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ENGLISH JOURNAL ONLINE での連載開始のお知らせ

弊社のアート分野の専門翻訳サービスがご好評を頂いており、このたびアルク社様が運営する Webメディア「ENGLISH JOURNAL ONLINE」にて連載記事を書かせていただくことになりました。

記事のテーマは「アート翻訳者になる」です。

https://ej.alc.co.jp/

弊社では、おかげ様でこれまで過去 2回ほど「アート翻訳者養成講座」を開催しました。

第2回「アート翻訳者養成講座」終了レポート(追記あり)

「アート翻訳者養成講座」終了レポート

※現在は残念ながらコロナの影響で開催未定です。

今回の記事では「アート翻訳者になるには」という内容で記載しておりますが若干講座と重複する箇所もあります。

なお、こちらは有料会員限定の記事となっておりますのでご興味があれば ENGLISH JOURNAL ONLINE へのお申し込みをお願いいたします。

※本記事は有料会員限定です。「ENGLISH JOURNAL ONLINE」で月額980円(1,078円税込)のプレミアムメンバーシップに会員登録すると、すべての有料記事へアクセスができます。2週間の無料お試し期間つきですので、ぜひお試しください。

弊社では今後もアート分野の翻訳をはじめとしたサービスをご提供する所存ですのでどうぞよろしくお願いいたします。



アート分野専門サービスの無料カタログ配布中です

このようなお悩みをお持ちの方に

「今まで知り合いの翻訳者にお願いしていたが、特にアートの専門ではないので修正が大変だった」

「大学の先生にお願いしていたが、先生の空き時間でやってもらうので時間がかかり過ぎる」

「今までは大した量ではなかったので館内で手分けして翻訳していたが、最近はどんどん増えてしまい、どこか信頼できるアート専門の翻訳会社を探している」

「今までお願いしていたところがアート翻訳専門ではなかったので専門性が気になる」

「初めて翻訳をお願いするので、アートの経験豊富な会社を探している」

「音声ガイドの多言語化や Web サイトの多言語化を検討している」

「入札で最安値の業者に発注したが、品質がひどすぎて自分でやり直した」

「オリンピック対応やインバウンド対応をしてほしい」

「ミュージアムのインバウンド対応は何から始めればいいのか分からないので知りたい」

このようにミュージアムをはじめ、出版社や大学、ギャラリー、アーティスの方々から寄せられるご相談は様々です。

これらのご相談にひとつひとつ丁寧に対応させていただきます。

トライベクトルは、アート分野専門の翻訳会社です

弊社は、アート翻訳を専門とする翻訳会社であり、これまでミュージアム(美術館、博物館)、ギャラリー、大学や研究機関、出版社、著名アーティストの翻訳を数多く行っています。

ミュージアムでは国立系の大規模館~中小規模館までを網羅しています。またギャラリーやトリエンナーレ、ビエンナーレなどの地域プロジェクト、アート系出版社からの出版物の翻訳など、アート分野で発生する多岐に渡るドキュメントを承っております。

ただし、アート分野は非常に難易度の高い分野のひとつでもあります。ひとことで「アート翻訳」といっても抽象度の高い文章や技術的な文章など、その細分化された分野には独自の用語や表現があります。

