、それらが合っている保証はないため、「誤訳、訳抜け」と言われてしまう可能性も高いでしょう。

まとめ

このように「原文の品質」をしっかり高めておくことが、読者への最大の配慮であり、ユーザビリティの向上であり、Web なら検索上位に表示される分かりやすい文章であり、翻訳しても誤解を招くことのない文章になるのではないでしょうか。

何でも「準備が7割」と言われますが、翻訳作業をはじめから想定しているなら、原文の準備(レベルやトーン&マナー、表記統一など)は、お客様側で行うのが最も効率が良くなります。

少なくとも「作業前に原文を全部読んでほしい」というリクエストにならないのは確かでしょう。

ぜひ原文のレベルを引き上げ、翻訳会社への依頼をしていただければ、翻訳会社としても良い意味でのプレッシャーになりますし、翻訳者としても真剣に取り組むベき原稿になると思います。


コンスタントに良い品質の訳文を手に入れるための 5 つのポイント

「いったいどうすれば継続的に良い翻訳を手に入れることができるのか」というのはグローバル企業の至上命題です。今回はこのテーマについて考えてみたいと思います。

そもそも「良い翻訳の定義」とは何か

まずはじめに、「良い翻訳」について理解をしなければなりません。なぜなら目指すゴールが違ってしまえば、自ずと辿るプロセスが変わってしまうからです。

弊社の場合では、良い翻訳とは「お客様が望んでいるものを得る状態」として定義しています。

 

翻訳、ローカライズの品質とは

 

この品質を得るために、具体的にどんな準備やステップが必要なのでしょうか。それぞれ解説します。

ポイント 1.  できるだけ早めの案件の打診をする

すでに決まっている翻訳会社があるなら、できるだけ早めに連絡をしましょう。「いつ頃にどのくらいのボリュームの翻訳をお願いする」という情報を伝えることで、翻訳者のスケジュールも確認しやすくなります。

※ここで注意しておきたいのは、絶対に発注するとしながらも、突然キャンセルになったりする場合です。これを続けると翻訳会社も「どうせまたキャンセルになる」という風に感じますし、翻訳者のスケジュールを打診したり調整するようなことはなくなります。「オオカミ少年」にならないようにしましょう。

あくまで打診という形になりますが、それでも突然依頼が発生するよりは、あらかじめ先が見える状態であることは、翻訳会社にとっても翻訳者にとっても品質をコントロールしやすくなります。

ポイント 2.  用語集やスタイルガイドなどの資料の充実

参考資料も翻訳の品質を向上させ、良い翻訳を作るには当たり前と言えば当たり前です。しかし当たり前であるにも関わらず、意外と所有していなかったり、所有していても管理していなかったり、また部署ごとにバラバラだったりと、さまざまです。

翻訳に役に立つ参考資料とは

用語集構築・運用

決して簡単なことはありませんが、横断的に組織に共通の専門用語集やスタイルガイドを持つというのは、企業レベルをさらに上げることにもつながる「ブランディング効果」がありますのでぜひ取り組んでみてください。

ポイント 3.  長期的視点で取り組む

翻訳という作業を一度でも自分でしたことがある方ならご理解いただけるかと思いますが、翻訳というのは、実際の翻訳を行う作業者(翻訳者)と、チェックする側との共同作業でもあります。

つまり、(最低限の翻訳品質というものはあるという前提で)翻訳の経験をすることで徐々に貴社に合った翻訳品質に近づいていくということでもあります。

クセや好みを把握し、そこに向かって表現をブラッシュアップしていくというのは、大変難しい作業ですが、「良い翻訳」を作る上ではチャレンジしなければならないことでもあります。

そのためにも、長い目で取り組む(長期的な視点)というのはとても大切なことだと言えます。

翻訳カスタマイズサービス

ポイント 4. フィードバックを行う

ポイント 3 とも関連しますが、「自分の訳文が最終的にどのように使われたのか」を知ることは翻訳者にとっても翻訳会社にとっても大変重要なステップです。

ネガティブなフィードバックもポジティブなフィードバックも訳文の変遷を見ることで、次の案件に対してより精度の高い対策が可能になります。

「訳文レビュー後にそのまま翻訳会社へ差し戻す」というところまでを一連のタスクとすると、翻訳の品質も加速度的に向上します。

翻訳、ローカライズのフィードバックの重要性

ポイント 5. リソースの選定

これは翻訳会社側での裁量も大きくなりますが、大前提として「得意な翻訳者をアサインする」ということが大切です。

弊社の場合、対象ドキュメントと異なる分野の翻訳者が対応することはありませんが、できるだけ得意な人をアサインするための事前情報や背景などがあると助かるのも事実です。

