SDL TRADOS に代表される Translation Memory(TM)は、マニュアルの翻訳などの大量のドキュメントに対し、翻訳の品質、納期、価格のすべてに対し良い効果を与えることが可能です。 しかし、ここで注意しなければならないことがあります。 それは、「Translation Memory(TM)の精度(=品質)は信頼に値するものかどうか」という点です。 解析結果として表示されるマッチ率に従って価格を決定するのが通常ですが、それに相当した作業だけで済まない場合も稀に起きることがあります。 その理由を考えてみましょう。
TRADOS Translation Memory(TM) は以前のバージョンで翻訳した訳文が格納されています。 マニュアルの翻訳等の大量の翻訳・ローカライズの場合には、TRADOS を使用することによって過去の訳文が良くも悪くも踏襲されていきます。 その格納されている訳文の品質がもし信頼できない、もしくは貴社にて納得できていないものである場合には、その TM を使用して翻訳すること自体、逆効果になってしまう可能性が出てくるためです。 「何のための TM なのか?」という本質を考えずに使用することは、かえって余計なコスト増やスケジュールの延長を引き起こしかねません。 逆に、しっかりした信頼できる TM を使用すれば TRADOS のメリットを大きく得られる事になります。 そしてそれは TRADOS 等の翻訳支援ツールのメリットを最大限引き出していることになります。
では、その Translation Memory(TM) の精度を高めるにはどうすればいいのでしょうか? すでに翻訳会社へ発注し、翻訳作業をしていく中で誤訳や品質の低い訳文が出てきてしまった場合には、そのセグメント(文章)は TM から取り除く必要があります。 Translation Memory(TM) 全体に比べて手動で処理できるレベルであれば問題ありませんが、TM の大多数を占めるようになってしまうと、そもそもの翻訳の品質自体に問題があると言えるでしょう。 この場合には、次回バージョンアップ時に Translation Memory(TM) を使用すること自体を回避する、もしくは再検討する必要があります。 「品質の良い訳文を流用していく」という TRADOS のメリットであり、主目的から外れてしまうからです。 当然のごとく、それは貴社にとってもデメリットでしかありません。 Translation Memory(TM) の精度を高く保つためには、
地道な作業の繰り返しになってしまいますが、これが王道であり、長期的視点から見た場合には、最も効率的であると言えます。 また、すでに品質の信頼ができない Translation Memory(TM) を保有している場合にはどうすればいいでしょうか。 この場合には貴社のご予算やスケジュールなども関係してくるため一概には申し上げられませんが、翻訳会社によっては、TM のメンテナンスのみを行うサービスを提供している場合もありますのでこれらのサービスを利用してみるというのも良いかも知れません。
過去の訳文を正しくバージョンアップに使用することで貴社のマニュアルやその他ドキュメントの精度が上がることが本来の目的であるならば、見落としがちな Translation Memory(TM) についての管理にも気を配る必要があるのではないでしょうか。