それらを正しく理解し、翻訳するには「文化や歴史などを含めた深い理解による知識」と「それらを表現するだけの表現力」が重要になります。

つまり、非常に高い「翻訳力」が必要とされる分野なのです。

「翻訳力」とは何か

ここにも記載されている通り、翻訳力とは以下の公式で表すことができます。

この「翻訳力」がなければ、アート翻訳は行うことができません。弊社が毎年実績を増やしているのはお客様からの厚い信頼をいただいているからこそだと言えます。

インバウンド翻訳とアート翻訳の違い

こちらもよく勘違いされる内容です。

世の中にインバウンドの翻訳ができる会社は沢山ありますが、その会社は外国人観光客向けにミュージアムの作品解説を翻訳するというお仕事で対応できるでしょうか。

残念ながら答えは NOです。

確かにジャンルとしてはインバウンド向けの翻訳かもしれませんが、ミュージアムなどのアートの場合には、その高い専門性がなければ翻訳することはできません。

「インバウンド翻訳」と「アート翻訳」の違いとは簡単に言えば以下のようになります。

アート翻訳は、アートというフィールドの中で継続して実績を残し、そしてそこから派生的にインバウンド関連のサービスを提供しています。

一方、インバウンド翻訳は、インバウンドと呼ばれるものすべて(交通機関や宿泊施設など)に対して翻訳サービスを提供しています。

https://art.trivector.co.jp/contents/differenceinboundandarttranslation/

どちらがより専門性が高いか、この違いを理解しておかないと大変なことになってしまいます。

「インバウンドの翻訳だから大丈夫」と思って依頼し、納品された訳文を見たら、まったく使い物にならなかったという話は本当によく聞きます。

「アート翻訳ができる」というのはどういうことなのかを確実に押さえておきましょう。

アート分野の翻訳で業界の発展に貢献

弊社は日本博物館協会、全国美術館会議の会員であり、翻訳だけではなく、アート業界の発展のため以下のサービスも提供しています。

ミュージアム向け インバウンドセミナー

不定期開催ですが、「ミュージアムのインバウンド対応」というテーマで毎回無料で開催。全国のミュージアムのご担当者様がいらっしゃいます。

インバウンドにおける最新情報や注力すべき点などをご提供しています。また毎回ゲスト講師もお招きし講演していただいております。

アート翻訳者養成講座

アート翻訳を希望される方々のための養成講座です。こちらも不定期開催ですが、お陰様で毎回すぐに定員になってしまいます。

ミュージアム向け インバウンドサービス

ミュージアム専門の 16のインバウンドサービスをご提供しています。特に最近では翻訳にとどまらず、Webサイト、音声ガイドやアプリなどのご依頼が増加しています。

いかがでしょうか。弊社もアート分野専門の無料カタログにはさらに詳しい実績やサービス説明が記載されております。ぜひダウンロードください。


多言語翻訳を行う際に抑えておきたい言語の選び方

日本企業が海外進出する際やインバウンド対応の一貫として多言語対応することは、今の時代、当たり前のことです。

ただお客様によっては、よくよく聞くと「多言語翻訳しなければならない」というだけで、弊社でも、具体的に「どうやったらいいか分からない」「そもそも何語から翻訳すべきなのか?」というご相談を受けるのも事実です。

そこで今回は、多言語翻訳、多言語での展開をしなければならないとき、何語を選択すべきなのか考え方のひとつをご紹介します。

貴社の多言語翻訳の目的とは何か

そもそも論になりますが、貴社が多言語翻訳を行う目的は何でしょうか?何のために多言語に翻訳するのでしょうか?

それはお客様ごとに異なっているはずですし、違っていないとおかしいですよね。選択した言語が結果として同じだったとしても、そこに至る思考プロセスは違っているのは当然です。

分かりやすい例で言うと、中国に進出すると分かっているのに「最初はタイ語に翻訳する」という選択はあり得ません。

もっと言えば、「そもそも翻訳する必要って本当にあるの?」という点も見落としがちです。(翻訳会社がこんなことを言ってはいけないのかもしれませんが)「それって、翻訳いらないよね?」というドキュメントや「テキストは辞めて、サインやピクトグラムなどのビジュアルにした方がいいんじゃない?」ということもあるはずです。

つまり、

  • そもそも本当に翻訳する必要があるのか(目的を明確にする)
  • するとしたら、なぜその言語に翻訳するのか(目的を達成するための手段)

という点は、一番に抑えておきたいポイントです。

貴社のプロダクトやサービスは、「誰の」「どんな課題」を解決するのか

翻訳とは少しずれてしまいますが、この視点も外せません。

貴社の製品やサービスが、その国の「誰」に向けて作られたものなのか、そして「彼らの持つ課題や悩みを解決してくれるのか」という点を考え抜く必要があります。

これが明確でなければ、どんなに翻訳が素晴らしくても売れるということはないでしょう。

例えば、骨折しているのに、風邪薬を処方されても意味がないのと同じですね。

そして、これらがハッキリしていないと翻訳にも支障が出てしまいます。なぜなら「対象読者も分からない」「サービスの特長も無い」ような文章は、それなりの文章にしかならなず、結果として誰に向けての翻訳なのか分からなくなり、何の効果も得られなくなります。この部分は翻訳そのものとは直接的には関係しませんが、間接的には大変重要ですので押さえておきたいところです。

世界の言語数とマーケットの把握

さて次は、マクロ的な視点からマーケットを理解します。この世界にどのくらいの言語数があるのかをご存知でしょうか。

Ethnologue によると、その数なんと「7,111言語」だそうです。

https://www.ethnologue.com/

これだけの言語があるとはいえ、少数の話者しかいない言語も多く、実際には統廃合が繰りかえされるそうですから、言語を維持していくというのは並大抵のことではありません。

