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ネイティブチェックの真実

ネイティブチェックの真実

ここでは、通常の「翻訳+ネイティブチェック」という観点ではなく、「翻訳作業を弊社以外で行ったドキュメントに対して弊社でネイティブチェックだけを行う」というパターンについて考察します。

※弊社にて翻訳作業から行なう場合には、クオリティコントロールが可能ですので、これにあたりません。

ネイティブチェックの難しさ

本来、ネイティブチェックという作業はとても難しく高度なものです。

言葉は生き物であり、また読者によっても印象が変わるものであるため、そのすべてに対して満足する(させる)ことができるのかという根源的な問題に行きついてしまいがちです。

そう考えると、その国のネイティブスピーカーであることはもちろん、母国語の高い表現力や専門知識を持っていなければ、修正を加えることすらできないのはご理解いただけるでしょう。

つまり、ネイティブなら誰でもよく、ネイティブなら誰でもチェックできるということではなく、実際にはとても高度な作業であり、ここにネイティブチェックの 1 つの難しさがあります。

「好み」という見えない違い

さらに「十人十色」という言葉があるように、日本人が書いた文章を別の日本人が読んでも、好き嫌いの違いは出てしまいます。これは考えれば当たり前の話であり、「違い」があるということはごく自然なことだということです。

翻訳の品質を評価する際に、この「好み」や「嗜好」のレベルで判断してしまうのは、とても危険です。
自分が良いと思っていても、それはあくまで主観的な判断になりがちで、できるだけ普遍的、客観的に判断し、評価しなければなりません。

同じ文章を読んで必ずしも「自分が好きだから他人も好きだ」となる保証はどこにもないのです。これもネイティブチェックという作業を難しくする原因の 1 つになっています。

ネイティブチェックの注意点

では、ネイティブチェックを行う際にどんな点に注意すればいいのでしょうか。その一例をあげてみましょう。

母国語として自然な文章(表現)であるかどうか

当たり前ですが、とても重要な項目です。例えば「日本人は日本語をこのように使わない」と感じることがあります。それは主観(好き嫌い)ではなく、客観的な判断に基づくものです。このように、母国語として自然であるかどうかというのは、読み手が理解できるかどうかにも影響しますので決して手を抜くことができません。

好みに左右されない

好きか嫌いかで決めてしまうと、元も子もありません。これでは、A という人が OK でも、B という人は NG であり、C という人が読めばまた別の印象を持つことになります。ドキュメントごとの文章の特性は踏まえつつ、客観的なチェックをしなければなりません。

ネイティブチェックよりも翻訳の品質を

以上のように、注意点を踏まえて効率的にネイティブチェックを進める必要があります。

ネイティブチェックだけではすべてを解決することはできない

これはどういうことか、分かりやすく考えるために数値化してみましょう。仮に翻訳の最高の品質を 100 とします。そしてパターン A では翻訳の品質を 80、パターン B では 20 とします。

またネイティブチェックは、それぞれ逆とします。作業プロセスはどちらも同じ「翻訳作業+ネイティブチェック」です。

 
【パターン A】【パターン B】
翻訳の品質 20%翻訳の品質 80%
ネイティブチェック 80%ネイティブチェック 20%
では、ここで問題です。パターンA とパターン B のネイティブチェックの作業負荷はイコールになるでしょうか?

残念なことに、同等の品質(100 の品質)にする場合でも、まったく同じ作業負荷にはなりません。

パターン A の場合には、ネイティブチェックを行わず、新たに翻訳しなおす方が圧倒的に早いと言えます。そもそもの翻訳の品質が及第点に達していなければ、本来予定していなかったネイティブチェックの時間とコストを発生させるにもかかわらず、レベルもあまり上がらなかった・・・・ということになります。

つまり、パターン A とパターン B では、必ずしもネイティブチェック後の翻訳品質がイコールになるとは言えないのです。

これは、ここ数年見かけるようになった「ポストエディット」という考え方にも通じるところがあります。ポストエディットとは、翻訳作業を機械翻訳や自動翻訳で行い、人間の翻訳者がそれを手直ししていくという作業で、コストを抑えることができます。

