マーケティング」タグアーカイブ

中小企業白書から見るアジア市場進出と多言語翻訳

コロナも明け、少しずつ動きが出てきたようにも思えますが、それでもまだまだ日本経済は円安が続くなど好景気とは言えません。しかしながら、日本における中小企業は全企業数のうち 99.7% を占めており、まさに中小企業こそが強い日本経済の復活のカギというのは間違いのない事実です。

言うまでもなく、日本の経済活動における中小企業の役割は計り知れません。この記事では、「中小企業白書・小規模企業白書」を基に、中小企業がなぜ海外市場へ進出すべきなのか、その戦略と必要性を紐解いてみたいと思います。

今まさに、各産業の中小企業が直面しているのは国内市場の縮小であり、また国内/海外勢を含めての競争の激化です。それらを打開するためにも技術革新(イノベーション)が必要ですし、そのためにも、海外、特にアジア市場への展開が必要となってきます。

中小企業白書・小規模企業白書とは

中小企業白書・小規模企業白書とは、日本の経済産業省が毎年発行する報告書です。この白書は、中小企業や小規模企業の経営状況や抱えている課題、また市場の動向などがかなり詳細に分析され、まとめられています。

内容は特に中小企業、小規模企業の現状と、未来のビジネスのための重要な指針となっています。これらは政策の立案やビジネス戦略の基盤として広く利用されているという面からも信頼に足るものだと言えます。

さらにこれらの白書を読み込んでいくと分かるのですが、日本の経済状況の変化に伴い、中小企業がどのようにその変化に対応しているのかや、支援策の提案なども含まれているため大変貴重な思慮と言えます。日本の全企業のうち 99.7%を占める中小企業の成長を支える重要なドキュメントなのです。

中小企業の定義・小規模企業の定義

はじめに、それぞれの企業の定義をご説明します。

中小企業:日本において、中小企業は資本金または従業員数に基づいて定義されており製造業、建設業、運輸業などでは300人以下、卸売業では100人以下、サービス業や小売業では50人以下の従業員を持つ企業のこと

小規模企業:小規模企業は、より小さな規模の事業体を指します。一般的には、従業員数が20人以下の企業(一部業種では5人以下)と定義されており、家族経営や個人事業主などのこと

中小企業白書から読み取る日本企業の現状と戦略

中小企業白書によると、多くの日本の中小企業は国内市場の縮小に直面しており、これに対応するために新たなマーケットやチャンスを求めていますが、多くの企業にとって(特に)アジア市場への進出こそが成功の鍵となっていると述べられています。

なお、このアジア地域への進出に成功した企業の事例を見ていくと、以下の2つが大きな勝因と言えます。

海外進出する地域特有の消費者ニーズの理解(マーケティング)

「地域特有の消費者ニーズの理解」とは、異なる地域や文化圏で、その地域の消費者が持っている独特の要望や好みを理解し、それに応えるビジネス戦略のことです。たとえば、日本の中小企業が東南アジア市場に製品を展開/販売する場合には、気候、食文化、宗教的価値観など、その地域の特性を考慮しなければなりません。これは業界用語でいうとまさに「ローカライズ戦略」と言えます。

例えば、ある日本の家電メーカーが東南アジア向けに特化した製品を開発する場合を考えてみたいと思います。現地では湿度が高く、電力などのエネルギー供給が不安定なことが多いため、耐湿性や省エネ機能を備えた製品が好まれるとします。その場合、それらの事情を把握した上で製品開発を進めるのが定石と言えます。また、食品業界で考えると、現地の食文化や宗教的な制約(例えば、イスラム教徒が多い地域ではハラール認証された食品)を考慮した製品開発が必須となってきます。

このように、地域ごとのニーズに合わせた製品やサービスを提供することが、海外市場での成功につながります。市場調査などのマーケティング活動が重要性を帯びています。

ローカライズとは

海外進出先の文化への適応(ローカライズ)

「文化への適応」とは、異なる国や地域の文化的な特性や慣習に合わせて、製品やサービスを調整することをさします。これもまさにローカライズと言えるでしょう。

文化的な適応の例としては、外食産業での事例が分かりやすいでしょう。

例えば、アメリカのファーストフードチェーンがインド市場に進出する際に、多くのヒンドゥー教徒が牛肉を食べません。この特有の文化的な事情を考慮しつつ、チキンや野菜をメインとしたメニューに変更する必要があります。