「翻訳者なら誰でもいい」ということは絶対にありえません。なぜなら「何でもできる翻訳者や翻訳会社」は存在しないからです。

「翻訳なんて誰がやっても一緒」だが、誰もが「言葉に魂を込めている」ものを求めている

 

得手不得手がある以上、それをしっかりと把握した上でアサインすることが大切(肝)であり、それこそが翻訳コーディネーション業務の重要な仕事のひとつだと言えます。だからこそ、その部分で安心できる翻訳会社かどうかを見極める目を持つ必要があります。

翻訳ドキュメントマップ

まとめ

いかがでしたでしょうか。冒頭でご説明したように、ひも解いてみれば「当たり前」のことばかりです。しかしながら、当たり前だからこそなかなか徹底できないのです。長期的に強固な品質を作り上げるには、やはり準備が欠かせません。そしてまたそれを継続するスキームも重要です。

「いったいどうすれば継続的に良い翻訳を手に入れることができるのか」という永遠のテーマに対し、何か大規模な取り組みがなければならない、というわけではありません。むしろ、日々のメンテナンスやコミュニケーションがベースとなっており、地道な活動からスタートすることをお薦めいたします。

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用語集と木こりのジレンマ

glossary

翻訳会社から見ると、翻訳業務に欠かせないのが用語集ですが、お客様の立場から見ると意外と軽視されているケースが見受けられます。

用語集があるのと無いのとでは品質に差が出てしまうにも関わらず、その重要性が浸透しない理由はいくつか考えられます。今回は、この専門用語集について考察したいと思います。

そもそも「専門用語」とは何かが曖昧

まず初めに「専門用語」というのはどこからを指すのでしょうか。その境界はなかなか見極めが難しい場合があります。

例えば、医療や医薬の分野には多くの専門用語が登場します。以下の例で考えてみましょう。

日本語英語
抗体Antibody
アレルギーAllergy
手術Operation
妊娠Pregnant

ひとつ目の「抗体」は、医療用語(専門用語)というのは何となく納得できますが、では2つ目の「アレルギー」はどうでしょうか?日常的に使用している用語ですが、実はこれも医療用語です。「手術」も病院ではよく聞きますし、一般人でも使いますが、医療用語です。「妊娠」という言葉も日常会話でも登場する言葉ではありますが、医療用語です。

これらはすべて医療用語なので、専門用語としても間違いではありません。

一般の人が「専門用語」として感じるのか、もしくは「一般用語」として感じるのかは、その人の持つ背景知識などにも左右されます。逆に言えば、ある特定の分野の専門家が「これは一般用語だ」と思い込んでいたら、それは用語集には入らないことになります。

これは、自分の常識が他人の常識とは限らないという話に似ています。

また、仮に市販の用語辞書に掲載されていれば専門用語であり、そうでなければ専門用語ではないのでしょうか。しかし、こういう基準で考えるのもおかしな話です。

つまり、専門用語かどうかの線引きは、ある種、非常に曖昧だと言えます。

これが用語集の価値を認めにくい一つ目の要因です。

実際の用語の使い方が曖昧

多くのお客様と接していて感じるのは「お客様ごとに用語の使い方は違う」ということです。これは10年以上前は考えられないことでした。

例を挙げてみましょう。

例えば IT 専門用語で “Virtual” という言葉があります。この翻訳について、

  • A 社:「バーチャル」
  • B 社:「仮想」

と訳語が異なるケースがあります。意味は同じでも、表記が異なっているわけです。10年以上前の IT 業界なら業界内で統一できていましたが、テクノロジーの発達や各社の差別化要因としても「ウチは”仮想”ではなく、”バーチャル”を使っている」という企業が増えています。

