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翻訳に役に立つ参考資料とは

翻訳に役に立つ参考資料とは

翻訳やローカライズ作業を行う際に、1 つの指針として重要になる参考資料や SDL TRADOS(トラドス)の Translation Memory。これらをどう扱えば翻訳、ローカライズ業務に有効なのかを考えてみましょう。

良い参考資料、悪い参考資料とは?

翻訳やローカライズにおいて、新しいビジネス、新しいお客様とのお取引は、特に注意すべき事項や確認すべき事項が多くなります。

翻訳作業前に確認すべき項目の中でも SDL TRADOS(トラドス)の Translation Memory(TM)や、参考資料をどう取り扱えばいいのかという点は企業ごとに異なります。そのため、まずは以下の点について確認が必要になります。

・お借りする TM(Translation Memory) や参考資料内での一貫性は取れているか?

・そもそも貴社が信用できる翻訳の品質となっているか?

少なくともこれらの基準をクリアしていなければなりません。

例えば部署ごとに、用語や表記の揺れがある場合には、対象の翻訳、ローカライズドキュメントはどれに従うべきかを事前に確認しなければ翻訳作業時に混乱を来たしてしまうばかりか、結果として貴社にご迷惑をかけてしまうことにもなります。

つまり、「どれに従えばいいのか判断に迷う」状態を作り出すことにより、かえって翻訳の品質を下げてしまいかねないのです。

TM の精度について

 

翻訳、ローカライズ作業に役に立つ、つまり良い参考資料というのは上記の条件を満たしているもののことであり、残念ながらそうでない資料というのはその取り扱いが非常に難しくなってしまいます。

この点においては、翻訳作業前の事前のお打ち合わせにより解消しておくことが必須となります。

良い参考資料とは「信頼できる品質であること」であり、「用語や表現が統一されている」ことなのです。

その逆の場合には、残念ながらあまり効果的とは言えません。

そのため、不要な資料や余分な資料は極力避ける、もしくは優先順位をつけるなどの対策が必要になります。

「参考」の意味を取り違えないこと

参考資料としてお借りしたドキュメントや旧データ。翻訳やローカライズ作業の際に、これらの参考資料ににどこまで従うのかなども大切なポイントです。

・用語や表記スタイルまで完全に従う場合

・内容の理解のための資料の場合

「参考」という意味を取り違えてしまうと、翻訳作業での方向性も変わってしまうことがあるため、事前に貴社、弊社ならびに翻訳者の三者間でのコンセンサスをとっておく必要があります。

SDL TRADOS(トラドス) Translation Memory 内の品質について

SDL TRADOS(トラドス) の Translation Memory においても上記に類似したことが言えます。TRADOS(トラドス)の特性である「旧版の品質をそのまま流用する」ことができるのは、大きなメリットですが、翻訳の品質の信頼性が低い場合にはその品質を引き継いでしまうことになります。

それは TRADOS(トラドス)の大きなメリットの 1 つである「翻訳の流用」がまったく逆の結果を生み、信頼できない訳文を踏襲、流用しながらバージョンアップを繰り返すことになるため、結果として貴社にご迷惑がかかる上、満足度の低い翻訳、ローカライズになりかねません。

こうなってしまうと、翻訳やローカライズ作業のみならず様々な疑問点、問題が出る可能性が高くなります。DTP やコーディングなどの後工程にも大きな影響を与える事になりますので注意が必要です。

TM の精度について

トライベクトルの翻訳・ローカライズ サービスについて

TRADOS(トラドス)Translation Memory(TM)や参考資料を有効活用し、貴社がご満足できるドキュメント制作を行うためのフルサポートを行っております。

翻訳、ローカライズサービス、翻訳コンサルティング サービスについてはお気軽にお問い合わせ下さい。


TM の精度について

TRADOS(トラドス)Translation Memory の精度

SDL TRADOS(トラドス)に代表される Transaltion Memory の翻訳品質の精度についてご存知でしょうか。実はこの盲点を理解するのとそうでないのとでは、長期的な視点から考えると品質的に大きな差が出てくるのです。

