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大切なのは「自分が何を言ったか」よりも「相手にどう伝わったか」ということ

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コミュニケーションの難しさ

「社会人にとって必要な能力やスキルは?」と聞かれたとき、「コミュニケーション能力」が必ず上位に来ますが、これはいつの時代も変わっていません。

常に上位に来るということは、「コミュニケーション」が人間関係や信頼関係を築くための重要なファクターであり、それによってビジネスが左右されるケースも多いということでしょう。

ビジネスでは年代問わず、円滑なコミュニケーションをとることが求められていますが、実はそれがとても難しいこと=だからこそ必要なスキルとして上位にランクインすると言えます。

例えば、よくあることですが、自分がどんなに上司やお客さんに一生懸命伝えても、話がかみ合わないことがあります。また逆に、「一を聞いて十を知る」という聞き上手な人もいます。これは単純に相性の問題でしょうか。

世代間の違いや環境の違いなど様々な原因が考えられますが、どちらの場合でも「コミュニケーションが重要である」というのは誰もが感じていることです。

そして「コミュニケーションは意外と難しい」と感じると、話し方講座を受講したりコミュニケーションの勉強をしたりする人が出てくるわけです。

人間同士がコミュニケーションをとるということは、ヒューマンスキルが必須だと言い換えることができます。ヒューマンスキルのレベルアップはどうすればいいのか?またテクニックでカバーできないのか?をこれから考えてみましょう。

ビジネスにおけるコミュニケーションの定義

今回のテーマは大変広いので、「ビジネスにおけるコミュニケーション」として考えてみます。

一般的に「ビジネスにおけるコミュニケーション」は、業務をスムースに進めるためのコミュニケーションです。目的はこれしかありません。

その目的を完遂するために、企業で動き、チームで動き、様々な情報を整理し、下から上へ、上から下へと意思疎通を図り、実行に移すことになります。

ここでポイントとなるのは、「コミュニケーションとは自分の意図を他者に対して過不足なく伝える」ことです。これが理解されていないと、ずれた方向に進んでしまい、目的達成ができなくなります。そうならないために、このポイントを共有しておく必要があります。

では、そのためには具体的に何をしなければならないのでしょうか?

言葉の定義を共有する

どうすれば自分の意図を過不足無く、正確に相手に伝える事ができるのでしょうか?

また逆に、どうすれば相手の意図を正確に理解する事ができるのでしょうか?

これは翻訳や通訳などにも共通する部分ですが、「前提や定義を事前に共有しておく」ことが重要となってきます。

つまりその言葉の「意味」を双方で共通のものとしておかなくてはならないということです。

例えば、こんな例で考えてみましょう。

「良い品質」とは何か?

ここで考えなくてはならないのは、「誰にとっての良い品質か?」ということです。可能性としては、以下の2つは簡単に思い浮かべることでができます。

・自分が納得できる品質が良い品質

・お客様の要求を満たした品質が良い品質

このように、「良い品質」という言葉だけでは、実は意味が明確になっていません。もし自社の担当者とクライアント担当者の「良い品質」の定義がずれていれば、確実にトラブルになります。

※参考「翻訳、ローカライズの品質とは」:https://www.trivector.co.jp/contents/?p=1534

最初から齟齬が起きているのですから、実はお客様は後者を求めていたにもかかわらず、それに気づくことができません。「もっとこうした方がいい」という一途な想いを持って時間もコストも必要以上に投資して自分が納得できるものを作り上げることになります。しかも残念なことに、結果として喜ばれないことも少なくありません。

これはビジネスでは致命的です。この「こだわり」という点がお客様と同じ方向を向いていて、結果的に、お客様の満足度を遥かに超えることができればいいのですが(実際は方向があっていても利益が出ない場合も多い)、ある意味「ひとりよがり」になってしまった場合には、とても優れた品質にも関わらず、最悪の場合、クレームになってしまったりということが起きるわけです。

この原因は、コミュニケーション上の「良い品質の定義」が共有されていないからです。とても素晴らしい技術を用いて「良い品質」を求めたにも関わらず、こんなにもったいないことはありません。

「どんなに優れていてもそれが正しく評価されない」と嘆く前に、お客様が求めるものを理解する事が重要です。そのためには、コミュニケーションにおける「言葉の意味」を定義しておく必要があります。

伝えたい相手は誰なのか

これも意外と見落としがちですが、翻訳でも通訳でも、デザインでも制作でも、必ず「ターゲット」や「ペルソナ」があります。

  • 社内(上司なのか)
  • 社内(部下なのか)
  • お客様、取引先なのか
  • 外注業者、パートナーなのか

ベースとなる人間関係がそれぞれ異なります。また距離感や年代も違うはずです。これらは無意識のうちに感じているわけですが、大切なメッセージを伝えたい場合には、きちんと意識してコミュニケーションを図るのが賢明です。

相手の立場によって持っている情報量や知識量などが異なるため、相手に合わせたコミュニケーションを進めていく必要があります。

「伝わる」と「伝える」は違う

伝えたい相手と言葉の定義が共有できたら、今度はどんな風に表現するかも大切です。

ここで目的を再度確認しましょう。

ビジネスコミュニケーションの目的は「自分の意図を自分以外の他者に対して過不足なく伝えること」です。

これを実現するためには、様々な表現方法があります。

  • ストレートに表現する
  • 比喩を使う
  • ストーリー仕立てにするなど

また否定的な言葉を使うか、ポジティブな言葉を使うかによっても相手が受ける印象が異なります。

コップに半分の水があり、「もう半分しか入っていない」と感じるか「まだ半分も入っている」と感じるかという有名な話がありますが、これはまさに「言葉の力=その人の思考」です。