しかもそれらを使う人がいなければ始まらないわけです。

その上で「自社製品やサービスをどこに打ち出していくのか」と合わせて知っておかなければなりません。

どのマーケットが向いているのかを決める際に、他社の事例や海外進出コンサルタントなど、プロフェッショナルにアドバイスを受けながら進めることもあるでしょうし、自社のスタッフが現地調査を行うこともあるでしょう。

いずれにせよ、ある程度のコストをかける以上は、マーケット調査は必要です。

「マーケットイン」か、「プロダクトアウト」か

製品やサービス開発でも同様ですが、「他の国で売れる=社会的に役に立つ」という点から考えた時、2つの視点があります。それがマーケットインとプロダクトアウトという考え方です。

Wikipedia プロダクトアウト/マーケットイン

https://ja.wikipedia.org/wiki/プロダクトアウト/マーケットイン

それぞれ正しい考え方ですので、どちらが自社に合っているのかを詳細に検討していきましょう。

人口だけで決めていいのか?それともプロダクトのコンセプトから考えるべきか?

一般的には「マーケットイン」と「プロダクトアウト」マーケティングのセオリーで行くなら、マーケットインの方が成功しやすい(=失敗しにくい)と言えます。

ニーズを捉え、そのニーズを満たすためのプロダクトやサービスを提供することができるためです。

ただ、iPhone が初めて登場した時のような、「ユーザも自覚していないニーズ」=「潜在ニーズ」を満たすようなイノベーティブな製品やサービスは生まれにくいと言えます。

また、世界的に見ると人口は増加していますが、その国の経済成長性や IT リテラシーなどの教育普及率などは国ごとに違うので、より重要な指標となるでしょう。人口が多いだけで、IT が生活に入り込んでいなければ、そもそも製品やサービスを使ってもらえない(使える環境がない)ということもあるからです。

例えば、何らかのアプリを多言語翻訳して世界展開をすると想定したとき、

  • メジャーな言語、かつその言語の話者が多いこと
  • IT リテラシーが高いこと
  • スマートフォンの普及率が高いこと
  • マーケットが成長していること

などがあるとすれば、どのように優先順位をつければいいのでしょうか。

これは、母数が多ければダウンロードは増えるだろうということなのか、このアプリは○○というコンセプトなのだから IT リテラシーが高くないといけないということなのか、というように抑えておくべきポイントが変わってくるはずです。

これらを考えずに、むやみにテストを繰り返してもあまり効果は出ないでしょう。

ペルソナの設定

マーケットがハッキリしたらそこに生活するユーザのペルソナを設定しましょう。ペルソナ設定は多言語翻訳をする上で大いに関係があります。

対象読者を設定していない翻訳は、誰に読んでほしいのか、使ってほしいのかが分からないままになってしまうので、せっかく訳文を作っても効果が半減してしまうといっても過言ではないでしょう。

極端な例を出すと、エンドユーザ(男性、50代、患者)に読んでほしい医療についてのサービスなのに、お医者さんにしか分からないような専門用語のオンパレードだと理解されません。読者は医者ではなく患者だからです。

サービスでも製品でも「誰に売るのか」を考えるのは基本です。これは冒頭の「誰の」悩みを解決するサービスや製品なのかと表裏一体のはずです。

そのため、この時点でペルソナが設定できないということはないでしょう。分かり切っていても、共通認識として言語化しておきましょう。アウトソーシングや社内の共通認識などで必要になるためです。

言語の選定と優先度(タイミング)

マーケットもペルソナも設定できたらどの言語に翻訳すべきかというのは決まったも同然です。ここはそれほど悩むべきポイントではありません。

どちらかと言えば、複数言語(多言語)の場合には「どの順番で翻訳して、対象マーケットのペルソナに対して製品やサービスを投入していくか」の方が重要ということです。

これは弊社のお客様でも色々とお悩みいただくところで、「これが正解!」というものはありません。プロダクトの性質やサービスのビジネスモデルによって異なるでしょうし、マネタイズの方法によっても異なるでしょう。

ただし、これらの要素を検討しすぎると複雑化してしまい、逆に動けなくなってしまうため、その時点で最良と思われる言語に展開するしかありません。誰も未来のことは分からないからです。高速で PDCA を回す方が結果としてうまく行くというのは事実でしょう。

「その時と思った時がそのタイミング」なのです。

元の言語は何語がいいのか?英語から?日本語から?