精度の高い TM と精度の低い TM

SDL TRADOS(トラドス) に代表される翻訳支援ツールの Translation Memory(TM)は、マニュアル翻訳などの大量のドキュメントに対し、翻訳の品質、納期、価格のすべてに対して良い効果を与えることが可能です。

しかし、ここで注意しなければならないことがあります。

それは、「既存の Translation Memory(TM)の精度(=品質)は、そももそ信頼に値するものかどうか」という点です。

SDL TRADOS(トラドス)を代表とする翻訳支援ツールでは、解析結果として表示されるマッチ率に従って価格を決定するのが通常ですが、それに相当した作業だけで済まない場合も稀に起きることがあります。その理由を考えてみましょう。

TRADOS(トラドス) Translation Memory は以前のマニュアルのバージョンで翻訳した訳文が格納されています。

マニュアル翻訳等の大量の翻訳・ローカライズの場合には、TRADOS(トラドス)を使用することによって過去の訳文が良くも悪くも踏襲されていきます。

TM に格納されている訳文の品質がもし信頼できない、もしくは貴社にて納得できていないものである場合には、その TM を使用して翻訳すること自体が逆効果になってしまう可能性が出てくるためです。簡単に言えば、悪い訳文をずっと引きずることになるからです。

「何のための TM なのか?」という本質を考えずに使用することは、かえって余計なコスト増やスケジュールの延長を引き起こしかねません。

逆に、しっかりした信頼できる TM を使用すれば TRADOS(トラドス)のメリットを大きく得られる事になります。
そしてそれは TRADOS(トラドス)等の翻訳支援ツールのメリットを最大限引き出していることになります。

Translation Memory(TM)の精度を高めるには

では、その Translation Memory(TM)の精度を高めるにはどうすればいいのでしょうか?

すでに翻訳会社へ発注し、翻訳作業をしていく中で誤訳や品質の低い訳文が出てきてしまった場合には、そのセグメント(文章)は TM から取り除く必要があります。

Translation Memory(TM) 全体に比べて手動で処理できるレベルであれば問題ありませんが、品質の低い訳文の割合が TM の大多数を占めるようになってしまうと、そもそも Translation Memory(TM) 内の翻訳の品質自体に問題があると言えます。

この場合には、次回バージョンアップ時に Translation Memory(TM)の使用自体を回避する、もしくは再検討する必要があります。
それらを無視して使用し続けると、「品質の良い訳文を流用していく」という TRADOS(トラドス)のメリットが失われ、主目的から外れてしまうからです。当然のごとく、それは貴社にとってもデメリットでしかありません。

Translation Memory(TM) の精度を高く保つためには、

・最初の翻訳の品質をきちんと検証して信頼できる訳文を登録する

・Translation Memory(TM) のメンテナンス、更新、管理を定期的に正しく行う

ことが必要です。

地道な作業の繰り返しになってしまいますが、これこそが王道であり、長期的視点から見た場合には、翻訳の品質を安定させ向上していくうえで最も効率的であると言えます。

また、すでに翻訳品質の信頼ができない Translation Memory を保有している場合にはどうすればいいでしょうか。

この場合には貴社のご予算やスケジュールなども関係してくるため一概には申し上げられませんが、翻訳会社によっては、TM のメンテナンスのみを行うサービスを提供している場合もありますのでこれらのサービスを利用してみるというのも良いかも知れません。

過去の訳文を正しくバージョンアップに使用することで貴社のマニュアルやその他ドキュメントの精度が上がることが本来の目的であるならば、見落としがちな Translation Memory(TM)についての管理にも気を配る必要があるのではないでしょうか。

トライベクトルのTranslation Memory メンテナンス サービスについて

既存の TRADOS(トラドス) Translation Memory に対してメンテナンスすることでより効果的に TM を使用して頂くことが可能です。また、TRADOS(トラドス)によるマニュアル翻訳も可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。