 

 

 

上記の図のように翻訳、ローカライズコストを抑え、重視しすぎるばかりに、結果的ににコスト増になってしまうケースを引き起こさないようにしましょう。

最も重要なのは、ネイティブチェックで品質を引き上げる努力をするのではなく、最初の翻訳作業で品質を向上させておくことです。

パターン B のように、確認の意味でネイティブチェックをする分には、補助的な役割になりますので問題はないでしょう。

このように、ネイティブチェックだけを別途ご発注される場合にはご注意下さい。

定額ネイティブチェックプラン

弊社では、以下のようなお悩みをお持ちのお客様向けに「定額ネイティブチェックプラン」をご提供しております。

「自社の日本人スタッフが翻訳したけれど、ネイティブではないので不安が残る」

「いつも翻訳の品質にバラつきがあってきちんとチェックしないと心配」

「英語ではなく、中国語や韓国語が増えているが社内にチェックできるスタッフがいない」

このようなお悩みにもしっかりご対応しておりますのでご興味があればお気軽にお問い合わせください。

トライベクトルのネイティブチェック、英文校閲、英文添削について

弊社にて翻訳サービスを承った場合は、ネイティブチェック込みで対応しております。またネイティブチェックのみも承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。


正しい修正指示の方法

正しい修正指示の方法

貴社への実際の翻訳物の納品では、初校時に PDF ファイルをお渡ししております。その際に、「どのように修正指示を入れたらいいか分からない」という方のために、修正指示の目的とその具体的な方法をお知らせいたします。

また、指示の入れ方は翻訳・ローカライズ サービスだけではなく、広くその他の業務(カタログ制作や Webサイト(ホームページ)制作等)にも有効に活用できますので、知っておいて損はありません。

そもそも、修正指示の目的は何か?

そもそも、修正作業は何のために行うのでしょうか?それは、一刻も早くドキュメントを完成させ、貴社製品やサービスをマニュアルと共に出荷していただくことが目的のはずです。

そのために対象のドキュメントを「正しく修正する」ことが必要になるのです。

複数の意味を示唆してしまうような修正指示であると、弊社の DTP オペレーターが混乱し、スムーズに修正を行うことができません。結果、その都度ご確認をしなければならなくなり貴社にご迷惑をかけてしまうことになりかねません。

貴社のドキュメントを素早く完成させるためには、ご希望の形をオペレーターに正しく伝えることであり、その結果としてその後の確認作業もスムースになるのです。

PDF ファイルに修正指示を入れる際の注意点

主にデータでのやり取りが多くなるため、Adobe Acrobat の注釈機能を利用して修正指示を入れていきます。

その際、もっとも注意しなければならないのは、「どこからどこまでをどのように修正するのか」ということを明確にすることです。

自分だけが分かる指示では、修正作業も困難になってしまうため余計な時間やコストがかかってしまうことになります。お互いに損をしてしまう結果になりかねません。これでは当初の目的である「スムースな修正、納品、そしてリリース」の流れを止めてしまいますので、できるだけ分かりやすい指示を入れるというご協力をお願いいたします。

修正指示の種類

印刷等で使用される正式な校正記号は数多くありますが、基本的な校正記号を使うだけでも充分に対応可能です。

正しい校正記号を使うこと自体が目的ではなく、正しい指示を出し、間違いなく修正することが目的ですので、履き違えないようにすることが大切です。

修正指示のサンプル PDF

以下に、修正指示のサンプル PDF をご用意いたしましたので、ダウンロードしてご確認下さい。

⇒ サンプル PDF をダウンロードする

トライベクトルの翻訳・ローカライズ サービスについて

トライベクトルでは翻訳作業にもならず、上記のように修正指示の発生しやすい DTP、Webサイト(ホームページ)制作、印刷、納品までのフィニッシュワークに至るまでのトータルサポートをご提供しております。

翻訳・ローカライズサービス、翻訳コンサルティング サービスについてはお気軽にお問い合わせ下さい。