また、日本の化粧品メーカーが中東やアフリカの市場に進出する際には、現地の天候、気候や肌の特性、美容観などを考慮して製品を開発することも重要になってきます。例えば、暑く乾燥した気候に適した肌の保護成分の比率をあげてみたり、地域によって異なる肌の色調に合わせた色彩の商品などの展開をすることなどもあります。

これらの例から分かるように「文化への適応」は、製品の特性やマーケティング戦略を現地の文化に合わせて調整し、より幅広い顧客層に受け入れられるようにすることです。

これらのローカライズ戦略がなければ、現地ではその製品やサービスは受け入れられないため、結果として売れることはなく、やむなく市場から撤退ということもあるでしょう。

このローカライズプロセスは、海外市場でのブランドの成功と持続的な成長を支える重要な要素となり、日本企業は対象の地域を様々な側面から理解し、その地域に根差した製品開発とマーケティング戦略を進めていかなくてはなりません。

Webサイト ローカライズ

販路拡大における海外展開の重要性

前述のように、海外市場への販路拡大は、中小企業の継続的な成長と繁栄に欠かせない要素だということがお分かりだと思います。

ちなみに白書によれば、海外市場(特にアジア)への進出は、企業の売上増加に直結し、さらには競争力を高める効果があると記載しています。ここは見逃せない重要なポイントです。

引用:「2023年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要案」

国境を越えたビジネスにおいては、文化的・言語的な違いへの理解と適応が成功の鍵となることはすでに述べた通りですし、地域ごとに異なる法規制や独特のビジネス慣習への対応もマストになってきます。

アジア市場進出に必要なスピーディな多言語翻訳とWeb制作

では、「海外進出や海外展開はどこから始めればいいのだろうか?」という話になります。

これはやはり複数のステップがありますので今回は一般的なステップをご紹介します。これを見ると海外進出(特にアジア市場)を成功させるためには、戦略的で段階的なアプローチが必要だということが分かるでしょう。

ステップ補足説明
市場調査と分析・対象国の市場サイズ、成長潜在性、競争状況を調査
・対象国の文化や消費者の行動、法規制などの地域特有の要因を理解
戦略計画の策定・ターゲット市場に合わせた製品やサービスのポジショニング
・販売チャネル、価格戦略、プロモーション戦略の計画策定
法的・財務的準備・現地の法律や税制、会計基準を把握し、遵守
・初期投資、運転資本、リスク管理に関する財務計画を策定
現地ネットワークの構築・現地のビジネスパートナー、供給者、販売代理店との関係構築
・政府や業界団体とのネットワークの構築
運営体制の確立・現地オフィスの設立、管理体制の構築
・現地スタッフの採用と研修、トレーニング実施
製品・サービスの適応・地域特有の消費者ニーズや文化への適応
・法規制、安全基準などに対する製品の適合
マーケティングと販売の実施・企業ブランド認知とイメージ構築のためのマーケティング活動
・販売戦略の実行と顧客サービスの提供
パフォーマンスの評価と調整・市場反応のモニタリングと業績分析
・戦略の微調整や市場へのさらなる適応

適切なローカライズと高い専門性

これらのステップで共通していることは、海外展開/海外進出で成功を収めるためには「すべてのステップでターゲット国に合わせる」ということでしょう。

そのためにどうしても外すことができないのがスピーディで正確な多言語翻訳であり、Web サイトをはじめとした各種ドキュメントのローカライズです。

特に、国を超えてビジネスを展開するということは、少なくともひとつの言語の壁を乗り越えなければならないということです。言語の壁を乗り越えるということは、その国の歴史や文化を理解するということと同義です。

そこには絶対的に専門的な翻訳サービスが必要となります。アジア市場にローカライズされた Web サイトや製品というのは、ブランドの認知度と信頼性を高めるのに必須のツールです。例えば、現地の文化や消費者の嗜好に合わせたコンテンツの作成などは当然、準備しておくべきでしょう。