TRADOS によるマニュアル翻訳


SDL TRADOS(トラドス)の解析アルゴリズム

SDL TRADOS(トラドス)を理解する

SDL TRADOS(トラドス)という翻訳支援ツールは、マニュアルや取扱説明書などの大量のボリュームを翻訳する際に非常に有効なツールとして広く翻訳業界では知れ渡っています。もっと言えばマニュアル翻訳では TRADOS(トラドス)を使用するのが常識です。

しかしながら、その SDL TRADOS(トラドス)の原理原則についてしっかりと理解しなければ、本当に使いこなせているとは言い切れません。そんな中、もっとも基礎的な原理である TRADOS(トラドス)の解析アルゴリズムについて解説いたします。

SDL TRADOS(トラドス)では旧バージョンとの比較・解析が可能です。つまり、「旧バージョンの原文と新バージョンの原文との間で、どの程度の改訂率があるのか」を数値(ワード数や文字数)で確認することができます。 ではこの TRADOS(トラドス)の解析アルゴリズムは具体的にどのように行われているのでしょうか。

SDL TRADOS(トラドス)の解析アルゴリズム

例として以下のような翻訳・ローカライズケースを考えてみます。

・IT 系のユーザマニュアル

・英語 → 日本語への翻訳

・旧バージョンの翻訳時にすでに TRADOS(トラドス)を使用済み

・Translation Memory(TM)あり

・原文データは FrameMaker(フレームメーカー)で作成されている

SDL TRADOS(トラドス)を使用して解析作業を行う場合、厳密には、Translation Memory 内のセグメント(文節)と実際の翻訳対象ファイルとの原文同士のマッチングによる解析なります。

 

TRADOS(トラドス)の Translation Memory 内は、旧バージョンの英語と日本語のペアになって格納されています。

 

この Translation Memory 内の原文(この場合は英文)と、実際の翻訳対象ファイル(英文)とのマッチングが行われます。これが TRADOS(トラドス)の原文同士による比較です。

 

このように、TRADOS(トラドス)TM と翻訳対象である現行バージョンのFrameMaker(フレームメーカー)マニュアルとのマッチングにより「マッチ率」と呼ばれる数値が算出されます。

この数値が今回のマニュアル翻訳のお見積書のベースとなります。まれに、原文同士の比較ではなく、訳文同士の比較(差分)だと勘違いしてしまう場合もありますが、訳文同士による比較アルゴリズムではありませんのでご注意ください。

TRADOS(トラドス)による解析結果の意味

TRADOS(トラドス)による解析結果では、旧バージョンとの比較結果が、数値になって現れます。解析結果にある CSV ファイルおよび Log ファイル中には以下の項目が含まれています。
解析表の意味は以下のようになっております。

解析項目解説
No Match前回の訳文が流用できない、新規翻訳箇所
100% Match前回の英文とまったく同じであるため、訳文をそのまま流用
95-99% Match前回の英文とほとんど同じであるため、訳文を若干変更して流用
75-94% Match前回の英文と同じではないが、編集することで流用できる
Repetitions同一ファイル内での繰り返し表現

※No Match は Full Rate と同じ意味です。
※実際の解析結果項目はより詳細に分かれています。あくまで説明のために省略しております。

トライベクトルの TRADOS(トラドス)によるマニュアル翻訳について

このように、TRADOS(トラドス)によるマニュアル翻訳についてはトライベクトルの最も得意とする翻訳領域となります。
いままでのマニュアル翻訳にご満足できない方、お気軽にお問い合わせください。

TRADOS によるマニュアル翻訳

 


機械翻訳(自動翻訳)と翻訳支援ツール

機械翻訳(自動翻訳)(Machine Translation)と翻訳支援ツール(CAT)

いまや機械翻訳(自動翻訳)をはじめとした様々な翻訳・ローカライズサービスが世の中に存在しています。

例えば、機械翻訳(Machine Translation/マシントランスレーション)では、Yahoo!や Google をはじめ様々な検索エンジンが稼働しています。これらは別名自動翻訳と呼ばれることもあります。

