課題 | 導入効果 |
|
|
|
|
一般社団法人 障がい者自立推進機構は、障がい者の作りだすアート作品と企業をつなぐ活動を通してアーティストには経済的自立の推進を、協賛企業にはSDGs推進を促している。
パラリンアート世界大会に関わるBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)についてトライベクトルを選んだ背景について、専務理事である村山朝和氏にお話をお伺いした。
※BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とは、業務プロセスの一部または全体を外部の専門企業に委託すること。これにより業務効率を上げさらにコストの削減が可能。将来的にはビジネスのグローバル展開なども進めやすいというメリットも持つ。
「障がい者がアートで夢をかなえる世界をつくる」パラリンアートの仕組み
私たちは「障がい者がアートで夢をかなえる世界をつくる」という理念を元に、障がいがある方々が生み出すアートを活用させていたき、社会参加のきっかけと経済的自立の推進を行っています。
アーティストの経済的自立と企業様の SDGs推進の両立を提案
障がい者アーティストと一つのチームになってアート事業を行っています。アーティストさんたちの活動の場を広げるために、私たちのホームページで作品を公開させていただいたり、アーティストさんたちが活躍できるようなアートコンテスト・イベントの企画運営や、企業様や団体様にアート作品の活用のご提案をするなどが主な業務となっております。
実は私たちは助成金、補助金には頼らずに活動をしております。
なぜなら私たちの目的は「アーティストの経済的自立の推進」であり、その目的を実現するための仕組みとして、「協賛企業様からアート作品の利用料を頂戴し、その一部をアーティストさんたちに報酬としてしっかりお渡しできるようになっているからです。
そのため、企業様に対しても「寄付してください、支援してください」というお願いベースではなくパラリンアートのリソースやアート作品を使用した企業活動のご提案やメリットをご理解いただき、コンテンツのひとつとしてご活用いただいております。
お陰様で現在では370社のほどの協賛企業様が「障がい者の自立推進につながる活動」をご理解いただき、ご参画をいただいているような形になります。
特に現在では、サステナビリティ、SDGsやESGといったキーワードが重要になります。サステナビリティ活動やCSR活動は、企業トップからのご意向や経営企画部といった部署が勝手にやっているようなイメージで、一般の従業員たちまで浸透していないケースもあります。
そういった企業様にとっては、従業員の方々に対して障がい者アーティストの作る作品とのコラボ商品を配布したりすることで企業としての姿勢を社内に周知/浸透させるための一つのツールとして有効だと言えます。
具体的なコラボ商品をいくつかご紹介すると、ニューバランスさんやダイソーさん、明治さんなどとコラボ商品を展開しています。
前述のように、従業員向けのノベルティや、社内販売なども行っています。
最近だと、建設/建築現場の白い壁(仮囲い)にアート作品を掲載するといった形でご利用いただいております。環境への配慮ということで無機質なものよりも、より色鮮やかなにという観点でアート作品が飾られています。
このように、障がい者の作るアート作品という出口があるので、企業様としても活用できる幅が広いのではないかと思います。
拡大する業務と BPO の必要性
私たちは2018年から「パラリンアート世界大会」を開催しています。国内外のパラリンアートの認知向上と受賞アーティストさんたちの成功体験の創出を目的として行っています。
障がい者アーティストの方々が、この「パラリンアート世界大会」のアートコンテストで受賞されるととても喜んでくれるんですね。また毎年、表彰式の日に次回のテーマを発表していますが、それを次の1年間のモチベーションとして創作活動をしていただいています。
私たちも少ない人数でパラリンアートを運営しておりますが、世界大会の規模が拡大するにつれ、社内だけでは運営が難しくなっており、数年前から業務の一部をアウトソーシングしていました。実は初めは個人の方にお願いしていたのですが、あまりうまく行きませんでした。どうしてもその方のスケジュールや体調などの問題で断られてしまうこともあり、そうすると別の人を探さなくてはならないしと、安心してお願いすることができませんでした。
そんな中で、御社のように、企業として「言語コミュニケーションサービス」を提供されていれば安心してお任せできるのではと考えたのがきっかけです。
またお恥ずかしい話ですが、パラリンアート世界大会を企画していながらも、弊社のメンバーの中で英語を話せる人がそれほど多くなく、英語対応が可能であることも必須となっていました。そういう点もトライベクトルさんにお願いしようと考えた理由のひとつです。
BPO には必須の「企業ならではの安心感と柔軟なサポート」
トライベクトルさんにはパラリンアートの説明をさせていただき、業務をお願いすることになりましたが、前述のように「個人ではなく企業であること、言語コミュニケーションサービスを提供していること、さらに英語での対応ももちろん OK。そして何よりも業務へのきめ細かいサポート」が決め手でした。
トライベクトルさんの専任のご担当者さんともコミュニケーションを取らせていただき、私たちが想像する以上に、臨機応変にご対応いただき感謝しています。もしかしたらちょっとご無理を申し上げてしまっているのかもしれないのですけれども(笑)。
「パラリンアート世界大会 2023」の大使館の後援獲得数 28%アップ
パラリンアート世界大会 2023では、トライベクトルさんのサポートもあって、大使館の後援獲得数が過去最大になりました。
トライベクトルさんには、2021年から少しずつ業務範囲を広げてお願いしておりましたが、2022年は32カ国という結果だったのに対し、今回は41か国に拡大しました。これは非常に大きな効果がありました。
実際に表彰式に出席していただいた大使館さんも、2022年は1大使館だけでしたが、今回は3大使館にお越しいただき、実際にアーティストの方々とコミュニケーションをとっていただき、私たちの活動をより深くご理解いただくことができました。
このように世界大会が年々拡大しておりますので、トライベクトルさんにお願いして本当によかったと思っています。
また、私たちの業務プロセスを深くご理解いただき、流用できるものは流用し、必要なものは別途作成していただき、柔軟にご対応いただていたので、オペレーションでもトラブルなく非常に助かりました。
個人的には、私たちからの相談に対してノーは言わず、たとえ無理な場合でも必ず代案を出していただき何とかしてくれる会社さんだと思っています(笑)
500社、年間4,000万円の取引を目指す
パラリンアートとしては、現在、370社ほどの企業様がアーティストさんの作品を何らかの形でご利用いただいています。
オフィスにはこれまでの作品が所狭しと展示されている
アーティストの補助も現在のところ、年間で約2,000万円ほどをアーティストさんたちにお届けできているのですが、今後はアート活用だけにとどまらず、アート作品が協賛企業様のビジネスに直結するようなご提案をしたいと考えています。
まずは協賛企業500社、アーティスト報酬の年間総額4,000万円を目指して活動していきます。その過程では、パラリンアートの認知向上の部分で「パラリンアート世界大会」がより重要な大会となると思います。
そのためにもトライベクトルさんには「パラリンアート世界大会」をますます盛り上げるための海外アーティストの応募や、後援大使館数の増加のための施策など、これまで以上にイベントの国際的なプロモーションを強化のためのご相談をしたいと思いますし、私たちの「障がい者がアートで夢をかなえる世界をつくる」という理念に向けてさらなるご支援をお願いしたいと思います。
取材協力:一般社団法人 障がい者自立推進機構(パラリンアート)
URL:https://paralymart.or.jp/association/