日本市場だけではなく海外市場(特にアジア市場)を見通したときに、専門性の高い内容をその国に合わせた形でローカライズできれば、相手とのコミュニケーションをスムーズにしてくれますから、結果的にビジネス自体もスピーディに進められると言えます。

まとめ

いかがでしょうか。中小企業が国際競争において成功を収め、海外進出を成功させるためには、海外市場へのローカライズの重要性を理解することが不可欠です。

中小企業白書、小規模企業白書からの洞察は、日本企業が未来に向けてどのように進むべきかの指針を示してくれていると言えます。

成長市場であるアジア市場への進出は単なる選択肢ではなく、貴社の持続可能な成長と発展を遂げるための必要不可欠な戦略なのです。

このような戦略的なアプローチにより、私たち中小企業は国際的な競争力をより一層高め、新たな市場での成功を実現することができるでしょう。

※全文はこちらから読むことが可能です。ぜひご興味のある方はご覧ください。

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html

多言語翻訳まとめてお得プラン


IT企業のための効果的なコンテンツ戦略!動画から記事を作る方法

IT企業のお客様から「動画を記事コンテンツにしたい」というご相談を受けます。これは至極まっとうな内容ですが、とはいえ、このプロセスはまだそれほど多く知られていません。そこで今回は動画を記事コンテンツにする方法について解説します。

「ワンソースマルチユース」というキーワードは以前から存在していた

いわゆる「ワンソースマルチユース」と呼ばれますが、この発想は以前から存在していました。「ワンソースマルチユース」とは 1つのコンテンツを形を変えて様々なメディアに展開することですが、本テーマの「動画を記事コンテンツにする」というのは以下のイメージです。

ワンソースマルチユース

ちなみに、参考として弊社の場合には翻訳したドキュメントを様々なメディアに展開することによってコストを抑えながら成果を出すというサービスも以前からあります。

1×1 ソリューション

もったいない(mottainai)という発想も大切

お客様からのご相談のきっかけは「こんなに良い内容を動画だけにしておくのはもったいないと感じた」といった内容のもので自分たちの動画のコンテンツは非常に有用だと感じていらっしゃるわけです。だから「このままにしておくのはもったいない」という話です。

そういえば「もったいない」は全世界共通のキーワードですね。企業であれ個人であれ、有効利用しようという発想は重要です。

またすでにマルチユースを実行しているお客様は「はじめから記事にするつもりで動画の構成を考えている」という話もお伺いします。この発想はさらに重要です。

つまり「有限のリソースをいかに使用してパフォーマンスを上げるか」ということでしょう。これらの前提を意識してビジネスを展開することで多くのメリットを享受することができます。

動画を記事コンテンツにする5つのメリット

動画を使って記事コンテンツを作ると最低でも以下の 5つのメリットを享受することができます。

ワンソースマルチユースの5つのメリット

いかがでしょうか。制作コストを抑えつつ、リードを増やすことができるため動画を動画のままにしておくのはまさに「もったいない」ですよね。

どんな動画コンテンツを記事にできるのか

動画にも様々なタイプがありますが、どのような動画をコンテンツ化できるのかをご説明します。

種類

解説

会社案内動画貴社の案内なので役員やスタッフが主に登場。仕事をしているシーン等が多め。またビルや工場などの外観も。
インタビュー動画導入事例などに主に使用される。自社製品を導入したらどのような効果を得たかをクライアントにインタビューをする
採用動画採用は企業の重要課題。欲しい人材やポジションに近しいスタッフに登場してもらうことで実際の働くイメージを持ってもらいやすい。
サービス、商品解説動画貴社の製品やサービスの案内や、使い方などの動画も効果的。
Webinar 録画海外や国内問わずの講演や Webinar を頻繁に行っているならそれらをダイジェストにしたりすることもできる。お客様にとっては手軽に情報を取ったり学習できる内容。

(重要)コンテンツを作る上で決めておかなければならないこと

動画も記事もどちらにも共通することですが、ユーザが問い合わせたくなるようなコンテンツを作る上で絶対に外してはいけないポイントをご紹介します。

動画及び記事コンテンツ制作の目的

当たり前ですが、「何をしたいのか、誰に向けた動画なのか」をしっかりと明文化しておく必要があります。単純に「動画を作りたい」「記事コンテンツを作りたい」だけでは自己満足の世界に陥ってしまいますし、誰にも刺さらないものになります。