では、誰に何を売るのか明確になったとします。次に考えるのは、ターゲット言語ではなくソース言語(元の言語)です。

弊社にご依頼いただくお仕事の多くが、通常は日本語で開発されることが多いですから、日本語から外国語に翻訳するというのが一般的です。ゲームにしてもアプリにしても、日本語から行っているハズです。

もちろんそれでも問題はないですが、稀に、英語からヨーロッパ言語への翻訳など、別の言語(多いのは英語)を起点にするというプロセスもあります。

これには様々な理由がありますが、ひとつには文法構造の問題があります。英語の文法構造と、ヨーロッパ言語の文法構造が似ているから翻訳しやすかったりするためです。

また、文法だけでなく単語のルーツや発音も似ていることもあるので、意味を想像しやすいこともあるでしょう。

さらには、日本語からヨーロッパ言語へ翻訳できるネイティブ翻訳者は少ないが英語からだったら対応可能な翻訳者の数が多くなるというキャパシティ上のメリットもあるかもしれません。(ここは各翻訳会社によって異なります)

いずれにしても、どの言語から多言語翻訳するのかは、スケジュールや金額にも密接にかかわってくるため、慎重に検討すべきです。

 

多言語翻訳

 

またゲームアプリなどの場合、それらの持つ「世界観」やシナリオの重要度というのは、コンテンツの中核を成していますので、決して品質をおろそかにしないように注意が必要です。世界観を理解していない翻訳者や、社内スタッフで作業してしまったりすると、ユーザーからクレームが入ったり、不自然な表現が多くなり、ゲームそのものを楽しめなかったりします。

 

翻訳における「ゲームの世界観」をどう表現するのか問題

 

結果として販売も伸びず・・・というのもよく聞く話です。

スケジュールと品質の兼ね合いにはなりますが、「ペルソナがそれで納得して楽しめるのか?」「ペルソナの役に立てるのか?」という視点は忘れたくないものです。

何でもかんでもお金をかければいいというわけではありませんが、最も重要なユーザとのコンタクトポイントはどこか?と想像したとき、少なくとも翻訳はそのひとつに入ってくるのではないでしょうか。

まとめ

このように、実は多言語翻訳を行う際には、それ以前に検討しなくてはならない点が数多く存在し、しかもそちらの方がより重要であることも多いのです。

逆に、すでにターゲット言語が決まっている場合には、その言語の品質をどう担保するのか(品質プロセス)や金額、スケジュールといったより具体的なポイントを精査していくことができます。

ぜひ今回のポイントを抑えていただき、成果の出せる多言語翻訳を行っていただければと思います。


年賀状廃止のお知らせ

お取引先様 各位

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。当社では、2021年度より年賀状によるご挨拶を遠慮させていただくことと致しました。

今年の新型コロナウイルス流行により社内でもデジタル環境への移行を進め、自然環境意識の高まりも鑑み、本年を一つの区切りとして決定させて頂きました。

皆様方におかれましては、何卒ご理解頂き、今後とも変わらぬご厚情を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

敬具

トライベクトル株式会社
代表取締役社長 矢柳 祐介

 


外資系企業のための CMS を活用した Web サイトローカライズ

Webサイトは BtoB ビジネスにおいても非常に重要な役割を果たしています。企業の基本情報、製品情報、また採用情報、プレスリリース、ソリューションやサービス、事例などありとあらゆるコンテンツを掲載することができ、今やお客様との最初の接点でもあります。

特に BtoB では購買プロセスにおいて営業担当者に会う前の段階でおよそ 6割が情報収集をしているという調査結果もあります。

その検討段階で利用されるのは、当然 Web サイトになります。

つまり、ユーザが欲しい情報に素早くアクセスすることができ、分かりやすい説明と明確な回答を得ることができるだけの Web サイト構成が求められるということです。

別の言い方をすれば「お客様の困りごとや悩みにきちんと回答してくれる Web サイト」です。

そのため、今やどの分野もどの業種も Web には力を入れているのが実情ですが、外資系企業様の場合には必ずしもそれが最優先とならないケースもあります。

弊社でも様々な形の Web サイトローカライズのご相談がありますが、今回は外資系企業における CMS を活用した Webサイトローカライズについてまとめました。

Webサイトローカライズの定義

まず初めに、Web サイトローカライズとはどんなものかについての概要は以下のページをご覧ください。

Webサイト ローカライズ

このように、Web サイトは国内企業と外資系企業との間で大きな違いがあります。

ローカライズに対する本社の理解度と拘束度合い

外資系企業特有とも言えますが、企業によって「本社からの拘束度合い」が異なっています。拘束度合いというのは、様々な Regulation に則ってビジネスを行わなければならないため(これは当たり前)、ある程度自由が奪われてしまっているという状態です。