また、別のケースとして、同じ単語であっても状況によって訳し分けなければならないこともあります。この場合は用語集にどこまで登録するのかといったことも検討しなくてはなりません。

これらの曖昧さも用語集の価値が伝わりにくい要因となっています。

それでも用語集がある方がいい

これまで述べてきたように、曖昧さが引き起こす原因はあるとはいえ、それでも用語集は構築したほうがいいというのが弊社の見解です。

仮に曖昧さを排除しきれなかったとしても、それを補って余りある効果を得ることができるからです。翻訳作業時に複数の翻訳者で対応しなければならない場合には、用語集があれば、統一が容易になります。

また様々なドキュメントがあっても、用語が統一されていればブランディングの観点からもイメージアップ、ユーザビリティアップにつながります。

もし、用語集がなければ何が起きるのでしょうか?

  • 企業のドキュメントの統一が図れない(=ブランディングの統一ができない)
  • 全ドキュメントでの統一はおろか、自分が担当するドキュメントすら統一できない

大した影響はないとお考えでしょうか?それともこういった部分のバラつきが読み手に与える印象は決して小さいものではないと思うでしょうか。

この判断が貴社のドキュメントの品質を変えるとすればいかがでしょうか。

翻訳業界の用語集

ちなみに、弊社でも翻訳業界用語についてまとめています。

翻訳、ローカライズ用語集

 

翻訳やローカライズ業務で頻出する用語とその意味をまとめてありますが、「どこから掲載するか」という上記の問題は孕んだままです。しかし、それでも上述のように単語の意味、定義を共有しておくことの方が大きなメリットがあると考えています。

本当は自社で作る方がいい

このように、用語集があるとあらゆる貴社のドキュメントに使用できるようになります。それはつまり、貴社の資産になるということです。

私たちがお伝えしたいのはまさにこの点であり、そういう観点から考えると、本来は貴社で構築していくのがもっとも確実であると言えます。

用語集と木こりのジレンマ

このように、用語集の構築に関してお伝えをしても、「そうはいってもなかなか時間を取れない」というお話もお伺いします。そこで弊社では、「用語集構築プラン」をご用意しております。

 

用語集構築・運用

 

このプランをご利用いただき、その後のドキュメント制作をスムースにするかどうかは、「木こりのジレンマ」と似ています。

木こりのジレンマとは

ある日、旅人が森の中を歩いていると、一人の木こりに出会った。その木こりは、一生懸命、木を切っていた。旅人はそんな彼を見ていた。
旅人は、その木を切る姿を見ていて、木こりが一所懸命切っている割には木がなかなか切れないのを不思議に思った。そこで彼ののこぎりを見ると、随分と刃こぼれが目立っていた。

そこで、旅人は「木こりさん、そののこぎりは随分刃こぼれしているようだ。のこぎりの刃を研ぎ直してから、あらためて木を切ったらどうだろうか」と言った。

ところが木こりは旅人に向かってこう言った。

「あなたの忠告は非常にありがたいが、私は今、木を切るのにとても忙しく、それどころではないのです」

そして木こりはその刃こぼれしたのこぎりを使って木を切り続けた。

もし、この「のこぎりの刃」が貴社にとっての「専門用語集」だとしたら、バラバラのまま翻訳作業を続けたところで品質アップにはなりません。

一度用語集を作ってみる。そしてそれを使って展開することで、翻訳作業もレビュー作業ももっとスムースになるとしたら、専門用語は価値があると言えるのではないでしょうか。

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お客様のお悩み(その1)「業界用語や言い回しなど専門的な翻訳はできるの?」

 

弊社に寄せられるご相談の中で、もっとも多いのがこの質問です。

当たり前といえば当たり前の話ですが、これをしっかりと行っているかどうかは当たり前だからこそ非常に重要なポイントです。

今回は、このお悩みについて回答いたします。

分野ごと、グループごとに分けられた翻訳者

翻訳者はフリーランスになる前には企業に勤め、その専門分野の仕事を続けていた人ばかりです。

例えば「契約書の翻訳者」の場合、法務部での勤務経験や弁護士事務所、法律事務所で一定期間仕事をしていたというケースです。以下の例のように、弊社コーディネーターが分野ごとに分けられた翻訳者の中から、最適な翻訳者をアサインします。