「弊社の製造業の顧客、特に情報システム部の決定権者に見てもらう動画と記事コンテンツを作りたい。その際には、1か月に2本程度を定期的に制作し配信する。また自社サイトだけでなくメディアにも展開し、多くの露出をはかり、現在の1か月あたりのリード数を2倍にする」

最低でもこの程度は決めておくべきでしょう。

そのためにどんな種類の動画/記事コンテンツにするのか

動画だけを考えても以下のように多くの種類の動画があり、それぞれ目的が違います。自社の制作目的に沿った動画を選択しましょう。動画をどんな記事コンテンツにすればいいのかを参考までに掲載します。

種類

解説

記事コンテンツ

会社案内動画貴社の案内なので役員やスタッフが主に登場。仕事をしているシーン等が多め。またビルや工場などの外観も。Web の場合には「会社案内」や「代表挨拶」などに展開する。
インタビュー動画導入事例などに主に使用される。自社製品を導入したらどのような効果を得たかをクライアントにインタビューをする導入事例として展開する。
採用動画採用は企業の重要課題。欲しい人材やポジションに近しいスタッフに登場してもらうことで実際の働くイメージを持ってもらいやすい。Web の場合には「採用」ページに展開する。インタビュー動画もそのまま貼り付けてもよい。
サービス、商品解説動画貴社の製品やサービスの案内や、使い方などの動画も効果的。Web の場合には「サービス」ページに展開する。またデモや実績なども追記してより説得力を持たせ、問い合わせにつなげる
Webinar 録画海外や国内問わずの講演や Webinar を頻繁に行っているならそれらをダイジェストにしたりすることもできる。お客様にとっては手軽に情報を取ったり学習できる内容。ホワイトペーパーとして展開する。Webの場合にはブログ記事に展開することも可能。

これらの動画を制作したあとに「ターゲットにどんな行動をとってもらいたいのか」をしっかりイメージしておく必要があります。「デモの問い合わせをしてほしい」ならデモにつながる記事にすべきですし、さらには Web側にはデモ専用フォームを作るべきでしょう。

その内容を誰に語ってもらうのか

基本的には、導入事例であれば貴社ユーザに出演していただく、採用動画であれば貴社スタッフに出演していただく、会社案内であれば、貴社の代表に出演していただくなどのアレンジが必要になります。このあたりは制作会社とともに相談すべきです。

貴社ユーザのオフィスで撮影するのか、自社内なのか、スタジオを借りるのかなども、誰に語ってもらうかによって変わります。

「誰が話すか」というのは非常に重要なテーマです。

この3つのポイントは妥協することなく、決めておきましょう。

制作にあたり準備するもの

貴社とのお打ち合わせの中で以下のような内容をお伺いし、弊社も一緒に準備します。

動画制作コンテンツ制作の目的
企画・構成
シナリオ台本・コンテ作成
ロケハン・撮影
ナレーション収録
編集
BGM なども含む
納品(Web へのアップロード)
記事コンテンツ動画コンテンツの理解動画制作時にインタビューしたライターならベター
動画コンテンツの文字起こし
ライティング動画制作時にインタビューしたライターならベター
インフォグラフィックス制作動画内で使用していれば流用
デザインホワイトペーパーや導入事例のデザインがあれば流用
納品(Web へのアップロード)

これらはあくまで基本となりますが、ひとつひとつのプロセスを事前にしっかりとお打ち合わせすることで、より高品質のコンテンツを制作することができます。ちなみに動画の制作と記事の制作は繋がっているため、できるだけ同じ会社に依頼したほうがいいでしょう。