近年は、AI 翻訳と呼ばれたりもしますが、ニューラルネットワーク技術を駆使したクラウド翻訳サービスなども登場しています。

大手外資系企業ではすでに機械翻訳(自動翻訳)システムを導入し、はじめに機械翻訳による下訳を行い、その後の編集やレビュー(ポストエディット)を翻訳者が行うというプロセスによってコストの圧縮を図っています。

自動翻訳システムも翻訳支援ツール(CAT)も AI による翻訳もこれらは今後ますます精度が上がっていくことは間違いないでしょう。引いてはこれらの翻訳システムや SDL TRADOS(トラドス)などの翻訳支援ツールを使いこなしていくことは翻訳会社、翻訳者にとって重要な部分を占めることになります。

翻訳は「言葉」という非常に曖昧で流動的で変化のあるものを扱うために、その動向はますます注目に値します。

機械翻訳(自動翻訳)と翻訳支援ツール(CAT)の違い

機械翻訳(自動翻訳)翻訳支援ツール(CAT)
説明翻訳作業時は人間が介在しない。プログラム(システム)によって翻訳を行う人間(翻訳者)が翻訳作業を効率的に行うことを支援するためのツール
Yahoo! 翻訳や Google 翻訳などが代表的(AIによる翻訳システム)SDL TRADOS(トラドス)や MemoQ、Wordfast、Transit、TRATOOL、PASSOLO など

翻訳コストを抑えるため?翻訳品質を安定させるため?

これらの機械翻訳(自動翻訳)や翻訳支援ツールをどういう目的で使用していくのか、ここには各社の考え方があります。例えば、

・翻訳やローカライズをより一層スピーディに行うため
・機械翻訳(自動翻訳)によってとにかくコストを抑えるため
・TRADOS(トラドス)などの翻訳支援ツール(CATツール)によって品質を安定させるため

 

といった目的が挙げられます。これらは翻訳会社、クライアント、翻訳者としての考え方によって利用目的が少しずつ異なってくるでしょう。やはりここでも重要なのは「何のために?」という目的意識です。

機械翻訳(自動翻訳)と翻訳者

これまで見てくると、ひとつの疑問が浮かび上がります。

それは「機械翻訳(自動翻訳)は、翻訳者の仕事を奪うのか」という点です。 これに現時点で答えを出すには難しいでしょう。そうなるであろう部分と代替不可能な部分があるからです。

例えば、誰でもできる簡単な内容であれば、機械翻訳(自動翻訳)がとってかわる部分はありますし、現実にすでにそうなっています。また、お金をかけられない、意味さえ分かればいいといった場合には Yahoo!や Google 翻訳で十分ということも考えられます。AI 技術の発達である程度の品質の翻訳ができるサービスも増えてきました。

また、大企業であれば、社内ですべて処理できるように機械翻訳システムを導入してカスタマイズしていくということも考えられます。これらは初期投資が大きくなり、ランニングコストもかかりますので慎重に検討しないといけません。システムバージョンアップを繰り返しつつ、精度を高めていくということが必要になってきます。

一方、「文章の意味を理解して異なる言語で表現する」作業は人間しかできない部分だと言えます。この「意味を理解する」という部分がまず難しい作業であり、そして「異なる言語で表現する」という部分がさらに難しいわけです。

これを「機械翻訳(自動翻訳)でどこまでできるのか」がポイントになるのではないでしょうか。

つまり、「文章を解析し、数値に置き換えることと同時に、その「言葉の意味」を正確にとらえ、異なる言語に翻訳することができれば、機械翻訳(自動翻訳)を使用する頻度は飛躍的に増えてくるはずです。

翻訳力の必要なドキュメントは、翻訳会社(翻訳者)へ、そうでないものは機械翻訳へ、と使い分けながらそれぞれの技術的な進歩を進めていくことが必要だと言えます。

「翻訳力」とは何か

そして当然、その使い分けをする側にも知識や経験に基づく明確な判断基準が求められるようになるのは言うまでもありません。

トライべクトルの翻訳支援ツール(CAT)による翻訳・ローカライズサービス

トライベクトルでは、翻訳支援ツール(CAT)による翻訳・ローカライズをご提供しておりますのでお問い合わせよりお気軽にご連絡下さい。


翻訳の功と罪

世の中に存在する多くの翻訳サービスから、どれを選択するか

いまや翻訳サービスは、翻訳会社だけが行なうものではありません。IT 企業が自動翻訳(機械翻訳)を開発したり、子会社を作って翻訳サービスに参入したり、外に目を向ければ、中国やインドなどの低価格の外資系ローカライザーが群れを成しています。