このようにしてアサインを行っているために、「この業界ではこういう表現は使わない」「この訳語はこれで通じる」といった判断が可能になります。

 「翻訳カスタマイズサービス」での訳文の「好み」の把握

弊社では「翻訳カスタマイズサービス」で好みを見つけることができます。そのため、お客様の訳文の「好み」を把握して対応することが可能です。

翻訳カスタマイズサービス

プロセスはいたって簡単ですが、実は非常に重要なプロセスです。

翻訳カスタマイズサービスプロセス

「翻訳ドキュメントマップ」上で想定される訳文の方向性の確認

ご依頼いただくドキュメントによって訳し方は様々です。

取扱説明書なら正確に訳していれば直訳的でも許容されますが、カタログならより流暢に、よりコピーライティング的な方向性が求められます。

弊社では「翻訳ドキュメントマップ(TM)」を利用して、ドキュメントの種類と訳文の方向性をマッピングさせ、適切な翻訳者をアサインできるようにしています。

翻訳ドキュメントマップ

documentmap-L

  • 翻訳の品質について

翻訳、ローカライズの品質とは

  • なぜ翻訳するのか

なぜ翻訳するのか?

このように、様々な角度からお客さまのご希望の品質を確認し、ご満足いただける形を採用いたします。

専門的な翻訳ができる理由(その2):事前に翻訳品質が確認できる「無料翻訳トライアル」

無料で翻訳の品質を事前に確認することができます。

これにより、品質、価格、納期、対応の4つのバランスをご確認いただき、自分に合った翻訳サービスをご利用いただくことが可能です。

無料翻訳トライアル

そしてこのトライアルで合格した翻訳者が貴社のドキュメントの翻訳を行いますので安心して納品をお待ちいただくことができます。

※トライアル用の翻訳者と実際の作業の翻訳者が異なるというケースもございますのでご注意ください。詳細は、弊社小冊子「翻訳会社の正しい選び方」をご覧ください。

「翻訳会社の正しい選び方」

翻訳会社の正しい選び方

1cover

・初めてでも理解しやすいストーリー形式!
・「ある担当者の一日」で分かる業者選定のコツとは?
・便利な巻末翻訳発注チェックリスト!
・翻訳ツールは使えるだけではダメ!これが賢い使い方!
・翻訳会社、翻訳ベンダー、ローカライズベンダーへのコストを抑えるには、コツがある!

専門的な翻訳ができる理由(その3):圧倒的な翻訳実績とお客様の声

「論より証拠」ですが、これまで弊社にご依頼いただいたお客様の率直なご意見が、高い専門性や表現力を証明していると言えます。

翻訳・ローカライズ実績

翻訳・ローカライズ実績一覧

お客様の声

お客様の声/翻訳者の声

「文章の内容をよく理解して、丁寧に翻訳してくださいました。語学力だけでなく、専門領域についてのご担当者の能力の高さが伺えます。感謝しています。」(大学教授)

「御社はシステム・セキュリティに関する案件の実績があることや、金額/納期/トライアルの結果/レスポンス全体のバランスは一番よかったです。」(CAEソフトウェア企業 D社様)

導入事例

導入事例

しかしそれでもご不安という場合には、専門用語集の作成などもご提案しております。

専門用語集構築プラン

用語集構築・運用

これによってさらに翻訳の精度を高めることが可能です。

まとめ

いかがでしょうか。上述のようにお客様がご不安に思われる「専門性」や「表現力」については弊社でも万全の体制をもって準備を行っております。

「翻訳力」のある翻訳者情報

以上の3つの理由をまとめると弊社の最大の強みは「品質、価格、納期、対応のバランス」です。

この「バランス」こそが、契約書の翻訳や論文の翻訳、さらに IT、美術、エネルギーなどの各専門分野における専門知識や表現力に対して、しっかりとお応えしていく明確な理由となっているのです。ぜひご安心いただき、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

ご相談内容から分かる「失敗しない翻訳サービス」とは

翻訳・通訳・ローカライズ全般のお問い合わせ

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