まとめ

「動画を記事コンテンツにしたい」というアイデアは非常に効果的です。

動画や記事の制作実績や経験豊富なパートナー企業と共にスピーディに、かつ高い品質を維持しながら制作することをお薦めします。

なお、弊社では、主にIT企業のお客様を中心に「言語を軸とした様々なマーケティングサービス」をご提供しています。

ぜひお気軽にお問い合わせください。


ローカライズ費用は外資系企業にとってコストなのか、投資なのか

ローカライズ費用

「本当は翻訳したいのに予算が下りないんです」

外資系のお客様とお話ししているとよくこのようなご相談を受けます。予算次第、というのはどんな仕事でもよくある話ですが、少なくともグローバル企業の日本支社であるにもかかわらず、ある程度の予算が下りないというのはなかなか解せません。そこには、何らかの理由があると考えるのが妥当です。

一方で企業には仕事の優先順位があります。例えば日本に進出してきたばかりであればむしろ投資すると考えるのが普通でしょう。

しかし、お客様に色々とお話を聞いているとどうやら物事はそんなに簡単ではないということが分かってきます。

そもそもなぜ外資系企業はローカライズをするのか

今さら何を、という話ですが、「ローカライズを行うのはなぜなのか」を理解しておかなければなりません。この答えは簡単です。

「日本人ユーザは日本語を読みたい」からです。

もっと言えば、日本語版のドキュメンテーション等がないと、日本ではなかなか受け入れられにくいという側面すらあります。

※これは弊社が翻訳会社として仕事してきた18年以上もの間、何も変わっていません。(変わっていないからこそ翻訳というニーズが拡大している訳ですが)以下の記事は5年以上前に書いたものですが、本質はいまだ変わっていないことを痛感します。

なぜ翻訳するのか?

もしあなたが外資系企業の日本支社長であれば、日本でのプロダクトの拡販は当然ながらミッションに含まれているでしょうし、設定した売上を立てることは当然の必達目標でしょう。

それをどうやって実現するか=つまりどのように認知してもらい、さらに購入して使ってもらえるかを考えたとき真っ先に浮かぶのは「ローカライズ」ではないでしょうか。

ローカライズ費用は企業にとってコストなのか、投資なのか

外資系企業の場合、予算の獲得にはいくつかの傾向があります。

ローカライズのコスパをシビアに求める外資系企業の本社

コストパフォーマンス

これは各外資系企業によりますが「〇〇円投資するなら、〇〇〇〇円のコストパフォーマンスがなければならない」という本社から指示される会社もあります。

この場合、日本の支社長や担当者は予算を出してもらうためにこの根拠を作らなければなりません。これはなかなか骨の折れる作業です。もちろん適当に回答することはできませんし、かといって誇張することもできません。

初めてのローカライズでは前例が無いため、そもそも「読み」ができません。そのため正確にコストパフォーマンスを出すのが難しい状態です。

しかし本社からその精度を求められると、緻密な設計が難しいため、なかなか前向きにローカライズしましょうという結論は出にくいのは容易に想像できます。

結果をシビアに求められてしまうと(達成できるかどうかは分からないため)ローカライズは見送りになり、英語版のままユーザに提供されたり、営業ツールやマーケティングマテリアルも英語のままになります。

そして(それらも原因の一つと言えますが)日本人ユーザに英語は敬遠されるため、売り上げがなかなか立ちません。

グローバルマーケティングを行う外資系企業

またコスパというよりは「グローバルマーケティング」を行う外資系企業も多く存在します。グローバルマーケティングとは、全世界を市場として捉えるため、ローカライズに比べて各国の自由度は低くなります。

外資系企業では「中央集権化されたマーケティング」とも呼べるため、ブランド統一などには強く作用しますが、各国個別の事情にマッチするかどうかはかなり微妙なケースもあります。

ローカライズを「投資」と考える外資系企業

投資としてのローカライズ

一方で、ローカライズを行うことを投資と考える企業も多く存在します。彼らの場合にはローカライズをすることで認知されやすくなり日本市場で受け入れられやすく、営業もしやすくなるので購入にもつながると考えているわけです。

また投資と考える企業は、プロダクトそのもののローカライズだけではなくドキュメンテーションのローカライズもきっちりと行い、その国のユーザに寄り添った形でビジネスを展開していきます。

※ただしそれに伴った売り上げが達成できない場合には、ローカライズそのものが中止になったり、最悪の場合には日本市場からの撤退もあります(これは事前にサンクコストを算出しておき、撤退ラインを決めておくことで対応します)