例えば、アメリカ本社の外資系企業の場合でも、 大きく分けて以下の2通りがあります。

  1. 日本側にある程度の権限を与えてくれるケース
  2. 本社側で細部まで決定し準拠せざるを得ないケース

 

このどちらになるのかによっても、Webサイトローカライズへの理解度や自由度が変わるため、「現実的に打てる施策」が変わってきます。

これは、日本企業、国内企業ではほとんど見かけないケースです。なぜなら Web 制作においては自分たちの意向が通るのが普通だからです。もちろん予算やスケジュールの問題はありますが、制作そのものへの直接的な制限もあまりありません。

一方、外資系企業の場合には、まずスタート時点が異なる(ケースがある)という前提を理解しておく必要があります。

貴社ローカライズは CMS か HTML ベースか

次に、貴社の Web サイト(本社)が作られている環境について、ローカライズ前にチェックしておく必要があります。

今は多くの企業が CMS(Contents Management System)で制作されているので、これからのリニューアルには、CMS がベースになることが多いと思われますが、ごく稀に HTML+CSS で制作されているケースも存在します。

CMS なのか HTML なのかによっても作業負荷も変わりますし、自由度も変わってきますので、日本支社としてどういう方針でローカライズするのかは、事前に決めておく必要があります。

CMS とは何か

CMS とは Contents Management System(コンテンツマネジメントシステム)の略称です。

誤解を恐れずにいうと、ブログ記事を書いたことがあればイメージしやすいと思いますが、タグ等の専門知識がなくても文章を書いて、画像をアップロードすれば基本的な Web を制作することができるという大変便利なツールです。

慣れてしまえば、ある程度は自分で作業できることも多いのですが、導入している CMS によっては実際の操作方法が違っていたりするため、本社側でどんな CMS を導入して使用しているのかを把握しておく必要があります。

代表的な CMS 一覧

CMS は様々な種類がありますので、その一部を掲載します。

  • WordPress
  • Movable Type
  • Typo3
  • Joomla!
  • Drupal
  • Adobe Experience Manager
  • Microsoft Sharepoint
  • Kentico

これらはほんの一部となります。中でも WordPress は世界中でもっとも使用されている CMS であるため使いやすいですし、汎用性も高く更新、管理という点からでもお薦めです。

その他の CMS もそれぞれ特徴があり、また有料/無料の違いなどもありますので、ぜひご検討ください。特に外資系企業の場合には、本社側で導入している CMS を使用しなくてはならないケースなどもあり、日本という枠組みだけで考えても話が進まない場合もありますので注意しましょう。

なぜ CMS を使うべきなのか(使うのは当たり前)

CMS を活用すべき理由はいくつもありますが、仮に本社の Web が HTML+CSS で制作されていたとしても、現状では日本語版は CMS で作ることをお薦めしています。

その理由としては以下になります。

  • HTML 等の知識が無くても自分で作業可能
  • 外注コストの削減
  • スムースな運用管理

それぞれご説明しましょう。

HTML 等の知識が無くても自分で作業可能

これはまさにその通りです。上述のように、管理画面から簡単にページを生成することができます。従来は、HTML言語をはじめとして様々なプログラミング言語の知識が必要でしたが、CMS の場合にはそれらは不要です。

※ただし実際には細かい設定やプラグインなどを使用するケースが多いので、あくまで基本的な操作のみということになります。しかしこれからもトレーニング次第で習得は可能です。

外注コストの削減

自社で CMS を活用できるメリットのひとつがコスト削減になります。これまでは外部に依頼しなければならなかった作業を自社で行うことができるため、その分の外注費は削減されます(内部コストは別)。

スムースな運用管理

これもコストと同じくらい重要なスピードを含めた運用管理です。業者に依頼すると 2、3日かかっていたものが自社内で更新できると、早ければその日のうちに更新できるようになります。このスピードの違いは確実にビジネスに有利に働きます。

CMS を活用した Web サイトローカライズの注意点

外資企業特有のルールはありますが、Web サイトローカライズを CMS を使って成功させる上で最低限必要なポイントを列挙しますのでご参考になさってください。

Web サイトのゴールは何か?(本社と同じか)