このように、事実はひとつしかありませんが、それをどう表現するか(もう、まだ)によって、相手の心象が大きく変わってしまうのです。

また日本語の場合は、後の言葉の方が印象に残るため、「ネガティブな情報→ポジティブな情報」とするか、「ポジティブな情報→ネガティブな情報」の順番で伝えるかによっても相手の印象は変わってしまいます。

そのため、発話者は「伝えること」と「伝え方」に神経を集中しないと正確に伝わらないのです。

一方、聞き手にとっては「伝える」よりも「伝わる」の方が、とても自発的でしっくりくるのです。

聴く側が「なるほど、分かるなあ」と思っているときには、それは間違いなく「伝わっているとき」なのです。腑に落ちるという表現がピッタリです。これは1人対多数でも、2人でも、すべて同じです。(表現方法は変わります)

ここから分かることは、「自分が何を言ったか」よりも「相手にどう伝わったか」こそが重要だということです。

「自分が、自分が」と自慢話をする人の話を誰も聞きたくないと思うのは、自然なことです。ご存知の通り、自慢話は相手にまったく伝わりません。それは相手にとって知りたいことではないからです。しかし、もしこれがストーリー仕立てで相手が共感するようなものであれば、「伝わる」可能性が高くなります。(ただし、自慢話は内容自体に難があるため、元々受け入れられにくいコンテンツです)

この違いを理解しておくだけで「自分がどう言えばいいのか」「どんなスタンスで話すと相手に分かってもらえるのか」という視点、つまり「他者目線」が必要だということに気づきます。

またきちんと自分の意図が伝わったかどうかを確認する手段としては、その場で相手に話の内容を説明してもらうことで確認する事ができます(意外と伝わっていないことに驚くでしょう)。これは教育や研修時でも有効なテクニックで、人から聞いた言葉を理解し、咀嚼し、自分の言葉で言えるかどうかが理解度のバロメーターとなります。

実は、表現方法などのスキルやテクニックはその後の話です。基礎もない状態でテクニックに依存してしまうと、どこかでほころびが生まれたり、相手に見透かされてうまく伝わらなかったりします。

表現テクニックの前に「他者目線」

自分の話(意図)を本当に相手に伝えたい、分かって欲しい場合、「相手に理解してもらうためにはどうすればいいだろう?」と考えるはずです。例えば、自分の命に関わる内容なら、それは必死になるでしょう。

ビジネスではそこまでの状況というのは無いかもしれませんが、トラブルがあったりお客様からのクレームがあったときなどの社内コミュニケーションは当然、緊急度が高くなります。

そんなときこそ、「身振り手振りを使う」や「結論から先に言う」、また「簡潔に話す」、「箇条書きにしてみる」などが必要とされますし、「適度な相槌を打つ」、「相手の目を見る」などは自然と思いつくでしょう。

細かい説明も、言葉の定義もせずに「言いましたよ」「説明しましたよ」と終わらせてしまうのは、ビジネスマンとしてはコミュニケーション能力が不足していると思われても仕方が無いかもしれません。なぜなら他者目線が欠落しているからです。

そして恐らくこういった点が小さなミスを誘発するため、「社会人にとって必要な能力はコミュニケーション能力だ」ということになるのでしょう。

「相手がこの説明で理解できるか?」と想像し、自分に問うことで、表現の選択肢は変わっていくはずです。

繰り返しになりますが、大切なのは「相手の立場に立ったコミュニケーションを心がける」という基礎があり、そしてその上にテクニック等を使用することです。

コミュニケーション能力は基礎を押さえておくことでレベルアップできる場合もあります。話す、聴くだけではなく、読む、書くという行為にも「他者目線」を持つことで相手に理解されやすい「伝わる」表現を選択することができます。

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まとめ

いかがでしょうか。ビジネスの目的を達成するためのコミュニケーションですから、それを忘れてしまったり、外れてしまうようなコミュニケーションは残念ながらコミュニケーション能力があるとは言えません。そしてこの能力を高めるために特別な訓練は必要ありませんが、決して忘れていけないのは以下のポイントです。

  1. 双方で言葉の定義をし、共有した上で使用する
  2. 他者目線を持つ(これで相手が理解できるか?を常に自分に問う)
  3. その上でスキルやテクニックを身につける

ほんのささいな出来事がミスコミュニケーションの原因となることがあります。またコミュニケーション量がそもそも絶対的に少ないということも考えられます。当然世代間格差もあるでしょう。

社会人の場合は、あらゆる世代と話をしなければならないこと、また海外とのコミュニケーションはより一層厳密に明文化されていないと伝わらない事も多くあります。曖昧さを排除するというのは日本人の苦手な部分だと言えますが、もはやそれを言い訳にする時代ではありません。今後はより一層明確さは求められるでしょう。

このような視点を持ちつつ、上記のステップを進めていくことによって、コミュニケーションの質は高まるはずです。そして、それにより貴社ビジネスが加速し、成功のチャンスが広がれば、「コミュニケーションをご提供する企業」としてこれほど嬉しい事はありません。

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