※一般的に、日本企業が海外展開する際なども共通して言えるのはその国をしっかり調査し、ターゲットを定め、自社のプロダクトやサービスをまとめてローカライズしています。やはり「郷に入りては郷に従え」という点は無視することができません。ユーザニーズにマッチしないプロダクトやサービスは売れませんし、強引に売ったとしても長期的にはブランドが失墜するだけです。

ローカライズにかかる費用はそのマーケットに対する、本社の明確な意思表示

このように、結局のところは「本社が日本市場をローカライズ対象地域として捉えているかどうか」という価値観が如実に表れていると言えます。

日本の担当者や支社長は日本市場が魅力的であること、だから投資としてのローカライズ費用を出してほしいというアピールや交渉を粘り強く継続していく必要があります。

中には年単位でアピールをし、予算を獲得しているという担当者も存在しますが、本社側から見れば「売れてない市場なら投資しない=コストは押さえたい」という点に帰着してしまうこともあります。

まさに「卵が先か、鶏が先か」状態なのです。

つまり「売り上げるために投資する」と「売上がないから投資しない」は表裏一体であり、各社がどちらにフォーカスしてビジネスを展開すべきかの姿勢が出ているということでしょう。

ローカライズ費用を抑えつつ効果を出すために日本支社としてできること

前述のように、ローカライズにかかる費用を本社から獲得した後、それを使って最大の効果を出すためにには一体どうすればいいのでしょうか。弊社のこれまでの経験上、いくつかのパターンに分けることができます。

必要な個所を厳選してローカライズする

必要な個所をローカライズ

限りある予算の中で日本のユーザにとって本当に必要なものだけを翻訳していきます。リーンスタート、スモールスタートという観点からも理にかなっていますので、まずはここから小さな実績を作ることを目指しましょう。

販売代理店と契約して「テコの原理」を使う

販売代理店と契約

外資系企業が複数の販売代理店と契約することで、彼らに提供する販促ツールやマーケティングマテリアルと厳選し同じものを提供しますが、販売代理店が営業活動を行うことでテコの原理を軸に、1社で行うよりも早くリードを獲得することができます。

自社で直販するためのローカライズよりも、スピーディにマーケットになげかけることができるため効率的です。

オリジナルコンテンツを作る

オリジナルコンテンツ

ローカライズの一環として日本独自のコンテンツを作ることもできます。プロダクトに絶対に必要な UI の日本語、ドキュメンテーションの日本語、また営業ツールとしてにコンテンツ制作(日本での導入事例やインタビュー)などです。

まとめ

このように、外資系企業のローカライズ業務というのは、翻訳の仕方などのローカライズ作業そのもののポイントもさることながら、予算獲得にまつわる動きが重要であり、優秀な日本支社の担当者は「本社から予算を引っ張ってこれる人物かどうか」というのもポイントになります。(まるで政治家のようですが)

それを適切な個所に配分、投資することによって日本語版を提供し、売上を作っていくことができるわけです。

ビジネスを展開しスケールさせるにはやはり投資が必要であり、それは中長期、短期と両方の視点がありますが、どちらも継続しなければならないと感じています。実はこれは海外から日本進出だけではなく、日本から海外展開という場合も同様です。

これらは翻訳会社という見地からだけではなく、すべての企業が考えなくてはならないテーマなのではないかと思います。

外資系企業での翻訳、ローカライズ業務の進め方

弊社ではWebサイトをはじめ、外資系企業様の日本進出の足掛かりとなるローカライズサービスをご提供しております。

ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。


初心者が動画マーケティングで抑えておきたいたった2つのこと

多くの企業が使用している動画ですが、貴社のマーケティング活動プロセスにしっかりと組み込み、結果を出すためには、何から考えて着手すればよいのでしょうか。今回は動画マーケティングの失敗を避け、成功のためのステップについてお伝えします。

動画マーケティングの「ゴールは何か」を決める

まず最初に決めなくてはならないのは「貴社のゴールは何か」です。ゴールの無いマーケティングは効果測定できないばかりか、ほとんど意味がありません。独りよがりのマーケティング活動では決してうまく行きません。

