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要注意!無料翻訳トライアルの「落とし穴」

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「無料翻訳トライアル」は、デパ地下の「試食」や OA 機器の「デモ」と同じ

世の中に多く存在する翻訳会社ですが、その多くは、お客様に翻訳の品質を確認してもらうために少量の分量で「無料翻訳トライアル(試訳)サービス」を提供しています。(提供していない企業もあります)

「無料で品質を確認できる」ことはお客様にとって大きなメリットですが、これは別の業界で言えば試食やデモ機の貸し出しと同じことです。

お客としての立場で考えると、試食であれば、食べて美味しいと感じたものを「買いたい」と思いますし、デモ機を導入してもらってその操作性やスピード、コストなどを実感できれば、正式に契約するということになります。

しかしながら翻訳業界の場合、事情が少し違います。

翻訳会社の「無料翻訳トライアル」とは何か

具体的にどう違うのでしょうか?翻訳の品質を事前に確認することは他のお試し行為と何ら変わりはありません。弊社でも無料翻訳トライアルを行っております。

無料翻訳トライアル

 

例えば、弊社の場合には

  • 言 語:英語 → 日本語の場合
  • 分 量:原文英語ワード数 200 ~ 300 ワード程度
  • 納 期:約 1 週間程度
  • 言 語:日本語 → 英語の場合
  • 分 量:原文日本語文字数 300 ~ 400 字程度
  • 納 期:約 1 週間程度

といった条件で対応しています。(分量が極端に多い場合には、有償トライアルという形でも対応します)

これは概ねどの翻訳会社でも行っていることだと思われますし、ここまで見てもほかのお試しサービスとの違いは感じません。お客様にとっては、このトライアルを行うことによって同じ品質の安心感を得ることができます。だからこそ初取引の場合には特に、金額だけで判断することなく、翻訳品質とのバランスが取れているかどうかを確認しなくてはなりません。

 

ご相談内容から分かる「失敗しない翻訳サービス」とは

 

翻訳会社の行う無料トライアルは積極的に有効活用することをお薦めいたしますが、ただ1点だけ注意してほしいことがあります。

「黙っていれば分からない」という声にどう対処すべきか

注意点とは、翻訳会社によっては、「トライアル合格のために、トライアル専用の翻訳者を使用し、実際には別の翻訳者を使用する」という点です。違う言い方をすれば、「トライアルさえ合格してしまえば問題ない」「黙っていれば分からないと考えている」ということです。

そんなバカなという声も聞こえてきそうですが、実際にこういったことが発生しているのは事実であり、いうなれば「トライアルを悪用する」ようなものです。

これが続けば、トライアルそのものの意味がなくなり形骸化することになりますので、由々しき問題です。

実際のお仕事の際には、翻訳会社から納品されたものを確認すれば分かってしまうことの方が多いでしょう(というよりも、ほとんど分かってしまうはずですが)。

しかし、それはあくまで結果論であり、そもそもがそういうリスクを抱えていること自体が問題なのであって、それを回避するにはどうすればいいのでしょうか。

お客様側が個人の翻訳者を指名することはできないケースも多いですが、良心的な翻訳会社であれば、お客様を騙すような行為はそもそもしませんし、そういったシステムになっていません。

トライアル時の翻訳者と実際のお仕事のときの翻訳者は同じ人物かという点を、翻訳会社のスタッフにしっかり確認しておくだけでも大きな予防策になるでしょう。また登録翻訳者の経歴や実績も公開可能な範囲で見せてくれる場合もありますので確認するというのも大きなポイントです。


■コラム:「ドキュメントをわけて発注すればタダになる!?

これは実話ですが、お客様からのトライアルのお問い合わせでビジネスマナーに則っていないものが、ごく稀にあります。

例えば、5ページのドキュメントがあった場合、複数の翻訳会社(5社)に1ページずつ「無料翻訳トライアル」という形で依頼し、それをひとつにまとめて、結果として5ページ分を無料で翻訳するということがあります。

品質はともかく、当然、このようなケースではトライアルの結果なども教えてもらうどころか、一切連絡が取れなくなってしまうこともあります。元々お仕事として発注する気がないのですから当然といえば当然です。

これはクライアント側も無料翻訳トライアルを悪用することもできるという一例で、私たちもにわかに信じられないような話ですが、残念ながらこれもごく稀に起きているケースです。

もはやこれらは仕事と呼べるものではありません。倫理的に間違っているようなクライアントであれば事前にお断りしなければなりません。


化かし合いのような仕事は誰も得しない

例えば、商品についているラべル表示と、実際の原材料や原産国が違っていれば大きな問題となります。通訳の場合には実際のその人が現地に赴きますので誤魔化すことはできませんが、翻訳の場合には「ブラックボックス化」が起きやすいため、今回取り上げたような事態が稀に起きていると言えます。

もちろん、実施されるトライアルのほとんどは「トライアルの翻訳者=実際の作業の翻訳者」ですし、気づかないお客様も多くはないと考えられます。

こういった仕事は短期的にも長期的にも良いことがひとつもありません。どちらも重要な「信頼関係」を失うだけです。

長期的に見て付き合うべきかどうかは、品質だけでなく「バランス」を見る

結局のところ、このようなことが起きるのは、どこかがアンバランスな状態や仕様だからでしょう。バランスの取り方を間違えているということかもしれません。

価格だけでも、品質だけでも、納期だけでもダメなのです。比較検討するのであれば、このすべての項目について検討しなければなりません。本当に信頼に足る会社なのかを見極める目を持たなくてはなりませんが、その一助となれば幸いです。

ご相談内容から分かる「失敗しない翻訳サービス」とは

翻訳業界のこと、翻訳会社のことをもっと知るには

なお、今回の内容は、弊社作成の無料小冊子『翻訳会社の正しい選び方』に詳しく記載しております。またこれ以外の注意点などもまとめておりますのでご興味がございましたらお気軽にお申し込みください。

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