これはローカライズに限った話ではありませんが、「Webサイトを作る目的は何か」はしっかりと明文化して関係者と共有しておくべきでしょう。

「誰に対してどんな内容をお届けするのか、それによって相手はどんな変化があるのか」

という超基本を抑えておく必要があります。

その1:本当に必要なページを見極める

これも外資系企業ならでは、と言えますが、本社側にあるすべてのコンテンツを丸ごと日本語化する必要があるのかどうかは、事前に取り決めておくべきです。日本市場の日本のお客様に情報を届けるということを考えた時に「この情報は本当にいるのか?」というのは今一度、自分自身に問いかけてるべきでしょう。

その2:日本に合わせたオリジナルコンテンツを作る(ローカルまたはセントラライズド)

逆に「本社のサイトには無いけれど、この情報は日本語版には入れておきたい」というコンテンツがあるかもしれません。

そういったものは本社側にはなかなか伝わりにくい上、本社からの理解度や拘束度合いにも影響を受ける部分です。そのためある程度の交渉は必要になるかもしれせんが、理解してもらえれば、より自由に設計できるようになりますので、リード増加に貢献する可能性があります。

その3:「伝わる翻訳」をする(トーン&マナー)

こちらも重要な要素です。ユーザは文章やイラストなどを総合的に判断して問い合わせをします。意味の分からない翻訳、一見しては気づかないが実は間違っている翻訳などがあると、それだけでビジネスチャンスを失ってしまいます。

また適当な翻訳をすればトンマナが合わずに読みにくくなって結果的に言いたいことが伝わらない、知りたい情報が手にいれられないという事態を引き起こしてしまいます。

弊社では、「クリエイティブ翻訳」といったサービスもご提供しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

マーケティング担当者に必須の「マーケティング翻訳」とは

 

その4:デザインとメッセージ

Webはテキストだけでなく動画やイラストなど様々な要素で構成されています。特にそのデザイン性は、その企業のメッセージを体現していますし、ブランディングという点からも非常に重要なものだといえます。

外資系企業の場合にはブランディングガイドラインなどが存在し、それらに準拠してデザインされています。ガイドラインに従いつつ、貴社が絶対に伝えたいメッセージを表現しなければなりません。

その5:ユーザビリティを検討する

デザインと同じくらい重要なのがユーザビリティです。BtoB 企業の場合、特に「使いやすさ」というのはないがしろにされがちですが、しかしその実、操作性が悪ければ離脱しやすくなりますし、結果的にコンバージョンはしません。

UX などとも呼ばれますが、操作しやすい、分かりやすい、問い合わせしやすいなどはテストなどを通じて確認しておく必要があります。

その6:できるだけ自社運用を心がける

最後は、自社内での運用を目指すことです。CMS、特に WordPress を利用する理由のひとつでもあります。自社内での運用ができればいつでも好きなときに変更できますし、運用管理もスムースになります。

コスト削減にもスケジュール短縮にもなりますし、ノウハウも社内に溜まりますのでお勧めです。

最初は外注業者に依頼していてもマニュアルを作ったり操作を徐々に覚えていければ、やがて自社運用ができるようになります。

まとめ

CMS を上手に活用することで、Webサイトが大きく変わってきます。ただ本社サイトを翻訳しただけ、ではなく有機的に活用するためにも上記のポイントはおさえておくべきしょう。

チェック項目日本側の自由度が高い
(Local)
本社の拘束度合いが高い
(Centralized)
デザイン(見た目)とメッセージ・ブランディングの不統一の恐れ
・ブランディングの統一感高い
コンテンツ(必要なページ)・必要なページを見極めることで Webサイトの質が向上・不要なぺージがあるとユーザビリティ低下
オリジナルコンテンツの有無・日本のユーザが知りたい情報を掲載できる・グローバル単位でのニーズなので日本独自のニーズには対応できない
翻訳の品質(伝わる翻訳かどうか)・オリジナルコンテンツと共に作り上げることでリーダビリティ向上・刺さる翻訳ではないのでユーザの理解が薄い
ユーザビリティ・必要なページとデザインを合わせることで使いやすい Webサイトに・グローバルのまま使用するので使いにくい可能性も
更新・管理・運用・CMS(Wordpress)等で進めることで自社運用が可能・グローバル CMS で進めることで自社運用は可能だが権限や操作によっては外注化も必要に