ゴールは定性的なものではなく、しっかりと数値で設定しましょう。例えば、

2か月後には動画の再生回数を10,000 回にする

Youtube チャンネルへの登録数を 50 % アップする

といった具合です。明確な目標があれば、一連のマーケティング活動の成否を計測することができますし、費用対効果、成功要因、失敗要因などの分析が可能になります。

動画を見てほしい「ターゲットは誰か」を決める

次に決定しなければならないのが、ターゲットの設定です。いわゆる「ペルソナ」の決定です。

ペルソナを決める上では例えば以下のような質問項目を設定し、それに回答する形でターゲットを明確にしていきます。(回答はあくまでサンプル)

質問項目回答(サンプル)
性別は?男性
年齢は?35歳
居住地は?どこに住んでいるのか?神奈川県
家族構成は?妻と娘、息子の4人暮らし。妻はパートで週5日程働いている。娘は 小学1年生、息子は幼稚園に通っている。
日常の交通手段は?○○線を利用、朝は通勤ラッシュを避けるため1時間ほど早めに通勤している。
普段の服装はどんなものが好きか?普段はスーツだが休日はラフな格好を好む。
趣味は?休日は学生時代からのフットサルチームに参加。練習後には友人たちと食事が王道パターン。
最近の悩みは何か?仕事のやりがいはあるが、給与や条件面を考えるとさらにステップアップして転職するかどうか。年齢的にも転職するなら次が最後にしたい。

どんな価値観を持っているか?(何を大切にしているのか)

仕事もプライベートも大切にしたいと思っているが、結婚してからというもの、子供の将来に何が残せるのか、何を伝えていけるのかという想いが強くなってきた。

動画制作時に抑えておきたい 2 つのポイント

ゴールとターゲットが決まったら、いよいよコンテンツに取り組みます。動画のコンテンツは、設定したペルソナに向けてのものとして制作しなければなりません。コンテンツを制作するときに抑えておきたいポイントを解説します。

ポイント1:動画コンテンツは「ストーリー」が大切

どんな動画でもストーリーは大切です。動画は最初の20秒で継続して視聴するかしないかが決まると言われています。

簡単に言えば、「つかみが大切」ということです。「つかみ」が面白くなければ、よほどのことがない限り、ぞのまま見てもらうことはできません。

ちなみに、2016年にもっともシェアされた動画広告のランキングというものがあります。

unruly 社によってランキングされていますのでご覧ください(英語ページ

John Lewis’ “#BusterTheBoxer” Tops Most Shared Ads Of 2016

これらは、特徴的な動画ばかりでしっかりとストーリーがあり、ついつい見てしまうものばかりですね。

ご覧になったことがある動画もあるのではないでしょうか。ただ、ここで考えたいのは、「どうしてこの動画を自分は見たいと思ったのか?」という質問です。

そこに動画マーケティングのヒントがあります。

ポイント2:SNS 等で紹介、拡散されるコンテンツを作る

もうひとつ例を挙げましょう。以下は Youtube 公式が公開しているその年に流行ったものをまとめています。

YouTube Rewind 2018: Everyone Controls Rewind| #YouYubeRewind

YouTube Rewind 2018: Everyone Controls Rewind | #YouTubeRewind

YouTube Rewind: The Shape of 2017| #YouTubeRewind

YouTube Rewind: The Shape of 2017 | #YouTubeRewind

YouTube Rewind: The Ultimate 2016 Challenge | #YouTubeRewind

YouTube Rewind: The Ultimate 2016 Challenge | #YouTubeRewind

これらのまとめを見ると、毎年ドンドン新しいキャラクターやブームが登場しているのが分かります。TV メディアよりも Youtube の方がメディアパワーが強くなっているのが分かります。

これは BtoC の話だけではありません。youtuber のビジネスへの台頭、つまり彼ら自身がコンテンツとしての独自性を持っているわけです。

そしてどんどんシェアされていくことで、その拡散スピードは指数関数的に膨れ上がっていきます。

企業活動においても動画マーケティングは大変重要ですから、例えば、企業のキャラクターを設定してアニメ動画にしたり、企業ブランドに即した形のコンテンツを企画することが重要です。

