「美術×インバウンド」を考える

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活況に沸くインバウンド(外国人観光客)業界

美術やアートに携わる関係者にとっても注目のテーマでしょう。そこで、この2つのキーワードを軸として考察したいと思います。

いったい、日本人にどのくらい美術は浸透しているのか?

美術やアートの世界は日本人全般を見回したときに、どのくらい浸透しているのでしょうか。

海外(特に欧米)では、歴史的な背景からも日常生活に美術やアートが常にあるという状態が多いようです。

それと比較してしまうと、日本人の生活には、美術が入り込んでいないと言えます。つまり、美術やアートに親しむ行為自体が「非日常」となっているわけです。

興味がなければ美術館には行かない

これは美術やアートに限った話ではありませんが、人間は興味の無いものに対し、お金を払ったり行動は起こしません。

とても当たり前の話ですが、もし美術館に行くことが「非日常」であれば行動しにくくなるのは明白です。

もちろん、その逆もまた然りです。
つまり、きちんと興味を喚起できればそれが「日常化」しますのでお金を使いますし、お金が回っていくことで修繕費や維持費、また業界全体の活性化に繋がります。

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このサイクルをいかに生み出すかがポイントです。

市場が縮小する

ある調査によれば、日本の美術市場は縮小傾向にあり、約 1,000 億円程度と言われています。理由はいくつか挙げられますが、これも日本人の多くが、美術に触れる機会が圧倒的に少ないからでしょう。

例えば、自宅に絵画を飾っているような家庭は日本全体でどのくらいあるのでしょうか?

もし、今後市場はこのように徐々に衰退していくとすれば、金銭でははかる事のできない大切な日本の文化や伝統、歴史といったものが廃れてしまうことにも繋がります。

私たちはどうすべきなのでしょうか?

外国人観光客を取り込む

では、もう少し視野を広げて世界という単位で見てみましょう。欧米圏の場合には国家をあげて美術の普及に努めている国も多く存在します。

当然ながら、美術やアートは一般の方々の生活に浸透しています。

つまり完全に「日常」だと言えます。
これは少し極端ですが、理解を促すために以下の2つに分けてみます。

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これを考えたとき、日本の美術分野における様々なプレーヤーは何をすべきかは明白です。日本人への美術やアートの普及と同時に、

「外国人観光客を日本に呼び込んで取り込み、リピーターにする」

ということが大切です。

「美術館に行くことは当たり前のこと」だと思っている人たちをきちんと日本に呼び、お金を落としてもらう事によって市場規模を活性化させることができるのではないでしょうか。

「日常」の人たちにとっては、そこで価値のあるものに巡り合えたら、お金を使うのは当然のことです。
彼らは彼らの審美眼を持っており、彼らの感性を大切にしています。
それをしっかりと掴むことができれば、まだまだ美術市場は大きくなる可能性を 秘めているのではないでしょうか。

美術の翻訳のあるべき姿とは?

では外国人観光客を美術館に呼び込むには、何が必要なのでしょうか。

最も重要なのは「言語の壁をどう乗り越えるか」でしょう。

つまり、高品質(読み手が理解できる)な翻訳です。
読み手が日本人以外だとした場合、日本の歴史背景の知識がない場合が多いでしょう。

その場合、ただ作品名を翻訳するだけでなく、言葉の意味も補足しなければ真の作品の理解には繋がりません。

また翻訳そのものも非常に難解なため、誰でも出来るわけではありません。少なくとも、日本の歴史、文化、背景といったものを理解していなければ翻訳することはできません。
日本語原稿の字面だけを追いかけて英語にしても何の意味も成さないのは想像に難くないでしょう。

また、翻訳で手を抜くとすぐにバレてしまいますし、悪影響が出てしまいます。

外国人観光客は背景知識は無くとも、美術作品を観ることには目の肥えた人々であり、作品と作品解説にギャップがあれば、作品そのものにさえ、低評価を与えてしまう可能性すらあるのです。

翻訳の品質をしっかりと維持・向上させることは、作品やアーティストを含めた 総合的な判断基準のひとつなのだと理解しておかなくてはなりません。

美術の品格を維持するための3つの大切なこと

  • 歴史、文化、伝統といった背景を理解すること

これは上述の通り、理解をしている翻訳者が翻訳しなければ見抜かれてしまいますので最重要です。

  • ネイティブチェックをしっかり行うこと

その国の言葉で表現するには、その国の言葉を母国語としている人に見てもらわなくてはなりません。なぜなら「その表現が自然かどうか」が分からないからです。

しかも、美術やアートに精通しているネイティブがチェックする必要があります。

私たち日本人が、美術作品解説のチェックをするとした場合、美術に対して何の知識もない日本人が行う事はできないのと同じことです。

  • お金が発生すること(国家予算も含めて)

作品解説も、キャプションも、図録も、ガイドブックもすべてがその作品を後押しする強力なツールです。
これらのツールによって外国人観光客が作品への理解を深めてもらい、彼らの知的好奇心を刺激し、満足させ、そして「もっと知りたい」という新たな欲求や興味を喚起させることが大切です。

なぜなら、そうすれば彼らは必ずリピーターになり、また美術館を訪れてくれる からです。

そのためには、これらのツールは有料化し販売することも求められます。有料になれば買うほうも真剣に読みますし、制作する側も充実した内容にしていくしかありません。

それがあるからこそ、作品への投資ができるようになり、維持ができるようになり、美術市場がより一層活性化するのではないでしょうか。

まとめ

弊社は美術館様、博物館様の集客やマーケティング、個人アーティストの方々の作品を世界に出すお手伝いをさせていただいております。

それは、「日本には素晴らしい美術作品が多く存在している」からであり、それらをぜひ海外の方々にも知っていただきたいと考えています。

そのために弊社では翻訳・通訳をはじめとして様々なサービスを引き続きご提供予定です。

ご興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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