さらに機械翻訳の世界は日々進化しており、ちょっとした翻訳はそれで済んでしまうこともあります。Google のディープラーニング(AI)技術によって翻訳の精度が飛躍的に高まったのも記憶に新しいところです。

また学校教育や子供の頃からの教育によって英語をはじめとした母国語以外の言語スキルがアップすることで、翻訳そのもののニーズがなくなってしまうということも起きています。

そして、その波は今後もとどまることを知らないでしょう。

ナレッジベースの「機械翻訳(自動翻訳)と翻訳支援ツール」にも記載していますが、Google 翻訳をはじめとした機械翻訳は精度があがり、SDL TRADOS(トラドス)をはじめとした翻訳支援ツールはバージョンアップを繰り返しています。

このように「人の手による翻訳」以外にも多くのサービスが乱立している世界から、「自社にあったものはどれか?」を選択するのは、容易なことではありません。

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翻訳業界の変化

このように、あちこちから変化が起きている翻訳業界ではありますが、それはお客様側から見たとき、「選択肢が多すぎる」という状況とも呼ぶことができます。

そして、結果として「どれにすればいいのか分からない」という事態に陥ってしまうこともあります。それだけドラスティックに変化しているのが翻訳業界なのです。

翻訳には、資格が不要です。明日から「翻訳者をやります」といえば出来てしまう世界です。だからこそさまざまなサービスが生まれては消えていきます。

クライアントとしてどこに発注するのかは、今後も重要な判断を迫られる

弊社にお問い合わせいただくお客様にもいくつか種類があります。

  1.  純粋に専門性の高い翻訳サービスを探しているお客様(良いものを作りたいお客様)
  2.  翻訳以外の色々と手間のかかることも全部任せたいと考えているお客様
  3.  とにかく急いでいるお客様
  4.  金額の安さのみで探しているお客様
  5.  下請けとして探しているお客様(翻訳会社)

 

弊社の定義する「お客様」は、1と2(まれに3)のみです。

これは前回のアンケートにもあったように、弊社のお客様に限っては「金額、品質、納期、対応」の4つのバランスを考慮し、ご検討いただいた上でご発注いただいているからです。

ご相談内容から分かる「失敗しない翻訳サービス」とは

それ以外のお客様は、弊社の定義するお客様ではないため、仮に受注してお渡しできたとしても、クレームになったりトラブルになったりすることがあります。

十分な設計や準備なしに「お客様のご希望されるレベル」でいいものを作ることはできません。

こういったことを考えると、結果としてお互いに不幸になってしまったり、結果として余計に時間を喰ってしまったといういことになりかねません。

しかしこれはお客様が悪いのでしょうか?その答えは、NO です。その理由を説明いたします。

翻訳業界を衰退させる参入方法

どの業界も同様ですが、商品やサービスが「コモディティ化」し始めると、それらは衰退していきます。

例えば、これまで述べてきたように翻訳業界はいくつかの要素が重なり合っています。

  •  翻訳サービス経験のない企業の参入による「翻訳の理解不足によるサービスの低下」
  •  過度なグローバル化(海外ローカライズベンダーの価格の安さ、品質は不明)
  •  機械翻訳による価格破壊(ある一定層に対して)
  •  上記に影響されるため、翻訳会社の単価の下落および翻訳者への価格の圧力、そして品質の低下