このように動画はストーリーが大切だというのがご理解いただけたでしょうか。

動画の用途はさまざま

これまで述べてきたように、動画の制作時に抑えておきたいポイントを理解し、制作することができるようになれば、プロモーションのみならず様々な用途にも使えるようになります。なぜなら基本的な部分は従来のマーケティングツールと同じだからです。

プロモーション以外で活用できる分野としては「ハウツー系」や「お悩み解決、Q&A系」、「ニュースメディア系」、「お客様の声、インタビュー、事例」などがあります。

「ハウツー系」といえば e-Learning を代表とする教育・研修などの社内向けの教育研修コンテンツや取扱声明書のようなものを制作することができます。

「お悩み解決、Q&A系」では、「購入した商品の使い方」や「便利な方法」など、手順を動画で説明することができます。文字だけではイメージしにくいものは動画の方が便利です。

「ニュースメディア系」では、まだユーザーに知られていない最新情報など、お役立ち情報をお届けすることができます。

「お客様の声、インタビュー、事例」では、文字通りお客様にインタビューをしたり、動画事例として制作することで「使用感」「実際の反応」を視聴者に伝えることができます。

どの企業でも必ず商品やサービスを販売しており、その先にはユーザー(お客様)がいるわけですから、ニーズは顕在化されており、彼らをターゲットとしてコンテンツを設計することが比較的簡単にできます。(前後しますが、だからこそターゲット=ペルソナの設定が大切です)

動画は「体験」に近づける

動画の用途がさまざまある中で、テキストよりも動画が持っているのは「自分自身の体験に近づく」という点です。

例えばテニスを教える動画があったとします。ラケットの持ち方やフォームなどを動画として見ることができます。

実際に自分でラケットを握って振ってみる際には、テキスト(本)を読むよりも動画を何度も再生して真似をしてみる方が習得は早くなります。(もちろん、見るだけ、読むだけでは習得はできません。最後は行動しなければなりません)

動画を見るだけで実際の体験はできませんが、疑似体験はできます。言葉では伝えにくいニュアンスなどを伝えるときには動画は大変有効です。

また、もうひとつの例としては、営業マンのロールプレイングを動画で撮影し、Youtube にアップして後から研修で使用することができれば、客観的な視点で分析もできますので大変便利です。

大抵の営業マンは恥ずかしがってやりませんが、逆に言えば、それを乗り越えて客観的に自分を分析できれば、より信頼される営業マンになれるということです。

もはや「当たり前」の動画マーケティングをより効果的に使うために

これまで述べてきたように、動画マーケティングは何も難しいことはありません。撮影技術は年々初心者でもできるようにシンプルになってきましたし、リーズナブルな価格で動画の業者も数多くいますから、信頼できる業者とともに作ることが可能になりました。

先端技術やテクニックももちろん大切ですが、もっと大切にしたいのは「ペルソナに対して、貴社の商品やサービスは何ができるのか」を真剣に考えることであり、「その部分に対してどういう提案をするのか」であり、「それを動画でどのように見せるのか」ということです。

それがはっきりしなければ、目標もペルソナもストーリーも意味を成しません。

この点を最重要ポイントとして動画制作を行っていきましょう。

字幕翻訳プラン[FUNSUB]

弊社では動画制作のみにならず、既存の動画をローカライズすることでスピーディに動画を使用していただくことができる字幕翻訳プランもご用意しております。

https://www.trivector.co.jp/movie/

中企業経営者向けマーケティングガイド

また、今回の内容は動画に関してお伝えしましたが、ペルソナやストーリーといったマーケティング的な視点は、どの分野でも必要です。世の中には「知られていない良い商品」が沢山あります。

中小企業の場合はリソースが限られているため、それらを知ってもらう機会が極端に少ないと言えるでしょう。だからこそマーケティングが非常に重要であることは間違いありません。

そんな方々のために、弊社では「今すぐできる!知識・経験ゼロの中小企業経営者向け マーケティングガイド」を販売しております。マーケティングとは何かから始まり、実際に手を動かすワーク形式となっておりますので、貴社の強みや戦略を含めて企画検討することができます。

なかなか予算がかけられない、しかし何とかしなくてはならないとお考えの方には最適な1冊となります。

今すぐできる!知識・経験ゼロの中小企業経営者向けマーケティングガイド