何処にでも起きていることで翻訳業界だけの話ではありません。上記の流れは、ある意味ごく自然なことと言えます。

本質的な問題は上記ではなく、お客様がこの状況下において最適な選択肢を選ぶための「正しい判断基準がない」ということです。

「正しい判断基準」がないというのはどういうことか

「正しい判断基準」がないというのは、以下のような例が挙げられます。

  • マニュアルでもカタログでも契約書でもなんでも「とにかくコストを下げる」という理由で翻訳支援ツールを使う(コンテキスト=文脈などが無視され、読みやすさが失われることがある)
  • 誰が読むのか、対象読者など想定せずにドキュメントの性質を無視して翻訳を行なう
  • 自社にとっての「良い品質」がどういうものかが明確でないため、分かりやすい「価格」だけ面で翻訳会社や翻訳サービスを選んでしまう

翻訳、ローカライズの品質とは

 

このような基準で選んでしまった場合、想定していたものとは違った翻訳品質になってしまう可能性が高いです。

そして、毎回同じように発注することで、どんどん不満が増えていくことになります。

誤解されるかもしれませんが、これは「お客様が悪い」のではなく「翻訳業界が悪い」のだと考えます。

賛否両論ありますが、「自分たちの仕事は専門性が高く、高度な仕事なのだ」という価値観から、昔ながらの「翻訳家の先生」といった風潮が残っていることは完全に否定できません。(今はほとんど見かけなくなりましたが)

それは作り手のプライドであり、失ってはならないものですが、しかし一方でそれだけではいけないというのも事実です。

専門性の高い仕事であれば、そこに対してのフィーはもちろん正当でなければなりません。しかし、それをお客様に理解してもらうには、その理由をしっかりと「説明する責任」もまたあるのではないでしょうか。

翻訳はたしかに「職人的な世界」ではありますが、ある種、そこにとどまってしまった時代があったからこそ、IT企業の翻訳サービスやクラウドサービス、機械翻訳などが入る余地があったのではないでしょうか。

いや、とどまらなかったとしてもこれらのサービスは参入したでしょう。しかし、その参入の仕方は少し違っていたのではないかと思います。

安さだけで参入できる業界は、それを意識しすぎてしまうと、自分たちの存在価値を見失ってしまいます。当たり前の話です。

自分たちが、「翻訳という仕事を通じて何を伝えていきたいのか」を考えたとき、その「想い」を捨ててしまうと価格競争に巻き込まれたり、仕事が取れなくなるため、自ら「専門性の高い」はずの「翻訳の価値」を下げてしまっているのだと思います。

そしてそれは結果として、市場のコモディティ化を生み出し、お客様側も正しい判断基準を持つことができずに金額のみで判断したり・・・というスパイラルを作っているのではないでしょうか。

大切なのは「翻訳の基準」を作ることであり、翻訳業界全体の「ものさし」を持つことこそ、これからさらに迫りくる機械翻訳や翻訳支援ツールの進歩、海外ベンダーとの競争、そしてお客様の多様な判断基準や求める品質に光を当てることではないでしょうか。

翻訳や通訳は、世界に橋を架けるための大変素晴らしいコミュニケーションツールです。

海外にしかないドキュメントを英語の読めない日本人に紹介し、その書物を読んだ読者に感動や知己を得たり、日本の素晴らしい「Made in Japan」製品が海外に渡り、海外ユーザーが満足し、生活が豊かになるのは、翻訳をはじめとしたコミュニケーションサービスがなければ起きないものです。

だからこそ、その思いをしっかりとお客様に説明し、ご理解いただき、ドキュメントの用途やお客様の諸条件とつき合わせ、ビジネスとしてきちんと推進することが本当に大切なことではないかと考えています。

コミュニケーションを提供する企業が、お客様とのコミュニケーションを端折ったり、怠ったりしてはならないのです。

しっかりコミュニケーションをとることによって、翻訳サービスの価値を認めていただき、そのサービスをご利用いただければ、お客様だけでなく、その先のお客様にも、そして私たち翻訳会社も、そしてもちろん翻訳者も満足度が高くなるのではないでしょうか。

翻って、弊社は何が出来るのか。弊社の経営理念に基づいたコミュニケーションサービスのひとつである翻訳サービスやローカライズサービスに付加価値を与え、お客様のご満足を引き出し、より一層高いレベルへ向かうことができるのではないかと考えています。

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